・政治資金規正法の所管大臣である片山総務大臣に、民主党の小沢氏の政治資金に関連して、政治資金の在り方に対する基本的見解を質した。
また、小沢氏が談合企業からも政治献金を受けている実態や、民主党がマニフェストに反して企業献金の受け入れを再開したことに対する見解を質した。
- 井上哲士君
-
日本共産党の井上哲士です。
統一地方選挙は国民の選挙に対する意識を高めることにつながり、選挙実務の点でも合理的である等の利点がありますので、法案は賛成であります。
しかし、投票日や制度をいじっても、国民の信頼がなければ選挙の投票率は上がりません。そこで、まさにその土台である、今政治の不信の問題になっている政治資金の問題について、政治資金の管理法の所管大臣としての所見をお聞きいたします。
民主党の小沢一郎氏の資金管理団体陸山会による土地購入で政治家の資金管理団体による土地購入が問題になりました。
当時、大臣は雑誌、週刊ダイヤモンドの二〇一〇年一月三十日号でこう述べられております。総務省は〇七年以前の土地購入は違法ではないという解釈のようだが、ある行為が明示的に禁止されていないからといって、それが直ちに合法だと言い切れるのかと、そして、土地を買うほどの余剰金があるのに金を集めるのは、政治資金集めの域を超え、集金ビジネスと呼ぶ方が適切ではないかと、こう述べられております。この考え方に今も変わりはないでしょうか。
- 国務大臣(片山善博君)
-
私が雑誌に書いていることでありますが、基本的には考え方に変わりはありません。
ちょっと敷衍するといいますか、多少正確に言いますと、私が当時考えましたのは、私も実は政治資金管理団体を持っておりました。ですから、その方面の勉強もしたのでありますけれども、政治資金管理団体でありますから不動産管理団体ではないということでありまして、元々、資金を管理することを念頭に置いた規制が政治資金規正法にあって、不動産などを持つことを想定していなかったんだろうと思います。
ですから、当時、法律が後に改正される前の状態で褒められるべき合法だったのかと言われれば、そうではないと思います。ただ、規制していなかったので、正確に言うと違法ではなかった。でも、法律は違法か合法かでこのことを判断しますから、違法か合法かと言われれば合法だったと、正確に言えばそうだと思います。そういう意味であります。
- 井上哲士君
-
この陸山会による土地購入については、その購入資金について政治資金規正法の虚偽記載で立件をされ、そして先日、東京第五検察審査会が小沢氏に対して起訴議決を行いました。
我が党は小沢氏の政治的、道義的責任を明らかにするための証人喚問も求めておりますが、大臣は同じ雑誌の二月二十七日号でこう述べられております。
ちょっと長いが、引用しますが、小沢氏は土木建設業界と人一倍縁が深いと言われているが、目下この業界は苦境に立たされている。とりわけ地方の下請業者の経営は殊のほか厳しく、従業員に満足のいく給料を支払えない企業も多いと聞く。そうした企業からも直接間接に集められた資金が東京の高級住宅地の土地購入に充てられ、しかも、それが政治家の従業員ともいうべき秘書の住宅用だったことについて、資金を提供してきたこの業界の人たちはどう思っているだろうか。恐らくは、彼我の余りにも大きい格差と理不尽さを思い知らされているに違いない。事ほどさように、小沢氏と土地をめぐるこの度の事件は根の深い問題を提起している。にもかかわらず、民主党はこれらのことに一切メスを入れようとせず、口をつぐんでしまった。そのことに多くの有権者が違和感を抱いていることを民主党はよく知るべきであると、こう述べられておりますが、いまだに小沢氏は国会で説明をしておりません。民主党は証人喚問も応じておりません。このことについて大臣はどういう所見をお持ちでしょうか。
- 国務大臣(片山善博君)
-
当時、私が感じました率直なことを書いているわけでありまして、御関係の皆さんがそれをそのとおりに受け止めていただければと思います。
- 井上哲士君
-
この雑誌のこのコーナーは、「「未知なる与党」への直言」と、こういうふうになっているんですね。私は、在野のときにいろんな見識を発揮されてきた片山大臣でありますから、むしろ、今与党内に大臣としていらっしゃる、もっとしっかり直言をしていただきたいと思うんですね。
そこで、地方の公共工事の現場で一体何が起きているのかと。お手元に配付した資料を見ていただきたいと思いますが、公正取引委員会は二〇〇五年の六月に、独禁法の三条違反として、岩手県が発注する工事の入札参加業者の関係人九十一社に対して談合を行っていたという勧告を行いました。そして、今年三月二十三日に審判審決を行いました。
この談合企業と小沢氏の政治資金を調べてみたわけでありますが、小沢氏の政党支部は、この違法行為が行われていた〇一年から〇八年までの八年間に十八社から総額四千八十二万円もの寄附を受けております。しかも、そのうち、公取からこの談合の勧告を受けて以降も献金をされておりまして、十五社から千六百九万円に及ぶわけであります。過去、談合企業からの献金が指摘された政治家の多くはそれを返還をしてきたわけでありますが、今のところその形跡はありません。
大臣は、昨年の五月十日放送の「時事放談」で、公共事業受注企業からの政治献金について、官が発注したものが談合などの仕組みの中で超過利潤が発生し、その一部が政治に還流していると、こう批判をされております。その立場であれば、少なくともこの公共事業受注企業からの政治献金の禁止に向けた法改正に所管大臣として強い立場で臨むべきではないかと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
- 国務大臣(片山善博君)
-
法的な問題と政治的な問題と二つの面があると思います。法的には問題がない、例えば公共事業を受注する企業から政治資金を受けるということは、一般には法的には問題ないわけでありますが、政治的にどうかという問題は、これはそれぞれ政治家の皆さんなり政党の皆さんが考えられるべき問題だと思います。
その上で、更に政治的なないし道義的な責任のみならずこれを法的なレベルまで引き上げるかどうか、これも立法政策でありますので、是非これも国会の中で、皆さん方でよく御議論いただければと思います。
- 井上哲士君
-
歯切れ悪いんですね。私は、在野のときにいろんな立場で政治家の在り方、政治資金の在り方について発信をされてきた、学者としての良心もあったでしょうし、様々地方政治にもかかわってきた立場からの発信があった。
先ほども言いましたように、「「未知なる与党」への直言」という形で様々な発言をされてきたわけでありますから、そういう役割を国民も期待をしていると思うんですね。もっと積極的な強い立場、イニシアチブ、そういうものを発揮されるべきではありませんか。いかがですか。
- 国務大臣(片山善博君)
-
「時事放談」の話もおっしゃいましたけれども、私が当時「時事放談」で話したこと、それはもう私の考え方でありまして、今もそれは変わっておりません。
ただ、学者の場合には、講義をしたり研究をしたり発言したりするのは私一人の力でできますけれども、例えば法律を変えるとか制度を変更するという、これは私自身ではできませんで、これは今の国会中心主義の仕組みの中では、国会議員の皆さん方のお考え、意向次第によるわけですから、そういうことを前提に置いて申し上げた次第であります。
- 井上哲士君
-
もちろん、強権発動をしろなんて言っているんじゃないんです。これまでの発言や見識を生かしてイニシアチブを発揮をしていただきたいと、こう思うわけであります。
民主党は昨日、自粛していた企業・団体献金の受入れを再開をするということを決めております。これはマニフェストにも反するものだと思いますし、この企業・団体献金について各党の合意が進まないのでということでありますが、暫定措置として再開するということですが、私はこれは理由にならないと思うんですね。問題があるのなら自ら実践すべきでありますし、私どもはもらっておりません。
これはやはり政治と金に対する国民の不信を更に広げるんじゃないかと、投票率も下がるんじゃないか、こう思いますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
- 国務大臣(片山善博君)
-
これも法的な問題と政治的な問題とあると思います。
私は、総務大臣としては法の執行について所管をしているわけでありまして、その政治資金規正法の執行管理をしているという面でいいますと、法的には問題ありません。あとは、政党としてかつてどういう表明をしたか、今回どういう取扱いに変えるかということは、政党自身が説明責任を果たされるべき問題だと思います。
- 井上哲士君
-
時間ですので終わりますが、やはり国民の立場で様々発信をされてきたこと、今まさに直言をしていただきたいと、そのことを強く期待をいたしまして、質問を終わります。