国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2013年・185臨時国会 の中の 国家安全保障に関する特別委員会

国家安全保障に関する特別委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 日本版NSCの設置法案について採決の提案があり場内協議をされているようでありますが、審議は尽くされておらず、引き続き審議を求めたいと思います。
 そして、本法案と一体の秘密保護法案について与党は明日にも衆議院での採決を主張をしております。国民世論を見れば、およそそのような状況ではありません。
 森大臣にお聞きいたしますが、日本弁護士連合会、そして五十二の弁護士会全てが反対を表明をしております。日本ペンクラブ、日本雑誌協会、テレビキャスター八氏、刑事法研究者百二十九氏も反対を表明をしております。さらには、日本新聞協会、日本雑誌協会、日本民間放送連盟も強い懸念や危惧を表明しております。
 今朝、日経新聞の世論調査が出ておりましたが、特定秘密保護法案への反対は十月の前回調査よりも拡大し五〇%に達しております。そして、今国会で成立させるべきは一三%にとどまって、継続審議と廃案合わせますと七八%というのが今朝の世論調査であります。
 審議をすればするほど疑問の声や徹底審議を求める声が広がっているという現状について、森大臣の認識を伺います。

国務大臣(森まさこ君) 日弁連の皆様とは大臣室においてその意見書を出された後に意見交換をさせていただきました。また、報道機関の代表の皆様とも意見交換を直接させていただいて、私からも御説明を申し上げたところでございます。
 御懸念が示されております国民の知る権利、そして知る権利に資する報道の自由、取材の自由等々についてもしっかりと法案の中で配慮をいたしておりますし、通常の取材活動又は一般国民が処罰されるおそれがないということもしっかりとこの審議の中で御説明を申し上げてきたところであると思います。また、各党との修正協議等の中でも建設的な御議論がされているものと承知をしておりますので、しっかりと御説明をしてまいりましたので、何とぞ御採決をいただきたいと、この成立に向けて早期の成立をお願いを申し上げているところでございます。

○井上哲士君 今、説明もし、そして修正協議もしてきたと言われました。
 今朝の日経は、なぜ、どういう懸念があるのかと多い順に挙げますと、チェック機能が不十分、秘密の範囲が曖昧、永久に公開されないおそれがある、報道機関が取材しにくくなる、世の中が萎縮する、つまり、法案の根幹部分について幾ら議論をし説明をしても国民の懸念が広がっています。そして、修正合意したが骨格は変わらない内容に懸念はむしろ広がっていると、こう書いているんですね。
 そして、今懸念の声は国内だけではありません。国連人権高等弁務官事務所が二十二日、二人の特別報告者が日本の特定秘密保護法案に重大な懸念を表明したということを発表しております。表現の自由担当のフランク・ラ・ルー特別報告者は、法案は秘密に関し大変広範かつ曖昧な領域を規定するのみならず、内部告発者やさらに秘密を報道するジャーナリストに対する深刻な脅威を含んでいるとしております。そして、法案の人権基準との適合性について懸念を述べた上で、日本政府に法案についての詳しい情報の提供を求めております。
 外務省としては、どのように受け止めて、どのように対応されるんですか。

○国務大臣(岸田文雄君) 十一月の二十二日ですが、国連人権高等弁務官事務所は、人権理事会の表現の自由の特別報告者、そして健康の権利特別報告者が特定秘密保護法案に関し懸念を表明している旨の共同プレスリリース、発出したと承知をしております。
 まず、基本的には、我が国としましては、この特定秘密保護に関する法律、これは、特定秘密の恣意的な指定が行われることがないよう重層的な仕組みを設け、そして国民の知る権利に資する報道又は取材の自由に配慮しなければならないこと、規定をしております。ですから、御指摘のプレスリリースにあるこの懸念は当たらないとまず基本的には考えております。
 また、本件プレスリリースは、あくまでも個人資格で任命された独立の専門家である特別報告者による懸念の表明であり、国連の機関たる人権理事会の意見ではないと承知をしております。ただ、この特別報告者の懸念につきましては払拭されるようしっかりと情報提供は行っていきたいと考えています。

○井上哲士君 既に行われたということでしょうか、情報提供。

○国務大臣(岸田文雄君) この懸念につきましては、これから精査した上でしっかりと対応を考えていきたいと考えています。

○井上哲士君 特別報告者というのは、大臣も言われたように、独立したものであって、非常に権威のある報告なわけですね。そして、現実に起きている人権侵害ではなくて、法案の段階でこういう懸念が表明をされ、情報提供を求めるというのは極めて異例なことなんですね。そのことへの認識はいかがなんですか。

○国務大臣(岸田文雄君) こうした特別報告者個人の懸念に対しても、これはしっかりと情報提供は行っていきたいと思っています。
 基本的に、先ほど申し上げましたように、この特定秘密の保護に関する法律案、特定秘密の恣意的な指定が行われないよう、また、国民の知る権利に資する報道又は取材の自由についても配慮しなければならない、こうした規定を設けておるということ、こうしたプレスリリースにある懸念には当たらないということ、これはしっかりと説明をし、情報提供はしていきたいと考えています。

○井上哲士君 そういうことが行われても、なお懸念が出されているということを受け止める必要があると思うんですね。
 この特別報告では、さらに、ジャーナリストや市民社会の代表などを含むそのほかの個人が公益のためと信じて機密情報を受け取り又は流布しても、他の個人を重大な危険の差し迫った状況に追いやることがない限り、いかなる処分も受けてはならないということも指摘をしております。
 まさに、今の日本の政府の法案がこうした国際的な人権の立場から見たときに極めて重大な中身を含んでいる。ですから、外国メディアの特派員でつくる日本外国特派員協会も、十一日に、この法案について、報道の自由及び民主主義の根幹を脅かす悪法だとして廃案や大幅修正を求める声を出しているわけですね。
 森大臣にお聞きします。先ほど、早く採決をということを言われましたが、国民の自由と人権にかかわる法案で、国際的にも、そして国内からもこれだけ反対と懸念の声が広がっているのに、そして、賛成という人も含めて徹底審議をという声がこれだけ広がっているのに、なぜその声にこたえようとしないんですか。

○国務大臣(森まさこ君) これまでの審議を通じて丁寧に御説明を申し上げてまいりましたし、また記者会見、そのほかの意見交換等の機会を通じて御説明を申し上げてまいりました。また、今御指摘の国連人権高等弁務官事務所の特別報告者の御意見についてプレスリリースが発出されましたけれども、ここで指摘をされております点ですけれども、秘密情報を告発した公務員、ジャーナリスト及び市民社会の代表者は処罰の対象とされるべきでないとか、公務員の活動について最大限の開示が原則とならなければならないといった点はこの法案によってもしっかりと保障されていると思いますので、これについて特別報告者の御理解をいただけますように、しっかりと外務省を通じて御説明をしてまいるというつもりでございます。

○井上哲士君 今保障されていると言われましたけれども、どういう条文で保障されているんですか。

○国務大臣(森まさこ君) 告発した公務員については、公益通報者保護法によってこれは保護をされております。
 また、二十一条の二項でございますけれども、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、出版又は報道の業務に従事する者の取材行為について、これを正当な業務による行為とするものとするというふうに規定をしております。

○井上哲士君 いやいや、公務員がこの情報は公益に反していると、そういう思いを持ってそれを明らかにした場合に処罰が避けられることになっているんですか。

○国務大臣(森まさこ君) 公務員の場合は、公益通報者保護法によって保護をされております。

○井上哲士君 およそ納得できる問題じゃありませんけれども、さらに、私は、こういう問題も含めて衆議院での徹底質疑がされるべきだと、こういうことを改めて強調しておきます。そんな状況で、およそ参議院にそんな状況で持ってくるようなことではないということを改めて強調しておきたいと思います。
 NSC法案に関してですが、先日、二〇一〇年に設置された情報保全についての日米協議、BISCについて聞きました。今年七月までに四回の日米協議が行われているという答弁でありましたが、アメリカの参加者として、国務次官補代理等を共同代表として関係省庁の関係者が出ているという答弁でもありました。
 このアメリカ側からの出席者には、アメリカの国家情報長官室も入っているんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 情報保全についての日米協議ですが、このBISCにつきましては、多少の変動はあるものの、原則として国家情報長官府の関係者は出席をしております。
 BISCについては、二〇一〇年三月に設置され、以降、同年十月、そして一一年の一月、一二年の七月、一三年の七月と、計四回開催されておりますが、このうち国家情報長官府の関係者は第三回会合を除き計三回出席をしております。

○井上哲士君 アメリカの国家情報長官室からも参加しているという答弁でありました。
 この部屋のトップは米国家情報長官クラッパー氏でありますけれども、今、世界中で大問題になっているアメリカの情報機関による同盟国の首脳の盗聴について、十月二十九日のアメリカの下院でこの国家情報長官のクラッパー氏が証言をしております。
 驚くべき居直りなんですね。首脳の意向を収集、分析することは基本的な信条のようなものだ、情報機関に最初に学ぶ基本は指導者の考えをどう知るかということだと、どんな指導者でも対象になると明言をした上で、通信傍受の目的について、外国首脳の発言が実際に起きていることと符合するのかを確認するためだと米下院で証言をして、同盟国を含む外国首脳の通信傍受を認め、正当化をしているわけですね。ですから、日本とBISCで協議をして秘密保全の強化を求める一方で、同盟国の首脳の盗聴を一方で正当化をしているわけですね。
 外務大臣は先日の答弁で、このBISCでの議論について、諜報活動による情報漏えいに対するものを含め、秘密情報の保護に関するそれぞれの見方、政策及び手続について理解の促進に取り組んでいると、こうおっしゃいましたけれども、同盟国の首脳の通信傍受は当然だという、こういうアメリカの見方についてもこのBISCで理解を促進をしてきたと、こういうことになるんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) BISCのこの協議内容、詳細は控えなければなりませんが、本件協議は、日米両政府それぞれの情報保全体制に対する共通の信頼を増進することを目的として、諜報活動による情報漏えいに対するもの、カウンターインテリジェンスを含め秘密情報の保護に関するそれぞれの政府の見方、政策あるいは手続、こういったものの理解の促進に取り組んでいるということであります。
 そして、御指摘のNASAによる通信記録の収集問題につきましては、日米間で実態把握のための意思疎通を今日まで続けておりますし、これからも続けていきたいと考えています。

○井上哲士君 NASAではなくてNSAですね。
 本会議でも私は、情報共有のために信頼関係が必要だというならば、このNSAによる日本大使館に対する盗聴について抗議をして事実解明を求めるべきだと求めましたけれども、今と同じように、一層緊密に意思疎通すべくアメリカに申し出たと、こういう話でありました。
 確認をいたしますが、抗議し、事実解明は求めたのですか、求めていないのですか、はっきり答弁をしていただきたいと思います。

○国務大臣(岸田文雄君) NSA、米国家安全保障局による通信記録の収集問題につきましては、国際社会において様々な報道が流れ、また議論も行われております。そして、日米間で実態はどうなのかということについて、実態把握のために意思疎通を図ってきているわけです。
 そして、オバマ大統領は、この問題につきまして外部有識者によるレビューグループを設置すること等の具体的措置を既に発表しております。同グループによる情報収集技術等の能力の在り方等についての最終報告、これは年内に発出されると承知しておりまして、我が国としましては、こうした動きもしっかり注視をしていきたいと存じます。
 我が国に対してどうなのか、我が国の状況につきましてしっかり情報把握に努めていきたいと考えています。

○井上哲士君 抗議という言葉が出てこないんですね。
 じゃ、外務大臣にお聞きしますが、十月二十五日の記者会見で、日本大使館に対する盗聴問題について問われてお答えですけれども、どのようにお答えになっているでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) さきの記者会見では、通信の自由、不可侵が保障されている在外公館等に対する情報収集活動は外交関係に関するウィーン条約との関係から問題がある、こういったことにつきまして一般論として申し上げた次第であります。

○井上哲士君 一般論としてやはりこれは国際法違反だと、こういう認識なんですね。そうであるならばやっぱり抗議すべきじゃないですか。なぜ抗議ができないんですか。

○国務大臣(岸田文雄君) 現状、実態把握に努めている状況であります。実態を把握した上で対応を考えていく、こういったことになります。

○井上哲士君 盗聴に関する事実関係が明らかになったら抗議をすると、そういうことで確認してよろしいですか。

○国務大臣(岸田文雄君) 仮定で物を申し上げるのは控えさせていただきますが、まず実態を把握しなければならないと考えています。

○井上哲士君 幾ら言っても抗議というのを口にされません。これだけ問題が出ていて、そしてドイツやブラジルなどが抗議をして事実解明について積極的に行動をしているときに、なぜそれができないのかと。
 意思疎通を盛んに言われますけれども、じゃ、逆に聞きますけれども、日米間の意思疎通が不足していたからこういう通信傍受が行われた、盗聴が行われたと、こういうふうに認識されているんですか。

○国務大臣(岸田文雄君) 我が国は、日米間でどうであったのか、そうした実態把握に今努めているわけであります。実態を把握した上で、必要があればしかるべき対応をしていく、これは当然のことだと思います。まずは実態把握に努めていきたいということで意思疎通を続けている、こうした現状であります。

○井上哲士君 ドイツ、ブラジルは、国際法の下で保障されているプライバシーの保護の権利を全ての国が守るように求める通信保護の決議案を国連総会の第三委員会に提出をしておりますけれども、その内容について御説明いただきたいと思います。

○国務大臣(岸田文雄君) こちらは十一月の一日ですが、国連第三委員会におきまして、デジタル時代のプライバシーの権利決議案、これがドイツ及びブラジルによって提出をされました。
 本決議案の趣旨ですが、情報通信技術の発達により個人が使用する情報通信技術が高度化する一方、政府等の情報収集能力も向上する中で、自由権規約等に規定されているプライバシーの権利保護を確認するものと承知をしております。

○井上哲士君 各国には、国際人権法上の義務に従った立法など人権侵害を終わらせる措置をとることや、監視に関する手続、実践、法律を見直して透明性を確保し、説明責任を明確にするために独立した監督機関を設けることなど、この決議案は呼びかけております。これ、名指しはしておりませんけれども、アメリカのNSAによる通信傍受を非難をした、そういう中身になっているわけですね。
 十一月末にも国連総会第三委員会で採択をされることになっております。ドイツ、ブラジルは欧州や中南米諸国と協議中で、フランスやキューバ、ベネズエラなどが共同提案国になるという報道もされておりますが、日本はこの決議案、どのように対応されるんですか。

○国務大臣(岸田文雄君) この決議案につきましては、国連規約で定められております自由権規約等に規定されているプライバシーの権利保護を確認するという内容でありますが、現在、我が国としましては、関係国により協議中でありますので、採択時に存在しなかった情報通信技術を踏まえたプライバシーの権利保護の在り方について国際的合意を見出すべく、我が国としてもこの協議に参加をしております。引き続き協議を続けていきたいと考えています。

○井上哲士君 この決議は、名指しはしておりませんけれども、アメリカNSAによる通信傍受を非難したものでありまして、明確な対応を日本政府がするということを改めて強く求めておきたいと思います。
 アメリカによる通信傍受はこれまでも問題になってまいりました。アメリカを中心に構築された軍事目的の通信傍受システム、エシュロンであります。同盟国にある米軍の施設や大使館を使って電波を傍受したり、直接通信線を盗聴することで莫大な情報を収集していると言われてきました。
 二〇〇一年に欧州議会がこのエシュロンの存在を断定する報告書を発表し、重要な点は、軍事通信だけではなく、私的あるいは商業通信の傍受を目的としていることであるとこの報告書は述べております。その上で、日本では米軍の三沢基地にその傍受基地があるということもこの報告書では明記をされておりますが、この欧州議会の報告書を受けて、アメリカに事実の確認を日本政府はしたんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の欧州議会の報告書ですが、この報告書については承知しております。しかしながら、いわゆるこのエシュロンの事実関係については把握はしておりません。また、三沢飛行場に通信施設が所在していること、これは承知をしておりますが、米軍の運用については政府としては把握をしていない、こうした立場にあります。
 そして、このNSAによる通信記録の収集問題等、日米間でしかるべくこの実態把握の意思疎通、先ほど来申し上げているように続けております。引き続きまして、こうした情報収集問題については意思疎通を図っていき実態把握には努めていきたい、このように考えております。

○井上哲士君 米軍の運用については承知をしていないと言われましたが、これだけ欧州議会という公式のところから報告が出されている以上、三沢基地にそういうものがあるのかどうかと、これは当然主権国家であれば確認をするのが当たり前だと思いますが、確認をしたのか、されていないのか、明確にお答えください。

○国務大臣(岸田文雄君) 日米間においては、情報収集に関しましてもしっかり意思疎通を図っております。そして、その詳細については、事柄の性質上、これは明らかにするのは控えなければならないと思っています。
 いずれにしましても、我が国と米国との関係、実態についてはしっかりと実態把握をしなければいけない、そういった思いで意思疎通、努めていきたいと思っています。

○井上哲士君 いや、事柄の性質上と言われますけど、日本の主権にかかわる問題なんですよ。事柄の性格上、明らかにするべきじゃないですか。
 官房長官、お聞きしますけど、先日の衆議院の答弁で、この問題について問われて、米軍の三沢基地の通信施設の運用については把握していないと述べられた上で、我が国においては通信傍受はないと考えておりますと、こういうふうに言っておられました。把握もされていないのに、何を根拠にないというふうに答弁されたんですか。

○国務大臣(菅義偉君) 米国家安全保障局による通信記録の収集問題については、日米関係でしかるべき意思疎通を図っている、これは外務大臣の答弁のとおりでありますし、また、日ごろより情報の保全については政府として対策に万全を期しております。
 情報保全措置の具体的内容については、事柄の性質上お答えすることは差し控えたいと思いますけれども、こうしたことを踏まえて、米国による政府中枢等対象とした通信傍受の事例は認識していない、その旨を申し上げたところであります。

○井上哲士君 あなたは、ないと考えておりますと、認識していないじゃなくて、こういう答弁をされているんですね。
 先ほど来挙げていますように、相手の米国の側が、指導者の考えを知ることは当然だと言って、こういう通信傍受について当然視をしているわけですよ。そこと意思疎通をしている意思疎通をしていると言って、何もないと言っているというのは、一体何が根拠なのか。
 これまで自民党は、日本はスパイ天国だと、こういうふうに言ってきました。だから法規制が必要だということも強調されてきました。しかし、一番のスパイ活動をやっているのはアメリカじゃないですか。そこと情報保全の協議をしてきたと、こう言いながら、盗聴問題にも抗議をしない、このエシュロンの問題でもアメリカに事実確認をしない、それで日本の主権守れるんですか。官房長官、いかがですか。

○国務大臣(菅義偉君) まず、私、そのないということは、情報保全については政府として、日本政府として対策を万全に期しているという、そういうことも踏まえた上で、私は先ほど申し上げたとおりのことを言ったわけであります。
 やはりここは、外務大臣、森大臣が答弁にあったように、国家として私ども主張すべき点は主張しながらもしっかりと対応しているということであります。

○井上哲士君 およそ主張すべき点を主張しているとは思えないんですね。
 スノーデン氏の告発によって、専らアナログ対応のエシュロン以外に、デジタル対応のPRISMと呼ばれるインターネット情報収集システムの存在も明らかになりました。これは今年の春の話でありましたけれども、先ほども指摘したアメリカの国家情報長官のクラッパー氏が六月の八日に声明を出しております。このPRISMの存在を認めた上で、インターネット通信の監視についてアメリカは、国外に住む外国人だけを対象にしたものだと、アメリカ国民はやっていませんから大丈夫ということが言いたかったようでありますが、国外に住む外国人は対象にしているということを正式に認めているんです。
 六月のG8サミットで、オバマ大統領が各国の首脳に対して活動は合法的に行われると言っておりますが、要するに裁判所の監視の下に行われているということのようでありますが、そうであれば、外国に住む外国人のインターネットの情報を収集してもいいのかと問われるわけですね。
 先ほどのBISCの会合は今年の七月に最終が行われておりますが、このクラッパー氏がPRISMについて認めた声明出したのは六月八日であります。その後行われたこのBISCの会合では、この場で日本としては説明を求めたんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国としては、情報の保全について政府として万全を期しているところであります。ですから、それを踏まえて、我が国として米国による政府中枢等を対象とした通信傍受の事例は認識をしていない、こうしたことを申し上げております。そして、その上で、引き続きまして、日米間では実態把握について意思疎通を図っているということであります。
 具体的な詳細については、この場では控えさせていただきたいと存じます。

○井上哲士君 日本が認識できるようなやり方でやられたら大変なんですよ。分からないようにやっているから、これは通信傍受なんですね。
 国外に住む外国人のネット通信の監視は合法的に行っていると、アメリカの国家情報長官が言っているんですよ。それについて説明を求めずにどうやって信頼関係の促進ができるんですか、お答えください。

○国務大臣(岸田文雄君) 情報収集、情報の在り方について日米間で意思疎通を図っているわけであります。そして、そのやり取りの中でしっかり信頼醸成をしていく、こうした努力を続けております。引き続きまして、意思疎通を図っていきたいと思っています。

○井上哲士君 相手の盗聴するのは当たり前だと言っている人と意思疎通をして信頼関係がつくれるというのは、私には全く理解ができません。主権侵害に対するこういった問題の抗議も事実解明も要求もしていません。
 先日の質疑で、アメリカの捏造情報を同盟国の信頼関係が基本だからということでうのみをして、あの国際法違反のイラク戦争に支持をしたことに対する反省もないことが明らかになりました。にもかかわらず、日米同盟強化だといって情報共有の強化を図るということは、一層私はこの面でもアメリカへの従属を強めて、同じ過ちを繰り返すだけだということを言いたいと思います。
 最後、森大臣にお聞きしますが、先日の答弁で、違法に収集された情報は特定秘密にならないというふうに言われました。アメリカは、国内法上はこれは合法だと言っているんですね。しかし、岸田大臣が言われましたように、国際法上は問題があるわけですね。米国が、国内法上は合法だけども国際法に反するような盗聴を行ってその情報がもたらされた場合というのは、取扱いはどうなるんでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君) 個別具体的な案件についてはお答えを差し控えますが、一般的なことで申し上げますと、外国との間で情報交換が行われる際に、外国において適正に情報収集活動が行われることを前提として提供を受け、その情報の保護を図ってまいります。
 仮に、想像し難い事態でございますけれども、仮に提供された情報が当該の外国により違法に収集されたものであるということを当該国が明らかにした場合には、その情報の取扱い等については当該国と協議し対処することになると考えております。

○井上哲士君 アメリカは国内法上は合法だと言っているんです。しかし、それは国際社会では認められないことなんですね。そういうものがどういうふうになっていくのか、極めて重大な問題だと思いますが、今後更に質問をしていきたいと思います。
 終わります。

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