質問第五〇号 国立大学の非常勤職員の雇用に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十一年二月十九日
井上 哲士
参議院議長 江田 五月 殿
全国の国立大学において、雇用期間の上限を定めた非常勤職員のうち、二〇〇九年度に雇用期間満了となる人数が一三〇〇人超となることが予測されている。大学の現場から、業務に支障が出て、教育・研究レベルの低下につながる等の懸念が表明されている。雇用期間満了となった非常勤職員の業務を継続するために、有期雇用の非常勤職員を新規募集することは、業務の性格が恒常的であることを示している。このような恒常的業務に有期雇用される非常勤職員は、本来は正職員に登用するべきであるという立場から、以下質問する。
一 二〇〇四年の国立大学の法人化に伴い、一九六一年二月二八日閣議決定「定員外職員の常勤化の防止について」は、その効力を失ったと考えるが、国の認識は如何に。
二 二〇〇四年の国立大学の法人化にあたり、多くの国立大学において就業規則を改定し、雇用する非常勤職員の雇用上限年数が三年間から五年間と、なかば一律的に定められているのが実態である。国が、各国立大学が雇用する非常勤職員の雇用上限年数を定める指導を行った、あるいは、雇用のモデルの提示等を行った事実はあるか。
三 国立大学の非常勤職員が、雇用期間の上限に基づいて雇用契約の更新が行われない実態に関して、大学の教職員から「五年間積み上げてきた経験が無になる」「後任者が従前のパフォーマンスを発揮するまで時間がかかる」等の懸念が出されている。国は、国立大学の教育・研究現場から出ている諸懸念についてどう考えるか。
四 国立大学で恒常的業務に従事している非正規職員について、各国立大学の判断に基づいて、正規職員に登用する制度の設定が可能であると考えるが、国の見解を明らかにされたい。
五 報道等によると、国立大学の非正規職員の雇用期間の上限延長や撤廃を検討中とする大学があるとしている。現在、全国の国立大学のうち、このような検討を行っている大学が何校あると国は承知しているか。また国は、これらの国立大学に対して、何らかの働きかけないし指導等をする予定があるか。
六 国立大学の非常勤職員について、雇用契約期間の上限を超える職員の雇用契約更新が行われないことから生じる諸問題を認識するために、国は、国立大学の業務を担う非常勤職員の雇用・厚生に関する全国的な実態調査を行う必要があると考えるが、この点の認識を明らかにされたい。
右質問する。