- 井上哲士君
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日本共産党の井上哲士です。
辺野古沖への新基地建設を決めた日米共同声明とその後の閣議決定に対して、国外、最低でも県外との公約を破り、あの四月二十五日の集会に示された県民の総意を踏み付けにしたものだと怒りの声が上がっております。沖縄県民はもとより、全国から裏切りだと、暴挙は許さないという声が広がっております。
あの日に名護の稲嶺市長が市民集会であいさつされていますが、こう言っていますね。今日、私たちは屈辱の日を迎えた、怒りは頂点に達している、沖縄はまたしても切り捨てられた、地元への説明もなく、市民、県民の民意をないがしろにしているのは地方自治に対する侵害だ、この国に民主主義はあるのかと、ここまで市長は言われております。
総理は、名護市の皆さんが受け入れられないことは重々分かるが、それでもお願いしないといけないと、あくまでこの頭越し合意を押し付ける姿勢を示しておりますが、この県民の理解を求めるという役割を内閣で責任を持って担うのは官房長官ということでよろしいでしょうか。
- 内閣官房長官(平野博文君)
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これから具体的に進めていく、こういう過程にありましては、私なのか、あるいは防衛省なのか、防衛大臣なのか。僕は、一義的には、地域での関係を含めて、専門的な観点から防衛省だろうとは思っています。しかし、私も官房長官という役割の下に補完をしながら、トータルとして進めていかなきゃならないと思っております。
- 井上哲士君
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補完するというふうに言われました。
しかし、二十八日の閣議後の記者会見で前原沖縄北方担当大臣はこう言っているんです。県民に理解を求める役割に関して、鳩山総理から指示がないとした上で、その役割は引き続き鳩山首相、平野博文官房長官が行うとの認識を示したと、沖縄北方担当大臣もこう言っているんですよ。一体、じゃ、こういうことを決めたけど、そして理解を得ると言っているけれども、その責任は閣内では全然議論していないんですか、だれがやるかということを。
- 内閣官房長官(平野博文君)
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当然、これは総理も沖縄に二回も訪問されて、できなかったことに対して、あるいは迷惑を掛けたことに対してはおわびを申し上げておるわけであります。しかし、これから具体的に技術的な視点でもって、あるいは工法を含めて詰めていく、こういう専門家の部分、あるいは知事始めその当該の自治体、議員さん、また町民の、市民の方々に対するアプローチ、これについては私なり全閣僚が本来すべきことだと思います。主には、当然私もその一人としておることは間違いのない事実だと思っております。
- 井上哲士君
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関係閣僚会議のメンバーの一人である前原大臣が、これは平野官房長官だと言っているんですよ。
じゃ、更に聞きますけれども、地元の稲嶺名護市長にはこれまで何度面談をされて、今後はどのように市長と理解を求めていくお考えでしょうか。
- 内閣官房長官(平野博文君)
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正確には覚えておりませんが、三回お会いをしたと、こういうふうに思います。
もちろん、そのときには御要望がありました。反対だということもありましたから、そういうことで到底理解ができないと、こういう御要望含めてございました。そのときには私はまだ、ゼロベースでやっておるので、もし、どういう状態になるか分からないけれども、今はゼロベースだと、こういうことで言いました。その後、改めて来られたときには、県民のあれだけの反対運動が起こっているということに対しては重く受け止めさせていただくと、こういうことは申し上げたところでございます。
- 井上哲士君
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今後はどのようにお考えですか。
- 内閣官房長官(平野博文君)
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今後は、総理を含めて関係閣僚と十分相談をして対処していきたいと思っております。
- 井上哲士君
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具体的なことが何も出てこないわけでありますが、名護市長選挙で新基地建設反対で市長が当選した直後に、官房長官は、この結果についてしんしゃくする必要がないと、こういう発言をされました。そして、このシュワブの陸上案が持ち上がって名護の市議会で反対の意見書を可決しました。このときもあなたは、それぞれの地域の自治体で決議があってもそれを乗り越えてやっていただかなければならないケースもあると、こういう発言もされたわけですね。
先ほど来、徳之島においても、地方自治体を無視をするような行動だという批判も出されておりますけれども、そもそもあなた一貫してこうやって地方自治体の意思、住民の声を軽んじてきたんじゃないですか。そういう立場で地元や県民の理解を得るということが可能だとお考えなんでしょうか。
- 内閣官房長官(平野博文君)
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今議員、残念ながら、しんしゃくしないという言葉だけを取り出されましたけれども、そのときは検討委員会でどういうところが一番いいのかということを検討している、技術的な、あるいは地域的なところを検討しておりますから、そのときには、民意ということの概念はこの検討の土俵には入れないと、こういうことを申し上げたわけでありまして、選挙結果の民意については当然これは尊重しなきゃならないと、こういう考え方に立っております。
- 井上哲士君
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それはすり替えでありますし、そもそも検討委員会の中に住民の声をしんしゃくをしない、そのこと自体が問題なんですよ。選挙の結果はもちろんでありますけれども、そこには住民の声も示されているんです、これは絶対許せないという声が示されている。それをまともに取り上げない、そのことが住民の、県民の怒りを呼んでいるし、そのことが一層怒りに火を広げているんですよ。そのことの自覚はありますか。
- 内閣官房長官(平野博文君)
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ですから、予算委員会でも申し上げましたが、私は、ゼロベースで検討している概念であって、その検討土俵に上がって絞り込まれたら、当然そのときにその地域の方々の御理解をいただく、民意を尊重していく、これは当然じゃないですか。そのことを、そこの部分をはしょられて、しんしゃくしないという言葉だけを特出しにされて言われるというのは、私にとっては心外であります。
- 井上哲士君
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要するに、決めた後で住民に押し付けるということじゃないですか、それだったら。そういうことがまさに住民の反発を広げて、怒りを広げてきたんです。
岡田外務大臣にお聞きしますけれども、私、こういう県民頭越しに日米で合意をし、結論を沖縄に押し付けるというやり方は一層怒りの火に油を注ぐやり方だとこの間の委員会でも申し上げました。実際、その後、この共同声明の発表は県民の怒りと団結に一層火を付けております。
沖縄の世論調査、先ほども紹介ありましたけれども、この辺野古への建設反対というのは八四%です。そして、鳩山内閣の支持率は沖縄県内では八%。これは、本当に一つになった民意ですよ。絶対後戻りできない状況であり、私はこの方針は実行不可能だと思います。
あの共同声明と閣議決定は撤回をして無条件撤去を求めると、こういう姿勢に変えるべきじゃありませんか。いかがですか。
- 外務大臣(岡田克也君)
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ですから、今の普天間基地を無条件で撤去するという、共産党のお考えに立てばそういうお話も出てくるんだと思いますが、この辺野古への移転というものが円滑に進まないということになりますと現在の状況が固定化されかねないということですから、それは絶対避けなければいけない。そういう思いの中で、何とか沖縄の県民の皆様の御理解を得て、そして今回の日米合意、その中身はまだ幅のあるものでありますけれども、それを是非実現していかなければならないと、そういうふうに考えているところであります。
- 井上哲士君
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共産党のお考えと、そういうふうな言い方をされるわけでありますが、沖縄県民の世論調査を見ても、例えば安保条約、日米安保を平和友好条約に改めるべきだ、この世論調査では五五%、廃棄、一四%、こういう声が今広がっているわけですね。沖縄へのアメリカ海兵隊の駐留をどう思うか、必要ない、七一%。これが先日の沖縄県内の世論調査なんです。
民主党のホームページを見ますと、二〇〇五年に、岡田さんがまだ代表だったころに普天間基地包囲行動集会というところの記事が出ております。ここで、代表だった岡田さんはどうあいさつをされているかと。日米両政府が普天間基地の返還を決めて何年がたったのかと、今こそ、安全保障に対する考え方には違いがあるが、その違いを乗り越えて、気持ちを一つにして普天間基地の沖縄県外移転を実現していこうと力強く訴えたと、こう書いてありますよ。
まさに今沖縄の皆さんは、安保に対する考え方の違いを乗り越えて、心一つにやっている。当時の岡田さんの呼びかけにこたえているんですよ。この立場に立ち戻るべきじゃありませんか。
- 外務大臣(岡田克也君)
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国会でも以前にも答弁いたしましたが、あのときかなり私はやじと怒号に包まれたわけであります。つまり、集会のメーンテーマが普天間の廃止ということであったわけです。そういう中で、私は、それは行き過ぎであると、せめて県外ということでまとまろうというふうに言った。それに対してかなりのやじが飛ばされたというのが現実であります。
- 井上哲士君
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私は、まさに民意を重んじてこの方針は撤回しかないし、実際に実行は不可能だということを繰り返し申し上げておきたいと思います。
一点、内容について聞いておきますけれども、この共同声明の中に、緑の同盟という名の下に、日本国内及びグアムにおいて整備中の米国の基地に再生可能エネルギーの技術を導入する方法を、在日米軍駐留経費負担の一構成要素とすることも含め検討するという項目が盛り込まれておりますが、なぜアメリカのやる環境保全対策の経費を日本が負担する必要があるんでしょうか。
- 外務大臣(岡田克也君)
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まずここで書いてあることは、在日米軍駐留経費負担の一構成要素とすることを含め検討するということでございます。そして、そもそもこのホスト・ネーション・サポートの中で、実は国内の基地の光熱水費というのは日本が全部持つということになっております。その一部を再生可能エネルギーに置き換えることで、長期的に見るとその負担はむしろ減るということも想定できるわけでございます。
国外については、それはそう簡単にホスト・ネーション・サポートでということにはならないと思いますが、しかし今グアムへの基地の移転について日本政府も一定の負担をして行っているところでございます。それを、地球環境全体という観点から、そのうちの一部について日本は既にもう負担をすることに、住宅については負担することになっているわけでありますから、その中身を再生可能エネルギーを含むものにするということは、それは今の枠組みの中で別にそれが特段おかしいことではないというふうに考えております。
- 井上哲士君
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いや、驚くべき答弁ですよね。これは特段おかしいことですよ。
今、光熱水費の負担のことを言われましたけれども、今の協定では日本の負担の上限は決まっているわけですね。超えた分はアメリカが払っているわけですよ。ですから、今、エネルギーに換えたら水光熱費が下がって日本の負担が下がるだろうなんて言われましたけど、今そういう仕組みになってないじゃないですか、関係ないんですよ。
そして、グアムというのはアメリカの国土ですよ。アメリカの国土にあるアメリカの基地が環境対策するのを、何で日本の税金を使うんですか。我々はそもそも、基地建設、移転のお金払うのも、これは前代未聞でおかしいと言いましたけれども、そこの環境対策を日本が負担する、日本の国民の税金を使う、これは明らかに目的外使用になるんじゃないですか、いかがですか。
- 外務大臣(岡田克也君)
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そこはこれから具体的に議論して詰めていく話でありますが、例えば住宅をグアムに造る際に、それがより環境に優しいものに造るということは、私はおかしなことではないというふうに思います。
その負担というものを、国民の税金をどれだけお願いするかということについては、それはこれから議論すべき話でございます。
- 井上哲士君
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環境対策をするのは結構ですよ。しかし、それはアメリカの責任でやってもらったらいいんであって、国民の税金を使うということは全く間違いでありますし、許されることではありません。
結局、辺野古への新基地建設それ自体、沖縄の皆さん、許しません。そして、いろいろ負担軽減になるんだという話もありましたけれども、今のこの新たな日本の経費負担の可能性も含めて、私は一層負担を重くするし、そして訓練自身も全国に拡大をする、被害を拡大するわけでありますから、これは全くこの共同声明に盛られた方向というのは許し難いと、断じて中止をすべきだということを申し上げまして、質問を終わります。
- 外務大臣(岡田克也君)
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これは委員の御質問だけではないわけですけれども、もちろん負担の軽減ということは、これは真剣に考えていかなければいけない問題であります。しかし一方で、やはり日本の安全というものをどうやって確保していくかという議論が欠落して、一方的な議論だけするわけには私はいかないと思うわけであります。
現在の朝鮮半島の状況を見ても、あるいは周辺環境を見ても、やっぱり日本国民あるいはこの地域の平和と安定をどうやって確保していくかと、そういう視点の議論を抜きにして一方的に一面だけで議論するというのは、私はそれはいかがなものかというふうに考えております。
- 外交防衛委員会理事(山根隆治君)
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時間が過ぎておりますので、簡潔に願います。
- 井上哲士君
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一言。
そういう議論はもう沖縄では通用しないということを申し上げておきますし、負担軽減ができたから前のよりもいいんだということを言われておりますから、実際には一層負担を増やすものだと、こういうことを私は指摘しておるわけであります。
終わります。