・原発再稼働、福島第一原発の汚染水、停電事故問題で安倍総理、東電社長、原子力規制委員長に質問。毎日400トン増えている汚染水と停電により使用済み核燃料の冷却が30時間近く稼働しなかった問題を取り上げ事故の反省が何もないと強調。事故は収束しておらず事故原因の究明もないなか、再稼働は論外だと主張
- 委員長(石井一君)
ただいまから予算委員会を開会いたします。
まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 委員長(石井一君)
御異議ないと認めます。
それでは、理事に中西健治君を指名いたします。
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- 委員長(石井一君)
平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算、平成二十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。
- 井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
総理は、二十四日、福島を視察した際の会見で、改めて原発の被害について大変な影響があったと述べられました。具体的にはどういうことでしょうか。
- 内閣総理大臣(安倍晋三君)
二十四日に福島を視察をした際、特に警戒区域内においては、事故が発生してから二年が経過をしたのでございますが、事故当時のままの風景というか、全く人通りもなく、人も全く通っていない中で、草が生え、家も被害を受けたままという状況でございまして、改めて原発の事故の悲惨さを再認識したところでございます。
- 井上哲士君
その会見でさらに総理は、低廉で安定的な電力供給がなければ復興もなかなか難しいと述べられました。復興のために原発再稼働が必要だという認識を示されたわけでありますが、福島県議会は、福島県内の十の原発は全て廃炉にしろという意見書を上げておりますし、福島県内の市町村五十九のうち五十二が同様の意見書や決議を上げております。
総理が見られたように、大変な被害を受けている。だからこそ、復興のためには原発はもう障害だというのがこれらの決議なわけですね。総理の認識と福島県民の声は違うんじゃないでしょうか。
総理。総理の認識ですから。
- 内閣総理大臣(安倍晋三君)
一日も早く住民の方々が元の生活に戻れるよう我々も全力を尽くしていきたいと、このように思っております。
先般、警戒区域の見直し等を行って、三万人の方々が、日帰りではありますが、一時帰宅できるという状況になりました。その中において、だんだんつち音が聞こえてくるような、そういう状況をつくっていきたいと思うわけでありますが、同時に、被災地が復興していく上においても働く場の確保も大切でございます。そういう中において低廉で安定的な電力の供給ということも当然考えていかなければならないと、そういう意味でお話をさせていただいたところでございます。
- 井上哲士君
そうすると、この県議会の意見書などはどう受け止められているんですか。
- 内閣総理大臣(安倍晋三君)
福島県議会において、県内の原発の全基廃炉を求める意見書が採択されたことは承知をしております。
福島県内の厳しい現状を考えれば、こうした請願、計画や意見書の提出は十分に理解できます。仮に安全性が確認できたとしても、実際に稼働させるためには、現実には立地自治体などの関係者の御理解が必要になるわけでありまして、この点において、現在の福島県の皆様の心情を考えると、他の原発と比べて再稼働は容易ではないと認識をしております。
今後、福島県内の原子力発電所の取扱いについては、まずは事業者においてこうした状況などを総合的に勘案をしながら判断を行っていくことになると考えております。
- 井上哲士君
総理自身が、福島原発は収束と言える状況にないと言われてきました。地震による損傷など、事故原因の究明もまだだという状態で、私はなぜ新しい基準なので安全ということが言えるのかという問題だと思います。
福島第一原発の被害は拡大をしております。深刻なのは、地下水が毎日四百トンも原子炉建屋に流入し、汚染水が増え続けているという問題であります。
東電に来ていただいておりますが、この問題の現状と対策はどうなっているでしょうか。
- 参考人(廣瀬直己君)
東京電力の廣瀬でございます。お答え申し上げます。
ただいま御指摘のとおり、福島第一原子力発電所の一号機から四号機側の地下水は、建屋の中に、季節によって多少ばらつきますけれども、一日平均で四百トンぐらい入っているのではないかというふうに推定しております。
発電所の付近の地下水は山側から海側に水脈が流れておりますので、発電所の山側に今、井戸を十二本掘りまして、そこで水をくみ上げて地下水の水位を下げて流入量を減らすという今取組を始めようとしているところでございます。
一方で、タンクに水をためているというのもございまして、タンクは、一―四号機側のタンクについては、現在タンクの数が七百六十基ございまして、その容量が約三十二万トンございます。約七百六十基で約三十三万トンでございます。この中で、今その汚染水が満たされているのが約二十七万トンございます。今後、このタンクを増設してまいるわけですけれども、平成二十七年の九月までに約七十万トンためられるように増設する計画を今持っておるところでございます。
以上でございます。
- 井上哲士君
今後、この汚染水を多核種除去装置で放射性物質を除去するというふうにされておりますけれども、全て除去できるんでしょうか。
- 参考人(廣瀬直己君)
多核種除去装置という装置で大半の核種はかなり減らすことができるということになっておりますが、問題はトリチウムというのがございまして、トリチウムは水素と化学的にほとんど同じものでございまして、これはこの多核種除去設備をもってしても取り去ることはできません。
したがいまして、これをどうやって取っていくかということが問題になりますが、重水炉などでそうしたその分離の技術がございますので、それができないかというのを今検討してまいるところでございます。
- 井上哲士君
このトリチウムは除去できないということでありますが、にもかかわらず、この汚染水の海への放出を東電が考えているということに対して、例えば福島の県漁連は漁業再開の道が断たれかねないとして抗議文を出すなど、漁業者、消費者、地方自治体からも厳しい批判の声が出ております。
もしこれが放出されるようなことになれば水産業にどのような影響があると、農水大臣、お考えでしょうか。
- 国務大臣(林芳正君)
お答えいたします。
仮の、仮定ということでございますが、汚染水がもし放出された場合、まず水産物の安全性への影響と、こういうものが懸念をされますし、それからいわゆる風評被害、この拡大が懸念をされるというふうに思っておりますので、平成二十三年の十二月に原子力対策本部が取りまとめました中長期ロードマップ、ここには、汚染水の海への安易な放出を行わないというようなことが書いてありますので、それに従って対応していきたいと思っております。
- 井上哲士君
安全性、風評被害というお話がありました。茨城県内の十四市で構成する県北鹿行市長会も要望書を二十六日に東電に提出をしております。依然として水産業や観光業で風評被害が継続しているなども挙げて、汚染水の海洋放出は決して許されないと、こういう要望書を出しておりますが、東電としてはこれにどうこたえられるんでしょうか。
- 参考人(廣瀬直己君)
茨城県内の十四の市町村からそうした決議をいただいておりますが、私どもとしては液体廃棄物を海洋に安易に放出しないということで対応してまいりたいと思っております。当社としましては、先ほど来申し上げておりますような対策を、いろいろな対策をしっかりやってまいりたいというふうに思っております。
- 井上哲士君
今も安易なということがありました。総理も本会議で海への安易な放出は行わないと答弁をされましたが、安易でなければあり得るのかというふうにも聞こえるわけですね。
私は、これは先ほどありましたような漁連や地方自治体の声を考えたときに、そしてまた消費者への影響を考えたときに、放出は行わないとはっきり明言をしていただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。
- 国務大臣(茂木敏充君)
先ほど東電の廣瀬社長の方からもありましたように、まずは地下水、施設に入る前に、井戸を掘りまして、結局そこを通らずに海の方に出すと、汚染されていない状態でと。そして、入ってきてしまったものにつきましては、セシウム等吸着装置を使った上でそれをきちんとタンクにためていく。そして、タンクの容量につきましても、これからこの九月に八万トン分増設をいたしますし、二〇一五年までについても七十万トンまで増設する計画を持っております。
そういった中で、新しい技術等も使いながら、まずは汚染水を減らしていく、そして汚染水については確実に貯蔵して、そこの中でこのトリチウムを含めまして除染をすると、こういった技術を開発していきたいと思っております。
- 井上哲士君
総理自身が本会議で答えられておりますから、こうした漁業者や地方自治体の不安、怒り、これにこたえて放出は行わないと明言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
- 内閣総理大臣(安倍晋三君)
ただいま茂木大臣が答弁をさせていただきましたが、そのような努力をしっかりと行いながら、当然地域の方々の御心配も十分に私たち理解をしているわけでございまして、どのような状況においても海への安易な放出は行わないということでございまして、今後とも汚染水の管理に万全を期していきたいと考えております。
- 井上哲士君
この問題は本当に深刻でありますから、本当に科学的英知を結集して解決を図るべきだと思います。
さらに、福島第一原発で使用済核燃料の冷却用電源が二十九時間も停止するという事故が起きました。これはどういうことになっていたのか、規制委員会からお願いをいたしたいと思います。
- 政府特別補佐人(田中俊一君)
お答えします。
東京電力福島第一原子力発電所では、十八日十八時五十七分ごろに電源設備の一部が停電しまして、これに伴い、使用済燃料プールの冷却設備等の一部の設備が停止いたしました。その後、東京電力では順次復旧作業を進め、停止していた使用済燃料プール冷却設備は二十日零時十二分までに全て復旧しております。
東京電力の調査では、共用プール等に電源を供給していた配電盤内に焦げ跡があり、その真下の床面に電撃痕のある小動物の死骸が発見されております。このことから、当該小動物の電源への近接により短絡が生じ、共用プール冷却浄化系、三号機、四号機使用済燃料プール代替冷却システム等の施設が停電したものとされております。
- 井上哲士君
国民が驚いたのは、事故後二年もたつのにトラックの荷台に仮設の配電盤のままだったということなんですね。しかも、今ありましたように、原因はネズミによるショートだと言われておりますが、ああいうところでは小動物が入らないような対策をするという安全上当然のことも行われていなかったと。なぜこんなことになったのか。規制委としてはどういう対応をしてきたのか、東電はどういうことをしてきたのか、それぞれお願いします。
- 政府特別補佐人(田中俊一君)
お答えします。
この福島第一原子力発電所における電源設備を始めとした仮設設備の恒久化については、昨年三月二十八日の旧原子力安全・保安院の指示も含めまして、安全上の重要度も考慮しつつ順次作業が進められていることを確認してきております。今般停電の原因になったと考えられる電源設備についても、使用済燃料プールの冷却系の恒久化工事は三月中に完了する予定であったと認識しております。
今後は、最後に残された仮設電源設備である共用プールの冷却系電源についても多重化、恒設化を可能な限り早急に実施するよう東京電力を指導していくことにしたいと考えております。
また、各機器の運転状況の確認や復旧方策の検討、実施に過大な時間を費やしたことを踏まえまして、運転上の監視システムなどの設備的な対応、緊急時対応手順の見直しにより、安全上十分な余裕を確保しつつ早急に復旧するための方策を進めていくことにしております。
なお、これらの具体的な対応につきましては、特定原子力施設に係る実施計画を審査している特定原子力施設監視検討委員会において審議を進めていきたいというふうに考えております。
以上です。
- 参考人(廣瀬直己君)
お答えいたします。
今、規制委員長からお話ありましたように、当時の原子力安全・保安院から指示に基づきまして、今逐次、仮設から本設に移し替えていたところでございまして、問題の停電がありました三号機の使用済燃料プールの代替冷却設備の電源につきましても三月二十二日、それから四号機につきましては三月二十六日に切替え予定でございましたが、そんなときに三月十八日に事故が起こってしまったということで、本当に大変申し訳なく思っております。
ネズミ、小動物対策につきましても、御指摘のように、仮設の高圧配電盤は屋外に設置してありますので、それをシートで覆って入ってこないようなことをして、定期的に外から点検をしておったわけでございますけれども、今回、事故を防ぐことができないということで本当に大変申し訳なく思っております。
現状は本設に切り替えておりますので、さらにそうした開口部をしっかり調査するというようなことも引き続き行いまして、再発防止を努めていきたいというふうに思っております。
- 井上哲士君
順次と言われましたけど、保安院の指示からもうこれは一年たっているわけですね。一年間、事実上放置されてきたわけです。しかも、東日本大震災では複数の電源が失われて重大事故になったわけですが、今回電源のバックアップ体制もありませんでした。しかも、発表は発生後三時間もたったと、安全対策はおざなり、情報公開は遅れ、一体、これで東京電力はあの事故への反省があるのかどうかが問われているんですよ。どうなんですか。
- 参考人(廣瀬直己君)
二年を経過して、今なお情報公開が遅れるであるとか、それから、私ども電気のプロであるわけでございますけれども、その会社が復旧に時間を要する、あるいはさらに、なかなか復旧の見通しが発表できないというようなことが今回ございまして、大変申し訳なく思っているところでございます。
しっかりこれから管理をして、社会の目線に合った、特に被災者の方々が大変心配しておられるということをしっかり、そこにまでしっかり思いをはせて、これからの広報活動等々も進めていかなければいけないと大変反省しているところでございます。申し訳ございませんです。
- 井上哲士君
言葉の反省はありましたが、しかしこの間ずっとこういうことが続いてきたと、私は真摯な反省を感じられません。事故の収束もしていない、原因の教訓も酌み尽くされていないと。
総理、もう一回お聞きしますけど、こういう事態の下で、私はやっぱり再稼働を論ずるような今状況にないと思いますが、改めていかがでしょうか。
- 内閣総理大臣(安倍晋三君)
今後、原子力規制委員会において極めて厳しい基準を決めていくわけでございまして、その中においてこの基準に合うかどうか、この原子力規制委員会において判断をしていただきたいと、このように思っております。
- 井上哲士君
収束もしていない下でそういうことはあり得ないということを申し上げております。
最後に、本暫定予算に日本共産党は反対でございます。
生活保護費などの社会保障費、災害復旧事業費や地方交付税交付金などは当然計上すべきでありますが、他方、在日米軍の駐留経費や米軍再編関連経費を含んでおりますし、しかも消費税増税を前提とした来年度予算と一体を成すものでありますので、賛成できません。
以上、終わります。