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「安倍政権打倒の一大国民的運動を ──集団的自衛権にみる安倍暴走政治が露呈した矛盾と日本共産党」 【『前衛』2014年9月号】

 

■集団的自衛権の閣議決定に空前の反対

 ――集団的自衛権行使容認の閣議決定に、空前の反対、批判の世論が広がっています。そうした怒りや危惧の広がりの特徴と、なぜそうした広がりがおこっているのかについて、まずお話しください。

[官邸前に集まった人の声]

 安倍内閣による七月一日の集団的自衛権行使容認の閣議決定は、憲法九条のもとでは海外での武力行使は許されないというこれまでの政府見解を一八〇度変えて、「海外で戦争する国」づくりへと道を開くものです。日本共産党は、ただちに志位和夫委員長が「憲法を破壊し、『海外で戦争する国』をめざす歴史的暴挙――集団的自衛権行使容認の『閣議決定』の撤回を求める」との声明を発表しました。

 六月三〇日、七月一日の官邸前行動には、連日、数万人が参加しましたが、特徴的だったのが、労働組合や民主団体が奮闘するとともに、東京デモクラシークルー(TDC)などのネットでの呼びかけを通じて参加が広がり、とくに無党派や若い人たちが目立ったことです。フェイスブックやツイッターでのよびかけのリツィートは五万を超え、二〇代、三〇代の人が次々参加し、一〇代の中・高校生もかけつける状態になりました。

 閣議決定前の六月二二日に東京でおこなわれた若者憲法集会には、全国から一〇〇〇人以上が参加し、NHKをはじめマスメディアが次々報道して注目されました。七月五日の東京で行われた「ファシズム許すな! 安倍政権打倒デモ」は、出発時には三〇〇人だったのが、大勢の若者が飛び入りで参加し、最後は一五〇〇人以上になりました。大阪では三日、京都では四日にデモがおこなわれ、全国どこでも若者の姿が目立ちました。若者たちが、「フェイスブックで知り、授業をカットして来た。『あのとき、もっと国民が動いて暴走を止められれば』と将来の子どもたちに言われたくない」(横浜市の男子学生)、「何十年も守ってきたことが有無を言わさず崩されるのは、普通に考えてどうかと思う。自衛隊が殺し、殺されるのはいけない。テレビで抗議行動を見て、同じ思いの人の輪に加わりたいと思った」(横浜市から自転車で来た男子高生)(以上「しんぶん赤旗」七月三日付)など、いてもたってもいられない気持ちで参加しています。

 もう一つの特徴は、集団的自衛権行使容認反対で集まった参加者の声が、それにとどまらず、「安倍政権やめよ」と発展したことです。官邸前では、さまざまな場所で、自主的なコールが起こっていましたが、「安倍やめろ!」という声がどんどん広がり、またそのことを書いた手づくりのプラカードもたくさん掲げられました。こういうなかで、七月一五日の党創立記念講演会で志位委員長が、安倍政権打倒を呼びかけました。私も会場で聞いていましたが、しばらく拍手が鳴りやまず演説が続けられない様でした。

[立場の違いを超えた声の広がり]

 無党派の市民の行動とともに、歴代の自民党幹事長や内閣法制局長官の発言など、立場の違いを超えた声が広がっています。大森政輔元法制局長官は、国民安保法制懇の記者会見で、「集団的自衛権の行使が閣議決定に盛り込まれたからと言って、憲法九条が改正されていないのに、『集団的自衛権の行使が憲法上認められる』ということになるわけではない。『憲法九条によって集団的自衛権が認められない』ということは全然変わりないのである」「閣議決定によって、直接、法律の規定を変える効力はない」と強調しました。

 宗教界からも次々と声が上がっています。全日本仏教会理事長が、「これが実行されれば、日本人が国外で人を殺し殺されるという事態が起こり得る可能性があり、日本国憲法に示される戦争放棄を捨て去ることになりかねません」「仏陀の『和の精神』を仰ぐ者として、このたびの集団的自衛権の行使を容認する閣議決定には、人間の知恵の『闇』を垣間見るがごとき、深い憂慮と危惧の念を禁じ得ません」との声明を発表したのをはじめ、日本カトリック司教協議会常任司教委員会が「わたしたちカトリック教会は、現代世界の状況の中で、軍備増強や武力行使によって安全保障が確保できるとする考えは誤っていると確信しています」「安倍首相と閣僚の方々の良心に訴えます。日本国民と他国民を戦争の恐怖にさらさないこと、子どもたちのために戦争のない平和な世界を残すこと、人間として、政治家として、これが最大の責務であることをどうか思い起こしてください。わたしたちはこのことを日本国民として、宗教者として強く訴えます」との抗議声明をだしました。そのほか、日本バプテスト連盟、真宗大谷派、日蓮宗、臨済宗妙心寺派、新日本宗教団体連絡会、立正佼成会などから声明や決議が続いています。

 各地での日本共産党の演説会に自衛隊員やその家族が参加され、不安の声をあげられることも少なくありません。私は、七月一三日に広島県の呉市での演説会に参加しましたが、呉は海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」の母港です。「おおすみ」がイラクに陸上自衛隊の軽装甲機動車や給水車などを運んだことに触れ「再び出撃基地にするな」と訴えました。感想文のなかに、「息子がイラクに行った。不安で仕方がなかった。またそうなるのではと心配だ」と書かれていました。

[内閣支持率も軒並み急落]

 こうした声は世論調査でも明確に示されています。閣議決定後の世論調査での内閣支持率は軒並み急落していずれも半数を割り込む一方、不支持率は四〇%台になっています。共同通信が七月一日、二日に実施した世論調査では、内閣支持率は前回より四・三ポイント下がり四七・八%、不支持は四〇・六%に上昇しました。さらに集団的自衛権の行使容認反対が五四・四%、賛成が三四・六%、閣議決定について「検討が十分に尽くされていない」が八二・一%、「行使容認の範囲が広がる恐れがある」が七三・九%「戦争に巻き込まれる可能性が高まる」が「どちらかといえば」を含め六一・二%などです。

 七月一三日におこなわれた滋賀県知事選でも、当初、圧勝すると言われていた自公推薦候補が敗れ、総理も集団的自衛権行使容認が要因の一つと認めました。

 こうした世論の土台には、かつての戦争への反省を投げ捨てて、戦争する国に進むことへの危機感があります。雑誌『世界』七月号で古賀誠元自民党幹事長が、「人間の生命が戦争によって失われるようなことがあっては絶対にいけない、先の大戦のおろかさを我が国は二度と繰り返してはいけないということが、歴代政権が踏襲してきた政府解釈の本質だと私は理解しています。集団的行使容認とは、その歴代政権が踏襲して来た平和主義の姿勢を根本的に転換することにほかならない。これほど重大な転換はありません」「過去の戦争への反省もなく、深みのある議論もなく、先人や先達が積み重ねてきた選択への敬意もなく、またそのことによってもたらされることへの責任と覚悟もないままに、この解釈改憲を実行するならば、将来に大きな禍根を残すであろう」と語っていますが、そのことを象徴しています。

 また、憲法九条改定への立場の違いを超えて解釈改憲は立憲主義を否定するものという声もひろがっています。さらに、集団的自衛権行使容認が、アメリカの戦争で日本の若者の血を流させることという事実が明らかになる中での若者の行動も急速に広がっているのだと思います。

 そのなかで、日本共産党と「しんぶん赤旗」の果たしている役割は大きくなっています。「朝日」の元コラムニストの早野透桜美林大学教授が、「しんぶん赤旗」に元自民党幹事長が次々と登場していることに触れて、次のようなコメントをよせています。「いまの自民党は、偏狭な右翼政党のようになってしまった。まともな保守の人たちは党内に発言する場所がなく、マスコミもあまりとりあげない。ですから、『赤旗』が〝戦後保守の受け皿〟になっていると思うんですね」。

 安倍政権の暴走がまともな保守の人たちを離反させ、これまで激しい論敵だった人たちも含め共同が広がってきているというのが今の大きな特徴です。

■安倍政権を追いつめた共産党の論戦

 ――集団的自衛権行使容認に対して、「戦争する国」づくりへの批判が大きく広がっているわけですが、この点で、共産党の論戦は、その正体を明らかにするうえで大きな役割を発揮したと思います。ご自身の論戦を含め、どのように安倍政権を追いつめてきたのか、お聞かせください。

[閣議決定の〝嘘とごまかし〟]

 七月一日の閣議決定は「戦争する国づくり」を二つの道で推し進めるものとなっています。第一には、これまで、イラクやアフガニスタン戦争で支援のために自衛隊を派兵した際の「戦闘地域にはいかない」という枠組みをなくしてしまい、自衛隊を戦地に派兵するということです。第二には、「憲法九条のもとで許される自衛の措置」という名目で、海外での武力行使=集団的自衛権の行使を公然と容認していることです。

 ところが、閣議決定当日の総理の記者会見でも、「現行の憲法解釈の基本的な考え方は変わらない」など、〝嘘とごまかし〟に終始しています。政府見解を一八〇度変えながら、「基本的に変わらない」などとよく言えたものですが、国民をごまかすための理屈はころころ変わりました。総理は当初、「安保法制懇の議論では砂川判決がベースになる」と言っていました。私は外交防衛委員会で、砂川裁判は在日米軍駐留が憲法九条の「戦力」にあたるかどうかを問うたものであり、当時の裁判の全関係者が、自衛権とは日本が侵略された場合の「個別的自衛権」であることを当然の前提としており、判決にある「固有の自衛権」の中に集団的自衛権が含まれるという論理は通用しないと追及しました。そのうえ、違憲判決を下した一審後に異例の跳躍上告を行った背景には、駐日米国大使と最高裁長官との密議があったことが米解禁文書から判明しており、司法の独立が脅かされる中での判決なのです。しかも判決は、「いわゆる自衛のための戦力の保持を禁じたものであるかは別として」と述べ、自衛隊の合憲性の判断はしていません。そんな判決を集団的自衛権行使容認の根拠にすることには、改憲派の学者を含めて批判の声が上がり、与党協議でも異論が出て頓挫したのです。

 そこで、持ち出してきたのが七二年の「政府見解」ですが、「行使できない」という見解の一部をつまみ食いして「行使できる」とまったく逆の結論を出したことに大きな批判の声が上がっています。志位委員長は、声明で「一九七二年の政府見解も、この(「海外での武力行使は許されない」こと)土台に立ち、『集団的自衛権の行使は、憲法上許されない』という『論理的帰結』を導き出している。今回の決定は、従来の政府見解の『基本的な論理の枠内』どころか、それを土台から覆す、乱暴きわまる解釈改憲であることは明瞭である」と、厳しく批判をしています。

[「戦争に巻き込まれることはない」という〝嘘〟]

 総理は、「戦争に巻き込まれることはない」という〝嘘とごまかし〟も繰り返していますが、予算委の集中審議では、むしろ「戦争に飛び込んでいくもの」であることが明らかになりました。閣議決定は、従来「戦闘地域」とされていた場所でも自衛隊の支援活動ができるとし、「戦闘現場」になれば「支援活動」を中断するとしています。七月一四日の笠井亮衆院議員の質問で、それは結局、「戦闘現場」になる場所に行くということだと明らかになりました。総理は、戦闘が開始されたら引きあげると言って、武力行使にいたることを覆い隠そうとしたのですが、翌一五日の小池晃参院議員の質問で、そんなことをやれば攻撃の対象となると追及され、「身を守るため、任務遂行のための武器使用はある」と認めざるを得なくなって、各紙も「後方支援での武器使用」(毎日新聞)などと、大きくとりあげました。

 「非戦闘地域」とされたイラク派遣でも、陸上自衛隊の宿営地付近では、迫撃砲やロケット弾などの攻撃が一四回二三発にのぼったのです。先崎一元統合幕僚長は「約一〇個近くひつぎを準備して持って行った」と言っています。久間章生元防衛相は、「一歩間違うと人命に影響するような状況」「刃(やいば)の上で仕事をしているようなものだ」などと証言しています。犠牲者がでなかったのが奇蹟的なのです。

 「非戦闘地域」で活動していたイラクですら、隊員の命が危険にさらされる状態だったわけですから、閣議決定によって「戦闘地域」で活動すれば、いっそう危険なものとならざるをえません。アフガニスタン戦争でNATOが集団的自衛権として行った物資の補給や輸送の後方支援で一〇〇〇人以上の犠牲者を出しことからもそれは明らかです。「戦闘現場」まで行けば、結局は戦闘に突入し殺し、殺されることになるのです。にもかかわらず総理は、自衛隊員の生命の危険を増すという問いに答えず、マスコミも「自衛官の命首相語らず」(朝日新聞)、「首相、リスク説明回避」(京都新聞)と書きました。

[「明確な歯止めがある」という〝ごまかし〟]

 さらに総理は、「明確な歯止めがある」「限定的なもの」とも強調しています。これも〝嘘とごまかし〟です。集団的自衛権行使の要件である、「日本の存立や国民の権利が脅かされる明白な危険がある時」という判断を行うのは政府です。想定問答集では「政府がすべての情報を総合し判断する」と言っているのですが、それは秘密保護法が定める特定秘密となり国民にも国会にも明らかにされないのです。しかも、地理的な限定はありません。遠く離れた場所で起きた他国への武力行使を、「明白な危険」と政府が判断すれば、日本が武力行使をするというものです。

 しかも予算委員会集中審議で、「経済的危機」や「日米関係に重大な影響」についても行使容認の要件になることを認めました。「経済的危機」はシーレーンでの機雷掃海を想定したものですが、機雷掃海は国際法上、武力行使に当たります。決算委員会で、総理の「武力行使を目的として戦闘行為に参加することはない」との発言との矛盾を質すと、「機雷掃海は受動的、限定的な行為」だから空爆などとは違うと言い訳をしました。しかし、岸田外相は、「国連憲章上、武力の行使について、受動的あるいは限定的といった類型は存在しない」と認めました。国際的に通用しない議論を持ち出してまで機雷掃海を行えば、相手の攻撃対象となり戦闘に突入することになるのです。

 「日米関係への影響」はどうか。日本は戦後、アメリカの行った戦争に反対したことがありません。しかし、これまでは集団的自衛権の行使は許されないという憲法上の縛りがあったから、共に肩を並べて戦えという米側の要求に全面的には応じず、「後方支援」「復興支援」などの名目で自衛隊を送りました。この縛りがなくなれば、米国からの要求があった時にどうして断れるでしょうか。日本は米国とともに海外で戦争する国となり、ベトナム戦争やイラク戦争のような無法な侵略戦争に加担することになるのは明らかです。

 結局、なんの歯止めも限定もありません。無制限な海外での武力行使を「自衛のため」として進めることは、かつて「満蒙は日本の生命線」と言い、「自存自衛のため」として侵略戦争を行ったことと重なります。決して許してはなりません。

 このように閣議決定は、アメリカの戦争で日本の若者の血を流させ、他国の人々の命を奪うものです。「海外で戦争しない」という戦後政治の原点を覆し、国の在り方を根底から変えるものです。このようなことを「閣議決定」で強行しようとするやり方は、立憲主義を乱暴に踏みにじるものであり、憲法破壊クーデターとも呼ぶべき暴挙です。

[強権は「弱さ」の現れ]

 閣議決定はされましたが、総理も認めるように自衛隊法などの関係法の改正なしには、実際には集団的自衛権の行使はできません。たたかいはこれからです。

 大事なことは、安倍内閣の「戦争する国づくり」の暴走は、彼らの計画どおりにすすんでいるわけでは決してないということです。もともと、安倍内閣は、九条そのものを改正することをめざしてきました。しかし、国民の反対を前に、九六条を変えて改憲手続を緩和するという方向に転換することを余儀なくされます。しかし、その九六条改憲も改憲派学者からも「邪道」と批判の声が上がり、解釈改憲に舵を切ったのです。その結果、九条の条文はそのまま残り、その九条とまったく相容れない解釈をするため、弁明を重ねるほど、閣議決定の道理のなさ、破たんぶりは浮き彫りになっています。

 こうした経過を見れば、安倍内閣が、一部野党を含む国会の多数を背景に強権的にすすめていることは「強さ」の現れではなく、国民多数の理解を得る道理も自信もない「弱さ」の現れといえます。そのことは、当初、秋の臨時国会に提出するとしていた集団的自衛権行使の関連法案について、厳しい反対世論に直面して、いっせい地方選挙後に先送りする動きにも現れており、地方選挙での審判の重要性を浮き彫りにしています。「京都新聞」は七月四日付社説で「政府は、来春の統一地方選挙への影響を避けるため、集団的自衛権行使にかかわる法改正は選挙後にするつもりのようだ。だが、暮らしを守る憲法への立ち位置は、地方選挙でも問うてしかるべきである」「当面は国政選挙がないとあきらめていては、政権の暴走は止められない」と述べました。その通りです。

 安倍政権の暴走の一歩一歩が保守政治の中枢を支えてきた人々からも批判を招き、国民の反対世論と共同をさらに広げています。大局でみれば、追い詰められているのは、安倍政権ではないでしょうか。閣議決定の撤回を求めるとともに、いっさいの具体化を許さないたたかいをさらに強めていこうではありませんか。

■「戦争する国づくり」の具体化を許さない

 ――集団的自衛権の行使容認にとどまらず、「戦争する国づくり」の具体化がすすめられ、それに対し、共産党は正面から論戦を挑んだと思います。この点ではいかがでしょうか。

[秘密国会法の強行]

 安倍政権は集団的自衛権行使を前提に「戦争する国づくり」をすすめています。その一つは昨年暮れに安倍政権が成立を強行した秘密保護法です。この悪法を前提に、常設の秘密会=情報監視審査会を国会に設置する秘密国会法(国会法改定)が通常国会で強行されました。政府は、あたかも国会による監視機関のように言いましたが、国会議員が秘密を漏らさない厳格な仕組みをつくり、国会を政府の秘密保全体制に組み込んで共犯者にするものにほかなりません。その秘密会はわずか八人の国会議員で、委員もメモさえとれず会議録も許可なく閲覧できません。国民には永久に公表されません。秘密の開示を受けた議員は、その内容を国会の外に漏らせば刑罰の対象に、国会質問で取り上げれば懲罰の対象とされ、除名処分まで受けかねません。まさに政府・行政の行為を国会の上に置くというものであり、秘密保護法が、国民の知る権利を侵害し、憲法の基本原則を根底から覆す希代の悪法であることを改めて浮き彫りにしているのです。

[武器禁輸政策から積極的武器輸出への転換]

 二つ目が、武器禁輸政策から積極的武器輸出への転換です。四月に、「武器輸出三原則」等に代わって「防衛装備移転三原則」が閣議決定されました。「武器輸出三原則」等は、一九六七年に佐藤栄作首相が三つの地域(共産圏諸国、国連決議による武器輸出禁止国、国際紛争当事国とその恐れのある国)について武器輸出を認めないと表明したもので、さらに七六年には三木武夫首相が政府統一見解として、三つの地域以外についても憲法の精神にのっとり武器輸出を慎むとして、全面的に禁止したものです。その後、八三年に米国への武器技術供与を「例外」として認めて以来、なし崩し的に空洞化が進んできましたが、今回の「防衛装備品移転三原則」で、一定の条件を満たせば武器輸出可能を「原則」にしたのです。

 私は予算委員会等でこの問題を繰り返し追及してきました。総理は昨年、武器輸出解禁を先取りし、外遊に軍需産業のべ三二社を同行させ、各国と「防衛協力」などを約束することにより武器輸出の条件づくりをするトップセールスを進めています。これは武器輸出解禁後、いっそう加速しています。四月以降、イギリスやフランス、イタリア、オーストラリアなど各国との首脳会談等で武器共同開発など次々と合意し、マスコミも「装備品協力、各国に広げる 首相の欧州訪問」(日経)、「武器 首相が売り込み 欧州輸出、成長戦略の一環に」(東京)、「武器共同開発へ着々 首相欧州歴訪」(京都)と報道しています。さらに六月にパリで開かれた世界最大規模の武器展示会「ユーロサトリ」に日本の一三社が初出展しました。展示会に参加した武田良太防衛副大臣がニュース番組で、武器輸出について「それを生かしてどんどん成長してほしい」と述べたことについて、「安倍首相の『武器輸出によって経済成長を図ることを考えていない』(参院本会議)との答弁と矛盾するではないか」と追及すると、武田氏は「日本の誇るべき技術力を発揮する環境が広がることは、産業を育成する上でいいことだ」と述べ、武器輸出によって経済成長を図るという安倍内閣の本音を明らかにしました。

 さらに防衛省は六月、安倍政権が武器禁輸から輸出推進へ転換したことを受け、「防衛生産・技術基盤戦略」を策定しました。これは、一九七〇年の武器の「国産化方針」以来、四四年ぶりの改定で、軍需産業の海外展開や国内基盤の強化を国策として後押しするものです。そこでは、大学や研究機関を動員して産官学共同で武器開発体制を構築する方針も打ち出しています。今後、武器装備庁(仮称)という新しい外局をつくり体制を強化することも含め、全面的な軍需産業の拡大への優遇・支援を打ち出しています。

 一連の首脳会談のなか、五月一二日にイスラエルの首相と会談したことについても質問しました。会談では「自由や民主主義といった価値を共有する」として、防衛交流の促進などを共同声明で確認しています。すでに安倍政権の下で、イスラエルヘの輸出の可能性があるF35戦闘機のアメリカとの共同開発に参加をしており、今後、日本の部品を使ったF35がイスラエルによる空爆に使われる恐れがありますが、五月の首脳会談で、さらにイスラエルへの武器輸出が可能になりました。

 ジャーナリストの志葉玲さんは、昨年にガザを訪れたさい、五年前のイスラエル軍によるガザ侵攻での集団虐殺事件「サムニ家の虐殺」の生存者であるザイナブ・サムニさんに再会し、その彼女の、「米国やイスラエルに兵器を売らないで下さい。その兵器が私たちを殺します。日本の人々がいい人達だと、私は信じています」との訴えを紹介していますが、現在のイスラエルの無法なガザ空爆を見た時に、この訴えを正面から受け止めるべきです。

[日本版海兵隊=「水陸機動団」の創設]

 さらに自衛隊の部隊や装備の海外派兵型への転換も進められています。安倍内閣が昨年末に決定した防衛大綱では、米国の海兵隊をモデルとした「水陸機動団」を創設するとし、すでに、昨年五月には陸上自衛隊三〇名が米海兵隊の研修をうけ、佐世保市に「水陸機動連隊」が設置されます。あわせて水陸両用車やオスプレイなど米海兵隊と同様の装備を導入するとしており、防衛省が七月二二日、オスプレイ一七機を佐賀空港に配備することを県に要請したことには、県民から激しい怒りの声があがっています。さらに、これら水陸両用車やオスプレイを搭載できるように、「おおすみ」型輸送艦を大規模改修することもすすめられています。そもそも海兵隊とは、過去の戦争の事例が示すように、真っ先に敵地に攻め込む、殴りこみ部隊です。自衛隊がそのような機能を持つことは、「専守防衛」に反し、軍事的緊張の拡大と悪循環をもたらすものでしかありません。

 こうした「戦争する国づくり」への暴走の根底には、日米軍事同盟の侵略的強化という日米支配勢力の思惑があることは言うまでもありません。同時に、安倍首相の異常な性急さ、乱暴さの根本には安倍首相自身の反動的野望があると言わなければなりません。「海外で戦争する国」づくりを許すな、解釈で憲法を壊すな――の一点で、空前の国民的反撃のたたかいをおこし、安倍政権の軍国主義復活の野望を打ち砕くために、いまこそ、多くの国民と力を合わせ、大きなうねりにしていかなければなりません。

■国会の様相の大きな変化

 ――昨年の参議院選挙の躍進後はじめて迎えた通常国会でしたが、その国会では、安倍政権の暴走に対して、日本共産党が正面から対決するという構図が、はっきりし、国会の様相には大きな変化が生まれたと思います。この国会の変化についてお聞かせください。

[総理が「自共対決の国会でしたね」と]

 通常国会中、予算成立直後と国会終了後に総理が各会派に挨拶にくることが恒例になっているのですが、予算成立の際には、「いつも厳しいご指摘ありがとうございます」と言いました。総理からこういうことを面と向かって言われるのは、私にとっては初めてのことでした。さらに、国会終了の際には、総理のほうから「自共対決の国会でしたね」と言ったわけで、政府の側から見ても、日本共産党がもっとも厳しく政府の暴走を追及し、自共対決であることが際立つ状況になっているということだと思います。

 他の野党はどうか。国会の「翼賛」化ともいえる状況が生まれています。今国会では、安倍政権が解釈改憲に向けて暴走する一方で、明文改憲の道筋も整えておくために、改憲手続法の改定が強行されました。そのすすめかたは、与党と民主、みんな、維新、結い、生活などの各党が、すりあわせの場として「各党協議会」を設置し我が党の抗議にもかかわらず密室協議を進めたうえ、日本共産党、社民党以外のすべての党の共同提案により、衆院で四日間、参院で六日間の審議で押し通したのです。

 他の政策でも、まったく対決の足場がありません。民主党はどうでしょうか。たとえば、政府を「消費税増税をしても、社会保障の国民負担が増えるではないか」と追及しても、安倍総理から「それは三党合意で決めたことです」と反論されあとが続きません。TPP推進も民主党政権がはじめたものです。

 一年半前に「第三極」と言われた党について言えば、通常国会の冒頭で、総理が施政方針演説で「責任野党とは真摯な協議をする」とよびかけたら、「我こそが責任野党」と言って、どの党もすり寄って行きました。「首相はみんなの党を『責任野党』と正しく理解していることを心から歓迎」(渡辺喜美代表=当時)、「憲法改正、集団的自衛権について胸襟を開いて大いに議論しよう」(日本維新の会・松野頼久国会議員団幹事長)、「『責任政党』として是々非々で行動する」(結いの党・江田憲司代表)と本会議で応じました。当時、「東京新聞」が「政権にすりよる党に未来はないと心得るべきである」と社説に書きましたが、実際にみんなの党は分裂したあげく党首が金権で辞任し、分かれた結いの党は維新の会との合流めざして参院では統一会派をつくったけれども、一カ月もたたないうちに今度は維新の会が分裂しました。再び「野党再編」の動きがありますが、「翼賛」政党化した党がどう離合集散しても新しいものは何も生まれません。

 こうした他の野党との対比でも、昨年の参院選挙後の国会の「自共対決」の様相は、通常国会を通じていっそう鮮明になっています。

[躍進を力に――参院での論戦]

 昨年の選挙での躍進で一〇人以上の「交渉会派」となったことにより、本会議での質問、討論が、昨年の通常国会ではわずか三回だったのが、実に二四回に増えたことはこの、「自共対決」の論戦の大きな力になりました。集団的自衛権問題での党国会議員団の論戦については先ほど述べたとおりですが、さらに参院での論戦を中心に紹介したいと思います。

 アベノミクスと消費税について、本会議で正面から総理をただしました。大門実紀史議員は「日本銀行の異次元緩和という異常政策によって海外の投機マネーを呼び込み、急激な円安と株高をつくり出しました。おかげで一部の輸出大企業は巨額の利益を上げ、大株主であるお金持ちは更にお金持ちになりました。一方、庶民の暮らしや中小企業の経営は、収入が増えないのに円安による輸入物価の値上がりで苦しくなるばかりです」と追及。山下芳生書記局長は、「このようなときに消費税増税で八兆円もの負担増を強行したらどうなるか。何より、国民の暮らしに大打撃を与え、経済も財政も共倒れになるのではありませんか。加えて、所得の低い人ほど負担が重くのしかかる消費税の増税が格差を更に拡大し、経済の土台をますます掘り崩すことになるのではありませんか。まさに最悪の選択であり、四月からの消費税増税の中止を強く求めるものであります」と迫りました。

 消費税増税の一方、安倍総理はいっそうの法人税減税を国際公約しました。私は決算委員会で、トヨタ自動車が二〇〇八年から五年間、法人税(国税分)を払っていなかったこと、他の大企業も軒並み税金をまけてもらっていることを告発、「庶民には消費税を増税してなぜ大企業には減税なのか」と追及しました。ところが、総理は「どんと税金を払ってもらえるようになって良かった」と、トヨタの社長の会見そっくりの答弁をし、あきれさせました。過去の法人税減税が、株主への配当と内部留保の拡大にしかならなかったことを示し、大企業応援ではなく国民の所得をふやす政策への転換を求めました。

 安倍「教育再生」との対決では、教育委員会を首長任命の教育長の支配化に置き、教育行政への首長の介入に道を開くことになりかねない教育委員会改悪法の国会審議の奮闘も光りました。この問題は、本誌本号で、藤森毅党文教委員会責任者の論文が掲載されていますので、詳しくはそちらをご覧いただければと思います。政府が教育の政治的中立性の侵害の「懸念はあたらない」とごまかしたことに対し、田村智子参院議員が、首長が定める教育政策の方針「大綱」の記載内容を追及し、下村博文文科相は、教科書採択など教育委員会の専権事項でも「首長が(大綱に)勝手に書くのは可能」と述べ、同法の危険性を浮き彫りにしました。

 農業の分野でも自共対決がくっきりしました。TPPを前提に「競争力のある強い農業構造を目指す」という口実で農業分野を大企業のもうけ追求の場にしようとする安倍農政「改革」に正面から対決したのが日本共産党です。紙智子参院議員は、TPP交渉からの撤退を求めるとともに、自民党の市場まかせの農政が農家所得を減らしてきたことを指摘。「今年は国連が定めた『家族農業年』です。農業が家族経営で支えられてきたことは国際社会の大勢。家族経営を柱にしてきた日本こそ重視して取り組むべき」と農政の転換を迫りました。

 原発再稼働では、再稼働推進のエネルギー基本計画を追及し、原発即時ゼロを正面から求めてきました。五月二一日、福井地裁は大飯原発の差し止めを命ずる判決を出しましたがその意義をふまえ、正面からとりあげたのも共産党です。参院の原子力問題特別委員会でこの判決に対し、自民党の議員が「判決は感情的」とのべて再稼働を進めるよう求めました。私は、この判決が、人の命を基礎とする人格権は憲法上の権利で、日本の法律でこれを超える価値はないという立場から大飯原発の差し止めを命じ、原発は他の技術とは異なる本質的な危険性があると指摘、さらに、「安全神話」を厳しく批判し、命よりコストを優先する考えを退けたことを示し、「規制委員会も、また電力会社も、また我々国会も正面から受け止めるべきものだ」と強調しました。

 原発事故を巡っては石原環境大臣の「最後は金目でしょ」発言が大問題になりました。市田忠義参院議員は、環境委員会や本会議で「いまだに一三万を超える人々が故郷に帰れない。そういう人たちの気持ちを全く考えない発言であり、いかに国と東電が責任を感じていないかということのあらわれだ」と厳しく批判しました。

■日本共産党の役割と決意

 ――参議院では、増えた議席を力に、共産党の国会議員団は大きな力を発揮したと思います。悪政の暴露とともに、しばしば、安倍政権を立ち往生させ、悪政の推進にストップをかける成果もすくなくなかったと思います。この点ではどうでしょうか。いっそう国民との広い共同で、安倍政治の対決をすすめていくことが求められていると思います。最後に、今後の決意もお聞かせください。

[議案提案権の獲得で提出した二つの法案]

 参院選での躍進により本会議の登壇が大幅に増えたのは先ほど述べたとおりですが、予算、決算委員会も委員が二人になり質問時間が増加しました。懲罰委員会以外のすべての委員会に委員が配置でき、議院運営委員会理事も獲得して院の運営全体への発言権は大きく広がりましたし、議案提案権の獲得で二つの法案を出すことができました。

 こうした力を背景におこなった論戦の成果の一つが、一六〇万人の要支援者が利用する訪問・通所介護を保険給付から外すなど医療・介護の制度を根底から覆す医療介護総合法案での論戦です。当初、法案に盛り込まれた介護保険利用料の引き上げ(二割負担)について政府は、〝年金収入二八〇万円の世帯では支出を引いても六〇万円が余るので負担は可能だ〟と説明してきました。ところが、小池晃参院議員がその数字に「根拠がない」と追及すると、厚労相はそれを認めて撤回し、謝罪しました。二割負担の論拠は完全に崩壊し、与党は、会期末間際になって数を頼んで押し通すことしかできず、「廃案まであと一歩」まで追い込みました。

 先ほど紹介した特定秘密保護法に関わる国会法改定案でも、議院運営委員会で仁比聡平議員が質問に立ち、与党の提案者をしばしば立ち往生させました。たとえば、この法律に基づいて、特定秘密をもらした議員を懲罰するためには本会議にはかることになりますが、その際も、どういう特定秘密が問題になっているのかは「秘密」にされます。そんなことで議員の身分を奪うことなどできるのかと質問すると、答弁不能になる。そうしたことがくり返しありました。さらに、国会終盤に特定秘密保護法廃止法案を社民党・無所属議員とともに参議院に提出したことも重要です。通常国会開会前に、「秘密保護法廃止へ!実行委員会」から、できるだけ幅広い会派で提出をしてほしいという要請をうけ、粘り強く他党にも呼びかけてきましたが、秘密保護法にかかわる国会法改定案が衆議院から参議院に送付されてきた段階で提出したという経緯です。同実行委員会は、法案提出後、緊急院内集会を開き、「秘密保護法廃止法案の提出を歓迎する声明」を発表し、「廃止法案の提案のために、努力された関係国会議員の皆さんに心から感謝します」「次の国会において、......より多くの国会議員の皆さんの賛同を得て廃止法案の提案が実現するように、今後も努力を継続していきます」と表明しましたが、獲得した議案提案権をたたかいと結びつけるという貴重なとりくみになりました。

 議案提案権を活用したもう一つは、昨年の臨時国会に引き続くブラック企業規制法案の提出です。この法案に基づくわが党の論戦と運動がすでに現実政治を動かしています。厚生労働省は、昨年から違法の疑いがある五〇〇〇を超える事業所への立ち入り検査と違法行為への是正措置を行い、法案の柱であった若者の使い捨ての実態を示す離職者数の明示も要請しています。通常国会ではさらにブラック企業が悪用している「固定残業代」制度について追及し、予算委での吉良よし子参院議員の質問を受け、厚労省は公益法人全国求人情報協会へ「求人受理時における求人内容の適正な対応について」との事務連絡を出して虚偽や誇大な求人広告を掲載しないよう要請していますが、その文書には「国会において『労働者の募集等に当たっては、基本給と固定残業代を分けて表示すべきではないか』との指摘があり」と明記しました。さらに小池晃参院議員の質問をうけ、全国の労働局職業安定部長あてに事務連絡がおこなわれ、ハローワークにおいても徹底することになりました。

 このブラック企業規制法案の持つ力は他党も認めざるを得なくなり、全会一致で来国会への継続審議になりました。日本共産党単独提出の法案が継続審議になったのはきわめて異例なことです。「生涯派遣」「正社員ゼロ」に道を開く労働者派遣法大改悪案を国民的たたかいのなかで審議未了・廃案に追い込んだこととのくっきりとした対比となりました。

[一大国民的運動の発展の先頭に]

 今年二月の豪雪被害対策も今国会の重要な仕事でした。山梨県では八日、土曜日から降り始め、九日の朝には孤立状態になりました。雪に埋もれながらの地方議員などから国会議員団や党本部に寄せられた電話やメールに基づき、日曜日中に政府より先に党としての対策委員会を立ち上げ、官邸に緊急対策などを求めました。一〇日の月曜日の段階で、政府に申し入れた際も、実態をまだ十分把握できていない状態で、従来の制度の説明しかありませんでしたが、私たちは実態も示して、「未曽有の災害にふさわしく、従来の枠を超えた支援策を」と要求し、手分けして現地調査と激励に現地に入りました。その後、これまでは倒壊した農業ハウスの撤去費用への補助制度はありませんでしたが、政府はこれを基本的に全額補助し、農業ハウス再建の費用への補助も三割から五割に引き上げるなどの対策を発表しました。単価の問題など改善すべき問題はありますが、躍進した党の力と草の根の地方議員の連携が政治を動かし従来の枠を超えた支援を実現したのは特筆すべきことだと思います。

 新しく当選した三人の新人議員の奮闘も注目されています。吉良さんについては先に紹介しましたが、倉林明子議員は、参院では九年間党の議員がいなかった経済産業委員会に所属。新たに獲得した議席で、財界・大企業の目先の利益を最優先する安倍「成長戦略」や原発再稼働に固執するエネルギー基本計画など正面から追及してきました。地方議員の経験も生かし、地域経済の深刻な実態について地元の調査やデータを示しての告発、提案には与党議員からも関心が寄せられ、倉林さんの質問を受けて京都・丹後の機織り「最低工賃」が一三年ぶりに引き上げが決まったことは地元で大変喜ばれています。辰巳孝太郎議員が所属する国土交通委員会にも四年間、参院では党の議員がいませんでした。この間、リニア問題を積極的にとりあげ、東京―大阪間の建設費が九兆円というばく大な額とされながら実際には大幅に膨らみ、破たんすれば国民の負担になる危険性があること、現状でも東海道新幹線の利用率は約六割で余裕があること、騒音や地下水の枯渇、建設残土を運搬するトラックによる環境破壊など数々の懸念を明らかにし、「国会に差し戻して議論すべきだ」と主張しています。この追及には、メディアも注目し、先日も、インターネット番組「J―CASTテラポリティクス」に生出演しています。

 いま安倍内閣がすすめている暴走政治は、集団的自衛権の行使容認という点でも、消費税引き上げをはじめとした経済政策という点でも、原発再稼働という点でも、米軍の新基地建設という点でも、どの分野でも、日本の国を亡ぼし、日本国民を亡ぼす、文字通りの「亡国の政治」にほかなりません。その意味で、安倍内閣は、歴代自民党政権のなかでも、戦後最悪の反動政権と言わなければなりません。

 日本共産党の志位委員長は、七月一五日の党創立九二周年記念講演会で、この暴走政治に対し「安倍政権打倒の国民的大運動を起こそう」とよびかけました。同二二日には山下芳生書記局長が記者会見し、この呼びかけに対し、いろいろな団体・個人から歓迎の声がよせられているとのべ、「安倍政権打倒の一点で野党共闘を追求したい」と表明しました。安倍政権打倒を掲げ、私たちも先頭に立って奮闘する決意です。

                                                                                              (いのうえ・さとし)

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