・在沖縄海兵隊のグアム移転費用、米領テニアンへの自衛隊駐留問題について質問しました。
- 井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
北朝鮮によるロケットの発射は、弾道ミサイル技術を利用した発射の中止を求めた国連安保理決議の一八七四号に明白に違反する行為であります。
日本共産党は、直ちに志位委員長の談話を発表して、北朝鮮の行為を厳しく抗議するとともに、北朝鮮に対して、情勢を悪化させるいかなる行為も行わないこと、六か国協議の共同声明に立ち返って国際社会の一員としての責任ある行動を取ることを求めました。
同時に、この問題は、今後国際社会が一致した対応を取ること、そして、非軍事、外交的手段に徹するということが大事であります。そのことを政府に強く求めておきます。
その上で、今日は米軍の再編の見直し問題についてお聞きいたします。
二月の八日に日米共同発表が行われて、その具体化の協議が今、日米間で行われております。米議会の証言でも明らかなように、沖縄の海兵隊のグアムへの移転規模が八千人から約四千人に縮小すると。逆に、移転費用の日本側負担については、協定で定められた二十八億ドルを増額するようにアメリカが求めてきております。
外務大臣にお聞きしますが、四月の十二日にアメリカでパネッタ国防長官と会談した際にも増額の要請があって、大臣は、国民が納得する説明が必要だというふうに述べたようであります。今日の報道ですと三十一億ドル、約二千五百五十億円、これで日米間で大筋合意して、今日の夕方にも関係閣僚会議で了承すると、こういう報道もされておりますけれども、国民が増額に納得すると、こういうふうに判断して合意をされたということですか。
- 国務大臣(玄葉光一郎君=外務大臣)
合意などはしておりません。
- 井上哲士君
では、パネッタ国防長官と会談した際の国民が納得する説明が必要と、これはどういうことだったんでしょうか。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
パネッタ国防長官と会談をいたしました。そのときに、経費の負担も嘉手納以南の土地の問題も話をいたしました。今の井上委員の質問は、経費の問題のことだろうというふうに思います。
この経費の問題については、私から、これまでの日米合意との整合性、それと日本国内で十分説明できるものでなければならないということを言いましたし、また、嘉手納以南の土地の返還も、聞かれておりませんがあえて申し上げますが、具体的かつ前向きな見通しを示す必要があるということを私から伝えたところで、議論をしたところでございます。
- 井上哲士君
外国の領土にある外国の基地の建設費用を他国が出すこと自身が前代未聞ですが、沖縄の負担軽減になるということで日本は費用を出すことを約束をしてしまったわけですね。そうであるならば、移転する数が半分になるということであれば、これは大幅に減額をされるのが当然でありまして、国民はどんな説明をされても納得をするものではありません。
その上で、防衛大臣にお聞きいたしますが、日米協定では、この二十八億ドル、約二千三百億円になりますが、これは日本側負担の上限だと、これより超えないんだということになっているんですね。歴代政権は、効率化をしたり節約をしたらこれよりも減らすことができるということを繰り返し答弁をしてこられました。ですから、増額するということがそもそも協議のテーブルにのること自身がおかしいんですよ。そして、ましてや、どういうふうに説明したら増額ができるかと、そんなことを協議するなんというのはもってのほかであります。
自民党政権時代にも私、何度も質問しましたが、当時アメリカ側から、移転費用全体が増えるので日本の負担を増やしてほしいと、こういう要望があったときに、当時の防衛大臣は、上限はこれだけということを曲げるつもりはありませんと明確に答弁をされました。政権交代したら上限はこれだけということを曲げるということが、大臣、許されるんですか。防衛大臣、防衛大臣に聞いているんです。防衛大臣の答弁。
- 国務大臣(田中直紀君=防衛大臣)
前提といたしまして、日米間で協議中であるということでございます。いろいろ報道が出ておることも事実でありますし、今までの経過からいいまして、そのような先生が言われるような報道もされたということもあったと思います。
現在、日米間で協議中でございますので、その前提が生かされるか、あるいはこれからの日米の協議の中で役割分担をしていくということもあるわけでございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
- 井上哲士君
上限を変えないということはお二人からは全く出てまいりませんでした。
今回の見直しは、アメリカの軍事戦略の変更とか財政困難によるものなんですね。だから、アメリカ側の事情なんですよ。向こうの勝手な都合による見直しで上限と日米間で決めたはずのこれを変える、こんなのはあり得ない話でありますし、日本が送金したお金は返還こそ求めるべきなんですね。
しかも、今日の報道によりますと、この三十一億ドルにはアメリカの自治領にあるテニアン島の米軍基地の経費も含んでいると、こういうふうにされております。この間の一連の報道でも、自衛隊が共同訓練で使用することを条件にこのテニアン基地の整備費用の一部負担することを日本側が提案していると、こういうふうにされてまいりました。自衛隊の能力向上につながるという期待があるということであるようでありますが、私はこれはとんでもないことだと思うんですね。グアムの費用負担については沖縄の負担軽減という理由がありましたけれども、それすらもかなぐり捨てるものなんですね。
こういう、日本が共同訓練に使うという理由で費用負担をしたらもう際限なく日本の負担増になる、そういうことになるんじゃないですか。
防衛大臣、防衛大臣に聞いている。予算だから防衛大臣ですよ。日米共同訓練の話なんですから。
- 国務大臣(玄葉光一郎君)
現在、協議中でございますので、先ほどの御指摘について具体的にお答えするわけにはまいりません。
ただ、一般論として、一般論として申し上げたいと思いますけれども、いわゆる自衛隊と米軍の共同訓練そして共同使用、これは効果的そして効率的、創造的な検討を私は行っていくべきであると。基本的な考え方が井上委員とは私は違うというふうに思います。二国間の安全保障、防衛協力、そして地域の安全保障の更なる向上のために、いわゆる共同使用そして共同訓練、これは私は必要なことであると、そう思っております。
- 井上哲士君
日米共同訓練の問題なんですから、防衛大臣の問題ですよ。時間ないんですから、出てこないでください。
大体、このテニアンというのは、あの大戦のときに日本の支配下にあって、上陸した米軍と戦闘、激戦の中で軍人と民間人が一万人以上犠牲になった島ですね。そこにこの自衛隊を再び駐留させて米軍と一層の一体化した行動を広げるということは、私はもう憲法九条にも反するような話だと思います。
そこで、総理、最後聞きますけれども、民主党のマニフェストでは対等な日米関係というふうに明記をされております。にもかかわらず、アメリカ側の身勝手な要求で、こたえて、日米協定で上限と明記されているこのグアムの移転経費の日本の負担を増額することとか、新たな米軍基地の整備を負担するということは、もう対等どころか対米追従そのものですよ。アメリカは財政難を言いますけれども、日本こそ震災復興に莫大な費用を必要としております。しかも、あなた方は今、国民に消費税の増税と社会保障の削減を押し付けようとしている、その一方でこういうアメリカ側の要求にこたえるようなことは絶対にあってはならないと思います。
総理は訪米をされて日米首脳会談もやるようでありますが、こうしたグアム基地の負担の増額もテニアンの整備費の負担も行わないとはっきりアメリカ側に言うべきだと思いますが、総理、いかがでしょうか。
- 内閣総理大臣(野田佳彦君)
グアム移転の経費について一定額を持つということは従来から言ってまいりました。その額については、国民の皆様にきちっと説明のできる、納得のできるもののようにするということが基本であります。
加えて、日米のいわゆる基地の共同利用あるいは共同訓練というのは、私は基本的には推進していくべきものだと考えております。
- 井上哲士君
一定額の負担じゃないんですよ。上限だと言ってきたんですよ。しかも、それは沖縄の負担軽減だと言っていた。その数が半分になるのに負担額が増えるなんておかしい話はないんですね。そして、一般的な基地の問題は、初めて米軍領内に自衛隊を駐留させる、そのための経費も出す、これは本当に重大なことであります。
絶対に許されない、申し上げまして、質問を終わります。