○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 三沢基地に配備される米軍の無人偵察機グローバルホークについてお聞きいたします。 二十四日に一機、そして明日二十八日に一機配備をされ、二機が配備をされるということでありますが、これは二〇一三年十月の2プラス2でローテーションによる展開が合意をされておりますが、三沢に配備をするということはいつの合同委員会で確認をされたんでしょうか。
○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) グローバルホークの三沢飛行場へのローテーション展開については、まず昨年十月の日米2プラス2共同発表において、より高度な能力を日本国内に配備することが、戦略的な重要性を有し、日本及び地域の安全に一層寄与することを確認した上で、二〇一四年春から同機の日本国内へのローテーション展開を開始させる計画を確認した次第です。 ですから、この時点では日本国内ということが確認をされたわけですが、これを受けまして、本年一月二十二日、在日米軍司令部から外務省に対して、米空軍が現在グアムを拠点に運用しているグローバルホーク二機を本年五月頃から十月頃にかけて三沢飛行場に展開する予定であるという通知がありました。この時点で三沢飛行場への展開という通知があったわけであります。
○井上哲士君 通知ということで、特段それ自体は合同委員会の合意をしたということではないということなんだろうと思いますが。 無人機であっても領空侵犯をすればこれは主権侵害になると考えますが、この点どうかと。そして、仮に日本の三沢に配備をされたグローバルホークが他国の領空侵犯をしたという場合は日本はどういう対応を取るのか、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 国際法上、国家は領空について完全かつ排他的な主権を有しております。よって、無人機を含め、他国の航空機は領域国の許可を受けないでその領空を飛行することは認められていない、これが国際法上の考え方であります。 お尋ねのこの三沢飛行場のローテーション展開するグローバルホークについて申し上げるならば、米国政府は、無人機によるものも含めて、あらゆる米軍の軍事作戦はこうした国際法を始めとする関係法規に従って行われていると、こうした説明をしているところであります。我が国としましても、こういった考え方に基づいて運用されているものと承知をしています。
○井上哲士君 しかし、現にパキスタンで、これは無人機による攻撃、これが主権侵害であり国際人道法違反だと、こういう厳しい批判の声が上がっておりますし、グローバルホーク自身はU2の後継とされており、言わばスパイ偵察機でありますが、U2について言えば、過去にソ連への領空侵犯を行って撃墜をされたと、こういう例もあるわけですね。 返還前の沖縄の嘉手納基地にSR71が配備をされていたことがありますが、その後、日本にこういう米軍の偵察機が配備をされるということは初めてだと思いますが、その点防衛大臣に確認をしたいのと、また、なぜこの間、沖縄の復帰以降は配備をされていなかった偵察機を配備を認めるということになったのか、いかがでしょうか。
○国務大臣(防衛大臣 小野寺五典君) 沖縄返還後に米軍の偵察機が日本に、配備という形じゃなくて展開という私どもは考え方と承知をしておりますが、展開した事例としましては、これまでも、嘉手納飛行場にSR71やU2、RC135といった偵察機が展開した実績はあると承知をしております。 ですから、グローバルホークが今回三沢に展開するというのが沖縄返還後日本への初めてというわけではなく、過去にも、展開という内容であれば今お話ししたような実績があると承知をしております。
○井上哲士君 沖縄には幾つかあったということでありますが、三沢というのは全く初めてのことでありますし、また、なぜ今こういうものを配備をすることに、まあ一時展開と言われますが、実際は年間の半年いるわけでありますから事実上の配備だと考えますが、そこの理由はどういうことなのかということであります。
○国務大臣(小野寺五典君) グローバルホークにつきましては、グアム島のアンダーセン米空軍基地を拠点に運用しているこのグローバルホーク、夏におけます活動というのが台風等悪天候の影響により大きな制約を受けておるということで、夏において安定的な運用が可能な基地を必要としているということが主な状況ではないかと思っております。 このような背景を受けまして、グローバルホークの夏におけます一時展開のため、米太平洋空軍の各基地が様々な観点から幅広く検討する中で三沢飛行場に展開することになったというふうに承知をしております。
○井上哲士君 いや、台風でグローバルホークがグアムにいるのが支障が出るというのは、これはもうずっと昔からの話でありまして、なぜ今こういうことが行われたかということはどうなんでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) これは従前から、夏季、夏においてのグアムでの運用というのが台風等で十分な対応ができないというような、そういうことはあったと思います。 これは米軍の運用の問題でありますので、私ども、直接コメントするのがどうか分かりませんが、私個人として感じますのは、最近の北朝鮮を含む安全保障環境が大変厳しい状況である中、一般的に言えば、このような警戒監視の任務、役割というのは従前にも増して重要度を増しているということが考えられるのではないかと思っております。
○井上哲士君 こういう新しい無人偵察機の展開というものが逆にかえって緊張を激化をさせるのではないかと、こういう懸念があるわけでありますが、外部に配備されているときと日本に一時展開するときでは、任務の内容、それから展開する範囲にこれ違いがあるんでしょうか。
○政府参考人(防衛省 防衛政策局長 徳地秀士君) お答え申し上げます。 今回、三沢に一時展開することとなりましたグローバルホークでございますが、アジア太平洋地域において情報収集、警戒監視、偵察の任務に当たっているものと承知をしておるところでございます。 具体的なその活動範囲等につきましては、これはもう米軍の運用の詳細に関わる事項でございますので、私どもの方からお答えは差し控えさせていただきたいとは思っておりますけれども、今般の三沢飛行場への一時展開というものは、先ほど大臣からも御答弁ありましたとおり、グアムのアンダーセン空軍基地を拠点として運用しているこのグローバルホークの夏の時期における活動が台風等の悪天候の影響によって大きな制約を受けている、また、米空軍は夏季における安定的な運用が可能な基地を必要としているということから展開したものというふうに聞いております。 したがいまして、グアムにおける任務の内容、それから三沢における任務の内容、これが異なるという説明はアメリカより受けておりません。
○井上哲士君 しかし、グアムと三沢では随分場所が違うわけでありますから、果たして更に広い範囲、違う範囲などが担当するのではないかということも考えられるわけですね。 米国内では、捜査当局によってこの無人機の利用が今広がっておりまして、空からの監視による市民のプライバシー侵害だと、こういう懸念が上がっております。フロリダなど九つの州等で捜査への利用を制限する州法が成立をして、規制の動きが更に進んでいるという報道もされておりました。また、先ほど紹介したパキスタンでの無人機攻撃、これはCIAが運用しているわけですね。 三沢に配備されるグローバルホークについて、運用にCIAや捜査当局が関与することはないか、また情報が共有をされるということはないんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、パキスタンにおける無人機の攻撃等、CIAによる活動について委員の方から触れられましたが、まず基本的に、この三沢飛行場にローテーション展開するグローバルホーク、これは情報収集、警戒監視、偵察を目的とする航空機でありますので、地上目標や敵機を攻撃するための武器などの攻撃能力は有していないと承知をしております。 その上で、この具体的な運用について政府として承知をしているわけではありませんが、展開については、日米安全保障条約の目的に沿って行われるものであると我々は理解しております。
○井上哲士君 つまり、CIAや捜査当局が関与するかどうか、それはしないとかということは日米間では確認をしていないということでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国としましては、この運用につきまして、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する、こうした日米安全保障条約の目的に沿ってこのグローバルホークは運用されるものと承知しておりますので、改めてその具体的な運用について確認をするということはしておりません。
○井上哲士君 特段確認をしていないということでありました。 次に、安全性の問題でお聞きしますが、在日米軍の戦闘機等は、日米地位協定によって日本の航空法の適用除外でありますが、締結当時は無人機など想定をしていなかったと思うんですが、無人機についてもこの地位協定の扱いをどのようにするのかということは、いつ日米間で確認をしたのか。 また、この三沢基地以外の米軍や自衛隊の基地、また民間空港に離着陸することも権利を有しているのかどうか、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 日米地位協定においては、いわゆるこの無人機一般の扱いについて明確な規定があるわけではありませんが、日米地位協定第五条におきまして、合衆国及び合衆国以外の国の航空機で、合衆国によって合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものに対し、自衛隊基地や民間空港を含め、我が国の飛行場に出入りする権利等を認めております。 グローバルホークについては、同機は米空軍が運用する合衆国の航空機であります。よって、公の目的で運航される限りにおいて、この日米地位協定第五条に言う航空機に該当すると解されます。この理解につきましては、昨年三月にこの日米合同委員会において確認をさせていただいております。
○井上哲士君 米軍機は日本の航空法の適用除外となっておるわけでありますが、そもそも日本の航空法は無人機というものをどのように扱っていたのか、また、日本国内におけるこれまでの、民間ということになると思いますが、無人機の飛行実績はどのぐらいあるんでしょうか。
○政府参考人(国土交通省 運航安全課長 島村淳君) お答えいたします。 航空法における民間の無人機に関する規定といたしましては、航空法第八十七条に、無操縦者航空機による飛行を行う場合には国土交通大臣の許可が必要である旨の規定がございます。これまで、当該規定に基づき無人機の飛行を許可しております。 許可の実績といたしましては、平成八年に無人のヘリコプターによる試験飛行、平成十六年に無人の飛行船による試験飛行の二件となっております。
○井上哲士君 日本国内ではヘリと飛行船の試験飛行の二件のみしか今挙げられませんでした。要するに、これまで日本では飛行実績もなければ管制の経験もないものがこれからは日本上空を飛ぶということになるわけですね。 このグローバルホークの操縦は、離着陸時は三沢飛行場内に設置される設備で行われて、十分な高度に至ったらカリフォルニア州ビールの空軍基地で米軍パイロットが行うとされておりますが、これは計器飛行方式で管制を受けて飛ぶということですが、具体的には三沢の管制を受けるということでいいのか、それから緊急時などは、先ほどありましたように、三沢以外にも離着陸する権利はあるということでありますが、仮にそういう緊急時に三沢以外に離着陸する場合はどこが管制をするんでしょうか。
○政府参考人(島村淳君) お答えいたします。 対応する管制機関としては、離着陸時は三沢、それから高度が上がりますと札幌管制部、また緊急時の対応につきましては、その空域を所管する管制機関が対応することになります。
○井上哲士君 緊急時などに三沢以外に着陸をするという場合は、この三沢飛行場内の設備で操縦するのか、それともアメリカのビール基地で操縦をする、どっちになるんでしょうか。
○政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。 三沢飛行場に一時展開をしますグローバルホーク、これはあくまで三沢飛行場から出て三沢飛行場に降りる、三沢飛行場を使用すると。これはあくまで原則でございますけれども、気象条件等によりましては例外的、あくまで例外的ですが、最寄りの基地などを使用するということも考えられるわけでございます。 そして、このように安全確保などのために緊急着陸が必要となった場合においては、三沢飛行場に所在をいたします地上施設、あるいは米本土からパイロットがグローバルホークを操縦して最寄りの着陸先へと誘導すると、このように承知をしておるところでございます。
○井上哲士君 やっぱり離着陸時は安全の配慮が必要だからこそ三沢基地内の施設で操縦が行われるんだと思うんですね。それが、ほかのところに緊急着陸などをするという場合に、しかも日本では全く管制や飛行の経験もないようなものを場合によっては米国内で操縦をするということで、本当に離着陸時の安全の確保ができるんだろうかと。私は、いろんな皆さんから不安の声が上がるのも当然だと思うんですね。 しかも、これまで重大な事故は発生しないと説明をしておりましたが、アメリカの議会調査局が二〇一二年一月に発行したアメリカの無人航空システムという報告によりますと、十万飛行時間当たりのクラスAの事故発生件数は八十八件で、有人戦闘機のF16の四・一件に対して実に二十倍も多いと。 これ、衆議院の答弁を聞きますと、過去の事故は古い型の、今のブロック30よりも古い型であって、ブロック30ではそういう重大な事故は発生していないという答弁でありましたが、一方、じゃ、ブロック30がこれまでの型式と比べて安全性能上どこが違うのかということについては、詳細についてはまだアメリカから説明を受けていないという答弁でありました。これは、その後説明を受けられたんでしょうか。
○政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。 三沢飛行場に展開をしております型式、これブロック30でございますが、このグローバルホークにつきましては、これまで重大な事故であるいわゆるクラスAの事故は発生をしていないと、こういう説明を受けておるところでございます。
○井上哲士君 しかし、それはそうだが、ブロック30がそれまでの型式と比べて安全性の能力が違うのかということについては説明を受けていないという話だったんですよ。ですから、これは受けるか受けないかじゃなくて、日本の側からちゃんと説明しろと要求をして、その中身をきちっと公表すべきだと考えますけれども、その点いかがですか。
○政府参考人(徳地秀士君) 失礼をいたしました。 グローバルホークの安全性につきましては、実際の飛行運用あるいは過去の事故などを通じまして得られた各種の教訓を適用して機体を改良し、それから隊員の教育の徹底などの対策が実施をされてきている、それから、型式が新しいものになるにつれまして従来のものよりもその安全性が改善されてきていると、こういう説明を受けてきておるところでございます。 それから、それぞれのブロックにおける安全性能の詳細な相違ということについては、私ども具体的には承知をいたしておりませんけれども、三沢に展開するこのブロック30、これにつきましては、グアムにあるものがそのまま来るわけでございますが、これにつきましては、重大な事故を起こしておらず安全性の高い機体であると、こういう説明を受けておるところでございます。
○井上哲士君 詳細は聞いていないけれどもとにかく安全だと聞いているという話でありますが。 今紹介したアメリカの議会調査局の報告は、このブロック30型機について、二〇一一年五月の作戦試験評価事務所によって低空時の信頼性のために作戦上不適切と判定されたと、こういうふうに記載をされております。にもかかわらず、なぜ詳細な説明を受けていないけれども安全だ、安全だと言えるのかと。 私は、きちっとこれはアメリカに要求して公表するべきでありますし、こういう余りにも安全軽視の姿勢に住民からも極めて不安の声が上がっております。無人機の配備は中止をするべきだということを最後求めまして、質問を終わります。