○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 武器貿易条約については、国連の下に普遍的な基準が作られることは意義があります。将来的には国際社会による通常兵器の管理を展望する上で足掛かりになるものであり、賛成であります。 その上で、新武器輸出三原則についてお聞きいたします。 最初の案件になろうとしているのが、要撃ミサイルPAC2をライセンス製造する三菱重工に対して、アメリカのレイセオン社から基幹部品の輸出要請が行われております。新しい原則では、ライセンス生産の場合は第三国への再輸出について事前同意が義務付けられておりません。日本の部品を使ったPAC2が国際紛争の助長のために使われるんではないか。これどうやって排除するんでしょうか。
○国務大臣(防衛大臣 小野寺五典君) ペトリオット、PAC2は戦闘機等を迎撃するための装備品でありまして、国内では自衛隊向けに三菱重工業が米国レイセオン社からライセンスを受けて当該装備品の生産を実施しております。 PAC2の部品については現時点で海外移転することが決定しているわけではありませんが、一般論として申し上げれば、防衛装備移転三原則では、移転を認め得る場合について、移転先の適切性や安全保障上の懸念等を個別に厳格に審査し、また、目的外使用や第三国移転について適正な管理を確保することとしております。 いずれにしても、政府として、この新たな原則に基づき、海外移転の可否を適切に判断してまいります。
○井上哲士君 二〇一二年の十月の四日に、新しい武器輸出政策と日米欧防衛企業の対応というシンポジウムが都内で開かれております。四人発表者がおりますが、そのうち二人がレイセオン社の幹部と三菱重工の幹部なんですね。 レイセオンジャパンのCEOはこう述べております。日本の軍需産業と協力して、パトリオットシステムの生産に興味を示している世界中の新規顧客に納入したいと、数年前、レイセオン社は日本の防衛産業にパトリオットシステムの部品を製造、輸出してほしいと要請したことがあったが、武器輸出三原則によりこれは実現せずに、他の協力国に目を向けざるを得なかったと、こう述べました。そうしますと、三菱重工の代表取締役がこう述べたんですね。防衛ビジネスを海外で拡大する手っ取り早い方法はライセンス生産品の供給だと、こう言っているんですよ。世界中の顧客に売りさばきたいという会社と手っ取り早くビジネスを拡大したい会社、この二つの社がこの三原則の一番最初にこの要請をしてきたと。 私は、これはまさにこういう防衛産業の要望に正面から応えたものだと思いますが、果たしてこれで本当に国際紛争の助長のために使われることが、懸念がないのかと極めて思うんですが、改めて、いかがでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) そのシンポジウムに出席をしておりませんので詳細は分かりませんが、先ほど来お話をしておりますけど、PAC2の部品につきましては現時点で海外移転することが決定しているわけではありませんので、具体的にお答えすることは困難ですが、一般論として申し上げれば、米国からのライセンス生産に関わる部品等をライセンス元に納入する場合においては、仕向け先の管理体制の確認をもって適正な管理を確保することも防衛装備移転三原則において可能とされております。
○井上哲士君 まさに新しい原則の下で様々な拡大があるわけですね。 もう一点聞きますと、総理のインド訪問後に救難飛行艇US2のインドへの輸出協議が進んでおります。当初は軍事装備付きでは輸出できないという話でしたけれども、この新しい原則策定後は軍事の装備装着状態でも輸出が可能だということをインド側に説明したと報道もされておりますが、新原則ではなぜそういうことが可能なんでしょうか。
○政府参考人(防衛省審議官 吉田正一君) 新しい指針におきましては、まずは我が国の安全保障に資する場合かどうかというふうなこと、それから次に、そういったものが安全保障、防衛協力の強化というふうなものに資するのかどうかと。そういった中で、我が国との間で安全保障面での協力関係がある国に対しまして救難、輸送、警戒、監視及び掃海に係る協力に関する装備品の輸出と、こういうふうなものも認め得るケースというふうなこととして整理されてございますので、今後、インドとの間でこういった基準に照らしてみてどのような形になるのかというふうなことを詰める中で、今議員が御指摘になられたようなことも検討されることになるかと思ってございます。
○井上哲士君 いや、日本側がインドに対して軍事装備付きでも可能だという説明をしているわけですね。 今の運用指針の御説明がありましたが、全体に掛かって「我が国との間で安全保障面での協力関係がある諸国」というのが出てまいりますが、これはどういう基準なんでしょうか。今のインドでいいますと、二〇〇八年に日印安全保障宣言がされておりますけれども、そういう宣言以外でも、例えば首脳会談とか共同声明で、防衛協力の推進であるとか安全保障の対話であるとか、こういうものが確認された国も当てはまるということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(吉田正一君) 今議員の方から御指摘になりましたようなものと、それからあともう一つは、どんなものをどのような形で移転するのかと、そういったものを全体的に勘案しながら検討がされていくものというふうに承知してございます。
○井上哲士君 私が述べたものも当てはまるということでありますが、この間、総理の一連の外遊の中で相手国とこういう防衛協力の推進などを確認をしているわけですね。つまり、対象が大幅に広がるということになるわけでありまして、新しい原則がこれまでの例外をまとめたものだというような御説明もありましたけれども、結局、例外が原則になって、大幅な輸出拡大に道を開いて国際紛争の助長につながるものになるということが私はいよいよ明らかになっていると思います。許されないということを指摘をしておきます。 次に、グアム協定についてお聞きしますが、現行のグアム協定の審議の際に私たちは、グアムへの在沖海兵隊の移転というのはアメリカの戦略に基づいて行われるものであって、事業内容も予算も、そして規模も移転の完了期日もアメリカが決めるものだと、これに従うようなことはやるべきでないし、そもそもアメリカ国内のアメリカの基地の建設に日本がお金を出すという前代未聞のことをやるのは間違いだということを指摘をしてまいりました。住宅建設に融資をして家賃で返済を受けるというような枠組みが果たしてできるのかと言っていたわけでありますが、これはもう始まる前に破綻をしてしまったわけですね。その後、日本は協定に基づいて資金提供をしたにもかかわらず、塩漬けとなってまいりました。アメリカの国内の事情で事業が凍結をされ、今回の大幅な見直しになったわけですね。 アメリカの戦略に基づくアメリカ国内のアメリカの基地に日本が資金を出すというこの枠組み自体を見直すべきではないでしょうか。いかがでしょうか。
○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) 我が国はこれまで、在日米軍再編に係る日米協議におきまして、抑止力を維持しつつ、特にこの沖縄の負担を軽減するとの考え方に基づいて、二〇〇六年五月の再編のロードマップにおきまして、在沖縄海兵隊の移転の速やかな実現が可能となるよう、米国とともにグアム移転に係る施設及び基盤整備のための費用を負担することとし、二〇〇九年に発効した現行協定に基づいて米国に対し資金提供を行ってきたところであります。 今回の議定書の締結、すなわち現行協定の改正によって、二〇一二年四月の2プラス2共同発表による再編計画の調整等を踏まえた形で、在沖縄海兵隊のグアム移転の実施に必要な多年度にわたる資金提供を始めとする日米双方の行動が法的に確保されることになります。これによって調整された再編計画に基づく在沖縄海兵隊のグアム移転のための事業の実施が確実なものとなり、米軍のアジア太平洋地域における抑止力を維持しつつ、沖縄の海兵隊の削減、ひいては沖縄県の負担軽減に資する、こういったことになります。 こういった点を考慮に入れますときに、この今進めようとしている取組、是非着実に進めなければならないと考えております。そのことによって、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減、早期に実現していきたいと考えています。
○井上哲士君 結局、反省なしに同じことを繰り返すのかと今の答弁を聞いて思いました。日本はお金を出すけれども、中身はアメリカが決めるということは全然変わっていないんですね。 今、速やかな沖縄の負担軽減ということが言われたので聞きますが、二〇一二年の共同発表でも可能な限り早急に完了させると言っていますが、沖縄からのグアムへの海兵隊の移転というのはいつ頃完了する見込みとされているんでしょうか。
○政府参考人(外務省 北米局 局長 冨田浩司君) お尋ねの点につきましては、二〇一三年十月の2プラス2におきまして、在沖海兵隊のグアムへの移転は二〇二〇年代前半に開始するというめどをお示ししているところでございます。
○井上哲士君 アメリカの国防総省が十八日にこのグアムの移転についての環境影響調査の補足説明書を発表しているのを御存じないはずはないと思うんですが、その中では、二〇一〇年のアセスのときには五年以上の期間に移転が完了するとしているのを、十二年以上と大幅に変わっているんです。これでいきますと、早くても二〇二七年までは完了しないという計算になっているんですね。怒っていますよ、これは沖縄の皆さんは。沖縄の地元紙は、これはイカサマの証明だと、グアム移転の大幅遅延は在沖米軍基地の負担軽減そのものが虚構だという強い疑念を抱かせると、我々はこの異常事態を断じて容認できないというのが地元紙の社説ですよ。 話が違うじゃありませんか、どうなっているんですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 今、記載の話だと思います。御指摘の記載は、米海兵隊による見積りに基づくものであり、具体的な移転時期等については引き続き米側において精査されるものと承知をしております。 在沖海兵隊のグアムへの移転は、嘉手納以南の土地の返還の進展にもつながることから、早期に実現させなければならない重要な事業であり、昨年十月の2プラス2共同発表において二〇二〇年代の前半から移転を開始することとされました。今般の素案はこの内容に変更を加えるようなものではないというふうに承知をしております。
○井上哲士君 二〇一〇年のときには五年ということを言われているんですよ。それが今度は十二年以上と延びているじゃないですか。そんな答弁ないですね。 この間グアムで事業が進展しなかった直接の原因は、アメリカの議会が予算を認めなかったことですね。米議会は、グアム移転経費の一二会計年度予算の削除をする際に、日本の提供資金を含む全ての資金使用にマスタープランの提出を求めております。納税者の観点から、議会が計画をチェックするのは当然のことだと思うんですね。 この先ほどのロードマップの変更を受けて、グアムで必要になる施設、インフラ整備のスケジュール、費用の全体像を示したこのマスタープラン、五月中に提出されると報道されております。日本の資金提供に関する事業について、当然このマスタープランを日本の国会にも公表されるべきだと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) 二〇一四年度国防授権法は、米国防長官に対して、資金凍結を解除する条件の一つとして、グアムやハワイにおける分散された兵力体制を実現するための施設整備に関する計画、委員がおっしゃるマスタープランの提出を求めているということで承知をしております。これを受けて、現在、米側において、補足的環境影響評価の作業状況を踏まえながらマスタープランの策定作業が進んでいることは承知しておりますが、その提出時期についてはまだ明らかではありません。 当該マスタープランは、米国防省が米国議会の求めに応じて策定の上、提出するものであり、日本政府が積極的に提供を求めたりするものではないと考えております。必要に応じて今後その策定状況については確認してまいりたいと思います。
○井上哲士君 私、二〇一二年にも同じことを当時の田中防衛大臣にお聞きしました。これまでも米側にマスタープランについては要望を伝えてきているところでございまして、引き続き働きかけてまいりたいと思いますと、求めているんですよ。自民党政権は求めないんですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 繰り返しになりますが、マスタープランは米国防省が米議会の求めに応じて策定の上、提出するものであります。日本政府が積極的に提供を求めたりするものではないとは考えておりますが、必要に応じてその策定状況について確認をしてまいりたいと思います。
○井上哲士君 日本の税金も投入するんですよ。だから、日本の国会もこれを出せというのは当然じゃないですか。何でアメリカ議会はマスタープランがなければ税金投入しないのに、日本はそれなしでも税金投入できるのかという問題だと思いますが、もう一度いかがでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) あくまでも、このマスタープランは米国防省が米国議会の求めに応じて策定しているということであります。
○井上哲士君 政府は、この外国基地への資金提供の理由を、海兵隊がグアムに移転すれば沖縄の負担軽減になるからだと説明してきました。現行協定で沖縄からグアムに移転する海兵隊は八千人、新協定ではこれが四千人に半減するわけですね。にもかかわらず、日本のグアム基地への資金提供は当時の価格で二十八億ドルと同額とされて、実際は三十一億ドルになるわけですね。 これまでの政府の説明からいっても、グアムへの移転人数が半分になるという以上、当然資金提供が大幅減額されてしかるべきだと思いますが、どうなっているんでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) 二〇一二年四月の2プラス2合意により、ロードマップ合意の下での計画とは異なり、沖縄からグアムに移転する海兵隊の人数が減少したというのは御指摘のとおりです。 しかしながら、本件グアム移転事業は、早期にグアムにおける施設基盤を整備し、在沖海兵隊のグアムへの早期移転を促進することを通じて、米軍の抑止力を維持しつつ沖縄の負担軽減を図るとの本件グアム移転事業の意義は変わらないということ。それから、沖縄から国外に移転することになる第三海兵機動展開部隊要員数については約九千名であり、沖縄に残る海兵隊の定員は約一万名と、ロードマップの水準から変更はないこと。それから、沖縄から移転する家族数の減少により家族住宅の整備は米側負担となり、日本の約三十三億ドルの出融資については行われなくなったということ。新たにグアム、北マリアナ諸島において共同の使用の対象となる訓練場の整備についても経費負担を行うということになったことなどを総合的に勘案し、日米間で費用負担について協議を重ねた結果、我が国は二十八億ドル、二〇〇八年米会計年度、ドル換算でありますが、を費用負担の上限とする一方、米側は残りの費用及びあるべき追加的費用を負担することとなったと承知をしております。全体として我が国の負担は適切なものと認識をしております。
○井上哲士君 住宅建設の融資については返ってくるんだということを繰り返して言ってきたわけですよ。だから、これが、問題は真水なんですね。 そして、訓練基地を造るということを言いましたけれども、そもそも自衛隊が海外にそういうものを持つこと自身が問題でありますし、要するに、人数は大幅に減っているんですから、なのにかかわらず、金額が変わらないのが適切ということは到底あり得ないと思います。 この二十八億ドルというのは、歴代政権はその必要な事業を積み上げた結果だとずっと繰り返し言ってきたんですね。そして、あくまでもこれは上限だと。合理化を図って効率化を図った分は、その分経費は減らされていくという答弁をしてきたんです。だったら、人数が大幅に減るんならば支出は削減されて当然なわけで、なのに逆に新しい訓練場の整備費用が加わったと。事業を積み上げた、なのに何で合計が同じになるんですか、違う事業を積み上げたのに。それ自体おかしいじゃないですか。 結局、二十八億ドルというのは、これ以上負担しないという上限じゃなくて、ここまでは負担するという上限になっているんじゃないですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 今回の2プラス2、これは二〇一二年四月の2プラス2合意ということでありますが、そこでの費用見積りは二〇一二年米会計年度価格八十六億ドルと、これが全体の金額であります。そのうち二十八億ドルを日本側が負担するということ、この合意があったということであります。
○井上哲士君 だから、その二十八億ドルというのは、最初に二十八億ドルありきじゃなくて、必要な事業を積み上げたらこの金額になったという説明なんですよ。事業の中身が変わったのに何で合計が一緒なのかと、おかしいじゃないかと私は言っております。 そもそも、何でこういう前例のない支出があって、二十八億ドルは変わらないのかと。この普天間基地の移設とグアム移転をパッケージとした、ここに私はあったと思うんですね。その理由をアメリカが明らかにしております。 これ、二〇一二年の三月二十二日に、日本の防衛省が主催をしてシンポジウムをしております。アメリカ国防戦略指針と在沖海兵隊の意義というものでありますが、このときのパネリストの一人がグレグソン元米国防次官補、この在日米軍再編のアメリカ側の担当者だった人であります。このシンポでグレグソン氏は、なぜ〇六年の日米合意で海兵隊のグアム移転と普天間の移設をパッケージにしたのかと、こういう会場からの質問に答えて、いわゆる真水が使えるようにやったと、こう回答をしております。つまり、パッケージにすることによって、日本の財政支出をのませたということをここで述べているんですね。ですから、一旦そうやって日本の財政支出の枠組みをつくったと、しかし普天間が進まないのでグアムが進まないということで今回は切離しをしたけれども、一旦つくった、日本が、財政支出という枠組みはそのまま残して、そして引き続き資金提供をさせると、こういう流れになっているから、この二十八億変わらないんじゃないですか。
○国務大臣(小野寺五典君) そのシンポジウムに出ておりませんので、発言の内容は承知をしておりませんが、いずれにしても、米国側の参加者の発言というふうに承知をしております。
○井上哲士君 防衛省主催なんですよ、これは。日本の防衛省が主催しているんです。開会挨拶は当時の防衛政策局長、西、今は事務次官ですよ。閉会挨拶は今の官房長ですよ。そこでやっている、しかも主なシンポジウムで言っている発言なんですね。 そして、当時マスコミも、グアム移転と普天間移設をセットにしたのは日本側の財政支出が目当てだったという舞台裏をあけすけに語ったものだと、大きく報道されましたよ。そんな承知していないなんという話はありません。 しかも、このシンポジウムの中身は、動画も、そして報告書も防衛省のホームページに掲載されておりますが、今私が紹介したやり取り、つまり会場とのやり取りについてはこれは載っていないんですね。不都合な真実なので隠したんじゃないですか。なぜこのことをちゃんと明らかにしないんですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 委員にお伺いしますが、載っていないのにどうして委員は存じ上げているんでしょうか。
○井上哲士君 さっきも言ったじゃないですか。当時報道されました。私どもの関係者も中にいました。そういう発言が必ずあったんですよ。 それだけじゃありません。政府は、新たに沖縄から海兵隊の実動部隊が移動することになって訓練場が必要になったかのような説明をしておりますけれども、しかし、アメリカは当初からこのグアムと北マリアナ諸島も含めた大規模な施設を構想しておりました。二〇〇六年の当時のグッドマン米太平洋海兵隊の司令官が、首尾よく移転を進めるためにはグアム及びその周辺の世界的規模の訓練施設が必要だと当初から述べているんですね。 そして、元々訓練場建設も、日本が使う共同演習する計画があったと。これは、今紹介したグレグソン氏が現職の国防次官補時の二〇一〇年の二月に都内で講演をしておりまして、米国はグアムで自衛隊や同盟国に共同演習の機会を与え、継続的に米領に駐留させることになっていると、こう述べております。その根拠が二〇〇六年のロードマップと〇九年のグアム協定になっていると、こうはっきり発言しているんですね。 ですから、元々こういう施設建設の必要性も、日本が使う計画もあったと。そこに、沖縄から移転する海兵隊の人数が半減して施設建設費用が減るという新しい事態が生まれた下で、この訓練場の建設費用も二十八億円の範囲内で日本に負担させると。その理由付けのために日本の基地使用にも好意的配慮を認めると、こうしたというのが経過なんじゃないですか。
○国務大臣(小野寺五典君) いずれにしても、二〇一二年四月の2プラス2共同発表、日本側は玄葉外務大臣、田中防衛大臣でありますが、その発表の日米合意の中で、今回の支出については基本的には総合的に勘案して決めたということだと思います。
○井上哲士君 外国の国土にある外国の基地に、しかも外国の戦力に基づいたものに日本が資金を提供し、しかも日米の軍事一体化を進めると、こういうことはやめるべきだということを改めて強く主張しまして、質問を終わります。
海兵隊グアム移転改正協定承認に対する反対討論
○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、米国との在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定改正議定書の承認に反対する立場から討論を行います。 グアム移転協定は、米国が自らの軍事戦略に基づいて米領内で行う米軍の基地建設について日本が巨額の費用負担を行うことを定めるもので、何の道理もないものです。政府は、沖縄県内の基地を返還し負担軽減を図るためと説明しますが、これは対米支援の口実にすぎません。 そもそも、沖縄県内の米軍基地は、米軍施政下で住民を強制的に排除するなどして強奪した土地に基地が築かれたものです。その経過からして、無条件に撤去、返還を図るのが当然であり、政府はその実現にこそ責任を果たすべきです。 さらに、日本が負担するとする費用の積算根拠も、移転部隊の正確な内訳も不明なままです。国会と国民にまともに説明を行う姿勢も見られません。 今回の改正議定書には、日本の費用負担の変更、沖縄から移転する海兵隊の人員と移転先の変更、グアム移転と普天間飛行場移設の進展の切離しが含まれますが、道理のない対米財政支援を行うこと、日米両政府が沖縄県民の民意に逆らって辺野古新基地の建設を強行しようとしていることに何ら変わりはなく、強く抗議するものであります。 さらに、改正議定書では、新たに日本の資金提供をグアム及び北マリアナ諸島連邦の訓練場の整備に使うこと、米側が自衛隊との共同使用を想定して、使用に係る日本の要請に配慮することが盛り込まれました。 日本の資金提供の使途を演習場整備に広げるために日本側も自衛隊が使用できるとするものですが、演習場が整備されれば、共同演習により日米軍事一体化がますます強化されることとなります。自衛隊の海外基地整備になることと併せて、到底認められるものではありません。 道理のない対米財政支援と新基地建設の強行は断固やめるべきだと改めて主張いたしまして、反対討論を終わります。