国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2009年・171通常国会 の中の 外交防衛委員会

外交防衛委員会

shitsumon201111.jpg・海賊対処派兵法案に関する参考人質疑が行われ、4人の参考人から意見陳述を受けた。とりわけ、AALA連帯委全国理事でアフリカ研究家の高林敏之さんは、ソマリアの歴史から説き起こしつつ、真の問題解決へ説得力のある意見を開陳。


井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今日は、四人の参考人の方々、貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。

 それぞれの陳述の大きな柱に、この問題を海からのみではなくて陸から見る、ソマリア人の側から見るということの重要性の御指摘がありました。

 まず、この問題について高林参考人にお聞きするんですが、今のソマリアは破綻国家というふうに呼ばれたりもするわけですが、そもそもソマリアには、氏族による分裂国家であって自ら国家を統治する能力がないという議論に対して、ちゃんと統一民主的国家になる力があるということも陳述で述べられたわけでありますが、今のソマリアが、ソマリランド、プントランド、そしてそれ以外の地域というふうに分かれて、ソマリランドなどは比較的行政組織なども整っているように見えるわけですね。その辺の比較もいただきながら、改めて、ソマリアがきちっとしたやっぱり国家となり得る力を持っているという辺りを御説明いただきたいと思います。

日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会全国理事(高林敏之君)

 先ほども陳述で指摘しましたように、ソマリアには、独立当初九年間ですけれども、議会制民主主義をきちんと運営した実績というのはあるわけです。確かに一定程度の氏族的な論理が持ち込まれた派閥抗争などありますけれども、しかし、大統領、議会、首相の政権交代というものもちゃんと行われた実績がある。しかも、そのころは氏族単位のソマリアではなく、元の植民地の枠組みも超えて民族として統一しようという動きでもって結集力さえあったわけであります。そのことを考えれば、何が分解をもたらしたのかというその要因を分析して、それをフォローしていくことが必要であろうと。

 やはりこれは、氏族単位の動きに解体していったのは、やはりバーレ政権の時代に非常に自分の氏族を偏重する政治を行い、しかもそれに対する政権交代のメカニズムがなかったということが非常に大きいわけであります。となれば、民主主義のメカニズムをいかにこのソマリアに立て直していくかということが優先的努力であり、そのことが私がAUなどの取組の支援ということで再三申し上げていることの意味であります。

 三つの地域に関しましては、旧イギリス領であったソマリランドが非常に安定した統治を行っております。世界どこも承認をしておりませんけれども、当初数年間内紛があったことを除けば、選挙もきちんと行われ、非常に安定した民主的統治を行っているということで広く評価されており、AUの中でもそろそろ実態として認知する必要があるという議論も起こり始めているわけです。

 プントランドは、より軍閥的な基盤にのっとっている権威主義的な体制でありますので、これを一概に評価することはもちろんできません。

 ただし、ソマリアには、今のソマリランドも含めて実際にこれだけの民主的統治の実績があるということになれば、環境を整えていく、民主的統治を行える環境を整えていくための国際的支援ということが行われていけば、そしてまた特定の勢力、かつてのバーレ政権などと同様に肩入れしていくようなことが行われなければ、あるいはテロ対策の名の下に特定の軍閥に武器が注ぎ込まれたようなことなどもありましたが、そういう形での外部の干渉を行われなければ、自力で統治を回復していく芽というのは十分にあるというのが私の考えです。

井上哲士君

 次に、マロイ参考人にお聞きしますが、今あったように、ソマリアがそもそもきちっと国家としてやっていく力があるのに、これが今日のような事態になっていることに対して、国際的な介入に対する反発というようなことも高林参考人の陳述でもありました。マロイ参考人の陳述の中でも、一連の国際的な様々な介入がイスラム穏健派と原理主義の間に越え難い溝をつくったということも言われておるわけですね。

 そこで、参考人はPKOとかにもかかわってこられたわけですけれども、このソマリアに対するこういう国連及び国際的な様々な関与、特に国連の行った関与についてどのように評価され、どこに問題があったと今お考えでしょうか。

国連開発計画武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)担当シニアアドバイザー(デズモンド・ジョン・マロイ君)(通訳)

 私の見解というのは一般的な国連の見解と随分食い違っておりますので、特別代表がソマリアにおいてPKOが必要だと言っていることに必ずしも賛同しません。

 ソマリアは中央政府の実績を持ってはおりますけれども、中央政府がソマリアにとっては自然な状態なのかどうかということは疑問視しております。ソマリアの近代史における最も安定した時代というのはイスラム法廷が統治していた時代でありまして、エチオピアが侵略して、国連の支持の下でイスラム法廷が崩壊したことによって法の支配というのが崩壊してしまったんです。これがソマリアの中南部において国民が非常に拒絶しているところです。だからこそ、TFGに対する支持もないんです。

 国連が果たしてきた役割というのは非常に難しかったと思います。国連の代表がモガディシュに、昨年の七月に暗殺されました。私がプントランドを訪問していたときには救済されなければならなかったんですね。ギャロウェという主要都市の中心街だったんです。ですから、状況は非常に不穏です。国連のソマリアにおける足跡、プントランド中南部において非常に良くないということで、ナイロビまでほとんど国連は撤退しています。国連本部はナイロビにあるわけです。国連のUNDPについても同じです。ハルゲイサにおいて唯一UNDP、国連開発計画の事務所があったんですけれども、二週間ほど前、私が出た後に攻撃されて二人死亡者が出ました。ですから、非常に困難なんです。国連の足跡は軽いものでなければいけないと思います。

 私の提言というのは、国連の足跡をもっと軽いものにしなければいけない、コミュニティーベースのものにしなければいけない、そして余り目に見えないような形でコミュニティーグループに対して支援するという形でなければいけないと思います。直接、国連に勤務している人たちというのは、ソマリアの中で殺害されたりしています。パチュイック、これは女性団体を通じて活動しているんですけれども、本当に目に見えないような形で、側面支援というような形でやる必要があると思うんです。

 ソマリアに対する国連の法の支配、安定化などに関してはこういう形でやるべきだと思っておりますし、これが私が国連の提言に対して行った提言ですし、このDDR、武装解除、動員解除、社会復帰に関してもそのように言っています。

 国連がソマリアに果たす役割は非常に困難で、今後も困難であり続けると思います。アル・シャハーブというのが非常に強力でありまして、モガディシュから出る難民の数というのは増えておりますし、圧力も高まっております。ですから、国連が近い将来何ができるかということは静観しなければいけませんけれども、非常に困難だということは間違いありません。ですから、政権移行は夢にしかすぎないかもしれません。ですから、ソマリアの中でナチュラルオーダーというもの、自然の秩序というものを育てるべきであり、部隊を派遣するという形ではないと思います。

井上哲士君

 そこで、今のTFGが様々なそうした国際的な関与などを背景にする中で必ずしもまだ全体としての統治の能力を持っていないという御指摘もあったわけでありますが、そういう国際的なやはり関与が改善されればこのTFGが力を持っていくというような展望についてどうお考えか、そのためにはどういうことが必要か。これは、マロイ参考人それから高林参考人、それぞれにお聞きしたいと思います。

国連開発計画武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)担当シニアアドバイザー(デズモンド・ジョン・マロイ君)(通訳)

 最近の選挙、新しい大統領の当選にもかかわらず、そしてジブチ・プロセスということで前向きな言葉が聞こえてきますけれども、現場のモガディシュ等サウスセントラルにおける受け止め方というのは、TFGのプレゼンスは限られているということで、ジブチ・プロセスは成功しないということなんです。ですから、再考する必要があると思います。現実を真っ向から見る必要があります。

 リアリティーチェックという題を私のプレゼンテーションには付けたんですけれども、国際社会のアプローチ、TFGを支援しようということは、現実とは逆の動きであり、非生産的である、逆効果だと思っております。

日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会全国理事(高林敏之君)

 現状からもう率直に言えば、TFGというのが実効支配を持ち切れていないということは、もうこれははっきりしていることであります。また同時に、そのTFGというのがやはりソマリア国民の中でなかなか人気というのが上がってこないのは、私が説明した事情もありますが、同時にこの十数年、やはりソマリアを混乱させてきた多くの軍閥たちが実際にその中に包含されている状況にあるということがあると思います。そのことがTFGのイメージをやはりよろしくないものにしているという実情があると考えております。

 しかし、ならば、現在AUやIGADなどの地域的な取組でこうやってTFGというのがつくられているわけですが、それに取って代わるような枠組みを、じゃ、つくり得るのかどうかということは疑問だと思います。現実に、例えば長老層であるとか、現在であれば軍閥であるとか、そして現在の大統領はかつて法廷同盟の議長であった穏健派のイスラミストでありますが、そういうふうな勢力を幅広く結集できる取組というのは現在のところアフリカのイニシアチブしかなく、そしてその結果生み出されたのがTFGなわけであります。とすれば、やはり問題は、そういう言わば大同団結的な形でつくられたTFGが何ゆえ力を持ち得ないのかということなんですね。検討が大事であると思います。

 端的に結論を言えば、やはり現在戦っている急進派イスラミスト勢力とTFGとの間のもう一度対話をアフリカ主導でやっていった上で、更に幅の広い連合政府をつくるということでなくしては解決はないと私は思います。先ほども指摘がありましたように、法廷同盟が統治していた時代というのが一番秩序が立っていましたし、その時期には海賊も激減していた。その現実は受け止めて、我々の感覚でイスラム原理主義というのはよろしくないというようなことでやっていたら、かえって問題を混乱させると考えております。

井上哲士君

 高林参考人は、まさにこういうソマリアがきちっとなるようなことへの支援こそ優先されるべきだと、こういうお話がありました。

 そこで、森本参考人と山田参考人にお聞きするんですが、一方、日本は自衛隊の派遣ということをしてまいりましたし、国際的にもそれぞれが海軍を派遣するということが行われてきたわけですが、今年になってむしろ各国が海軍派遣して以降、海賊の事件が増えているし、しかも広域化していると、こういう事態があります。ゴキブリ対策という話もありましたが、単に移動するだけじゃなくて非常に増えているという、逆行しているという事態があるわけですが、このことの評価と原因についてそれぞれどうお考えでしょうか。

拓殖大学海外事情研究所所長・同大学院教授(森本敏君)

 各国が対応をしているにもかかわらず事案が増えているというのは、裏返して言うと、各国の対応が非常に厳しくなって、それがどのようなものであるのかということが、例えば、そういう言い方は余り表現が良くないですが、海賊をしてお金もうけをしてやろうといって考えている人々に正しくインフォームされ、それが抑止になっているというのであればそれは良いと思いますが、そのような正しい情報が彼らにことごとく、きちっと各国がやっている対応と、どれぐらいの人が拘束をされ、どのような裁判を受け、どのようなことになっているのかということが正しく彼らに伝わっているかどうかというのは私は分からないんです。分からないということは、各国がやっていることが抑止の機能を果たしているかどうかということが立証できない限り、案件がどんどん増えているということとの相関関係を一概に一対一対応で論じることは少し無理があるなと思うんです。

 一方、何となく、やる方については分かっていると思って出ていくと追っかけられるということなので、海域がどんどんと広がっている、というよりかアフリカ東海岸の南の方にどんどん広がっているということですから、何となく外側からじわじわと包囲網が広がっているということは考えられるのではないかと思うんです。

 一方、しかしながら、それは公海上の活動なので、自分たちの陸地まで入ってこないということですから、やらなければ被害を受けない、拘束されることはないということなので、それが本当に今申し上げたように抑止になっているかどうか分からず、かつ、周りに例えば人質を取って大変多額の身の代金を手に入れた人というものが目の前に起こると、リスクを負って、あちらからは取締りが出てきているけれども、しかしながらリスクを負って海賊をやろうという人が出てくるということは、この地域の人々の自然な感情として別にそう不思議ではないなと思うんです。

 だから、必ずしも外側からきちっと対応しているから抑止が効いていて案件が減っているはずなのに増えているのはいかなる意味かということを、今申し上げたように、原因と結果を論理的に論じることは少し難しいのではないか、もう少し長期的に見ないといけないんではないかと、このように思います。

東海大学海洋学部教授(山田吉彦君)

 件数自体確かに増えております。ですが、今、私手元に数字を持ってきてないんですが、成功率に関してはかなり、誘拐の成功率というのは非常に低くなってきております。確かに、警備が厳しくなった分、海域は延べ三千キロほど広がっておりますが、成功率という観点からいうと前年よりかなり低くなっております。

井上哲士君

 政府もソマリアのやっぱり陸の問題の解決が必要だということは繰り返しは言うわけですが、しかし現に起こっている、解決まで時間が掛かるのを待つわけにいかないと、こういう議論がされるわけです。

 高林参考人にお聞きしますが、先ほど急がば回れということも言われたわけでありますけれども、そういう解決まで待つというのは迂遠過ぎると、こういう議論についてどうお考えでしょうか。

日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会全国理事(高林敏之君)

 そのような迂遠だという反論というのは必ず予想されることであろうと思います。

 しかしながら、繰り返しになりますが、ソマリアが再建されない限りはソマリア人が海賊その他の違法行為に走ること自体は止めようがないと思います。つまり、海賊対策ということで進んでいって、仮にそれができなくなったとすれば、今度は麻薬の密輸であったり、あの地域はカートという麻薬の原料などもあるわけですけれども、麻薬の密輸であるとか武器の密輸とか、そういうことに走るかもしれない。あるいは、生活の糧、追い込まれた、くそ、もう頭にきたというような感じで、かえってイスラム急進派のプロパガンダにあおられて、それこそテロ活動に走っていくなどということだって起こるかもしれない。

 政府の見解や参考人の方々の見解を聞いても、長期的に時間が掛かるということが前提になって話が進んでいるように思われますけれども、もう既に海賊対策そのものが長期の時間が掛かるということが言われているにもかかわらず、ソマリア紛争解決の取組を待っているのは迂遠というのは、これは論理的に私は整合性がないと思っております。

 それだけ長期的、繰り返しになりますが、今年度補正予算の海賊対策費だけでも百八十億円以上を消費するというのに、それを長期的に毎年毎年、もっと減るのかもしれませんが、掛けているような余裕は日本の財政にあるのかなというふうに一有権者としては疑問に思っているわけでして、それよりは、アフリカ連合などの取組を支援して、できるだけ早くソマリアの民主的秩序を回復する努力をする方がよりコストは低いのではないかと思います。そして、実際に、現在アフリカ連合などの支援に掛けられているコストというのは、先ほども指摘しましたが、今年度の補正予算の百八十億円より随分少ないなというのが私の率直な印象でございます。

井上哲士君

 海賊被害というのはこれまでもいろいろあったわけですが、このソマリア沖・アデン湾で急増したということもありますが、国連の安保理の対応強化も急増ということにとどまらない非常に動きがあったなと私は見ているんですが、その辺はどうお考えでしょうか。高林参考人、お願いします。

日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会全国理事(高林敏之君)

 済みません、もう一度お願いします、安保理の。

井上哲士君

 国連安保理が、ずっといろんな海賊問題が世界中にあったにもかかわらず、ここ一年、半年ぐらい急速に様々な決議を上げている、この辺の背景をどうお考えかということです。

日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会全国理事(高林敏之君)

 これについてはなかなか判断は難しいところはあると思いますが、ただ、一つ指摘したいのは、ソマリアの海賊問題というのは必ずしも近年突然起こってきたわけではないということは政府側の答弁資料からも分かると思います。端的に言えば、ソマリアが無政府状態に陥ったときから既に存在はし始めておった話なわけであります。

 しかし、やはりこの問題が急激に議論されてきたのは、私が配っている年表式の資料の中でも出てくることですけれども、エチオピアの侵攻がかなり厳しい状況になってきたことによって穏健派イスラミストとの和平を進めなければならないというジブチ和平プロセスというのが進められていきます。そのジブチ和平プロセスが成就してジブチ和平協定が結ばれようとしていたその二〇〇八年の前半になって急激にこの議論が起こってきているということが安保理においても国内においても指摘されると思います。

 なぜ、それまで議論が十分に起こらなかったのか。

 実は、ソマリア問題を追ってきている専門家などの中では、エチオピアを使ったソマリアにおけるテロとの戦いの失敗から目をそらすためにソマリアの海賊という、かつてであればアイディード将軍というのが敵であったわけですが、新たな敵というのを想定してそちらへ目を向けようとしているものだという指摘がなされているという状況があることは踏まえておいていいと思います。ただ、それははっきりと確たるものとして断言できるわけではありません。ただし、そういう時期の符合があることは指摘しておきたいと思います。

井上哲士君

 今回、やっぱりソマリアへの対応というのは、日本のアフリカ政策といいましょうか、対応の問題点も浮き彫りにしていると思うんですが、残り一分半程度ありますが、アフリカ研究者としてその辺で感じていらっしゃること、最後述べていただいて、高林参考人、お願いします。

日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会全国理事(高林敏之君)

 ソマリア問題への対応。

井上哲士君

 アフリカ全体。

日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会全国理事(高林敏之君)

 アフリカ全体ですか。

 アフリカ全体ということでありますけれども、アフリカ連合にアフリカ統一機構が転換したのが二〇〇二年ですから、まだそれから七年ほどしかたっていない状態であります。

 アフリカ連合というのは何しろ最貧国が非常に多く集まっているということもあって、資金なども不足しておりますから、やはりどうしても限界が多い。ダールフールやソマリアでの活動でも、現状では十分な力を発揮できていないということは指摘されております。しかしながら、そういう限界の中にあっても、この数年、アフリカ連合というのは、地味ではありますが、着実に実績を上げているということは私は指摘できると思います。

 例えば、アフリカ諸国で以前であれば多くのクーデターが起こっていたわけですが、こういうクーデターを抑止するために、クーデターを起こした政府に対しては、資格を停止して、制裁を掛けるというようなことを例えば実行しております。この結果、客観的に見てもアフリカのクーデターの件数が減っているばかりでなく、起こった場合でも早期の民政移管が図られるという状況が起こってきている現状がございます。それは、現在の例えばギニアであるとかモーリタニアのケースであってもそうであります。

 あるいは、選挙監視などが行われていく中で、こういうスーダンとかソマリアのような問題になっている国は別として、かなりの国で複数政党制民主主義と選挙による政権交代というのが定着をしてきました。これもAUが民主主義を進めるということをスローガンとして掲げてきた実績というのは、もちろん国際的な支援もありますが、かなり大きいと思っています。

 私がAUの取組、地域の取組というのを何よりも重視すべきであると申し上げているのは、このようなAUがアフリカ各地で積み重ねてきた実績を端的に評価し、それをきちんとソマリアでも実践されることがアフリカ自身の自立にとっても望ましいと考えるからです。もしこれを、ソマリアの沖合でソマリア人を攻撃することによってAUの取組自体が信用性を失ってしまったら、それは、現在AUが進めている地域の民主化や安保の取組そのものにも影響をもたらしかねないものであるということを私としては申し上げたいと思います。以上です。

井上哲士君

 ありがとうございました。

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