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自民党裏金問題と国会論戦【全国学者・研究者後援会ニュース №214 24.7.20】

【全国学者・研究者後援会ニュース №214   24.7.20】

 

自民党裏金問題と国会論戦

 

自民党の裏金問題に国民の怒りが大きく広がった通常国会。追い詰められた自民党は裏金問題の真相解明に背を向けたまま、公明や維新の助けで改定政治資金規正法を成立させました。肝心要の企業団体献金の禁止はすっぽり抜け落ち、政治資金の公開を後退させた改悪です。

  日本共産党は真相解明と金権政治の根絶を求めて論戦。参院ではわが党提出のパーティー券購入を含む企業団体献金の全面禁止法案と政党助成金の廃止法案が自民党案と並べて審議されました。参院で日本共産党単独提出の法案が審議されたのは24年ぶり。私は、法案発議者として提案理由説明と答弁に立つという初めての経験をすると同時に自民党案への質問にも立ちました。審議を通じて、わが党案と自民案の対比がくっきり浮かび上がりました。 

●裏金問題の真相の徹底解明を 

 裏金の原資は派閥の政治資金パーティーの収入でした。リクルート事件などが大問題となった30年前の政治改革の際、「政治家個人への企業献金は廃止」としながら、政党支部への献金と企業団体によるパーティー券購入を可能とする抜け道が作られました。岸田総理は裏金の「再発防止」を繰り返しましたが、そうであれば、この抜け道を使った裏金について、誰が何のためにいつから始め、何に使われたのかの解明が必要です。

ところが、自民党は派閥幹部など関係者の証人喚問に背を向けました。 国民世論が広がる中で、自民党も含む全会一致で政治倫理審査会への自民党の裏金議員の出席を求めましたが、衆参の73人は拒否したまま。派閥幹部ら6人が衆参で出席して弁明し質問を受けましたが、その後の派閥事務局長の公判での証言との食い違いも明らかになり、虚偽答弁の疑いが濃厚です。証人喚問を含む徹底解明が必要です。 

●対比がくっきり――抜け道温存と改悪の自民党案と、真の改革の日本共産党の二法案 

 真相解明に背をむけた自民党には実効ある再発防止策は提案できません。

パーティー券の売り上のノルマ超過分がキックバックされて裏金になりました。パーティー券の購入は「対価」だとして、献金(寄付)とは別扱いでの名前の公開基準は献金は年間5万円超ですが、パーティー券購入は一回ごとに20万円超とされてきました。実態はどうか。パーティーの収益率は多くが8~9割であり対価性はありません。しかも、大半は企業・団体が購入しており、抜け道を利用した企業団体献金にほかなりません。これを温存したままなのが自民党の法案でした。

私は山下よしき議員の質問に答え、「営利を目的とする企業がお金を出せば必ず見返りを求め、本質的に賄賂性を持っています。それが政治をゆがめてきました。投票権を持たない企業が大きな財力を使って政治をゆがめるならば、国民の参政権が侵害されます。パーティー券購入も含めて禁止すべきです」と答弁しました。

一方、岸田総理は、1970年の最高裁判決を持ち出し「企業にも政治活動の自由がある」と強弁しました。しかし同判決は「大企業による巨額の寄附は金権政治の弊を産む...弊害に対処する方途は、さしあたり、立法政策にまつべきこと」と述べ、禁止の立法を否定していません。この判決後に金権事件が相次いだことを見れば、禁止法こそ必要です。

衆院で公明党との協議で、パーティー券購入者の公開基準を五万円超にする修正が行われました。しかしパーティの開催数を増やせば現行どおりの収入確保が可能。これまで通り、購入名義を下請企業などに分散させて非公開とする手法も可能です。再発防止どころか、「抜け穴」はそのままです。 

●政治資金の公開を後退させる重大な改悪も 

政治資金規正法は、政治資金を「国民の不断の監視」の下に置くことを定めています。ところが自民党は、法律に規定のない「政策活動費」として党の役職者に支出し、その先の使途は非公開という脱法行為を続けてきました。幹事長には年間一億円が支出され、闇金となっていることが大問題になりました。維新も政策活動費を支出しています。

衆院での維新との協議で10年後の使途公開という修正が行われました。これでは、違法な支出が発覚しても時効により罰せられまません。政治資金を選挙の投票の判断にすることもできません。しかも領収書の墨塗りもあるというのですから、闇金の合法化にほかなりません。

そもそもなぜ10年間は非公開か。岸田総理は、公開すれば「党の戦略的運動方針が明らかになる恐れ」があるからと答弁。維新は衆院で、「会合でよく使う場所が明らかになると、動きがわかり、メディアもくる。10年たったら心配ない」という答弁をしました。「こんな政党の勝手な理由で、政治資金を非公開にできるなど規正法のどこに書いてある」と総理をただしましたが、まともな答弁はありませんでした。

維新はこの修正合意により衆院で賛成しましたが、批判が高まり参院では反対するという大混乱。自民党を助ける党であることが浮き彫りになりました。

収支報告書のインターネット公表を義務付けることを理由に要旨の作成を廃止する改悪も行われました。ネットで公表された報告書は三年で削除されてしまいます。過去の政治と金の問題を隠蔽し、追及から逃れるものであり、断じて認められません。

日本共産党の法案は脱法行為である政策活動費は認めず、収支報告書については要旨作成を義務付け永久公開とすることを盛り込んでいます。政治資金の公開という点でも対比が明らかになりました。

さらに政党助成金廃止法案も提案しました。企業・団体献金と二重取りとなっている政党助成金は、支持しない政党への強制カンパであり、国民の政党支持の自由を侵すものです。政党の運営資金の大半を政党助成金に依存する官営政党になることは、金への感覚を麻痺させ、腐敗政治をつくり出す根源の一つとなっており、廃止すべきです。 

●日本共産党の躍進で金で動く政治は終わりに 

自民党案の成立直後の「毎日」の世論調査では、改定法で「裏金の再発防止につながると思わない」が80%、「企業団体献金禁止の議論を続けるべきだ」が68%です。さらに議論を続け、金で動く政治を終わりにすべきというのが国民の声です。この声に答える確かな力が日本共産党です。わが党は企業団体献金禁止法案をこの三十年間国会に提出し続けてきましたが、これが他党に広がり、いまや拒否しているのは自民党だけという状況を作ってきました。

赤旗日曜版のスクープで自民党を追い詰め、企業団体献金禁止、政党助成金廃止を提案するだけでなく実践してきたのが日本共産党です。来るべき総選挙で躍進をかちとり、金で動く政治終わりにし、民意で動く希望ある政治を実現しましょう。

 

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