○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
集団的自衛権行使容認の問題でお聞きいたします。
七月一日の閣議決定は、憲法九条の下では海外で武力行使は許されないとしてきた政府見解を百八十度転換し、海外で戦争をする国へと道を開くものになっております。
政府は、歯止めは掛かっているんだと、際限なく広がるものではないと、こうこの間答弁をしてきたけれども、果たしてそうなのか。
予算委員会で横畠内閣法制局長官が、これは公明党への答弁でありましたが、集団的自衛権行使の三要件について、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が国民に及ぶことが明らかな状況と、こういうふうに述べました。これで歯止めは掛かったというわけでありますが、これ、当てはまると判断するのは時の政権であります。
しかも総理は、そのときの経済状況と日本の経済に与える打撃を勘案しながら総合的に判断とか、日米同盟は死活的に重要だから、日米同盟の関係において起こり得る事態については三要件に当てはまる可能性は高いなどと答弁をされております。これでは結局、際限なく拡大をすることになるわけですね。
防衛大臣も、ホルムズ海峡が機雷封鎖された場合は武力行使である機雷掃海活動も行い得ると、こうされておりますが、機雷封鎖による経済的影響というのは確かに重大であります。しかし、それはあらゆる外交的努力で打開をすることが必要な問題だと考えるんですね。なぜこの機雷封鎖が、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が国民に及ぶことが明らかな状況と言えるんでしょうか。
○国務大臣(防衛大臣 江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。
まず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合に、いかなる事態が、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に該当するかは、現実に発生した事態の個別具体的な状況に即して、主に攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、事態の規模、態様、推移などの要素を総合的に考慮いたしまして、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被ることとなる犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断することとなるわけであります。
また、海洋国家であります我が国にとりまして、国民生活に必要不可欠な資源や食料等を輸送する船舶の安全確保というものは極めて重要であるわけであります。ホルムズ海峡は我が国の輸入する原油の約八割、そして天然ガスの二割強が通過しておりまして、同海峡は我が国のエネルギー安全保障の観点から極めて重要な輸送経路ともなっております。
仮に、同海峡の地域で紛争が発生し、機雷が敷設された場合におきましては、我が国の石油備蓄というものは約半年分あるとはいえ、この機雷というものが除去されなければ、そこに危険というものはそのまま存続し続けるわけであります。同海峡を経由した石油供給が回復しなければ、世界的な石油の供給不足が生じます。これにより、我が国の国民生活に死活的な影響が生じ、また我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されることとなる事態は生じ得るわけであります。
経済は国家の存立の基盤でありまして、この基盤自体が脅かされるかどうかについても判断の対象になると考えておりますけれども、いずれにいたしましても、新三要件を満たすか否かということが、実際に発生した事態の個別的、具体的な状況に即しまして、政府が全ての情報を総合的に客観的、合理的に判断するということになろうかと思っております。
○井上哲士君 経済的な打撃が重大だということは誰も否定しないでしょう。しかし、それが武力攻撃を受けた場合と同様だということになりますと、かつて、満蒙は日本の生命線とか自存自衛とかといって経済問題で海外に軍隊を送ってきたこととやはり重なってくると私は思うんですね。
この問題は与党協議でも議論になってきた問題でありますが、石川政務官にお聞きしますが、公明党としても、集団的自衛権の行使として、このホルムズ海峡における機雷掃海活動に参加することはあり得ると、こういうお立場でしょうか。
○大臣政務官(防衛大臣政務官 石川博崇君) お答え申し上げます。
先生からの御下問、公明党の立場はどうなのかという御質問かと理解をいたしましたが、大変恐縮でございますが、本委員会には政府の一員として、防衛省の政務官としてお招きをいただいておりまして、特定の政党の立場をこの場で、この席から答弁として述べることは差し控えなければならないということは御理解を賜りたいというふうに思っております。
ホルムズ海峡における機雷の敷設に関する政府の立場といたしましては、先ほど大臣から御答弁がありましたとおり、現場で発生した事態の個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなりますけれども、あくまでも新三要件を満たす場合には、すなわち、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福の追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合、また、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他の適当な手段がないとき、また、必要最小限度の実力の行使と、この新三要件を満たす場合には許容され、満たさない場合には許容されないものと考えております。
こうした考え方につきまして、与党の間で異なることはないものと考えております。
○井上哲士君 最後に与党の間で異なることはないとおっしゃいましたから、つまり、三要件に当てはまれば行使ができるという立場だということで確認をいたしました。
与党協議や、その前からは、このホルムズ海峡のこういう機雷封鎖などの場合の行使については否定的だというふうに言われておりましたけれども、閣議決定前に既に歯止めがなくなったのかなと思って今お聞きしておりました。
さらに総理は、掃海活動の途中に国連安保理決議が採択をされ集団安全保障になった場合について、これは三要件が合う状況であれば続けていくとか、集団安全保障に変わったら自衛隊はもうやめなければいけないというのは極めてばかげた議論だと、こうまで述べられて、集団安全保障における武力行使を行うことも明言をされております。
「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とした憲法九条の下で、なぜこの国際的な武力制裁である集団安全保障措置としての武力行使ができるということになるのでしょうか。
○国務大臣(江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。
今回のこの閣議決定というものは、憲法と国連の集団安全保障措置との関係について、従来からの考え方というものを何ら変更するものではございません。
例えば、我が国に対する武力攻撃が発生した場合、自衛隊は個別自衛権に基づきまして武力を行使して自衛の措置をとることというふうになるわけであります。その後、国連安保理が日本を助けるために、武力行使を容認する決議を採択して、国際法上の武力行使の根拠が国連安保理決議に基づく集団安全保障措置になったといたしましても、我が国に対する武力攻撃が続いている限り、自衛隊が活動を止めるということはあり得ないわけであります。
同様に、新三要件を満たしている場合におきまして、我が国が集団的自衛権の行使に当たる武力の行使を行っている際に、その後に国連安保理が武力行使を容認する決議を採択し、国際法上の武力行使の根拠が国連安保理決議に基づく集団安全保障措置になったといたしましても、新三要件を満たしている限り、自衛隊が活動を止めるということもありません。
このように、憲法上、我が国による武力の行使が許容されるのは、あくまでも新三要件を満たす場合に限定されます。これは、国際法上の根拠が集団的自衛権となる場合でも、国連安保理決議が採択され、その根拠が集団安全保障となる場合でも変わらないというふうに考えております。
○井上哲士君 冒頭、従来の考えを変更したものではないとおっしゃいましたけれども、従来の政府の立場は、集団的自衛権の行使は憲法上できないし、当然、集団安全保障の行使もできないという立場でありまして、百八十度変更されているんですよ。
今おっしゃいましたけれども、集団的自衛権というのは、国連憲章上も、安保理が措置をとるまでの間、限定的に許されたものなわけですね。ですから、その安保理決議があっても、集団的自衛権を理由に行ってきた行使がやめることはあり得ないということは、私は九条を持つ国としてはあり得ない、詭弁だと思います。
この点も石川政務官にお聞きしますけれども、与党協議をこれも積み重ねてこられましたけれども、この点、集団安全保障における武力行使を行うことも与党間での食い違いはないと、こういうことでよろしいんでしょうか。
○大臣政務官(石川博崇君) ただいま大臣から御答弁のありましたとおり、今回の閣議決定は憲法と国連の集団安全保障措置との関係について、従来からの考え方を何ら変更するものではございません。武力の行使が許容されるのは、あくまで新三要件を満たす場合に限定されておりまして、これは、国際法上の根拠が集団的自衛権となる場合でも、国連安保理決議が採択され、その根拠が集団安全保障となる場合でも、変わらないものと考えております。
こうした考え方は、与党との間で異なることはないものと考えております。
○井上哲士君 集団安全保障の参加については、閣議決定以降も際限なく広がるものではないかというような声も公明党幹部からの発言など報道されておりますが、この点も与党同じ立場だということで言われますと、結局いよいよ何の歯止めもないと。結局そのときの政権によって恣意的な判断がどんどんどんどん広がっていくということが、私は改めて明らかになったと思います。
さらに政府は、この自衛権を行使する場合には国会に承認を求めることが歯止めになると強調をされております。この三要件を満たしたと判断をする根拠となる情報について、総理は予算委員会で、国会や国民に適切に公開し理解を得ることは極めて重要だというふうに答弁をされております。
しかしながら、この情報が特定秘密に指定をされたことによって国民に公開されないということが起きるんではないかと。予算委員会では、独立公文書管理監がしっかりチェックをするという旨の答弁もありましたが、大臣に対しての是正を要求する権限もない、この管理監で果たしてそういうことができるのか、葉梨副大臣に聞きたいんですが、まずいかがでしょうか。
○副大臣(内閣府副大臣 葉梨康弘君) お答えいたします。
特定秘密保護法では、特定秘密に指定できる情報は法律の別表に定められた防衛、外交など四分野の事項に関する情報で、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため特に秘匿することが必要である情報に限られます。個別の情報が特定秘密に指定されるかどうか、これはその情報の具体的内容と指定の際の安全保障環境に基づき、行政機関の長が判断することとなります。
お尋ねの内閣府に設置される独立公文書管理監は、各行政機関の長が特定秘密を指定した場合、指定した行政機関の長とは別の立場から指定等の適否を検証、監察することになります。
具体的には、この独立公文書管理監については、内閣府本府組織令第八条に第六項を追加し、独立公文書管理監は、特定秘密の保護に関する法律附則第九条に規定する独立した公正な立場において行政機関の長による特定秘密の指定、解除等の適正を確保するための事務を総括整理する旨規定しております。
また、運用基準は、閣議決定でございますけれども、この検証、監察を適切に行うことができるよう各行政機関の長に対して資料要求や実地調査を行い、不適切な指定等に対しては是正要求を行う権限が独立公文書管理監に与えられております。この運用基準で独立公文書管理監の事務や各行政機関の長との関連について詳細に規定しております。閣議決定で定められておるところであり、各行政機関はこれに従わなければならないことから、独立公文書管理監によるチェック機能は有効に働くものと考えております。
以上でございます。
○井上哲士君 予算委員会の答弁では、総理はそういう今のようなことを踏まえた上で、管理監に提供されない場合は極めて限られると、こういうふうに言われておりますが、逆に言えば、結局そういうことを要求しても各省庁の大臣が最終的にはやはり拒むこともあり得ると、こういうことなわけですね。
○副大臣(葉梨康弘君) 重ねてお答えすることになりますけれども、この運用基準において検証、監察が適切に行うことができるように資料要求や実地調査を行い、不適切な指定等に対して是正要求を行う権限が独立公文書管理監に与えられているというところでございまして、今おっしゃられましたような御懸念の部分は、私はこの独立公文書管理監がしっかりとしたチェックを行っていけるものだ、有効なものであるというふうに考えています。
○井上哲士君 管理監がそういうことを求めて、大臣の側からこうこうこういうことで公開はできませんということを疎明をすると。その結果、明らかにされないということがあるんじゃないですか。
○副大臣(葉梨康弘君) この特定秘密保護法第十条第一項に基づいて、行政機関の長が我が国の安全保障に著しい支障を及ぶおそれがないとは認められないときに、内閣府独立公文書管理監等に特定秘密が提供されないということはあり得ます。
ただし、運用基準において、各行政機関が内閣府独立公文書管理監等からの提供の求めに応じない場合は、その理由を疎明しなければならない旨定めております。その理由の妥当性も内閣府独立公文書管理監により確認がなされるため、特定秘密の漏えいのおそれがないにもかかわらず、内閣府独立公文書管理監に特定秘密が提供されない場合は極めて限定されるものと考えております。
なお、仮に特定秘密が提供されない場合には、行政機関に対し、特定秘密を明らかにしない形で特定秘密の指定等の必要性の説明を求めるなどによって、実効的に検証、監察などを行うことができるものと考えております。
○井上哲士君 あり得るということなわけですね。
元々この独立公文書管理監は審議官級でありまして、大臣が特定秘密としたものをチェックできるか自身が甚だ疑問であります。
いずれにしても、この三要件に、集団的自衛権行使の三要件に当てはまるというその情報が特定秘密に指定をされているという場合には、これは国会にも明らかにされないということになり得るわけですね。
では、どうやって国会は判断をするのかと。判断する根拠になる情報すらも示されないままで、どうしてこれが国会の承認という歯止めになるのか。これ、江渡大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思いますけれども。
まず、この特定秘密の指定につきましては、対象となります情報につきまして、特定秘密保護法に規定する要件を満たすかどうかということで個別具体的な状況に即して判断する必要があるわけでありまして、また、政府といたしましては、ある事態が新三要件を満たすとの判断に至った場合においては、そのような事実を含めた情勢認識などの情報を国会や国民の皆様方に適切に公開いたしまして、その御理解を得ていくことが極めて重要であるというふうに我々は考えているところでございます。
○井上哲士君 それは、情勢認識も示さずに判断などは求めるはずがないわけでありまして、その具体的な情報は何なのか。
あのイラク戦争支持を小泉内閣がしたときに、大量破壊兵器があると言ってアメリカの攻撃を支持をしたわけですよ。なぜそういう間違った判断をしたのか、どういう情報がアメリカからもたらされてどういう判断をしたのかと、我々は検証するように求めてきましたけれども、いまだにされていないわけですね。
特定秘密保護法がなくたってこうだったわけですよ。これが、この新しい法が施行されるならばどういうことになるのか。ますます情報が隠される。私はこの点でも全く歯止めが利かないと、こう思います。閣議決定は撤回をするべきだということを求めておきたいと思います。
その上で、次にオスプレイの自衛隊配備の問題について聞きますが、まず、先日、ペルシャ湾でMV22Bオスプレイが動力を失って、飛び降りた乗組員が死亡するという事故が起きましたけれども、この原因は明らかにされたんでしょうか。
○政府参考人(防衛省防衛政策局長 黒江哲郎君) 今先生御指摘の件でございますが、米国防省の発表によれば、平成二十六年十月一日、現地時間でございますけれども、ペルシャ湾の北部において米海兵隊のMV22オスプレイ一機が強襲揚陸艦マキンアイランドから発艦する際、一時的に動力が低下した事案があったということを承知しております。
なお、同機はその後動力を回復をいたしまして無事着艦をしたと承知をいたしております。なお、その際、同機にはパイロット二名を含む四名が搭乗しておったわけですが、機体が海面に向かって一時的に降下した際にパイロット以外の搭乗員二名が海中に飛び込み、一名は救助されたが、もう一名は行方不明となり死亡が認定されたと、こういう件であると承知しております。
防衛省といたしましては、現在、米側に対して本件に係る情報の提供を申し入れておるところでございます。
○井上哲士君 まだ事故原因は明らかになっていないわけであります。
このオスプレイが開発段階から様々な事故を起こしてきたわけでありますが、この中期防では、オスプレイ十七機を自衛隊にも配備することを明記をして、その配備先を佐賀空港にするということで地元へ申入れがされております。目達原駐屯地の約五十機のヘリも移駐させるということでありますが、合わせて約七十機の配備となるわけでありますが、その結果、そのとおりやられた場合、佐賀空港の自衛隊機の年間の着陸回数というのはどれだけになるんでしょうか。
○政府参考人(黒江哲郎君) お尋ねの自衛隊機による佐賀空港利用の頻度でございますけれども、防衛省では、平成三十一年度を目途に佐賀空港の西側に駐機場や格納庫等を整備しまして、目達原駐屯地から移駐する約五十機のヘリコプターと、今御指摘ありました新規に取得いたしますティルトローター機と、合わせて約七十機の航空機を配備するということを計画いたしております。
これら約七十機の航空機を運用した場合、現時点の見積りということでございますが、年間約二百九十日程度、一日当たり六十回程度、年間でトータルいたしますと約一万七千回程度の離着陸が行われるものと見積もっております。
なお、この見積りにつきましては、導入予定が三十一年度ということでございますので、実際の教育訓練の詳細でありますとか、あるいは急患輸送などの将来の任務の頻度といったものを現時点で正確に予測するというのは困難でございます。ですので、目達原駐屯地におきます現在の年間約一万二千回という離着陸回数の実績、あるいは先ほど申し上げました七十機という佐賀空港への配備機数といったものを基に算定したという、そういう数字でございます。
○井上哲士君 着陸回数でいいますと、約半分の八千五百回程度になるんだろうと思います。今、佐賀空港の民間機の着陸回数は二〇一三年度で四千九十七回なんですね。つまり、民間空港でありながら自衛隊の運用の方が民間機の倍になると、こういう姿になります。
お聞きしますけれども、同様に民間と自衛隊が共用している那覇、小松、秋田、それぞれの空港で自衛隊機と民間機の着陸回数はどのようになっているでしょうか。
○政府参考人(防衛省運用企画局長 深山延暁君) お答え申し上げます。
今先生のお尋ねがありました三つの空港でございますが、まず那覇空港でございますけれども、これは国土交通省の集計による平成二十五年のデータを申し上げますが、那覇空港の年間着陸回数、自衛隊機が一万三百四回、民間機は六万三千三百四十五回となっております。
同様に秋田空港の二十五年、これも国土交通省集計ですが、自衛隊機が九百十一回、民間機が八千四百六十四回となっております。
もう一つお尋ねの小松空港でございます。小松空港につきましては、民間機につきましては国土交通省の集計がございまして、着陸回数八千八百九十回となっております。なお、自衛隊機については、着陸回数は集計をしておりませんけれども、飛行場を離着陸する航空機及び飛行場近傍を通過する航空機等に管制上対応した回数を管制回数として集計しておりまして、二十五年度の自衛隊機に関する年間管制回数は一万六千七百九十四回となっております。
○井上哲士君 小松の管制回数は離着陸を数えているようですが、これも約半分がおおむね着陸回数になるんだろうと思いますから、八千回台だと思われるわけですね。そうしますと、自衛隊の小松空港であっても民間機とほぼ一緒ということでありますから、民間空港である佐賀が民間機よりも自衛隊の方が倍ということは本当に異様な姿になると思うんですね。
この自衛隊機のオスプレイは、殴り込み部隊と言われているアメリカ海兵隊をモデルとして水陸両用部隊と一体になって運用するものでありますから、専守防衛とは懸け離れたものだと思うんですね。
この佐賀空港自身は非常に努力をされて、この間、発着回数を増やしてきたと。ここが軍事基地化されることに大きな不安の声が上がっております。この空港建設に当たっては漁協と佐賀県が交わした公害防止協定の覚書の附属文書に、県は佐賀空港を自衛隊と共用するような考えは持っていないと明記をされておるわけでありますが、この経緯と重みについては、防衛大臣、どう認識をされておるでしょうか。
○国務大臣(江渡聡徳君) お答えさせていただきます。
平成二年の三月に佐賀県と有明海漁業協同組合連合会との間におきまして、空港建設及び共用に際し、公害を未然に防止し、環境基準の維持に努めるため、公害防止協定が締結されたというふうに承知しているところでございます。
防衛省といたしましては、同協定書の附属資料におきまして、佐賀県が佐賀空港を自衛隊と共用するような考えを有しておらず、自衛隊との共用に伴い航空施設や空港の運営を変更するような場合には、佐賀県はあらかじめ有明海漁業協同組合と協議する旨規定されていることは承知しておりますけれども、同協定書の内容についてはお答えする立場に今現在ありません。
いずれにいたしましても、佐賀空港への陸自のティルトローター機の配備に際しましては、民間空港としての発展・機能を損なわないということを前提に検討を進めるとともに、騒音や安全といった地元の方々の様々な御懸念に対しましては引き続き丁寧な説明を努め、御理解を得てまいりたいというふうに考えているところでございます。
○井上哲士君 丁寧な説明と言われていますが、しかし果たしてそうなっているのかと。
これは、佐賀空港が建設計画を発表した後、ノリ漁業に対する環境面での非常に大きな心配がありました。ですから、最初の知事の建設表明が一九六九年で、九八年の開港まで約三十年掛かっているわけですね。途中、漁業者の反対を受けて町長が反対表明をしたり、また臨時議会が漁業者の反対で流会するなど二度の計画の中断があったと。そういう長い経過がある中で、しかし建設が趨勢となる中で反対をされている皆さんも従わざるを得なくなったと、そういう中でこの協議が行われて、県は佐賀空港を自衛隊と共用するような考えを持っていないと、こういうことが明記をされたわけです。そして、いわゆる事前協議というのが書かれていますけれども、考えが変わったといってやらないように、更に歯止めを掛けたというのが私はこの覚書の趣旨だったと思うんですね。
そういう三十年のずっといろんな経過があり、思いがあるものを、今年七月にいきなり申入れをして、そしてもう予算を概算要求に計上し、そして今予算編成に合わせて一部の町の代表、校区の代表だけを集めて説明会を開いて進めていくんじゃないか。ノリ漁業者の方はもう種付け始まっているんですよ。もう夜寝る間もないほど忙しくなって、もう来年四月まではその説明会もできないような状況があるわけですね。にもかかわらず、全くそういう経過と当事者を抜きにして乱暴なやり方で進めると。こういうことは私はやめるべきだと思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(江渡聡徳君) お答えいたします。
防衛省といたしましては、平成二十七年度の概算要求におきまして、このティルトローター機の佐賀空港の拠点整備に係る所要の経費を計上しておりますけれども、これは現時点で平成三十一年度からティルトローター機の配備を想定していることを踏まえ、そのための取組を遅滞なく進められるように所要の措置をあらかじめ講じておく必要があるとの考え方によるものでございます。
防衛省といたしましては、地元の方々の御理解と御協力を得られるように関係自治体ともよく相談をしながら、引き続き丁寧な説明に努め、可能な限り早期に自衛隊のティルトローター機等の拠点整備を進めてまいりたいと、そのように考えているところでございます。
○井上哲士君 重ねて申し上げますが、ノリ漁業者など、この南川副の住民抜きに事を運ぶようなやり方は絶対許されないということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。
外交防衛委員会
2014年10月16日(木)