27ヵ国訪問記

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若手訪中団

北京大学中国経済研究センター

  訪中2日目。7:50にホテルを出て、北京大学へ。午前中は同大の中国経済研究センター副主任の姚洋教授と懇談。北京の最高気温は昼間でもマイナス4.2度。大学構内の池はすっかり凍っていました。寒い!

 姚教授は昨年、「北京コンセンサスの終焉」という論文を米誌に発表し、「中国の経済成長維持には民主化を進める以外の道はない」とのべるなど注目の経済学者です。

 まず、簡単な挨拶と研究センターの紹介があった後、すぐに質疑応答に入りました。日本側からは、人民元レートについての今後の展望、格差是正、国家財政の現状と見通し、政治改革の動向などについて質問が続き、明確で興味深い回答がありました。

  中国の経済成長の今後について。――あと5年間は今の成長率が続き、その後は下がるだろう。その要因は人口の変化にあり、農村部からの都市部への流入もへり、安い労働力による経済発展から労働の質が問われるようになる。ただ現在の中国は60年代の日本の状況に似ており、中国の今後の発展には自信を持っている。このままの状況が続けば2022年にはアメリカを抜き世界一の経済大国になる、との答えでした。

  一方での格差問題について。――ジニ係数は0.47と高いが世界一ではなく、アメリカの0.52とほぼ同じだ。ただ、都市部と農村部の格差は世界で一番大きく、3.1倍だ。中国政府は新農村建設を進めている。また、医療サービス、年金について2015年までにシステムを構築する。農村部で足りないのは教育への投資で、負担が大きい、との回答。

  私からは、格差是正をするうえで税による所得の再配分について現状と今後の方向について質問しました。これに対し、企業からの税金が中心というあり方は短期的には変わらないが個人所得税制の改正も必要だ。北京の徴収ラインは低すぎ、70%位の人から徴収しているが最低ラインを高めて 30~40%位への課税にするのが経済のためにもいい。そのためにも税金を簡単にし、種目も減らすことが必要だ、との答えでした。

  移動中に北京オリンピックの会場となった「鳥の巣」が見えました。

王府井/社会科学院/尖閣諸島問題

  昼食の後、北京の繁華街、王府井(ワンフーチン)を少しだけ歩きました。土産物屋も多く観光客であふれています。続いて中国社会科学院日本研究所を訪問。李薇所長をはじめ、教授や研究員の方など約20人が懇談に参加してくださいました。

  ここでは、双方から簡単な挨拶のあと、研究所の側からの質問に日本側が答えるという形。日頃から日本の政治や文化を研究されているだけあって質問は極めて具体的かつ、今日的なもの。

  「民主党政権一年半で問題は多く、日中関係はぎくしゃくしている」「東アジアの中で中日関係をどう位置付けるか」「民主党政権はいつまで続くと思うか」「社会保障における家族の役割をどう考えるか」「防衛大綱に対し中国国内で反発の声が上がっているが、どう評価しているか」などなど。

  私にはご指名で「尖閣諸島問題について日本共産党はどういう政策か」「防衛大綱についての評価」の質問がありました。実は文化、経済問題での懇談と聞いていたので手元に尖閣諸島問題の資料は持っていませんでした。しかし、この間の演説会などで何度も話していますので、事実経過も頭に入っています。

  私は、尖閣諸島は歴史的にも国際上も日本の正当な領土であり、日清戦争の講和条約の議事録を改めて検討したが、尖閣諸島の領有は侵略とは無関係である。同時にこの問題で両国間の緊張を高めるのでなく平和的解決が重要だと回答しました。

  中国側からは「両国は見方が違う。衝突にならないように争議があると認めたうえで解決のメカニズムを作ってはどうか」との発言がありました。

  この懇談の後、参加した各党の議員らから「日本の立場を筋道立ててきちんと話してくれて感激した」「メモも見ずに、詳しく正確に話せるのはすごい」「共産党の見解を読んだがわかりやすく、役立っている」などの声がかかりました。党の道理ある見解は大きな力を持っています。

  防衛大綱についても、軍事に軍事で対抗し、緊張を高めるようなやり方は行うべきでなく、日本の最大の貿易国が中国になっているなどの経済関係の実態も踏まえ、東アジアにおける平和の枠組みを作ることが必要であり、困難はあっても6ヵ国協議をその枠組みに発展させることが重要だと述べました。

  防衛大綱の問題は、ここ以外でも何度か中国側から出されましたが、その都度、政権側の民主党の代表が回答するのではなく、自民党の代表が説明していたのが印象的でした。この問題で両党に垣根がないことを実感しました。

中日友好協会/北京ダック/全青連

  夜は、中日友好協会副会長主催の夕食会。王府井にある店、全聚徳で「北京ダック」をいただきました。地方からの中国人の観光客も王府井を歩いたあと、ここで「北京ダック」を食べるのがお決まりのコースだとのこと。美味でした。

  つづいて、中国共産青年団、中華全国青年連合会の幹部のみなさんと懇親会。大いに盛り上がりました。

  日本共産党と中国共産党との理論交流の代表団の一員だった方もおられ、「不破さんの理論水準はすごい、私にとって忘れられない感激の時間でした。不破さんが出されたこの交流についての報告の本も二冊とも翻訳して勉強しています」とのことでした。

  全青連からはお土産としてマフラーのプレゼントがありました。とても寒いだけに一同感激。早速、お揃いのマフラーを巻いて記念撮影をしました。

  ホテルについたのは23時。明日は6時すぎにホテルを出て、内モンゴルのフフトホへ空路で日帰りです。北京よりも、相当寒い地域です。

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