午前中はパナマ運河の視察。太平洋側にあるパナマシティのホテルから高速道路を使って約1時間半。カリブ海側に通じるガツン閘門(こうもん)で、大型コンテナ船が通行する様子を間近に見ることができました。
パナマ運河は1914年、米国が10年の歳月を費やして完成した全長80kmの運河。99年の12月31日にパナマに返還されました。海面の高さと運河の通路となるガツン湖の湖面の高さが26m異なるため、閘門により三段階で水面の高さを上げ下げして通行します。
これにより、太平洋からカリブ海~大西洋へと抜けるために、アルゼンチン先の岬を大回りすれば25日ぐらいかかるところを約24時間で運行することができます。1日約40隻の船が通過しています。
到着すると、ちょうど日本郵船の大型コンテナ船が通行するところでした。閘門の間に船が入ると次の区画の水位が下がり、一方で船側の区画の水位が上がります。両方の水位がそろったところで閘門が開き、船は次の区画に進みます。
上の写真は閉まった閘門の前で水位がそろうのを待つ船。下の写真は閘門が開く途中のものです。
パナマ運河の仕組みは教科書で習いましたが、実際に目の前で見て、そのスケールの大きさに感心しました。よくも100年も前にこんな大工事をやったものです。門扉は開通時のものがいまも使用されているそうです。
開通当時と比べて船が大型化しており、この運河を通行できる最大船型(喫水12m、載貨重量65,000t)をパナマックス型と呼んでいます。日本郵船の 船はこの型で、水路の壁と船の間は50cmぐらいしかありません。両側からワイヤーで引っ張って、壁に当たらないようまっすぐ進めるのですが、みごとなも のです。
このクラスのコンテナ船の場合、通行料は3500万円程度。通行料収入とともに関連産業もあり、パナマ国の経済にきわめて大きな役割を果たしています。現在、大型化に対応するための拡張工事がすすめられていました。
水路は2本あります。手前の水路のすぐ横の見学台で1隻目の通行を見た後で、閘門の上の通路を歩いて渡り、2つの水路の間にある制御室に入って説明を受けました。
水位の調整や閘門の開閉は、今年の春より手動からコンピューター制御に変更になっており、代表して椎名議員が操作画面をクリック。ちゃんと、閘門が開きました。パチパチ。
視察終了後、パナマシティ方面にもどり、ガツン湖畔のガルボアリゾートで昼食。途中、昨日と同じ激しいスコールに襲われました。
世界遺産、カスコ・アンティグオ/運河博物館/カテドラル/フランス広場
午後からは、世界遺産に指定されている旧市街地、カスコ・アンティグオを訪れました。1519年にスペイン人によって最初にパナマ市が作られた地域はイギリスの海賊によって破壊され、1675年に新たに築かれた市街地が当地です。
半島部には海賊からの攻撃をさけるために防塁が築かれています。由緒ある建物がならび、スペイン統治時代の風情がただよう街並みです。残念ながら一部貧民 街化しており、損傷した建物もあります。最近、観光地としての整備が進められ観光警察も配置されていました。いっそうの整備を期待したいものです。
最初にパナマ運河博物館へ。パナマ運河建設の歴史をはじめパナマの歴史全般を知ることができます。
太平洋と大西洋を運河で結ぶことは多くの人が夢に抱き、さまざまなルートが検討された末、パナマでの運河建設が始まりました。
フランス企業が、スエズ運河を建設したレセップス氏に参加をもとめて1881年から工事に着手しましたが、難工事に加え疫病などで挫折。その後、建設は米国に引き継がれ、今日の水門式運河の方法で10年の歳月をへて完成しました。
博物館には、当時の工事の様子とともに、パナマがコスタリカから独立し、さらに1999年にアメリカから運河の返還を受けるまでのパナマ人のたたかいなどについても詳しく展示されていました。
運河の両岸五㌔ずつはアメリカの租借地とされ米軍も駐留していましたが、運河の返還にともない米軍が撤退し、土地も返還されました。その跡地はさまざまな利用がされていますが、まだまだ課題があるようです。
博物館に続いて、1796年に建設されたカテドラル(大聖堂)に入りました。正面には、黄金の祭壇が輝いていました。泥をぬって侵略者から略奪の難を逃れたというものです。
さらに半島の先端にあるフランス広場へ。ここからは海の向こうに現在の新市街地も一望できますが、高層ビルが立ち並びニューヨークのマンハッタン島を眺めているような景色です。
パナマ帽/モラ
パナマといえば、「パナマ帽」。運河博物館の展示の写真を見ても、当時、ヨーロッパやアメリカから来た建設関係者はみんなかぶっています。私もほしくなり、買ってしまいました。似合いますか?。
とはいっても、パナマではほとんど生産されておらず、多くはエクアドル産だそうです。
もう一つ買ったのが、先住民であるクナ族の女性が長方形の布に色鮮やかな布切れを刺繍した「モラ」。鳥や花などを題材にしたものから、幾何学模様まであります。これを買うのを目的にしたツアーもあるそうです。