国会質問議事録

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国家安全保障に関する特別委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 今、それぞれの同僚議員からありました。会期中に何が何でも強行すると、そういう立場での極めて乱暴な委員会運営が行われている。まず、厳しく抗議をしたい。
 参議院に送付されてからまだ僅か一週間です。昨日までまだ十六時間しか質疑をしていません。しかも、議論をすればするほど反対の声が広がっております。
 山田洋次さんらが呼びかけた映画関係者の反対する会には、宮崎駿監督や吉永小百合さんなど二百六十四人が賛同しています。ノーベル賞受賞者の益川敏英さん、白川英樹両氏を始めとした学者の会の賛同者は二千人超えました。そして、国連人権高等弁務官も、どんな不都合な情報も政府が秘密に指定できるようになる、こういう懸念を表明しております。
 総理、デモをテロと同一視した幹事長のように、こういう国民世論を敵視するつもりですか。先ほど、どこかの段階で採決をすると言われましたけれども、こういう国民の声を無視して採決をする段階にあると、そういうお考えですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) かつてPKO法案を成立をさせた際にも様々な議論がありましたし、そうした民間の方々から反対の声もありました。しかし、結果としては、まさにその結果、日本は世界において世界の安全と平和のために大きな貢献をしているわけでございまして、あのときの反対論は何だったのかなということであります。
 今回の議論についても、この間、相当議論も深まってきたのではないかと、こう思うわけでございまして、議論が深まる中において、十二の論点について、我々は野党のみんなの党あるいは維新の会の皆様の修正に応じて、建設的な修正ができたのではないかと、こう思っている次第でございまして、問題は、今までの様々な秘密の保護の在り方にも問題、課題があったわけでありまして、それをそのままにしていいということにはならないわけでありまして、そうしたものについてしっかりと我々はルールを作っていく、そして運用もちゃんとしたものにしていくと、こういうことであります。

○井上哲士君 そういう政府の説明に国民が納得してないのをどう考えるかと聞いたんですよ。かつての反対が何だったかというような発言もありました。この反対の声を何だと言うんですか。本当にひどい答弁ですよ。私は、重要な秘密がこの間、国民に隠され続けてきたことこそが大問題だと思います。
 核密約の問題について聞きますが、あなたのおじいさんの岸内閣のときに、一九六〇年、安保改定が行われました。そのときに、核を積んだ艦船や飛行機の配備は事前協議だけれども、寄港や通過については事前協議の対象としないということにした核密約があります。そのことを取り決めた鳩山外務大臣とマッカーサー駐日大使との英文の討論記録というものがあります。(資料提示)
 このシークレットと判こが押されているもの、それがこのコピーでありますが、九〇年代にアメリカで解禁をされ、そしてアメリカの国立公文書館で二〇〇〇年に私たちは発見をいたしました。当時、我が党の不破委員長がこのコピーを示して小渕、森両総理にも質問しましたけれども、その存在を否定をして、調査すらされなかったわけですね。
 ところが、二〇〇九年に四人の元外務次官が共同新聞のインタビューに答えて、この密約の存在を認めました。そして、村田元次官については実名を出して、次官引継ぎ時に核に関しては日米間で非公開の外相の了解があると前任者から引き継いでいた、これは大秘密だったとはっきりと述べられました。この証言を受けて私も、当時、中曽根弘文外務大臣に質問しましたけれども、存在も否定をし、調査もされませんでした。
 しかし、民主党政権の下で核密約を含む四つの秘密の調査、検証が行われて発見をされたのが、この極秘という判こが押された方の文書であります。外務省の報告書もこの二つの文書は同じ内容だと、藤山氏とマッカーサーによるレコード・オブ・ディスカッション、討論記録だとはっきり認めました。
 歴代自民党政権が存在をしないと繰り返し答弁した文書が外務省の中に存在して、しかも極秘文書としてちゃんと官僚が管理していたんですよ。このことの重大性をどう認識しているんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) このいわゆる密約問題については、民主党政権当時、外務省において徹底した調査を行い、平成二十二年三月にその結果を「いわゆる「密約」問題に関する調査報告書」として報告をしているわけでありまして、安倍政権においてもこの報告書の内容を踏襲をしているわけでございますが、これは、言わばこの四つ、それぞれ性格も違うわけでありますが、これはそれぞれ時代背景があるわけでありますが、当時これを言わば極秘とした判断においては、これはまさに日米同盟の重要性、日本の安全をまだ冷戦状況の中で守る中においてそういう判断をしたわけでございますが、問題は、ずっとそれが秘密とされて、ずっと続いてきたというところに大きな問題があるわけでございますし、そして、私は官房長官、総理大臣を務めましたが、その文書そのものは、私は残念ながら見ることはできない、見てはいないわけでございます。
 そこで、我々が今度作った法律によってそういうことはなくなるわけでありまして、まさに限定列挙したものだけに秘密は限られるわけでありますし、当然、そして先ほど申し上げましたように情報保全諮問会議ができるわけでございまして、そこで指定あるいは解除等々につきましても、これは総理大臣から報告を受けるわけでございますし、そして総理大臣は毎年毎年、問題、課題意識を持って各省庁からちゃんと聴取を受けて、そしてそれをしっかりと答えていくわけでございます。
 そして、繰り返しになりますが、九割は衛星写真です。そして、さらにその後、暗号等があるわけでございますし、武器等の秘密細かくされているわけであります。そして、それ以外については、もちろん先ほど申し上げましたそれも含めてなんですが、総理大臣が毎年毎年その報告を受けて、そしてそれをしっかりとこれは国会にも報告をする。
 今までなかった仕組みがまさにできるんですよ。今までだったら同じ問題が起こるのが、できなくなるということははっきりと申し上げておきたいと思います。

○井上哲士君 繰り返しの答弁は要らないんですよ。
 今あなたは、総理大臣、官房長官のときにこれを知らなかったと言いました。報道された元外務次官の証言で明るみになったのは、外務官僚が政治家を選別をしていたと。ある次官経験者は、外務省が信用した政治家だけに密約内容を知らせていたと。別の次官経験者は、形式論としては時の首相、外相に報告すべき事項だが、大きな問題なので、僣越かもしれないが、密約内容を話していい首相か外相かどうかを役人サイドが選別していたと。
 まあ、総理は外務官僚に信用されなかったようでありますが、私は当時の評価を聞いているんじゃないんです。元次官が伝えたと明言をしている小渕元総理でも、存在を否定する虚偽答弁を行ってきたんですよ。ないと言って、調査も拒否したんですよ。森総理も一緒なんですよ。ですから、この文書をずっとあなた方が否定してきたのに、それがあったと、このことの責任を問うているんですね。
 首相が第三者的にチェックすると言いましたけれども、その総理自身が国民にうそついてきたんですよ。そのことの責任、そこのことをまず謝罪をして、認めるべきじゃないですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今まさに委員が御指摘したところが問題だったんですよ。役人が総理大臣を取捨選択をして、この秘密は伝えていい、伝えなくていい、それができたことに大きな問題があったんですよ。ですから、この法律によってそれは全くできなくなります。
 総理大臣がこの情報保全会議において報告をするわけでありまして、そういう仕組みができてきて、保全監視委員会ができます。まさにそれは総理大臣の責任においてできる。これは、繰り返し私は今この委員会において申し上げているわけであります。そういう仕組みがなかったことが誠に残念であって、そういう仕組みをもっと早く私はつくるべきであったと、このように思うところでございます。

○井上哲士君 あなた、質問の中身、問題の本質が全く分かっておりません。
 外務官僚が秘密を伝えて、総理や外務大臣を選別するのは過去の問題じゃないんですね。外務省の内部規定はどうなっているのかと。機密文書や極秘文書の指定は部局長が行って、大臣は関与しないんです。そして、大臣がこの文書について職務上知る必要があるものかどうかという判断も官僚が行うというものなんですね。この内部規定は秘密保護法ができても変わらないと、先日、外務大臣はっきり答弁しましたよ。
 特定秘密にしなくても、その下の段階で機密や極秘文書に指定をしておけば、大臣は全然関与しないんですよ。そして、官僚が特定のものだけ知らせるという仕組みは温存されると答弁しているじゃないですか。全く違いますよ。
 総理、総理です。総理の答弁が違うんだから、言ってくださいよ。(発言する者あり)関係ない。総理。関係ないよ、そんな。

○国務大臣(森まさこ君) この法案は、国家の存立と国民の生命に関する法律を別表で規定して特定秘密にしております。その特定秘密については有識者会議で基準をチェックしますし、それを総理大臣がしっかり中身を見て確認をするようにいたします。これは基準をしっかり定めておりますので、実は、特定秘密についてはそういったことはなくなるというふうに思っています。

○井上哲士君 私が言っているのは、特定秘密になる問題じゃないんですよ。今でも極秘文書とか機密文書に指定しておけば全然大臣と関係ないところでできる、この仕組みは温存されるんですよ。それに加えて特定秘密というのができますけれども、結局、大臣と関係ないところで秘密文書が管理されていく、この仕組みは変わらないじゃないですか。この間、外務大臣はっきり答弁しましたよ。外務省のこの内部規定は変わらないと答弁しましたよ。全然違うんですよ。
 そして、先ほどから解除すべきルールを決めると言いました。じゃ、聞きましょう。旧安保条約の制定から六十年たっています。安保条約の改定から五十年たっています。当時のそれに関する外交文書、地位協定にかかわる協議など、たくさんのまだまだ非公開文書はあるんですね。それ、順次、この法律できたら、あなた解除するんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) その中において、当然これは特定秘密に当たるかどうかということでありまして、特定秘密に当たるものについてはこの法律にのっとって解除すべきものはしっかりと解除をしていくと、こういうことになるわけであります。

○井上哲士君 つまり、特定秘密に指定するものがあると。それは、最長六十年、原則六十年。そしてさらに、それが例外もあることになるんですね。六十年前の安保制定のときの文書が六十年解除できないと百二十年になるんですよ。そして、特定秘密にならないまでも役人がずっと管理してきた極秘文書であるとか非公開文書は全部そのままじゃないですか。それは明らかにするんですか。するんならはっきり約束してください。
 総理、総理が言ったんだから総理ですよ。

○国務大臣(森まさこ君) 条文の事実関係だけ御説明をいたしますけれども、今六十年のことをおっしゃいましたけれども、これから新しくもちろん法が施行されましたら、過去のものをまたこれで別表に該当する場合には指定をいたしますけれども、今までのその保存期間ももちろん考慮をしてそれは指定をしていくことになります。これも有識者の会議の基準でしっかりと明らかにしてまいりたいと思います。

○井上哲士君 考慮考慮と言いますけれども、結局、過去六十年秘密だったものも今後六十年間秘密にすることが可能なんですよ。百二十年秘密になるんですよ。そして、特定秘密に指定しないでも、極秘とか機密という形でこの間ずっと官僚が秘密にしてきた文書、これはそのまま温存されるんですよ。この秘密体制をつくったまま特定秘密をつくってやったら、まさに秘密国家になるじゃないですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど来申し上げておりますように、しっかりとしたルールがなかったことに問題があるわけでありますし、そして、それを総理大臣が責任を持ってチェックができる体制、制度がつくられていなかったことに問題があるわけでありますから、この法律によって私がしっかりと責任を持ってそれは判断をすることになります。
 そして、安保条約については既に長い期間がこれは経過をしているわけでありまして、特定秘密に当たるかどうかの判断を行った上において私がそれは判断をして、開示するものはしっかりと開示をするということはお約束をしたいと、このように思います。

○井上哲士君 ルールの問題じゃないんです。繰り返し言いましたけれども、歴代自民党の総理大臣がうそと知りながら国民に虚偽答弁して隠してきたんですよ。なぜ総理が第三者機関的にチェックできるんですか。自らが秘密隠してきたんじゃないですか。
 私は、密約を結んで、国会で虚偽答弁を続けて、それが明らかになっても認めずに謝罪もしない、そして官僚が大臣に見せもせずに膨大な秘密を管理する、こういう秘密主義の仕組みを温存をしてこれに秘密保護法を加えればとんでもない国になる、絶対に廃案にするべきだ、申し上げまして、質問を終わります。

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