国会質問議事録

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本会議

○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、国家安全保障会議設置法案に反対の討論を行います。
 本法案によって設置される日本版NSCは、日本の外交・安全保障の司令塔だとされますが、検討されている国家安全保障戦略や防衛大綱の見直しの中身を見れば、首相の下に戦争、軍拡の司令塔をつくるものにほかなりません。秘密保護法と一体で主権者国民を罰則で脅し付けながら、あらゆる情報を隠しつつ米国との情報共有を行い政策決定を進めるものであり、集団的自衛権の行使に向けた検討と併せ、憲法に反する、海外で戦争をする国への体制整備にほかなりません。
 国家安全保障戦略で名実共に武器輸出国になるための検討がされていることは重大です。
 これまで、武器輸出三原則は様々な抜け穴がつくられ、紛争当事国であるイスラエルへの輸出につながることを承知で、米国等とのF35の共同開発にまで乗り出しています。さらに、総理のトップセールスの下で、トルコ軍の戦車のエンジンの共同開発のために合弁会社まで設立をされます。加えて、政府は、米国の国防高等研究局、DAPAをモデルにした新組織を発足させ、政府が資金援助をして革新的な防衛技術の発掘を進めようとしています。国会決議され、国是とされてきた武器輸出三原則を公然と投げ捨て、防衛産業の国際競争力強化を掲げ、武器輸出で成長する国に進むことなどは絶対に許されません。
 さらに、ジブチの基地の拡充を始め、国際平和協力活動のためとして、自衛隊の海外基地の整備を図ることが検討されています。日本防衛とは全く無縁であり、世界の警察を自認する米国をまね、それに付き従って海外での軍事行動を広げるための検討にほかなりません。今や外国に軍事基地を置く国は、巨大な基地ネットワークを持つ米国以外、イギリス、フランスなどが僅かに持つだけです。軍隊の外国駐留が縮小の道をたどる大戦後の世界の流れにも逆らうものであり、このような検討は直ちにやめるべきです。
 NSCにより米国との情報共有を強化するとしています。しかし、日本政府がイラクの大量破壊兵器保有の証拠だとする米国の捏造情報を、真偽を我が国として確認できない部分がほとんどとしつつ、米国との信頼関係が基本だとうのみにし、国際法違反の戦争を支持をしたことについて、まともな検証を行う意思も反省もないことが審議を通じて改めて明らかになりました。
 米国との間には、情報保全についての日米協議、BISCが二〇一〇年に設置され、今年七月までに四回の協議が行われています。その米国がやっていたことは何か。ドイツなどの首相や日本の在米大使館を対象にした盗聴です。
 米国家情報長官クラッパー氏は、十月二十九日、アメリカの下院で証言し、情報機関に最初に学ぶ基本は指導者の考えをどう知るかということだ、どんな指導者でも対象になると述べ、同盟国を含む外国首脳の通信傍受を正当化しています。ところが、政府は、米国との意思疎通を図っているなどと繰り返すだけで、事実解明の要求も抗議もしていません。一体これでどうして主権を守ることができるのでしょうか。
 同盟の強化だとして情報共有を強化することは、米国への従属を深め、イラク戦争と同じ過ちを繰り返すだけです。政府には、イラク戦争への対応について正面から誠実な検証を行うとともに、盗聴による主権侵害に対して毅然と対応し、同盟ありきの外交判断と政策姿勢を根本的に改めるよう強く求めるものであります。
 以上、反対理由を申し述べ、討論を終わります。(拍手)

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