・超党派で協議し、衆院国土交通委員長提案となった離島振興法改正法案の審議でソフト事業の拡充内容や福祉、教育の確保について質問しました
- 委員以外の議員(井上哲士君)
日本共産党の井上哲士です。超党派でまとめてきたこの離島振興法の改正案の質疑に当たって、委員外発言をお認めいただきましたことに岡田委員長を始め理事、委員の皆さんにまず御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。
この改正の議論の前に、日本共産党の国会議員団の離島振興対策委員会として一昨年から離島関係者らにヒアリングを行ってまいりました。その中で、住み続けられる環境をどう整えていくのかと多岐にわたる御要望が寄せられたわけで、これにどうこたえていくのか、今回の法改正で拡充された内容について伺いたいと思います。
まず、改正案は離島への定住の促進のためにソフト施策の充実を図るものであり、その一環として離島活性化交付金等に関する規定が設けられております。その具体的な対象事業は政令で規定することになっておりますが、提出者に伺いますけれども、どういう事業が盛り込まれるということを想定をしていらっしゃるんでしょうか。
- 衆議院議員(打越あかし君)
お答えいたします。
この事業については、衆議院の国土交通委員会においても委員会決議として離島の振興に関する件とし、この中にも私たちの思いを盛り込ませていただいております。
一つ目に、離島漁業再生支援交付金、二つ目に携帯電話等エリア整備事業、へき地保健医療対策費、医療施設等設備整備費、医療施設等施設整備費、離島流通効率化事業、あるいは離島高校生修学支援事業などが定められることを想定しておりますが、さらには、これまで市町村単独事業で行われておりました妊婦の出産、通院等に関する支援でありますとか、その他各地域からそれぞれ特色ある提案によってそういった事業がこれから支援をされていくものというふうに考えております。
- 委員以外の議員(井上哲士君)
今年度から実施された離島流通効率化事業や離島高校生の修学支援策の根拠規定となって、さらに妊婦への支援、人の往来、物資流通費用の低廉化支援対策が広げられることは、離島関係者の要望にこたえる重要な拡充と考えます。
次に、輸送コストの問題について伺いますが、離島はどうしても生活物資や生産品の移動経費が割高になってしまって、島内の物価高や出荷する際の他の地域の生産品との価格競争上の不利が生じております。その点での支援策の拡充が多く寄せられてきたわけですが、特にその中でも自治体の輸送コスト支援というのは重要な役割を果たすものと考えております。
しかしながら、二〇一二年度の予算案では、概算要求には盛り込まれていた離島輸送コスト支援事業の計上が見送られております。来年度以降、こうした事業支援を行っていくに当たって、今回の改正案の中にその根拠となる規定はあるんでしょうか。
- 衆議院議員(赤嶺政賢君)
離島の輸送コスト対策に関して井上議員にお答えいたします。
今回の離島振興法の改正案では、まず第一条において、人の往来及び生活に必要な物資等の輸送に要する費用が他の地域に比較して多額である状況を改善することをまず法律の目的として位置付けているところであります。また、それを受けまして、第十二条では、人の往来及び物資の流通に関する条件の他の地域との格差の是正を図るため、国及び地方公共団体がこれらに要する費用の低廉化に資するための施策の充実に特別の配慮をするものとする旨規定をしております。
提出者といたしましては、今後、第一条の目的を踏まえつつ、第十二条に基づいて離島輸送コスト支援事業などの人の往来及び物資の流通に要する費用の低廉化に資するための施策が推進されるものと期待しているところであります。
- 委員以外の議員(井上哲士君)
そういう根拠規定があるわけでありますから、是非、羽田国交大臣、よろしくお願いいたします。
次に、本改正案では、妊婦の通院、出産支援について規定が設けられて、交通費や滞在費の支援を計画できるよう拡充をされております。しかし、妊婦にとどまらず、例えば高度医療を受ける場合など、必要な保健医療サービスを受けるために本土に行く際の交通費や滞在費など、負担は非常に大きいものがあります。東京都の川島大島町長からも、重い病気にかかれば内地の病院に行かなければなりませんが、医療費はともかく、交通費や宿泊代が大変な負担になります、島に住んでいるから仕方がないと済ませるわけにいかないと、きめ細やかな支援策を求めていきたいという声を伺いました。
本法案では、こういうような人に対する支援についてはどのように対応をするんでしょうか。
- 衆議院議員(赤嶺政賢君)
私もその大島町長のお話は実際にお伺いをいたしました。離島の医療の問題の深刻さということについても痛感をしているところであります。
今回の改正案では、第十一条の二として、離島振興対策実施地域における保健医療、介護、高齢者福祉、そして保育サービスを受けるための条件の他の地域との格差の是正を図るための住民負担の軽減についての規定を設けることにしております。この規定は、離島の住民がこのようなサービスを受けるに当たり、離島の住民であるがゆえに負担を強いられることとなる特有のコストの軽減を図ることを期待して設けられたものであります。
提出者としては、御指摘のような妊婦以外の人の本土への通院について、第十一条の二の規定により適切な配慮がなされるものと考えているところであります。
- 委員以外の議員(井上哲士君)
次に、学校教育の確保についてお聞きします。
島根県の海士町では、町長は、島内に高校があるということで、多くの子供たちに地域で働きたい、地域で役に立ちたいという思いが芽生えてきたのが大きな成果だとおっしゃっておりました。二〇〇八年までの十年間は新入生が半分以下まで激減をしたそうで、そこで、島前高校魅力化プロジェクトというのを立ち上げて全国から島留学を受け入れて、寮費や食費を補助したり、司書の派遣や地域づくりリーダー養成や、大学進学を支援するコースを設置したりするなど取り組まれてきました。
地域を活性化していく上でもこのように離島の高校は非常に重要な存在でありますが、教員の配置基準を定めた標準法で教職員が十分に配置されていないという御要望も伺いました。高校の教職員の加配は欠かせないと思いますけれども、本改正案ではどのように対応をし得るんでしょうか。
- 衆議院議員(赤嶺政賢君)
今の離島における高等学校の役割、任務に照らしての井上議員の質問にお答えをいたします。
今回の改正案では、第十五条第二項として、離島振興対策実施地域における教育の特殊事情に鑑み、公立高等学校などを設置する地方公共団体ごとの教職員の定員の算定及び離島振興対策実施地域に所在する公立高等学校等に勤務する教職員の定員の決定について特別の配慮をするものとする旨の規定を設けることにしております。
また、本案ではこれに関連をいたしまして、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律、いわゆる高校標準法と言われておりますが、これの改正も行って、同法の附則第十一項として、地方公共団体ごとの公立高校教職員の数を算定する場合において、離島振興対策実施地域として指定された地区に公立高等学校が設置されているときは、当該地域における教育の特殊事情に鑑み、政令で定める数を加算する旨の規定を設けることにしているところであります。
提出者といたしましては、御指摘のような要望に対して、第十五条第二項及びその具体策としての高校標準法附則第十一項に基づいて離島の公立学校等への教職員の加配措置が講ぜられるものと考えているところであります。
- 委員以外の議員(井上哲士君)
ありがとうございました。
終わります。