・小沢一郎衆議院議員の政治団体の「陸山会」について、鳩山総理に対して質問。陸山会は豊富な手元資金があるにもかかわらず銀行借入を行い、累計4513万円の借入利息を支払っている事実を示しながら、これは購入原資を隠すための手法の一つではないか、と追及。
- 予算委員会委員長(簗瀬進君)
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次に、井上哲士君の質疑を行います。井上哲士君。
- 井上哲士君
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日本共産党の井上哲士です。
民主党小沢幹事長の政治資金管理団体をめぐる虚偽記載に関連してお聞きいたします。
石川衆議院議員を始め、現・元秘書三人が逮捕、起訴されております。
小沢氏は、この起訴後の会見でも、事件について政治資金収支報告書記載の形式的ミスだと、こう述べております。しかし、起訴事実によりますと、虚偽記載の内容は、架空寄附、そして未記載など実に二十一億六千九百万円に達しております。政治資金規正法違反としては過去に例のない悪質な事件なんですね。
総理にお聞きしますけれども、総理も小沢氏と同じように収支報告書の形式的ミスだと、こういうお考えでしょうか。
- 内閣総理大臣(鳩山由紀夫君)
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私は、この問題に関しては、当然小沢幹事長の方がよく自分のことでありますだけに理解をされていると思います。その意味で、形式的なミスだということを話したのは率直な感想であったと思います。
ただし、形式的なミス、まさに政治資金規正法のこの収支報告書の記載ということに関しては、ある意味で違反は形式なものであるわけでありますから、形式的であるからすべて小さな取るに足らない話だということではないと理解をする必要があろうかと思っておりまして、まさに秘書や元秘書が起訴されたということに関して、小沢幹事長本人も記者会見で、政治団体の代表者として責任はあると、そのように明言をしているわけでありまして、私の場合もそうでありますけれども、政治的な責任はやはりあると、そのように考えるべきだと思います。
- 井上哲士君
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これはミスという問題じゃなくて、意図的に虚偽記載をしていたんですね。
今回の事件は陸山会の不動産購入に関するものですが、そもそも陸山会の不動産所有については約三年前に問題になりました。当時、民主党の代表であった小沢氏は、二〇〇七年の二月に記者会見をして、今回問題になった世田谷区深沢の土地購入についても資料を公表しています。しかし、今回の起訴事実によりますと、このときの記者会見自体が虚偽だったということなんですね。
当時幹事長だった鳩山総理は、この小沢氏の会見を受けてこう述べられております。(資料提示)小沢事務所はしっかり管理されていると、大変すばらしいことだと、結果として一点の曇りもないと、こう言われたんです。
総理、今も一点の曇りもないと、こういう認識でしょうか。
- 内閣総理大臣(鳩山由紀夫君)
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私は、その当時の判断としてそのように述べたと認識をしております。
ただ、その後の様々な捜査という変遷の中で皆様方から、特に国民の皆様方の疑念というものをまだお持ちいただいている、そして、国民の皆様方から見てもなかなか説明責任を果たしておらないと、そのような認識であるわけでありますので、説明責任を果たされていないという思いは私も含めて共有しております。
したがいまして、この言葉はその当時申した言葉だとは思っておりますが、なお小沢幹事長自身も様々な状況の中で、記者会見を含めてでありますけれども、しっかりとした国民の皆様方に事実の説明というものを尽くされるべきではないかと、そのように考えております。
- 井上哲士君
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国民が不可解と思っていることは幾つかありますが、今回のこの世田谷の土地の購入では陸山会は、実際には小沢氏個人から受け取った四億円を支払に充てながら、その直後に定期預金を担保に四億円の銀行融資を受けてこのいわゆる購入原資を偽装したわけですね。陸山会には、同じように預金を担保に銀行融資を受けて購入した不動産がほかに五件あります。融資を受けますと、当然利息が掛かるわけですね。
この表を見ていただきたいんでありますが、幾ら利子が掛かったのか調べて大変驚きました。世田谷の土地以外の五つの物件の支払利子は合計で四千五百十三万円になるんです。潤沢な資金がありながら、その資金を使わずにわざわざ莫大な利息の負担が生じるような、そういうやり方をやったわけですね。なぜこういう不自然なやり方をやったのかと。預金を担保にして銀行から融資を受けますと、不動産の購入原資が特定が難しくなると。つまり、この購入原資を隠すためだったんではないかと、こういう指摘があるわけですね。
総理、この潤沢な資金がありながらそれを使わずに、この四千五百十三万円もの利子をわざわざ払ったと、こういう陸山会の不動産購入のやり方、総理、おかしいと思われませんか。
- 内閣総理大臣(鳩山由紀夫君)
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私は、この問題に関して必ずしも十分知識があるわけではありません。当事者でありませんので、そのことがおかしいかどうかということの判断は、恐縮ではありますが、付きかねるところでございます。
ただ、先ほどの件に加えて申し上げれば、この小沢幹事長自身に関して申し上げれば、検察の公正な、また慎重な捜査で本人自身は不起訴になっているというのも事実であるということに基づいてそれぞれの判断がされるべきではないかと思っております。
- 井上哲士君
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その政治的、道義的責任が問われているんです。
今、小沢氏のことだから分からないと言われましたけれども、先ほど紹介した記者会見で総理は、当時、全国各地から集まった浄財を一番有効に使う方法が考えられていると、こう言って言わば持ち上げたわけですよ。しかし、四千五百万円もの利子を払うようなやり方が何で有効なやり方なのかと、これが問われているんですね。
さらに、陸山会の不動産をめぐりますと、不透明なことがあります。今年二月に公表された衆議院議員の資産公開によりますと、陸山会が所有していたラ・セーナ南青山五〇二号室というマンションの一室が小沢さんの資産になっております。陸山会の不動産というのは、小沢氏の名前で登記されておりますけれども、これはあくまでも陸山会の資産であって、小沢氏個人は何の権利も持たないと、そうやって文書も交わしているんだということを〇七年二月の記者会見で小沢氏自身が述べているわけですね。ところが、この陸山会の資産がいつの間にか小沢氏個人の資産になっていると。
これ、総理、小沢氏の、総理が一点の曇りもないと言われたこの会見のときの発言に私は反していると思いますけれども、いかがでしょうか。
- 内閣総理大臣(鳩山由紀夫君)
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私は、政治団体の、陸山会の不動産所有の問題に関しては、まさに政治団体の政治活動の問題でございますので、政府として答える立場にあるとは思っておりません。
ただ、その上で個人としての意見を申し上げれば、政治団体が不動産を所有するということに関しては、先ほど、午後でありましたが、藤末議員の指摘によって、総務省の調査で三百二十四団体が法令に認める中で現に不動産を保有しているという事実があるわけでございまして、そのようなことの中で、決して陸山会固有の話というわけではないんですが、不動産保有というものが認められていないわけではないわけでございます。また、それを、しかし、やはり不動産を政治団体が保有するというのは余りうまくないねと。だからということの下で、その不動産をある意味で小沢幹事長自身が買った、適正な価格で買ったということがあったとしても、それは別におかしな話ではないと、そのように理解をするべきだと思います。
- 井上哲士君
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登記は変わってませんから、一体いつ幾ら買ったのか、幾らで、そして本当に適正な価格だったかというのは分からないんですよ。だから明らかにしていただきたいと思うんですね。世田谷の土地購入に関する経緯についても、今の問題についても、どの問題取っても小沢氏自身から説明をしていただかなければ分からない問題でありまして、月曜日発表のマスコミの世論調査でも、国会で説明すべきだと、小沢氏は。八三%の声なんです。総理は、国民の皆さんから見てまだ不十分ではないかと言われているとすれば、お互いに説明を尽くそうと電話したそうでありますけれども、まさに国民の声はこうなんですから、しっかり説明責任を果たしていただきたい。改めて小沢氏の証人喚問を求めまして、質問を終わります。
- 予算委員会委員長(簗瀬進君)
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今の証人喚問の件については、後刻理事会で協議をさせていただきます。
以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。(拍手)