○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
本法案による国家安全保障会議では、国家安全保障戦略を策定をすることになります。
それに盛り込むべき内容について、現在、安全保障と防衛力に関する懇談会で議論をされていると思いますが、官房長官、お聞きしますが、その中で武器輸出三原則についてはどのように議論をされているでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 国家安全保障戦略については、本年九月に立ち上げました安全保障と防衛力に関する懇談会において、外交・防衛政策に深い見識等を有する有識者の皆さんから様々な御意見を伺っているところであります。その中で、武器輸出三原則等については、例えば我が国との防衛装備・技術協力に関する各国の期待というのが高まっておる中で武器輸出三原則等を見直していくべきであるといった御意見をいただいております。
なお、政府としては、武器輸出三原則等については具体的な方針を決めたというような事実はなく、また、国家安全保障戦略の具体的な内容は、懇談会の議論を踏まえながら今後政府として検討していきたいというふうに思います。
○井上哲士君 この問題は本会議でもお聞きをいたしました。防衛産業の国際競争力の強化を防衛省が初めて打ち出したということも踏まえて総理にお聞きしたわけでありますが、総理は武器輸出で経済成長を図ることは考えていないという答弁でありましたが、武器輸出の拡大を考えていないと、こういう意味でいいんでしょうか。
○大臣政務官(磯崎仁彦君) 答弁をさせていただきます。
十一月の八日、総理が本会議で答弁をされましたように、当経産省としましても、我が国の防衛産業、生産・技術基盤の維持強化を図っていくということは必要だというふうに思っておりますが、武器輸出によりまして経済成長を図っていく、そういう考え方にはございません。
○井上哲士君 いや、私が聞いたのは、そういう答弁がありましたけど、それは武器輸出の拡大は考えていないという意味ですかと、そういうことを今お聞きしているんです。
○大臣政務官(磯崎仁彦君) お答えをいたします。
そういう趣旨でございます。
○井上哲士君 どういう趣旨ですか。武器輸出の拡大は考えていないという趣旨なんですか。
○大臣政務官(磯崎仁彦君) お答えをいたします。
武器輸出の拡大は考えておりません。
○井上哲士君 いや、与党席からのええっという声が聞こえましたが。現実にはどんどん拡大しているじゃありませんか。そのために、あなた方は、この三原則を次々抜け穴をつくり、そして見直しをしようとしているんじゃないですか。
三月には、イスラエルへの輸出につながるF35の共同開発に踏み出しました。六月には、フランスと防衛装備品の共同開発協議で合意をしました。七月には、イギリスと化学防護服の共同研究で正式合意をいたしました。そして、昨日、トルコとの、同軍の戦車用エンジンの共同開発に向けての記事も一斉に報道されたわけでありますが、これらは武器輸出の拡大ということではないんですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 現在、防衛省は、様々な国と防衛交流をするような状況を取らせていただいております。
これは、委員も御存じのとおり、今の様々な防衛技術というのは、一国だけではなくて、多国間あるいは幾つかの国が集まって新しく開発をするということが世界の主流になっております。そういう中で、私どもとしても、様々な国との防衛交流、その中での技術交流、これも大切なことだと思っております。
○井上哲士君 共同によって輸出を拡大するんでしょう。違うんですか。もう一度お願いします。
○国務大臣(小野寺五典君) 防衛省としては、あくまでも防衛技術交流がこれからやはり各国それぞれ防衛技術、能力を高める中で今主流になっているということであります。
○井上哲士君 明らかに、今幾つか例を挙げましたけれども、武器輸出の拡大が広がっているわけですね。その中でも、昨日、先ほど言いましたように、トルコの問題が大きく報道されました。三菱重工とトルコ政府がトルコ軍の戦車用のエンジンの共同開発に向けて交渉を進めており、トルコ政府が紹介する企業と三菱重工とで合弁会社を設立する意向だと、こういう報道がされております。
これも、政務官、お聞きしますが、外国軍の武器製造に関して外国企業と合弁会社という例はこれまであったんでしょうか。
○大臣政務官(磯崎仁彦君) お答えいたします。
そのような事例はございません。
○井上哲士君 つまり、全くこれまでやらなかったようなことまで踏み込もうとしているんですよ。これが武器輸出の拡大と言わずして何と言うのかということになるわけですが。
これ、防衛大臣ですか、ちょっと確認しておきますが、そうなりますと、仮にこれが進んだ場合にはトルコとの間での秘密保護の協定を作ると、こういうことになるんでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) 日本とトルコの間では様々なレベルで二国間の防衛協力・交流について意見交換を行っておりますが、現在、御指摘のあったトルコとの防衛装備品等の開発を行うということを決めた事実はありません。
したがって、今回報道で、三菱のお話でしょうか、日本の企業のお話だと思いますが、その合弁のことについて報道で出ていることは承知をしておりますが、これはあくまでも企業活動の一環ということになりますので、私ども防衛省としてコメントすることではないと思っております。
○井上哲士君 これ、トルコとの共同開発になりますと、二〇一一年に、野田内閣のときに三原則が緩和をした際の日本の安全保障に資するということにすら当てはまらないのじゃないか、そしてまた、クルド人問題を抱えておりますから国際紛争を助長することになるんではないかと、こう考えますけれども、官房長官、いかがでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 日本とトルコの間では、今防衛大臣が答弁されたとおりに、二国間の防衛協力・交流等に様々な意見交換を行っているけれども、トルコとの防衛装備品の開発を行うことを政府は決めた事実はないという、そういうふうに私ども認識いたしております。
○井上哲士君 F35の共同開発でイスラエルにこれが渡ることも事実上解禁をされ、そして、このトルコとの間で初めて外国の軍の装備のために合弁会社までつくってやっていくということになりますと、まさに何の歯止めもないと、全面解除という方向に進んでいくということになるんですね。
先ほど民間会社同士の話だという答弁もありましたが、これは五月に安倍総理がトルコに訪問した際に発表した共同声明でも防衛協力の強化をうたっているんじゃありませんか。
○国務大臣(小野寺五典君) トルコとは限らず、我が国としては、例えば国連憲章上、我が国と同じスタンスを持つような国同士の間で防衛の技術交流、協力を行うということは大切なことだと思っております。
○井上哲士君 このときのトルコ訪問は、総理に百人以上の経済界の皆さんが同行したということになっておりますが、これ、官房長官、三菱重工の代表もこのときのトルコ訪問に参加をされていたんじゃないですか。
○国務大臣(菅義偉君) 承知はしておりませんけれども、百人ぐらいの大規模な経済関係の皆さんが行かれておりますので、もしかしたら、その中に参加したかどうか分かりませんが、今確認をしていません。
○井上哲士君 経団連の会長とともに三菱重工の社長が同行されたというふうになっておるわけですね。ですから、民間会社だとか言われましたけれども、まさに総理自身が訪問をしたトップセールスによって三菱重工は原発の輸出、これを受注をして、さらに戦車の共同開発までやると、こういうことになっているわけですね。まさに一体となってこういうことが進められているわけでありまして、そういう方向がこの安全保障戦略にも盛り込まれようとしていると、こういう事態であります。
それだけじゃありません。先日、毎日新聞で、革新的な軍事技術を生み出してきた米国防総省の国防高等研究計画局、いわゆるDARPAですね、これをモデルとした新組織を発足させることを政府が方針決めたと、こういう報道がありました。内閣府の総合科学技術会議の下に設置をして、先進的な研究に取り組む民間企業や大学に資金を投入して、産業や社会構造に大きな変化をもたらす科学技術を開発、防衛技術の発展につなげる考えだと。こういうことでありますが、内閣府、来ていただいておりますが、詳細について御答弁ください。
○副大臣(後藤田正純君) お答えいたします。
報道の政府新組織はImPACTのことだと思いますが、このImPACTは、日本再興戦略及び科学技術イノベーション総合戦略、これは六月の閣議決定におきまして創設が決定されたものでございます。このImPACTはあくまでイノベーションということを目標にしておりまして、革新的な科学技術イノベーションの創出、ハイリスク・ハイリターンな挑戦的研究開発を推進すると、こういうプログラムでございまして、八月末に骨子をまとめたところでございます。
報道のDARPAでございますが、これは組織として、委員おっしゃったように、アメリカの国防省の技術の部局でございますが、若干そこで誤解があるんですが、我々はあくまで科学技術イノベーションをいかに発展させるか、その上でDARPAの何を学ぶかといえば、これは組織論でございます。マネジメントの問題でございまして、これは、今度我々がやるImPACTは、今までのFIRST、山中教授での成功でもお分かりのとおり、これを進化させたものでございまして、これは予算面でもそうでございますが、新たに組織論として総合科学技術会議がテーマ設定をいたしまして、それをプロジェクトマネジャーというものを置いてそこに権限を持たせて、まさに今までのFIRST以上にハイリスク・ハイリターンな技術を生み出すようなそういう組織体でございまして、実はDARPAというのは二百五十人の定員がいるようでございますが、そのうちの百人がプロジェクトマネジャーで、そういった意味で、その運用といいますか組織論、マネジメント、これを学ぶと、参考にするということでございますので、特に防衛の技術を発掘するというようなことを目指したものではございません。
○井上哲士君 この報道でも、研究者によっては防衛目的の利用に懸念を持つ可能性もあるということで、支援の中身についてはそこは明確にしないというようなことも書かれておりますが。
じゃ、確認しますが、防衛技術の発掘につながるような研究は排除されると、こういうことでいいんでしょうか。
○副大臣(後藤田正純君) 防衛技術が、もちろん我々の憲法の下で、また自衛隊の在り方の中で、いわゆる防衛技術というものがこれから国民の生命、財産を守るために、これも一つの方向性等あると思いますが、それが結果として、そういう問題と民生の問題とが相互的に作用して、それが我が国の安全とそして我々国民の生活の向上につながるものであれば、それは排除されないと思います。
○井上哲士君 排除されないという答弁でありました。
この組織自身が、今までの防衛省と一部企業だけでなくて、民間の様々な視野をピックアップしてこういう革新的な技術を発掘しようということでありますから、まさに私は報道の指摘どおりだと思うんですね。
防衛大臣にお聞きしますが、防衛大綱の作成に向けて、防衛力の在り方検討に関する中間報告の中では、防衛生産の技術基盤の維持強化という項の中で、民生技術の積極的な活用、大学等の基礎研究との連携の強化等による効果的、効率的な研究開発の推進ということがありますが、こういう方向の具体化ということではないんですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 内閣府の取組とは別に、大綱の議論でありますので、防衛省としての大綱の考え方ということでお話をさせていただきますと、近年、防衛技術と民生技術というのはデュアルユース化あるいはボーダーレス化がどんどん進んでおります。先進的な民間技術、民生技術と連携するということは、これは防衛装備品の要素技術の分野においても大いに相乗効果を生む可能性があります。
厳しい財政の事情もありますし、また何よりも、我が国は民生部分でも優れた技術を持っております。このような技術を防衛省としても是非、国民の生命、財産、領土、領海、領空を守っていくためにも活用していくことは大切だと思っております。
また、これまでも大学や独立行政法人といった基礎研究を実施している機関との間で技術交流、情報交換など行っておりました。このような連携を今後とも積極的に進めていきたいと思っております。
○井上哲士君 私、武器輸出三原則にしても、いろんな様々な研究にしても、憲法九条を持った日本として、そういう優れた日本のいろんな科学技術を武器とか戦争に使わせないというのが我が国の基本的な立場だったはずなんですね。
経済界は実に露骨に求めておりまして、今年の五月に日本経団連が発表した防衛計画の大綱に向けた提言の中では、米国国防総省のDARPAでは、技術の優位性を維持するために、装備品に適用が可能な将来技術への積極的な投資を行っている、我が国においてもこのような基礎的な技術研究を拡充していくことが民生部門も含めた全般的な先端技術開発力の向上にとって必要であると。DARPAのようなものを日本でもつくって民生技術と結合させていこうと、こういう方向を打ち出しておるわけでありまして、まさにそれが私は具体化をされている姿だということを指摘をしておきたいと思うんですね。
さらに、じゃ、宇宙開発についてはどうかと。昨年、JAXA法が改定をされまして、人工衛星の開発や打ち上げ、追跡などの業務を平和の目的に限り実施するということになっていたのが削られましたが、これはなぜでしょうか。文部科学省、お願いします。
○政府参考人(文部科学省研究開発局長 田中敏君) お答え申し上げます。
平成二十年に成立をいたしました宇宙基本法第二条、これは宇宙の平和的利用を規定をしている条文でございます。同条文におきまして、我が国宇宙開発利用は日本国憲法の平和主義の理念にのっとり行われるものとすることが定められてございます。また、同法、宇宙基本法の附則及び附帯決議におきまして、独立行政法人宇宙航空研究開発機構については、宇宙基本法に掲げる基本理念を実現するため、その目的等について検討を加え、見直しを行うということとされてございます。
これを踏まえまして、昨年七月、独立行政法人宇宙航空研究開発機構法の改正に当たりまして、JAXAの目的規定、これは「平和の目的に限り」と書いてございましたけれども、それを宇宙基本法と整合を取る形で改めたという状況でございます。
以上でございます。
○井上哲士君 我が国の宇宙開発は、一九六九年に衆議院での全会一致によって採択をされた、わが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議によって、平和目的に限りというふうになっていたわけですね。それを、まさに憲法の平和原則を反映したものでありますが、国会決議に反して宇宙基本法で軍事目的に道を開いて、そしてこの基本法と整合を取るとして、JAXA法から、平和目的に限る、こういう規定をなくしていったと、こういうことなんですね。この制限がなくなって、防衛産業はまさに拡大を狙っているわけですよ。
日本経団連は、先ほど紹介をしたこの提言の中で、防衛における宇宙開発の明確な位置付けを求めると、こういうことをはっきり明記をしているわけですね。そして、この国家安全保障戦略に盛り込むものとしての議論の中でも、安全保障分野の宇宙開発利用の推進というものが明記をされていると。
ことごとくそういうものが盛り込まれようとしているわけですが、もう一つ、防衛大臣、お聞きしますが、中間報告では無人機の導入についてどのように盛り込まれているでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) 先ほどの宇宙開発の問題でありますが、今、北朝鮮の弾道ミサイル対応等、BMD対応でも宇宙の技術の利用というのは大変重要だということでありますので、私どもは、国を守る、平和的にこの国を守るということの中で、やはりこのような現実の技術開発というのも現在行われているということを認識すべきだと理解をしております。
その中で、無人機のことについてでございますが、無人機の検討につきましては、我が国周辺の軍事力の近代化や軍事活動の拡大、活発化がより一層顕著になってきており、状況によっては短期間で事態が深刻化する可能性がある近年の安全保障環境において、各種事態の兆候を早期に察知することが重要となっているということを前提に、七月に報告しました防衛力の在り方検討における中間報告において、例えば、我が国領海、領空から比較的離れた地域で情報収集や事態の緊迫した際の空中での常時継続的な警戒監視等の点において、現有の装備品の能力が十分でないことから、搭乗員に対する危険や負担を局限にしつつ、広域における常時継続的な警戒監視態勢の強化に資する高高度滞空型無人機の導入についても検討するということで位置付けております。
○井上哲士君 これも、かねてから防衛産業などが求めてきた問題であるわけですね。
社団法人日本機械工業連合会というところが日本戦略研究フォーラムと一緒に毎年報告書を出しておりますが、平成十七年のものを見ますと、無人機の汎用化に伴う防衛機器産業への影響調査報告書というのを出されまして、それへの期待を打ち出しているわけでありますね。
ですから、今挙げましたように、三原則の見直しによる武器輸出の拡大、DARPAをモデルにしたような新しい組織による防衛技術の開発、そして軍事分野での宇宙の開発、さらにはこの無人機の問題。結局、防衛産業の求めに応じたものが今後国家安全保障戦略に盛り込まれ、言わばその国家戦略として格上げをされていくと、こういうことになっていく、それがまさにこのNSCではありませんか、いかがですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 今委員は防衛産業のというくだりがございましたが、私どもはあくまでも、周辺の安全保障環境の状況に対応して我が国の防衛力をどのようにすべきかというところから防衛大綱を含めた防衛力整備の議論をしているところでございます。
○井上哲士君 そのいずれもが、かねてから防衛産業が様々な制約を取っ払ってこういうことをずっと求めてきたということが、結局防衛大綱なり国家戦略に盛り込むものとして入ってきていると。私は、これはもう司令塔といっても軍拡司令塔だと言ってもいいような中身だということが出てきていると思いますよ。
そこで、こういう軍備の拡大の中で、他国との武器の共同開発ということがずっと、先ほど来指摘したようにクローズアップされてきたわけですが、これ外務大臣にお聞きしますが、その際に、相手から前提として求められてきたのが秘密保護に関する協定だと思うんですね。
先ほど紹介した日本戦略研究フォーラムの報告書を見ておりますと、二〇〇八年に当時のアメリカの大使館の防衛駐在官がアメリカの国防省の国防次官のオフィスに行ってこの問題を議論をしたことが報告をされておりますが、共同開発などについて障害とアメリカ側はどういうことを指摘をしているでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の面談ですが、記録確認いたしますと、平成二十年十二月に行われた在米国日本国大使館防衛駐在官等と米国防省関係者との会談を指すものと思われますが、そのやり取り、概要につきましては、同大使館から外務本省に対して報告がなされております。
報告によりますと、本件会談では、国防省におけるアウトソーシングの現状、あるいは国防産業の動向、あるいは日米の防衛装備技術協力等にやり取りが行われたものと承知をしております。
○井上哲士君 報告書が上がっているので、ちゃんと肝心なところを報告してほしいのですが。
その中に、相手側から言われているのが、日米の共同生産の中で障害となっているのが日本政府の武器輸出三原則政策並びに秘密保全体制の不備だと。武器輸出三原則については、BMDの共同開発で若干の緩和がなされたが実質的に変化は見られない。また、秘密保全に関しては、近年生じた防衛秘密漏えい事故が示しているように、米国防省から見ると法体制が十分に整備されていないように思えると、こういう発言を受けたということが報告をされておりますが、この共同開発をする上で秘密保護に対する法整備を強めろということは、これは外務省などもアメリカ側から求められてきたんではないですか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、先ほどの平成二十年の十二月の会談につきましては、やり取り、対外公表を前提としておりませんので詳細については触れるのは控えさせていただきたいと存じますが、情報保全との関係、今、安全保障に関する情報の重要性が高まり、そして情報漏えいの危機、危険性が高まっている。こうした指摘がある中にあって、安全保障に関する情報の一定のものを的確に保護する、これは我が国として不可欠であるという判断を行った次第です。
一般論としまして、こうした情報保全強化されれば、日米間始め他国との間の信頼関係は更に強化され、情報共有、質、量、双方において幅が広くなっていく、こういった期待があります。
こういった点からして、米国政府、従来から我が国のこの取組に注目はしていたわけでありますが、これはあくまでも、この法案の提出は我が国の判断によって提出をしたということであります。
○井上哲士君 まさに、この共同開発などの日米軍事協力の深化の中でアメリカから秘密保護の強化が求められてきたと、その転機はやはり二〇〇七年に結ばれたいわゆるGSOMIAですね、秘密軍事情報の保護のための秘密保持の措置に関する日米間の協定と、これだと思います。
当時、日本経団連の防衛生産委員会の事務局が二〇〇七年十月に文書を発表しております。その中で、こういうふうに今後の課題ということを言っているんですね。GSOMIAの締結に伴い、情報漏えいに関する罰則強化の検討及び処罰対象者の拡大化の検討といった国内の秘密保護法制の整備について検討する必要があると。情報漏えいに関する罰則の強化について検討するとともに、処罰対象者について、外務省等の関係省庁の関係者や国会議員等への拡大化等についても検討する必要があろうというのが、まさに日本経団連の防衛生産委員会の事務局の報告なわけですね。
ですから、国と一体になってこういう軍事の拡大を進めてきた、軍需産業が進めてきた、国会議員の処罰まで求めると、こういう中身をまさに具体化したのが今回の秘密保護法ということになるんじゃないでしょうか。森さん、いかがでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君) 本法案を提出した目的は、情報漏えいに関する脅威が高まり、一旦国民の生命や国家の安全に関する情報が漏えいされますと高度な情報社会の中で一瞬にしてその情報が露呈されるという脅威が高まっている中で、その漏えいを防止することとともに、外国と情報を共有する上で我が国においてそれがしっかりと保全されていることが必要だということに鑑みて、この秘密保全に関する法制を整備をすることを我が国政府として決めたものでございまして、御指摘の論文がこの法案化作業に関係があるわけではございません。
○井上哲士君 時間です。終わりますが、軍事の共同開発を進める軍需産業と一体で秘密保護法制で国民の権利を奪い、国会まで規制するということは許されないということを申し上げまして、質問を終わります。