○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 日米地位協定の環境補足協定の交渉が二月の十二日に開始をされました。それに関わって今日はお聞きいたします。 まず、現行地位協定の下で在日米軍の特権が保障されまして、環境問題を始め様々な問題が指摘をされ、その抜本改定が求められてきました。私自身も当委員会で、環境問題であるとか、それから米軍関係者の犯罪の特権問題であるとか、訓練に関わる様々な被害の問題等を取り上げてきたところであります。 まず、外務大臣に、こうした日米地位協定の下での問題点と、そしてその改定の必要性についての認識をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(外務大臣岸田文雄君) 日米地位協定ですが、この協定そのものに加えまして、数多くの日米合意を含んだ大きな法体系です。政府としましては、手当てすべき事項の性格に応じて、合同委員会を通じた取組などによりまして不断の改善、図ってきているところです。 刑事分野につきましても、例えば、昨年十月、米軍人等が起こした事件について米側での処分結果を被害者側にお知らせする新たな日米合意を発表いたしました。また、環境分野につきましても、昨年十二月、日米間で共同発表いたしまして、この分野での協力強化を確認するとともに、この日米地位協定を環境面で補足する政府間協定の作成のための日米協議を開始することで合意をしております。 日米地位協定については、今日まで様々な議論がありました。そして、今、今日も様々な御意見があります。このことは十分承知をしておりますが、是非、引き続きまして、事件、事故、あるいは環境等につきまして目に見える改善、一つ一つ具体化するべく努力をしていきたいと考えております。
○井上哲士君 今もありましたように、この日米地位協定の環境補足協定の作成に向けた日米協議の立ち上げは、昨年の十二月の二十五日に外務大臣が記者会見で発表されました。 この基地の環境問題を含む地位協定の改定については、沖縄県知事との会談でも繰り返し要望がされていたことだと思います。年末の外務大臣の会見後に沖縄県知事が辺野古の埋立てを承認をしたわけでありますが、こういう沖縄県知事の埋立承認との関係も含めて、今回のこの補足協定の日米協議の立ち上げに至る経過についてお述べいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 日米間では、これまでも環境面から在日米軍の活動について様々な議論を積み重ねてきました。例えば、二〇一〇年の2プラス2共同発表におきましても環境に関する合意を日米で検討するとされていますし、昨年の十月の日米2プラス2共同発表でも、返還前の米軍施設・区域への立入りに関する新たな枠組みを検討する、こういった合意がなされているところであります。 そうした中で、昨年八月末には軍転協の方から、また昨年十二月には御指摘のこの仲井眞知事の御要望をいただきました。こうした地元の要望が強まっていることを踏まえて、日米間の議論を加速し、そして先般、日米地位協定を環境面で補足する政府間協定の作成に向けた日米協議の立ち上げに合意をし、十二月二十五日の発表に至ったという次第でございます。
○井上哲士君 総理も、仲井眞知事といわゆる負担軽減策としてこの新協定を挙げていたわけでありまして、まさに埋立承認の大きなてこになったのは経過から見ても事実だと思うんですね。 この協定の改定の強い要望に対して、政府はこの間は、いわゆる運用改善で対応するということを基本的には言われてまいりました。今回は、地位協定の改定でも、そして運用改善でもない、補足協定ということになった理由はどういうことなんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、現行の日米地位協定につきましては環境に関する規定が含まれておりません。ですから、今般、地位協定を環境面で補足するために新たな政府間協定を作成する、そうした協議を開始することで合意した次第であります。地位協定に欠けている要素を入れ込む方法には様々なものがある中、今回、この日米間で発表したような方法を取ることで合意したという次第でございます。 この環境補足協定、これは地位協定の改正ではありませんが、地位協定に欠けている要素を入れ込むという意味でこれは大変重要な取組であると考えております。
○井上哲士君 安倍総理も、地位協定の改定への最大限努力ということを口にされていたと思うんですね。十二月にもそういうことを言われましたが、十二月の十七日にアメリカの国務省のハーフ副報道官が、アメリカは地位協定の改定に合意していないし再交渉することも検討していないと、こういう発言がありました。こういうアメリカの対応を受けて補足協定になったと、こういう経過でよろしいでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、現行の日米地位協定に環境に関する規定がない中にあってどう実質的な改善を図るか、こういった視点で日米間で議論が行われました。そして、その具体的な方法について日米間で議論が行われた結果、今回、こういった形で改善を図っていこうということで合意をした次第です。この結論につきましては、日米での協議、議論の結果であると認識をしております。
○井上哲士君 私は、現行協定の枠の中でのことが本当に県民や全国の基地周辺の皆さんの思いに応えることになるんだろうかと、お手元に共同発表をお配りをしておりますが、これを見ますと大変危惧をするわけですね。非常に違和感を感じます。 〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕 沖縄県は、地位協定に環境条項を新設するということ、新設でこういうことを明記するべきだということを繰り返し要望しておりますが、一つは、公害防止や自然環境の適切な保全のための必要な措置を講ずる責務をアメリカが有しているということを明らかにすること。それから、様々な事業が与える影響を調査し、評価するとともに、その調査結果の公表、そして日米両政府間で当該調査結果を踏まえた環境保全の措置について協議をすること。それから三つ目、合衆国軍隊の活動に起因して発生する環境汚染については、合衆国の責任において適切な回復措置をとるものとすると。こういう中身をきちっと明記するということを沖縄県はずっと求めてきたわけですね。 ところが、この共同発表を見ますと、例えば前文の句切りのところに、返還を予定している在日米軍施設・区域に関し、日本国政府は環境の回復のための責任を確認したと、それから四番のところでいいますと、米軍の環境に配慮した事業を支援するために日本が環境関連の財政的措置をとること、また、Cのところですね、環境措置をとることなどなど、日本側には必要な責務そして措置ということが書いてあるわけでありますが、アメリカ側にはそういうことは一切明記をされていないわけで、これはどうも、県民やそして多くの住民の皆さんの要求とは懸け離れたものになるのではないかと思いますが、なぜこういうことになっているんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 資料としてお配りいただきましたこの共同発表ですが、その中で、数字の二と三の部分になるかと思いますが、在日米軍による高度な環境基準の適用、あるいは施設・区域への合理的な立入りのための統一的な手続の作成、こういった米側がとる措置につきましてもこの二と三の部分に記述をされています。 具体的な中身についてはこれから交渉が進むわけでありますが、政府としましては、御指摘のこの文書に基づく環境補足協定の交渉においては、日米双方が環境保護のためにバランスの取れた応分の措置をとる互恵的な枠組み、これを目指すべきであると考えております。 是非、できるだけ早く良い結果が出せるように、交渉、努力をしていきたいと考えております。
○井上哲士君 JEGSの適用なんというのは前から運用上やられてきたことでありまして、幾ら読んでも、日本側には責務や具体的措置が書かれているけれども、アメリカ側にはこういう言葉がないわけですね。 もう一つ私が非常に危惧しましたのは、この共同発表の冒頭に書かれた認識にあります。両国政府は、合同委員会の環境分科委員会その他の関連分科委員会における三十六年にわたる緊密な協力及び二〇〇〇年に発表された環境原則に関する共同発表の実施を含む、環境に関する両政府の取組が成功裏に行われていることを認識をすると、こうなっております。 資料の二枚目に、二〇〇九年以降の主な報道された米軍やその跡地の環境汚染事故をお配りしております。一番目でいいますと、普天間飛行場でのジェット燃料の流出、二番目では、返還された貯油施設からベンゼンや鉛が検出された、五番目は、米陸軍の相模総合補給廠内で焼夷弾と見られる物体が約百本発見をされたなどなどが起きております。 過去にも私もいろいろ取り上げたことがありますけれども、例えば、二〇〇二年には、北谷町の米軍基地の跡地から、工事中に地中からタール状の物質の入ったドラム缶が実に二百十五本発見をされて大問題になりました。漏れ出した油は二万三千六百グラムと、こういう事態などがたくさん起きているわけですね。こういう事態が起きています。 そして、その放置されていたドラム缶であるとかが地中にあったということになりますと、これは不法投棄がされていたわけでありますから、これはもう事故というよりも違法行為、犯罪行為すら行われていたわけですね。にもかかわらず、この日米間の取組が成功裏に行われているということを日本も含めて認めてしまったら、こういう問題を解決する立場を放棄しているに等しいと思うんですね。何でこんな認識を書き込んだんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 政府としましては、在日米軍施設・区域における活動に起因する環境問題、この周辺住民の方々に関わる重要な問題であると認識をしておりまして、今日までも日米間で様々な協力を行ってきております。 例えば、二〇〇〇年の2プラス2において環境原則に関する共同発表を発出し、在日米軍による環境保護及び安全のための取組として、日米の関係法令のうち、より厳しい基準を選択するとの考え方の下、JEGS、日本環境管理基準を作成することや、その更新のための日米協力を強化する、こうした点を確認をしております。また、政府としましてはこれまでも、この在日米軍施設・区域における環境問題について、必要に応じて日米合同委員会あるいはその下に設けられました環境分科委員会の枠組みを通じまして協議をし、対処を行ってきております。 この文書については、こうした協力関係が積み重なってきた、こういったことを念頭に置いて記載したものと認識をしております。
○井上哲士君 私は、いろんな、確かにJEGSとかありました。そういうことがあったにもかかわらずこうした問題が起きているということをちゃんと共通認識にしてこそ、これを正していくという出発点になると思うんですよ。それがないままに成功裏にやってきたということを書いたのであれば、本当にこれが前進のものになっていくのかという危惧を感じざるを得ないわけですね。 この間も日米合同委員会や環境分科委員会で話し合われてきたわけでありますが、やっぱり米軍の特権が様々あるということが問題を起こしてきたわけですね。こういう特権をなくしてきちんとアメリカ側に責任を果たさせてほしいというのが関係自治体の要望なわけで、この共同発表でそういうふうになるんだろうかというふうに私は非常に危惧をしております。 これから交渉が本格化するわけでありますけれども、今までの運用を明文化するだけではなくて、そういう問題になってきたアメリカ側の特権を見直して、環境問題というのにしっかり責任を果たさせる、こういう立場で交渉を進めると、そういうことでよろしいでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、今回、地位協定に欠けております要素を入れ込むために補足協定の交渉を立ち上げたわけですが、こうした補足協定の立ち上げ自体、地位協定が締結されてから五十年以上たつわけですが、初めての取組であります。 今回、御指摘のこの文書、共同発表につきましても、今後のこの補足協定交渉のベースとなる要素を列挙したものでありますが、あくまでも、この内容につきましては今後の交渉の中で決まっていきます。是非、こうした議論におきましても良い結果が出せるよう、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
○井上哲士君 アメリカの責任を果たさせるという立場でやっていただきたいんですが、具体的に聞きます。 この資料の中で、十三、十四、十五、十六、十八、十九というのは、嘉手納基地から返還をされた土地に関することですが、サッカー場から大量のドラム缶が発見をされて、枯れ葉剤が入れられていたと疑われて今大問題になっておりますが、この事件の現状と対応について御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(防衛省地方協力局長 山内正和君) お答え申し上げます。 平成二十五年六月十三日に空のドラム缶が発見された沖縄市のサッカー場につきましては、その全域についてドラム缶の有無等の調査、これは磁気探査でございますが、これらを行った結果、これまでに合計八十三本のドラム缶を発掘したところでございます。 今後の予定等でございますけれども、今後につきましては、ドラム缶の付着物等の分析及びそれに関する報告書の取りまとめを予定しておるほか、過去に谷地であった地表から二メートルより深い部分や、あるいは現在更衣室等の構造物がある場所がございますが、こういった構造物の下につきましてもドラム缶の有無を確認するための調査を行う必要があるというふうに考えているところでございます。 防衛省といたしましては、沖縄市のサッカー場で発見されたドラム缶に関しましては、地元の沖縄市等とも十分調整を図りながら適切に対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○井上哲士君 枯れ葉剤が入っていたという疑いもあるということで大変現地の皆さんは心配をしているわけでありますが、お手元にありますように、様々な事件がこの間起きてまいりました。 なぜこういうことになっているのかと。JEGSで、日米の間で厳しい方の基準でやっているんだと言いながらこういうことが頻発をしているわけであります。つまり、JEGSには基準が決められているだけで、届出とか立入調査とか改善勧告等の行政手続がほとんど含まれていないと。ですから、厳しい基準でやるといっても、こうした事件がちっとも減っていかないわけですね。ここが根本的に改善をされるのかが問われると思いますが、この点はどういうふうに具体的に交渉がされていくんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 今後の在日米軍の環境管理の在り方については、環境補足協定作成に向けた日米協議の中で議論していくことになりますが、政府としましては、環境保護のために日米双方がバランスの取れた形で応分の措置をとる互恵的な枠組みを目指していく考えであり、この点についてもしっかり議論をしていきたいと考えています。 具体的な規定については、今後の交渉の中で決まっていきますので、現時点で予断する発言は控えさせていただきたいと思っていますが、いずれにしましても、在日米軍施設・区域に係る環境面での課題が生ずれば、必要に応じて日米合同委員会、又はその下に設けられました環境分科委員会の枠組みを通じて適切に対処してきているところであります。
○井上哲士君 今の答弁で、こういう問題が本当に解決されていくのかと、ちっとも伝わってこないわけでありますが、日米間でいろんな協議をしてきていると言われております。 二〇〇一年の八月に、この環境分科委員会の下にJEGS作業部会というのがつくられていると思うんですね。ここで、このJEGSの見直しに関する日米間の協力強化がされているというふうに言われておりますが、この立ち上がった直後の二〇〇一年の十月にJEGSの第四版ができておりますけれども、それまで騒音に関する章があったのに、第四版からこの騒音に関する章が逆に削除されているんですね。何でこんな事態になったんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 米軍は、日米の環境法令のうち、より厳しい基準を選択するとの基本的考え方の下で作成されるこのJEGSに従って、在日米軍施設・区域及びその周辺地域の環境保全について適切に対応をしていると承知をしておりますが、このJEGSは、日米両国政府が二年ごとに更新するための協力を行うこととされており、二〇〇一年に行われた改定において騒音の章が削除されたと承知をしております。 この削除の理由ですが、外国に駐留する部隊の環境基準に関する米国務省の指針において騒音に関する規則が削除されたことを受けて行われたものと承知をしております。また、削除された章は、この施設・区域内の建物等における騒音を対象にしたものであって、例えば航空機の運航による騒音を対象にしたものではないと承知をしております。つまり、元々、航空機の運航に関する騒音につきましては内容として含まれていなかったということであります。 いずれにしましても、米軍機における騒音問題は周辺住民にとって深刻な問題である、これはもう当然のことであります。引き続き、騒音規制措置に関する日米合同委員会合意の遵守を求めるなど、しっかり働きかけは行っていきたいと考えています。
○井上哲士君 日米で厳しい方にすると言いながら、向こうになかったらなくすというのは、これ筋の通らぬ話でありまして、そうであるならば、日本側の騒音規定をしっかり盛り込むというのが当然なんじゃないでしょうか。これは今後の交渉の中でそういうことを求めていくんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) もちろん、これから交渉が行われることになると思いますが、これは、交渉の中に騒音自体は対象として含まれていなかったと記憶しております。
○井上哲士君 含まれていないんですよ。しかし、大問題になっているわけですね。これで本当に環境を何とかしてほしいという声に応えることができるのかと言わざるを得ません。 立入り手続の問題ですが、施設・区域への接受国による合理的立入りの統一的手続の作成としておりますが、合理的というのは、これはどういう意味でしょうか。
○政府参考人(外務省北米審議官 秋葉剛男君) お答えいたします。 ここで申し上げている合理的な立入りの内容につきましては、今後の日米交渉の中で決まっていくものですので現時点で具体的にお答えするのには困難が伴いますが、一般的に申し上げれば、その立入りの目的や態様等に照らして日米双方にとって受入れ可能な立入りというものが交渉の結果出てくるものと思われます。
○井上哲士君 かつてこの外交防衛委員会で視察行ったときに宜野湾市からもあったんですが、二〇〇九年の三月に普天間基地で燃料漏れ事故が発生をしました。通報が三日遅れたんですが、三月三日に起きた事件で、十三日に国と県と市が立入調査をしておりますが、その際に、アメリカ側は写真撮影も禁止しました。それから、土壌のサンプル採取も認めなかったわけですね。事故から十日しないと入れないことも問題だと思いますが、こういう立入調査の制限、写真撮影やサンプル採取も認めないと、これは私はどう見ても合理的でないと思いますけれども、そういう見解で、外務大臣、よろしいでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 是非、双方にとって受入れ可能な結論を得るべく努力をしていきたいと考えています。
○井上哲士君 これ、過去も質問しましたけれども、例えば、一九九九年から二〇〇六年まで、アメリカの軍に情報公開しますと基地内で十八件の汚染物質の漏出事故が起きているのに、日本側には三件しか通知をされていなかったんですね。アメリカ側の勝手な基準で、小さいからといって通知もしないということが行われてきているんですよ。 ですから、アメリカが合意するという形でやっていますと、結局、今の事態と私はちっとも変わらないと、こう思います。こういう自分の国である土地で汚染が起きていても、地方自治体も国も立入りができなかったような事態を絶対になくすということでやっていただきたいと思いますが、改めていかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 様々な御意見につきましては謙虚に承りながら、是非、米国との間において双方受入れ可能な結論を出すべく、早期な結論を目指して努力をしたいと考えています。
○井上哲士君 沖縄県側は、返還予定基地の三年前からの立入調査、汚染の確認が必要な際の立入調査、厳しい環境基準の適用ということを例示もしております。この立場がきちっと盛り込まれるように強く求めたいと思います。 それから最後に、この返還予定の基地について、日本国政府は環境回復のための責任を確認したとしておりますし、それから、在日米軍の環境に配慮した事業についても日本側の負担しか書いておりません。 私は、これはアメリカに復旧義務を持たせてアメリカの財政責任でやるのが当然だと思うんですね。結局、それがありませんから、後は野となれ山となれと。返還した後に汚染物質が出てきても、日本の責任で、日本の財政負担で行われているわけですね。きちっとやっぱり環境を守らせていくという点でも、私はこれは使用した側の責任ということを明確にする必要があると思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 現行の日米地位協定第四条を見ますと、合衆国は、提供されたときの原状に回復し、又はその回復の代わりに日本国に補償する義務を負わないとされていますが、一方、日本国は、逆に、合衆国にいかなる補償をする義務も負わない、こういった規定になっております。 こういった日米でバランスを取った規定、この仕組み自体につきましては、これを変える考えは現在ありません。是非こういった考え方はこれからも大事にしていきたいと考えています。
○井上哲士君 先ほど紹介した北谷の事故のときには、日本政府はこの汚染の処理のために八千四百万円支払っているんですね。これは、こういう汚染物質を地中に埋めるなんというのはもう犯罪行為ですよ、違法行為ですよ。そんなのも含めて、返還されたら日本側が負担をするという仕組みがあるから私はこういう事態がなくならないと繰り返し言いたいわけですよ。 今、地位協定の四条を言われましたけれども、結局、やはりアメリカ側が責任を持たないというこの地位協定の仕組みをそのままにして、運用とか補足だけでやろうとするとやっぱり根本的な問題が解決できないということを逆に示していると思います。 地位協定自身の抜本的な改定とともに、始まった交渉の中で、先ほど述べていましたように、本当にきちっと日本側が立入りなどが、必要なことができるというものにきちっとしていただきたいということも併せて求めまして、質問を終わります。