○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
私は、会派を代表して、岩城光英議院運営委員長の解任決議案に賛成の討論を行います。
まず、本日の議運委員会における自民、公明、与党による国会法改定案、参議院規則、規程案の強行採決の暴挙に対し、断固厳しく抗議するものであります。
岩城君は、議院運営委員長として議院の公正な運営をなすべき職責がありながら、本件の取扱いをめぐり、各会派の合意に基づく公正な運営を行わず、与党の多数の横暴にくみして強行採決を進めたのであります。公正な運営を尽くすべき職責をないがしろにし、議会制民主主義を踏みにじった岩城委員長の責任は極めて重大であり、解任は当然であります。
そもそも、国会法について、参議院での議論はこれまで一切行われてきませんでした。にもかかわらず、衆議院から会期末ぎりぎりの十三日に参議院に送付されてきました。参議院の規則、規程案に至っては、全く与野党間の協議もなしに十七日に自公で提案をしたものであります。国会運営に関わる法案や規則は各党の合意を尽くすことこそが必要であり、このような時期に送付、提出されたことは、初めからその土台を覆すものでありました。議院運営委員長としては、このような会期末の送付、提出をむしろ抗議すべきであります。
しかも、国会法改定案、参議院規則、規程案は戦後初めて国会に秘密会を常設をするものであります。国会が監視するどころか、憲法が保障する議員の発言、質問の自由を奪い、昨年、国民の圧倒的多数の反対を踏みにじって強行された特定秘密保護法による政府の秘密体制に国会が取り込まれるものにほかなりません。国会の在り方そのものが根底に問われる重大な法案であり、とりわけ慎重な審議を尽くすことが求められておりました。
我が党は、国民多数の声を踏まえ、社民党や無所属の議員の皆さんとともに秘密保護法廃止法案を本院に提出し、廃止法案の審議こそ優先されるべきと主張いたしました。また、法案の賛否に違いはあっても、野党各党からは、議院運営委員会への付託は反対、合意によって付託すべきであり、採決での付託は反対の意見が表明をされました。
にもかかわらず、岩城委員長は、この野党各党の意見に耳を貸さず、委員長職権で法案の議運委員会への付託を強行しました。この対応が先ほどの強行採決への道を開いたことは極めて重大であります。
しかも、法案の審議は入口に立ったばかりでありました。情報を特定秘密とする内閣の判断を国会の上に置くという問題、国会職員にプライバシー侵害の適性評価を強要するという問題、院内の議員の討論、発言の権利を懲罰によって脅かすという問題、僅かな質疑だけでも全ての議員や職員の身分に関わる重大な問題が次々と浮き彫りとなりました。
それに対して、法案や規則提案者自身が果たして内容を理解しているのかと疑われるほど、まともな答弁ができない状況でありました。審議は度々中断し、理事の協議を求める要求に対して、岩城委員長が後刻理事会で協議いたしますと約束をしているという状況でもありました。
さらに、衆議院では行われた参考人質疑も、野党が強く要求したにもかかわらず黙殺されてしまいました。およそ、審議が尽くされて採決を行えるなどという状況にはありませんでした。議運の理事会でも採決の合意など全くなかったのであります。
本日正午過ぎ、法案への態度の違いを超えて野党の国対委員長がそろって議院運営委員長に、審議を尽くさないままの採決の強行はあってはならないと強く申し入れました。
にもかかわらず、今日の議運委員会では自民党議員が質疑打切りの動議を提出をしました。議院の公正な運営に責任を持つ議運委員長は、直ちに理事会を開いてその取扱いについて協議することは最低限やるべきことであります。ところが、岩城委員長は、それをすることなく、与党によるこの横暴な動議を取り扱い、審議中に自らが約束をした理事会協議もほごにして採決を強行したのであります。岩城委員長の行為は、議会制民主主義を根底から覆すものであります。
同時に、衆議院から送られた法案にどんなに問題が明らかになっても、数を頼りに成立させるという与党の横暴にくみすることにより、再考の府である参議院の存在意義すら失わさせるものと言わざるを得ません。岩城委員長のその責任は極めて重大であり、解任は当然であることを改めて強調いたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)
本会議 (岩城光英議院運営委員長解任決議案賛成討論)
2014年6月20日(金)