国会質問議事録

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国家安全保障に関する特別委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 国家安全保障会議で米国と軍事情報を共有するために米国から情報保全法制の強化を求められてまいりました。先日の質疑でも、外務大臣から、米側は日本の情報保全の取組に注目をしてきたと、こういう答弁もありました。
 そこで、まず森大臣にお聞きいたしますが、今回のこの特定秘密保護法案の作成に当たって、米側とはどういう協議をしてきたんでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君) 特定秘密保護法案の具体的な内容について米国と協議を行ったことはございません。なお、日米両政府間において、情報保全体制に対する共通の信頼を増進することを目的として、二〇一〇年三月に情報の保全についての日米協議を設置し、政府横断的なセキュリティークリアランスの導入やカウンターインテリジェンスに関する措置の向上を含む情報保全の更なる改善に向けた方策について意見交換を実施してきております。
 こうした中、平成二十三年六月の日米安全保障協議委員会、2プラス2共同発表において、情報保全のための法的枠組みの強化に関する日本政府の努力を歓迎し、そのような努力が情報共有の向上につながることを期待した旨言及され、本年十月の同委員会共同発表においても、情報保全の法的枠組みの構築における日本の真剣な取組を歓迎する旨言及されているところでございます。

○井上哲士君 今答弁もありました二〇一〇年の三月のオタワで開かれた日米外相会談で合意をして、情報保全についての日米協議が設置をされております。そして、先ほどありましたように、今年十月の2プラス2の共同発表でもそのことについて触れられて、この協議を通じて秘密情報の保護に関する政策、慣行及び手続の強化に関する相当な進展、こういうことが明記をされているわけですね。
 そこで、この情報保全についての日米協議、設置をされて以降の開催の日時や、そして日米の参加者及び協議内容について明らかにしていただきたいと思います。

○国務大臣(岸田文雄君) 日米両政府は、この情報保全体制に対する共通の信頼を増進することを目的として、二〇一〇年三月に情報保全についての日米協議、BISCを設置し、以降、同年十月、そして二〇一一年一月、そして二〇一二年七月、そして二〇一三年七月、計四回開催をしております。
 そして、出席者でありますが、会合によって多少変動はありますが、原則として、日本側からは外務省北米局審議官等を共同代表として、内閣官房、防衛省、警察庁、公安調査庁、経済産業省等の関係者が出席し、米側からは米国務省次官補代理等を共同代表として関係省庁の関係者が出席している。こうした出席者になっております。
 内容につきましては米側との関係がありますので詳細は控えさせていただきますが、同協議は日米両政府がそれぞれの情報保全体制に対する共通の信頼を増進することを目的とし、諜報活動による情報漏えいに対するもの、カウンターインテリジェンスを含め秘密情報の保護に関するそれぞれの政府の見方、政策及び手続について理解の促進に取り組んでいる次第であります。

○井上哲士君 今の中身でいいますと、当然私はこの特定秘密保護法案について議論になったと思うんですが、日本からはどういうことをこの会議で報告をし、アメリカからは何を求められたんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 詳細については、先ほども申し上げましたように米側との関係もございますので控えますが、この協議の目的は、共通の信頼を増進する、これがこの目的でありますし、そして、それぞれの政府の見方とか政策あるいは手続、この現状について、お互いに意思疎通を図り、情報交換をして、お互いの理解の促進を図る、これが目的であります。ですから、現状についてしっかりと確認をし、意思疎通を図る、これが協議の主な内容となっております。

○井上哲士君 そういう一般論ではなくて、まさにこの秘密保護法案がどうなったのか。先ほどもありましたけれども、2プラス2の共同発表では、情報保全を一層確実なものとするための法的枠組みの構築における日本の真剣な取組を歓迎しと、ここまで踏み込んで言っているわけですね。一体、具体的に日本から何を報告し、アメリカから何を求められたのか。私はこれは国会の質疑をしていく上でも重要な資料になると思います。是非、委員会に提出をしていただきたいと思いますが、委員長、お計らいをお願いします。

○委員長(中川雅治君) 後刻理事会において協議いたします。

○井上哲士君 今日、与党の質疑でも、このNSCについて、積極的平和主義は軍備拡張でないということをアピールする必要があるとか、このNSCで軍縮・不拡散の議論をするべきだとか、こういう提起がありました。果たしてそういうものになるのかどうかということであります。
 その点で、いわゆる無人攻撃機についてお聞きをいたしますが、オバマ政権が自国兵士を危険にさらさずに済む無人攻撃機をテロとの戦いの切り札と位置付けております。米軍やCIAがテロ組織幹部を殺害するとして、パキスタンを始めアフガニスタンやイエメン、ソマリア、リビアなどで遠隔操作の無人機による攻撃を行ってまいりました。我が物顔で他国に侵入をして何の罪もない一般市民を殺害するアメリカのやり方に今国際的批判が大きく高まっておりますが、十月末の国連総会にこの問題で報告書が出されておりますけれども、外務大臣、その概要を御紹介いただきたいと思います。

○国務大臣(岸田文雄君) ベン・エマーソン・テロ対策と人権保護特別報告者による国連総会への中間報告、これが本年十月に国連文書として発出されました。同報告書は、テロ対策における無人機攻撃の使用と国家の責任に関するエマーソン報告者の見解を記載したものです。
 報告書の中では、パキスタン、アフガニスタン等における無人機攻撃による民間人被害についても言及しているほか、特に米国に対し、報告書内で提起された法的及び事実上の諸点に対する立場をより明確にするよう要請をしております。

○井上哲士君 肝心なことは触れられないんですが、これ、パキスタンなどで二〇〇四年以降に四百五十人以上の一般市民が犠牲になっておりますし、非戦闘員の保護などを求めて国際法を守るように関係国に報告は求めているわけですね。
 こういう国際的批判が広がる中でありますが、次の防衛大綱に向けた中間報告では日本の自衛隊でも無人機の導入ということを盛り込んでおりますけれども、これはなぜでしょうか。

○国務大臣(小野寺五典君) 我が国周辺の軍事力の近代化や軍事活動等の拡大、活発化はより一層顕著になってきており、状況によっては短期間で事態が深刻化する可能性がある近年の安全保障環境においては、各種事態の兆候を早期に察知することが重要となっております。
 この点について、本年七月に公表した防衛力の在り方検討に関する中間報告において、例えば、我が国領海、領空から比較的離れた地域での情報収集や事態が緊迫化した際の空中での常時継続的な警戒監視等の点において、現有の装備品の能力が十分でないことから、搭乗員に対する危険や負担を局限しつつ、広域における常時継続的な警戒監視態勢の強化に資する高高度滞空型無人機の導入について検討しているということであります。

○井上哲士君 そうすると、やっぱり無人機に対する国際的な批判が広がる中で逆行するものにならないかと思うわけですが、2プラス2でも二〇一四年の春から在日米軍へのグローバルホーク無人機のローテーションによる展開を開始するという米空軍の計画を確認しておりますが、今後これが無人攻撃機の配備につながるんではないでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 本年十月の日米2プラス2ですが、その共同発表においては、より高度な能力の日本国内への配備が戦略的な重要性を有し、日本及び地域の安全に一層寄与することを確認しており、米国は能力の近代化を継続する意図を有し、グローバルホーク無人機のローテーションによる展開を開始するとの米空軍の計画を記載しております。
 まず、一般的にこのグローバルホークですが、偵察機として用いられていると承知をしております。そしてまた、日米間ではこれまでアジア太平洋地域の兵力態勢等について幅広く議論を行ってきているところですが、我が国として、米軍が同機以外の無人機を我が国に配備するとの計画を有しているということは承知はしておりません。

○井上哲士君 今2プラス2を読み上げられましたけれども、米国は能力の近代化を継続する意図を有する、更にやっていくと、こう言った上で、グローバルホークなどを列挙した上で、ただしこれらに限定されないと、こういうこともあえてこの共同発表には書いているんですね。
 今、計画は承知しないと言われましたけれども、今後、それでは、この国際的批判のある無人攻撃機の配備計画ということが出てきた場合は日本としては受け入れないと、そういうことでよろしいんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まずこのグローバルホークは偵察機であり、そしてそれ以外の無人機の配備の計画は承知していないわけですが、今後この無人機の議論は、今国際社会で様々な議論が行われています。我が国としては、こうした議論につきましても大きな関心を持って、また注視をしていきたいと存じます。
 現状においてはこれ以上、グローバルホーク以外の計画は承知していないわけですが、今後の動きについては、国際的な議論も注視した上で、我が国として様々なことを判断していかなければいけないと考えています。

○井上哲士君 関心を持ち注視をすると言われましたけれども、私はそれにとどまっていては駄目だと思うんですね。
 パキスタンのシャリフ首相は十月の二十二日にワシントン市内で講演をして、無人機の使用は主権侵害というだけでなくて、対テロ戦に取り組む我々の努力に有害だと訴えております。パキスタンの国内でも非常に怒りが広がり、またそれがテロの温床になっているという指摘が数多くされております。
 国連の潘事務総長は、武装した無人機に関して、国際人道法に従って使う必要があると、民間人被害を避けるためにあらゆる努力が求められると述べているわけでありまして、民間人が犠牲となるこういう無人機攻撃は国際法違反だ、他国の主権を侵害して殺害を重ねることはテロ対策にも逆行する、温床になっていると。
 こういう国際的な批判について、日本政府としては、関心を持つだけではなくて明確な見解を持つ必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、現状は、無人航空機につきまして、その保有あるいは使用を制限する国際条約は存在はいたしません。ただ、一般論で申し上げるならば、武力紛争における戦闘の方法及び手段、これは国際人道法によって規制されております。無人航空機が武力紛争において使用される場合も同様に国際人道法の適用を受けること、これは当然であります。
 我が国としては、そういった認識を持ちながら今後の国際的な議論をしっかり注視していきたいと考えています。

○井上哲士君 国際人道法に反しているという批判が今世界的に起こっているわけですね。
 アメリカは、この無人機攻撃を自衛のための合法的なものだといって正当化をしてまいりました。アメリカの統合参謀本部の統合特殊作戦ドクトリンというのがありますが、司令官の努力義務としてこういうことを定めているんですね。比例原則というのを掲げて、軍事作戦に起因するものと一般的に考えられる一般市民の人命損失や財産損害と得られる軍事的効果を比較考量することを求めている。市民の人命や財産損害と得られる軍事的効果を比較考量すると。つまり、軍事作戦の効果に見合う一般市民の被害は合法的だと、こういう立場を米軍は取っているんですよ。こういうことも日本としては許容をするということですか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、先ほども申し上げましたように、我が国としましては、この無人航空機の使用につきましても国際人道法の適用を受けること、これは当然であると思っております。そして、そのことは、例えば戦闘手段、戦闘方法の選択に当たっては、軍事的必要性とそして文民及び民用物の保護という人道的要請、この双方の要素を考慮していかなくてはならない、こういった観点に立って砲爆撃は軍事目標に限られるべきであるという区別原則、要は、軍事目標主義等こうしたものをしっかり考慮する必要がある、このように考えております。
 我が国としては、こういった考え方に立ちながら様々な国際的な議論を注視していきたいと考えております。

○井上哲士君 現にそうなっていないから国際的批判が起き、先ほど言いましたように、アメリカは軍事作戦の効果に見合う一般市民の被害は合法的だと、こういうことをやっているわけですね。ですから今、アムネスティ・インターナショナルとかヒューマン・ライツ・ウオッチなど国際人権団体も、無人機攻撃の被害を調査して戦争犯罪につながる国際法違反だと告発をしております。
 先ほどありましたように、今これを規制する条約はありませんけれども、クラスター爆弾も規制されたわけです。日本としてこの規制条約について、関心を持つだけではなくて、きちっと見解を持つべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、テロ対策等に使用されている無人機、これは、この無人機が文民を巻き込んだ被害をもたらしていることについて国際社会の関心が高まっているわけですが、まず我が国としましては、無人機であるなしにかかわらず民間人が巻き込まれる事態、これは極力避けなければならない、このように考えております。
 そして、この議論の中で、ただいまクラスター弾の例を委員の方から挙げていただきましたが、通常兵器のうち、クラスター弾など過度に損害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められるものについては特定通常兵器禁止制限条約の枠内で議論が行われることがありますが、ただ、現状、無人機については同条約の枠内での議論の対象とはなってはおりません。しかし、引き続き、こうした議論が大きな関心を集めています。我々としてもしっかりと注視をしていきたいと考えています。

○井上哲士君 時間なので終わりますが、結局何を言っても注視、関心としか言えないわけで、これほど国際的批判が高まっているアメリカの無人機攻撃に何も物を言えないままNSCによって軍事情報を共有し、軍事一体化を強めることは許されないということを述べまして、質問を終わります。

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