国会質問議事録

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外交防衛委員会

shitsumon201111.jpg・田母神元空幕長が侵略戦争正当化の持論を自衛隊幹部学校で教え込むために創設した「歴史観・国家観」の講座について、今年4月1日から始まる学校では中止することを、浜田防衛大臣が答弁した。


井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 まず、防衛大臣にお聞きいたします。

 大臣の所信を先日伺ったわけでありますが、いわゆる田母神問題に全く触れられていなかったことを私は大変奇異に思いました。この問題は、自衛隊の在り方を問う大変大きな問題になりまして、さきの国会では当委員会で集中審議もやりましたし、総理にも来ていただいたり、そして参考人質疑もやりました。大臣自身も自主的に給与の返納をされ、事務次官以下処分をされたという事案であったわけですから、私はやはり、この問題の教訓、そして今後の対応などがやっぱり所信の中で示されるべきだったと思うんですけれども、いかがでしょうか。

防衛大臣(浜田靖一君)

 確かに、先生始めこの委員会におかれましても、我々、この今回の田母神問題の件に関してはいろんな御議論をいただいたところでございます。

 この事案につきましては、昨年十二月、防衛省として、それまでの調査で判明した事実関係の概要、そしてまた、その評価と問題点及び再発防止策について取りまとめをして公表を行ったところでございます。隊員の部外への意見発表における手続については、先般の事案を踏まえまして、隊員の表現の自由等に配慮しつつ、届出対象や届出内容を明確にするなど必要な見直しを行ってきたところでございます。

 先日、三月十三日に私から通達をしたところでもございまして、その他の再発防止策についても現在、以下のとおり鋭意検討をしているところでございます。

 まず第一に、高級幹部の自覚の徹底、そして高級幹部としての自覚を徹底するために、幹部高級課程や将官への昇任時における研修等を実施することとし、また、高級幹部としての職責に十二分に自覚した者が適切に任命されるよう、より一層の適切な選考を実施してまいりたいというふうに思っているところでございます。

 二番目として、自衛隊員の教育と自己研さん。いわゆる自衛隊員の教育については、文民統制の下、広い視野を養うべく統一の取れた方針にのっとって実施するとともに、適切に実施されているか確認をしていく必要があります。そのため、いかなる措置が必要か検討し、また、自己研さんについても適切に支援を実施してまいりたいというふうに思っておるところでございます。

 先般、私の所信において空幕長の件につきましては言及がなかったとの御指摘でございますけれども、大臣の所信は各省が抱えるそのときの重点課題について国会の場で説明するものであり、いずれにせよ、本件事案については、既に述べましたとおり、防衛省として再発防止のため鋭意取り組んでいるところでありますので、そういった意味では今回記述をしなかったということでございます。

井上哲士君

 十二月にそういう報告が出されましたけど、いつもなんですが、大体、国会の会期末のもう議論ができないときにこういう報告書が出てくるわけですね。ですから、今言われたようなことも含めて、やはり国会の場にはきちっと言われてなかったわけですね。

 もう一つ、この点でお聞きしますが、この議論の中で、田母神氏が自ら論文を発表するだけではなくて、その持論を教えるというために自衛隊の統合幕僚学校に歴史観・国家観の課目を設定をしておりました。大臣はこの講座にはやはり問題があるということで見直しを表明をされてきたわけでありますが、廃止も含む見直しということを言われてきたわけですが、この四月から来年度の前期の学校が始まるわけでありますけど、この歴史観・国家観の課目についてはどういう取扱いになるんでしょうか。

防衛大臣(浜田靖一君)

 済みません、先ほどちょっと日時の件で、先日、私、三月十三日と申し上げましたが、三月の十二日の間違いでございました。申し訳ございません。

 今の先生の質問のことでございますけれども、統幕幕僚学校が実施してまいりました幹部高級課程の課目、要するに歴史観・国家観については、より幅広くバランスの取れた適切な教育を実施するよう、見直しについて検討しているところであります。

 現時点で見直しの具体的内容や時期についてはお示しすることは困難でありますけれども、平成二十一年度前期の幹部高級課程については本年四月一日から教育を開始する予定でありますけれども、同課目についてはまだ見直しに、検討について結論が出ておりませんので、実施しない考えであります。

井上哲士君

 見直しが結論が出ていないので実施しないという答弁でありましたけれども、私は、この課目の設立された経過、中身見ますと、やはり廃止に踏み込むべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。

 次に、日米首脳会談に関連して、アフガン問題について外務大臣にお聞きいたします。

 オバマ政権は三月末までにアフガン戦略の見直しをするということが言われておるわけでありますが、この間の日米首脳会談、外相会談でこのアフガニスタン問題についてはどういう合意がなされたんでしょうか。

外務大臣(中曽根弘文君)

 二月の十七日でしたか、日米外相会談が行われまして、そこでは私からは、インド洋における我が国の自衛隊の補給支援活動、これに加えてアフガニスタンにおいて警察支援活動を行う、そういう方針を説明をいたしまして、またさらに、今行っております我が国の支援の内容、例えば五百校以上の学校の建設や修復をしたとか、六百五十キロメートルの道路を造ったとか、いろいろありますけれども、そういう支援について具体例を挙げつつ説明を行いました。これにつきましては、クリントン国務長官は、これはもうアフガニスタン国民の生活の向上に役立つということで、日本の支援を大変高く評価をする、そういう発言がございました。

 また、日米首脳会談、これはワシントンで二月二十四日にホワイトハウスで行われましたけれども、この会談におきましては、やはり麻生総理からアフガニスタンにおける日本の支援について説明をされまして、アフガニスタンの安定化に向けた支援を一層強化そして加速をしていくと、そういう我が国の方針を説明したところでございます。これに対しましても、やはりオバマ大統領からは日本のこれまでの支援に感謝をすると、そしてアフガニスタンにつきましては、各国とも今まで以上の努力をする必要があるのではないかと、そういうふうに大統領は述べた上で、日本に対しましては、開発とか治安の分野とかあるいはインフラなどの分野でまだやることは多いので、そういうような分野で日本がまた今後も積極的な役割を果たしてくれれば歓迎をすると、そういう趣旨の発言があったと聞いております。

 またさらに、付け加えますと、日米外相会談それから首脳会談、これのフォローアップとして緒方貞子・総理の特使、それから吉川元偉アフガニスタン・パキスタン支援担当大使が先日米国を訪問いたしまして、ホルブルック特別代表等と意見交換、そして包括的な戦略のすり合わせを行ったところでございます。

井上哲士君

 支援戦略を両国が協議をするということが言われておりますが、そういうことでよろしいんでしょうか。

外務大臣(中曽根弘文君)

 今後のアフガニスタンに対する支援の在り方等、日本としてこれは何ができるか、アメリカもこのアフガニスタン政策、今、見直しといいますか、そういうようなことを行うというようなことも聞いておりますので、そういう中において日本の意見も取り入れていってもらうということだと思います。

井上哲士君

 この戦略協議の中でどういう提起をするのかが問われるわけでありますが、国連の事務総長が昨年九月以降のアフガン情勢について報告をしておりますけれども、政府としては現局面の治安情勢についてはどういう認識をされているんでしょうか。

外務副大臣(橋本聖子君)

 私の方から報告させていただきます。

 今委員からお話がありましたけれども、本年三月の国連事務総長の報告にも懸念すべき傾向として二点が指摘をされております。その一点が、反政府勢力はこれまで比較的安定していた地域の不安定化に努めているということ。そしてもう一つは、反政府勢力は市民の犠牲を顧みず、より巧妙な作戦を増加させているということを指摘しているわけでありますけれども、アフガニスタンの治安情勢というのは不安定の度合いを強めておりまして、さらには民間人の犠牲者が多数出ております。

 そういった意味においては、今後の見通しというのは予断を許さない状況にありまして、パキスタンとの国境を接する南部、南東部そして東部の治安の状況については大変厳しいというふうに認識をしております。反政府勢力が意図的に民間人を巻き込む戦術を取るなどによって、犠牲者が昨年は民間人犠牲者の半数以上に当たる千百六十人が反政府勢力の活動によって犠牲となっているということであります。一方では、アフガニスタン政府及び国際部隊の活動によっても市民に犠牲が生じているということでありますので、これから、アフガニスタンの国民、そして政府及び国際社会の双方が一日も早いアフガニスタンの安定と復興を望み、懸命に努力を続けていかなければいけないというふうに思っております。

 治安・テロ対策が必要であるからこそ、市民の被害を最大限回避すべきことは当然であり、米国と各国もこの点を最大限配慮して活動を行っているものと承知しておりまして、我が国としても全力を尽くして支援をしていきたいと思っております。

井上哲士君

 民間人死者は四〇%増で過去最悪ということでありますが、今は触れられませんでしたけれども、米軍などの軍事作戦に起因する死者は八百二十八人で、その六八%が空爆だけによるものだという報告なわけですね。この報告でも国の安定に向けた純粋に軍事的な解決策はないというふうに述べているわけでありますが、一方、和平による解決に向けた動きは更に進んでおりまして、三月十二日付けのニューヨーク・タイムズは非常に興味深い、アフガン人、タリバンと予備交渉という見出しで記事を出しております。

 カブールにいるアフガニスタンの西側外交団に取材をしたものでありますけれども、当局者によると、アフガニスタン政府は昨年、オマル師のタリバン指導評議会と改宗したムジャヒディンの指導者のグルブディン・ヘクマティアル氏からの申出を受けた後に、彼らとの交渉の可能性を探ってきた。協議の提案は、サウジアラビアによる承認とパキスタンの文民政権への移行によって新たな弾みを得たということを書いております。

 そして、アフガンの高官のラマニ氏は、政府のシステムや憲法などのより大きな問題はこれから話し合われるけれども、我々はいずれ国内のどこかで会談ができるようにするために信頼の雰囲気を醸成することに努めていることだと、こういうふうにも述べているわけですね。

 こういう和平への交渉の動きというのは更に促進をされていると思うんですが、この問題で日本はどういう役割を果たそうとされているんでしょうか。

外務大臣(中曽根弘文君)

 アフガニスタンの政府はかねてから国内和平を推進するという、そういう強い決意を表明をしてきているわけでございますが、我が国としては、こういうアフガニスタン政府による和平の取組というものは、これはアフガニスタンの政治的な安定をもたらすと、そういうことでこれは取組を支持をしているところでございます。

 他方、タリバーン指導部は依然としてそういうアフガニスタン政府との和平の交渉が行われているという報道を否定するなどして、従来の立場を変えておりません。そういうところから、現地では依然として複雑な情勢が続いていると承知をしておりまして、大変まだまだ困難な道のりも予想されるところでございます。

 我が国といたしましては、まずはこのアフガニスタン政府の主体的な和解の努力というもの、これを注視をしながら、今後はアフガニスタン政府の要請、そういうものも踏まえながら、どういうような効果的な支援ができるか検討していきたいと、そういうふうに思っております。

井上哲士君

 いつも同じ答弁でありますが、やっぱり和平に向けた動きというのは、先ほど挙げましたように、確実にいろんな変化があるわけですね。私はそれにかみ合った支援が必要だと思いますし、その妨げに様々な誤爆を含めた軍事行動があるということも繰り返し指摘をしてまいりました。

 最近、アメリカの国防総省に近いシンクタンクのランド研究所が、九十人の米軍や連合軍士官の情報担当者にインタビューした結果をアメリカの統合参謀本部に報告していますけれども、その中で、非戦闘地域の住民を保護するという点にはほとんど注意が払われていないと、こういうことを改めて言っているわけですね。私がかねてから指摘したとおりなわけでありまして、こういうやり方がこの憎しみとテロの悪循環を呼んでいるということでありますから、私は、戦略的な協議をしていくということであれば、やはりこういう和平の妨げになるような軍事作戦の中止を求めていくということもしっかり日本が求めるということが必要だということを申し上げまして、時間ですので終わります。

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