運動と結び、当事者の思いにこたえ、多彩に論戦、前へ
――日本共産党国会議員団第六回ジェンダー平等推進委員会から[上]
各国は選択議定書をテコに取り組みをすすめる 参院議員 井上哲士
世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数二〇二三年版」で、日本が一二五位になったことが話題になっています。経済と政治分野が低いことは明らかですが、教育は昨年までの一位から四七位になりました(表5)。今回から「大学などの就学率」が新たに項目に入って、これが一〇五位ということで順位が下がりました。
問題は、グラフ6、7にあるように、日本の指数は横ばいですが、ほかの国、とくにヨーロッパなどは女性議員がどんどん増えるなどという流れになってきていて、結果として日本の順位が落ちてきているということです。
そこで注目されるのが、選択議定書です。グラフ8は二〇一九年に初めてつくって、今回リニューアルしました。ジェンダーギャップ指数と選択議定書は直接はリンクしないのですが、比べてみると、ほかの国がこの選択議定書をテコにしていろんな取り組みをして指数を上げているのに、日本は横ばいということで順位はどんどん下がっていっているということが示せていると思います(グラフ7)。
山添さんの提出資料には、外交防衛委員会で批准を求めた質問にたいして、「我が国の司法制度、立法政策との関連での問題の有無」「実施体制等との検討課題がある」と答弁があり、請願は自民・公明・維新・国民が「保留」して採択されなかったことが紹介されています。
仁比さんから地方議会の意見書の採択状況がありました。注目したいのは、県議会、政令市議会をはじめ、自民党も賛成して全会一致で採択されている地方議会が多いことです。
こういうこともテコにしてやっていくことが必要ではないかと思っています。
トイレの男女格差解消の追及に大反響 参院議員 井上哲士
トイレの男女格差の解消の問題で質問したら、大変、反響がありました。
現状でいえば国土交通省の「日常生活で利用するトイレに関するアンケート調査」(二〇一六年)にありますように、女性のほうが圧倒的にトイレに並んでいるということになっています。なぜか。女性の個室利用時間は男性小便器利用時間の二・五倍です(中日本高速道路の二〇一四年調査)。東京都の百瀬まなみさんが駅トイレを中心に三〇九カ所を調べた結果によれば、男性の小便器と個室を足した数が女性用個室の一・七六倍となっています。だから女性の行列ができるのは当たり前なのです。
政府もこれではいけないということは言っていて、二〇一七年に当時の内閣官房の「暮らしの質」向上検討委員会における女性用トイレの行列解消などを優先課題とする提言を踏まえて、国土交通省が検討会を設置して「取りまとめ」を公表しています。この「取りまとめ」のなかで、行列の主な原因は、「トイレ利用者に見合った個室便房数になっていないこと」であり、「行列解消のためには、個室便房の数を増やすことが最も効果的である」としています。ただ、これは一般的に言っているだけで、具体的な基準を示していません。この協議会は鉄道や高速道路などの施設管理者が構成員であり、内容は共有しているとして、その後も改善状況をつかんでいません。
一方で、実際には、空気調和・衛生工学会の「給排水衛生設備基準」がずっと使われています。これは基本的には男女同数利用の場合は一対一という基準を示していて、面積が一対一だと、女性の方は個室の数が少ないという現実になってしまっています。質問ではこれを正すべきだと求めました。例えばイギリスの例では、「衣類、生理、解剖学的な違いに関する時間のかかる要因から、トイレの提供比率は2:1で女性に有利になるのが公平なところだ」と言っています(英国王立公衆衛生協会報告書、二〇一九年)。山口県萩市では「公共施設のトイレにかかる整備方針」で、「男性小便器数と女性便器数の比は概ね1:2とする」という取り組みがすでに行われています。実は政府も男女共同参画局が、災害時の避難所については、「女性用トイレの数は、男性用トイレの数に比べ多くする」と「防災・復興ガイドライン」で示しています。そこでは、人道支援の国際基準である「スフィアハンドブック2018」で、男性トイレと女性トイレの割合は1:3が推奨されていることも紹介しているのです。
ところが、質問に対し、いろんな施設におけるトイレの問題は国土交通省の所管ということで、小倉男女共同参画大臣は、公共施設全体のトイレの男女比の目安も示しませんでした。国土交通省も、いろいろ言ってなかなか踏み込んだことは答弁しませんでした。ぜひ各地の地方議会や、新婦人のみなさんなどがいろいろなとりくみをしてもらったらどうかなと思っています。ちなみに『女性のひろば』にも記事がでていましたけれど、以前から「赤旗まつり」のトイレの数は女性のほうが多くしていることも紹介しておきます。