・在日米軍再編でグアム移転と辺野古への移設を切り離す日米合意見直しと日本のグアム移転費負担問題で質問
- 井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
沖縄の海兵隊のグアムへの移転と普天間基地の辺野古への移設を切り離す問題についてお聞きをいたします。
まず、外務大臣、この見直し合意の内容と、そしてそれに至る理由、いかがでしょうか。
- 国務大臣(玄葉光一郎君=外務大臣)
ただいま合意という言葉をおっしゃいましたけれども、現時点は協議中ということでございます。
ただ、再三この場で申し上げておりますけれども、やはり抑止力を維持して沖縄の負担を早期に軽減する、そういう観点で、柔軟性を持って協議をしているということでございます。
- 井上哲士君
その協議に至った理由についてもお聞きしているんですが、いかがでしょうか。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
理由ということでございますけれども、まさにこの間の日米合意というものが、残念ながらそれぞれ事情を抱える中で、例えば日本の場合は沖縄をめぐる状況、沖縄との関係において、米国は議会との関係において、したがってその日米合意を進めるそのためにお互いに知恵を出そう、そのための柔軟性を持って協議しよう、こういうことでございます。
- 井上哲士君
これと連動して、沖縄の海兵隊の一部を岩国に移設する動きについて、今朝の総理の答弁では日米協議はしていないという話でありましたが、アメリカからの打診はあったんでしょうか。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
そういう移転の詳細とかそういった具体的なことについて、全く協議しておりません。
- 井上哲士君
いや、打診はあったのかとお聞きしているんです。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
いずれにしても、全く協議をしておりません。
- 井上哲士君
じゃ、今後あった場合には協議の対象になるんですか。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
それは、まさにそういう状況に置かれたときに、当然我々としてどういうふうに考えていくかということについて検討していくということだと思います。
- 井上哲士君
協議対象にはしないという答弁ではありませんでした。
では、このグアムと辺野古を切り離すことによって普天間の固定化論ということも言われておりますが、アメリカ側から普天間基地の補修費を要求されていると、こういうことはあるんでしょうか。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
この場でも再三申し上げていますが、辺野古への移設ということについて、日米両政府とも強くコミットしております。今まで、普天間のことを移設していくために、沖縄の皆様に我々は丁寧に説明をして、理解をしていただきながら物事を進めていくんだということを再三申し上げてきたわけでございます。ですから、そういったことも踏まえて、今のような協議もさせていただいているということでございます。
- 井上哲士君
今のような協議ってよく分からないんですが、つまりアメリカ側から普天間の補修費の要求があって協議しているということですか。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
そういったことも含めて、協議しておりません。
- 井上哲士君
ちょっと意味分からない。
じゃ、何を協議しているんですか、さっきの答弁のは。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
いや、今の質問、よく分からないんですけれども。
つまり、いや、だから何を協議しているのかと言われるから、先ほど来から私が申し上げているとおり、いわゆる抑止力の維持と沖縄の負担の早期軽減という観点で、柔軟性を持って、特に沖縄の負担軽減の可能性というものを追求しているということを申し上げているわけです。
- 井上哲士君
きちっと答えていただきたいんですが、その結果、普天間の補修費というのはアメリカから今要求があるんですか、ないんですか。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
そういう移転の詳細とか様々なことはこれから協議していくことになるだろうと。今は方向性の議論をしているということでございます。
- 井上哲士君
それは固定化にかかわる重大な問題なんですね。ちゃんと答えていただきたいんですが。
やはり、今回の見直し合意というのは、オール沖縄のこの新基地建設反対という声、そして、アメリカ側からいいますと財政困難、そしてオバマ政権の新たな国防戦略の中で、これまでの日米合意が破綻したということですよ。
そして、元々、アメリカが銃剣とブルドーザーで奪って、そして世界一危険だと言われているこの普天間基地を早期に閉鎖、返還すると、これがこの問題の原点だったんですね。ところが、この普天間の返還ということに辺野古へ移設するという条件を付けたから、今日までずっとこの問題は解決しないままで来ているんです。ですから、辺野古移設ということをあなた方がしがみつくならば、結局、これ普天間固定化につながるんですよ。
私は、これまでの合意が破綻をした以上は、この普天間基地の無条件返還という立場で政府は交渉に臨むと、これが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
先ほど来から申し上げておりますけれども、普天間の移設先は辺野古が最善であるというのが、日米両政府ともそういう考えでございます。
- 井上哲士君
オール沖縄の声は、それをもう不可能にしています。結局、そういう態度は普天間の固定化を皆さん自身がつくり出すんですよ。それを今転換するということが求められているんです。
じゃ、再度聞きますが、この日米合意の見直しに伴って日本のグアム移転費の負担も見直されるということでよろしいでしょうか。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
まさにそういったことは、まさに、そういったことというより、方向性を今協議しているわけでありますから、今の協定云々まで現時点でこの場でお答えをすることは、予断を持ってですね、それはできないということでございます。
- 井上哲士君
じゃ、これまでがどうなっているかということを防衛大臣にお聞きしますが、日米合意に基づいて日本が負担をしたグアム移転予算について、二〇〇九年度、二〇一〇年度に真水事業で日本が計上してアメリカに送金した額とその執行状況はどうなっているでしょうか。
- 国務大臣(田中直紀君=防衛大臣)
平成二十一年度予算では約三百四十五億円を計上し、同額を米国政府に移転し、このうち予算総額二百十八億円相当の事業について約百二億円で契約されていると承知をいたしております。平成二十二年度予算については約四百六十八億円を計上し、同額を米国政府に移転していますが、これまで契約はされていないと承知をしております。平成二十三年度予算については約百四十九億円を計上していますが、米国政府には移転しておらないのが現状でございます。
- 井上哲士君
二〇〇九年度、二〇一〇年度で約八百億円がアメリカに送金されておりますが、今の答弁でいいますと、約一割ぐらいしか執行されていないわけですね。この送金した資金は、じゃ、一体どういうふうに取り扱われているんですか。
- 国務大臣(田中直紀君)
現在は、移転された真水資金は米国政府において管理され、事業の進捗に合わせ執行されていくと理解しております。また、未使用残額や利子は原則として返還されるほか、必要に応じ日米間で相互に協議をするということになっております。
いずれにいたしましても、我が国にとって不利益が生じないように適切に対応していくことでございます。
- 井上哲士君
ですから、二年間送ってもほとんど使われていない。そして、今年度予算でいいますと、予算計上はしたけれども、アメリカには送金せずにこの補正で繰越明許費ということになっております。
私は、二〇一〇年の八月の予算委員会で、二〇〇九年度のグアム移転資金が米国に送金されたにもかかわらずほとんど執行されていないという問題を当時の防衛大臣にただしました。そうしますと、二〇一四年までに使われるからという答弁でありましたが、翌年も、送金をしたけれども、今執行はゼロという話でした。そしてさらに、今年度予算でも計上したけれども、これは送金してもめどがないということで繰り越すということになっているんですね。
皆さんは、これをアメリカと協議して積算して、毎年精査して予算に計上していると言っているんですよ。何で三年間も全く使われないような予算を計上されたんですか。おかしいじゃないですか。
- 委員長(石井一君)
玄葉外務大臣。
- 井上哲士君
防衛大臣、防衛大臣。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
いや、それは、グアム協定は有効であるということからそのような措置になっているというふうに思います。
- 井上哲士君
じゃ、防衛大臣、なぜ送ったのに執行されていないんですか。
- 国務大臣(田中直紀君)
平成二十三年度、真水予算約百四十九億円を計上しましたけれども、予算成立時に想定し得なかった米国内の状況により、今年度中の資金移転が必ずしも容易でなかったという事態でございます。
- 井上哲士君
いや、これは三年連続なんですよ。三年前のときもこれ指摘したのに、また三年間こうなっているのはなぜかということを聞いているんですよ。
- 委員長(石井一君)
玄葉外務大臣。
- 井上哲士君
防衛大臣、防衛大臣。防衛大臣に聞いているんです、防衛大臣に。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
いや、なぜ執行されていないかということでありますが、今もお話がありましたけれども、残念ながら米国の議会で理解が得られていないと、そういう状況があるということだと思います。
ただ、日米両政府とも、グアムということのこの地政学的な位置、戦略的な位置というもののその重要性というものを我々は十二分に認識をし、日米両政府とも共有をしているということだけは申し上げたいと思います。(発言する者あり)
- 委員長(石井一君)
静粛に願います。
- 国務大臣(田中直紀君)
これまで、移転により地元に与える影響等を考慮し、環境影響評価手続、文化遺産保護のための地元調整や施設配置計画などの見直し措置を行っているところでありますけれども、米側において契約の締結が遅延をしておるということでございます。
一方、二〇一二年に、国防授権法においては、兵力構成の提出等の条件が満たされるまでは、移転済みの真水資金の支出負担行為が禁止されておるという状況でございます。
- 井上哲士君
いいですか。二〇〇九年もこうなっているのに、精査して計上したのに、なぜその翌年も、今年もこうなっているのかと、精査したんですかと聞いているんですよ。防衛大臣、防衛大臣。
- 国務大臣(田中直紀君)
アメリカの事情が当然一つございます。しかし、この事業につきまして、我が国としても、このグアム協定がございますので、その進捗状況を見守ってきたところでありますが、新たな契約を締結することがなかなか困難になってきておるということも事実でございます。
- 井上哲士君
答えてないです。
- 委員長(石井一君)
まあまあ、最近就任したんだからいいだろう。(発言する者あり)
それじゃ、もう一遍答えてもらいます。(発言する者あり)ちょっと待ってください。
速記を止めて。
〔速記中止〕
- 委員長(石井一君)
それでは、速記を起こして。
田中防衛大臣。
- 国務大臣(田中直紀君)
お答えをいたします。
米国政府とのグアム移転計画へのコミットメントは変更はないところでございます。我が国政府といたしましては、沖縄の負担軽減のため、グアム移転事業を着実に進めるという必要の中で予算計上をしてきておるところでございます。(発言する者あり)
- 委員長(石井一君)
井上哲士君。(発言する者あり)いや、まあしかし、答弁......井上哲士君、いかがですか。
- 井上哲士君
いや、今の納得できない。全然答えになっていません。(発言する者あり)
- 委員長(石井一君)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
- 委員長(石井一君)
速記を起こしてください。
- 国務大臣(田中直紀君)
グアム移転を進めることは日米両政府ともコミットメントを変わらず継続をしておるところでありますので、予算を計上してきておるところでございます。
- 井上哲士君
ところが、相手がやっていないから執行されていないんでしょう。一年なら分かりますよ。なぜ二年も三年も同じようなことを繰り返すのかと。精査をして本当に計上したんですかということを聞いているんですよ。(発言する者あり)
- 委員長(石井一君)
それじゃ、安住財務大臣。
- 国務大臣(安住淳君=財務大臣)
ちょっと一言だけ、一言。(発言する者あり)今、防衛大臣が御指摘のとおりなんです。というのは、私はグアムに直接行きまして交渉した人間なものですから、防衛副大臣のときに。
実際は、グアム協定が有効であるので、二年連続、これはお金を送金したんです。これはJBICで事業をすると。しかし、グアム、これはアメリカ国内の問題なので、はっきり大臣はおっしゃらないわけです。私どもも、内政について何か発言するわけにはいかないと。
しかし、遅延をしたということはもうはっきり防衛大臣がおっしゃっているわけですね。アメリカ政府は我々に対して、これについては是非、グアムの地方議会等の大変な反発もあって、これが遅延をしている理由だと。しかし、これについては、二年連続で履行するためにということで、私も着実に住宅や何かの環境整備をしているのは見てきましたので、一〇〇%進捗はしていませんけれども予算計上をしたということでございます。(発言する者あり)
- 委員長(石井一君)
いやいや、静粛にしてください。(発言する者あり)
それじゃ、もう一回、田中防衛大臣。(発言する者あり)静粛に願います。
- 国務大臣(田中直紀君)
いや、まあ、先生も御存じで質問されているんだと思いますけれども、事業の内容は精査してきておるところでございますし、両政府でコミットメントは変わらないで来ておるわけでありますので、我が国としては予算を計上しておるということでございます。
- 井上哲士君
両政府で積み上げて、毎年必要なものを精査して計上するというのがこれまでの答弁だったんですよ。これが一年目送っても使われないと。にもかかわらず、二年目も送り、今年も計上して、今度はもう使われないから送金もしないと、これはでたらめじゃないかということを言っているんですね。そもそも、やはりアメリカの事情でグアムの基地建設の事業内容も予算も向こうが決めるんですよ。そういうものに日本がアメリカの言いなりに税金を投入してきた。元々国内にあるアメリカの基地にお金を出すということがおかしいんです。
こういう根本を正すべきでありますし、今回の見直しに合わせてこういう負担をするべきでないと、これまで計上したものも全部返還手続も取るし、今回も繰越しをするんじゃなくて被災地支援などに充てると、こういうことが必要だということを申し上げまして、質問を終わります。