国会質問議事録

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本会議

2011021702_01_1.jpg・自公政権の2009年度決算に対する審議入り。政治とカネ、社会保障問題で質問


井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。党を代表して総理に質問します。

 二〇〇九年度決算は、自公政権が最後に編成した二〇〇九年度予算の執行に関するものです。この予算に表された政治を変えてほしいという、この年の総選挙での審判に込められた国民の願いにどうこたえるのかが決算審議で問われています。総理、どうお考えでしょうか。

 国民の願いの第一は、金で動く政治を変えることです。

 二〇〇九年度予算審議のときに大問題になったのが西松建設の違法献金事件でした。この事件で、当時の小沢民主党代表の公設秘書が逮捕されました。ところが、それ以来、この疑惑についても、陸山会の土地購入をめぐる資金疑惑についても、小沢氏は国会で一言も説明をしていません。

 総理は、年頭会見で、小沢元代表に自らの問題について国会できちんと説明していただきたいと述べ、最終的に場面が来れば私が判断すると述べてきました。この間、総理は小沢氏にどう働きかけ、どのような結果だったのですか。民主党が決めれば、小沢氏の証人喚問で説明責任を果たさせることは可能です。総理、国会が決めることと逃げないで、自ら決断すべきではないですか。

 社会保障費の二千二百億円の連続削減が深刻な医療崩壊などを生み出しました。社会保障の削減から拡充への転換という、国民が政権交代に託した大きな願いにどうこたえるかが今問われています。

 削減路線の下で、介護保険をめぐって、利用したくても利用できない事態が一層広がりました。親が介護する状態になった人の二割以上が職を離れ、離職者は年間十四万人を超えています。高齢者虐待や介護心中という痛ましい事件も後を絶ちません。総理は現状をどう認識されていますか。

 介護の充実が求められるときに、政府が提出を予定している介護保険法の改正案には、要支援とされた軽度の人は市町村の判断で介護保険サービスの対象外にできる仕組みが盛り込まれようとしています。これに対し、介護の現場からは、認知症は軽度のときこそしっかりとしたケアをして重度化させないことが大切だと厳しい批判の声が上がっています。軽度者のサービスからの除外は中止すべきです。答弁を求めます。

 なぜ介護充実の願いと逆行するのか。政府の介護保険見直しの立場が、新たな国費の投入をせず、新たな施策は新たな財源負担でというものであり、給付の抑制と保険料・利用料負担を国民に迫った自公政権と同じ立場だからではありませんか。民主党は、選挙公約で、財政が厳しい状況でも必要なサービスは引き続き受けられるよう介護基盤整備を最優先しますと述べていました。深刻な現状を打開するためには、介護保険の国庫負担割合の拡充への転換が不可欠ではありませんか。

 介護サービスの取上げを中止し、四十二万人に上る特別養護老人ホームの待機者の解消に向けた介護施設の増設を進めること、介護現場で働く人の賃金を国の責任で上げることが必要です。重い利用料負担のために、介護サービスの利用を断念したり、年金が振り込まれる月にしか利用できないなどの事態が広がっています。所得の少ない高齢者は原則として介護保険料・利用料を免除して、お金の心配をせずに介護が受けられる仕組みを緊急につくることが求められています。答弁を求めます。

 社会保障と税の一体改革といいながら、進められているのは、介護とともに医療や年金、福祉などあらゆる分野で給付の削減や制度改悪ではありませんか。その一方で、大企業中心の法人税減税と大資産家中心の証券優遇税制の継続を進め、国民には消費税増税など、許されません。大企業・大資産家減税は中止し、介護を始め社会保障拡充の国民の願いにこたえる予算に充てるべきです。そのことが内需を拡大して経済の立て直しにもつながります。

 このことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)

  〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕

内閣総理大臣(菅直人君)

 井上哲士議員にお答えを申し上げます。

 まず、二〇〇九年度の決算についての御質問です。

 私の内閣として国民にお約束をしたことを政治主導、官邸主導で一つ一つ実施をしており、次第に成果が上がってきていると、こう思っております。予算に関しましても、従来の配分の大幅な組替えに取り組み、無駄遣いの根絶、税制改正などで財源を確保し、その範囲内でマニフェスト政策を実施しているところであります。

 御指摘のとおり、平成二十一年度決算は自公政権によって編成された最後の予算に関するものですが、今般の決算審議も踏まえ、内閣としては予算執行についても真摯に対応してまいりたいと思っております。予算の効率的な使用や経理の適切な処理に全力を傾注することを含め、新しい政策選択を進め、国民の負託にこたえていくことといたしております。

 次に、小沢議員の国会での説明についての御質問をいただきました。

 小沢議員が国会で説明する必要があるという認識は、今でも私は変わっておりません。その具体的な方法等については、国会のルールに従い、各党各会派において関係委員会等で議論、決定していただくべきものだと考えております。

 なお、私が小沢議員と会談をした折に、衆議院政倫審への出席の意思について確認をいたしましたけれども、小沢議員からは、個人的には出席の意思は変わらないと、そういうお答えがあったところであります。

 いずれにしても、この問題は国会のルールにのっとって議論されるものであり、決断云々の話とは若干性格が違っていると、このように認識をいたしております。

 次に、介護保険の現状についての御質問をいただきました。

 介護サービス利用者は高齢者の増加率を上回る勢いで増加しており、介護保険制度は着実に国民の間に定着をしてきている、このように考えております。特別養護老人ホームなどの介護基盤整備については、平成二十一年度から平成二十三年度までの三年間に十六万人分の整備を促進しております。さらに、今国会に二十四時間対応のサービスの創設などを行う介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案を提出する予定にいたしております。引き続き社会保障改革の中で在り方を検討してまいりたいと考えております。

 次に、軽度者の介護サービスについての御質問をいただきました。

 今国会に提出予定の介護保険法の改正案において、介護予防サービスと配食、見守り等の生活支援サービスとを組み合わせて、生活を支えるための総合的で多様なサービスを創設し、市町村の判断で実施できることといたしております。この総合サービスは、利用者の状態や意向に応じて提供されるものであり、要支援者等に対するサービスの縮小につながるものとは考えておりません。

 次に、介護保険の国庫負担割合についての御質問です。

 高齢化が進展する中で、介護が必要な状況となっても安心して介護を受けながら生活ができるようなサービスを提供しつつ、制度面でも維持可能なものとすることが重要だと考えております。国庫負担割合の引上げについては、現行の介護保険制度では加入者一人一人の保険料に負担をいただく社会保険方式を採用していることから慎重な検討が必要だと、このように考えております。

 介護保険料や利用料の免除に関する御質問をいただきました。

 今般の社会保障制度改革では、昨年末にまとめました五原則にお示ししたように、新たなニーズに対応して機能強化を行うとともに、持続可能な社会保障を目指し、その安定的な財源の確保を図りつつ改革を進めていくことといたしております。介護保険制度は国民の連帯による社会保険制度であることなどから保険料やサービスの利用者負担をお支払いいただいておりますが、生活保護受給者については負担を求めていないこと、低所得者については保険料や利用料を軽減するといった配慮をしているところであります。

 最後に、法人税等の税制や社会保障の在り方についての御質問であります。

 法人実効税率の引下げについては、企業が海外に移転して雇用が失われることを回避し、国内投資の増加や雇用創出につながる効果を期待して実行するものであり、大企業のためにやっているというよりも雇用確保のためにやっているということを是非御理解をいただきたいと思います。

 また、証券優遇税制についても、景気回復に万全を期するために二年間延長し、平成二十六年一月から二〇%本則税率とすることといたしております。これもかなり低い水準に私が就任したときありましたが、幸いにして、現在、株価も少し上昇してきておりまして、決して大金持ちの人に対して何かということでやったのではなくて、やはり景気の上昇のためにはもう二年間は続けさせてもらおうということで、こうした形を取ったところであります。

 社会保障については、平成二十三年度予算において社会保障予算の五%増をこれは確保しております。今後、安心できる社会保障の確立に向け、まず、あるべき社会保障の姿をしっかりと議論し、その上で税制改革も含めた社会保障と税の一体改革の検討を進めてまいりたい、このように考えております。(拍手)

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