○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
まずは、この度の長野県北部での地震の被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。
三・一一の東日本大震災の後に、衆議院が解散している下で大災害があったらどうするんだと、緊急事態条項が憲法にないのは問題だというような議論もあったわけでありますが、私たちは、参議院が緊急集会も含めて対応できるという議論をしたことを思い出します。今回、衆議院が解散している下でこうして参議院の委員会で危機対応の議論をしているという、これは大変重要なことだと思っております。
私も、白馬村、それから小谷村で、被災者やまたそれぞれの村長さんから被害の実態やまた要望についてお聞きしてまいりました。現地へ行って改めて痛感しますのは、今回の被災地域が豪雪地帯で、しかも雪がもう目前に迫ってきている、ですから埋もれる前に必要な対策を急いでやることが必要だということ、それから、過疎と高齢化の下でやはり非常に復旧の困難さがありますし、また、これが過疎に拍車が掛かるようなことがないようにしなくてはいけないということがあります。それから、今もありましたように、観光産業に依拠した地域だと。七割ぐらいが関連しているというお話も聞きました。スキーがそのうち年間の半分ぐらいを占めるということもお聞きしたわけで、ここが困難になりますと被災者の皆さんが住まいも失って仕事も失うと。こんなことはあってはならないと思うんですね。
こういう豪雪、過疎、観光依存など、今回の被災地の特性に応じた手厚い支援が私は必要だと思います。激甚の指定や財政的な支援、それから専門家の派遣を含めた人的な支援など、迅速で手厚い対応を求めたいと思います。
大臣、やはりこの被災者の要望を具体的につかんで、被災者が元の生活を取り戻せるようにするために国が地方自治体と連携して責任を果たすことが重要だと考えますけれども、その点での認識と決意をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(内閣府特命担当大臣(防災)山谷えり子君) 迅速な対応、対策をという、おっしゃるとおりだというふうに思っております。
今般の長野県の地震については、総理が現地を御視察された際に長野県知事や地元の市町村長から、被災した社会基盤の早期復旧、二次災害防止対策の推進、被災地域の住宅・生活再建、スキー場など観光の風評被害防止対策等について御要望いただいたと伺っております。
海外への情報提供も一生懸命やらなければと考えております。英語で、ホームページでドント・ウオーリー・ハクバ・イズ・オーケーなんというふうに今メッセージを発しているところでありますが、私のところにも長野県知事などから同様の御要望があったところであり、関係省庁と連携しながら被災地の迅速な復旧を図り、被災者の方々が一日も早く日常の生活に戻れるようしっかりと対応していきたいと思います。
激甚災害の指定については、まずは関連施設の被害額の把握が必要でありまして、関係省庁に対しまして早急に被害状況を把握するように指示しているところであります。被害額を精査の上、指定基準に照らし適切に対応してまいります。
被災者の立場に立って、自治体と連携し、被災者支援に努めてまいりたいと考えています。
○井上哲士君 本当に被災者の立場に立って、自治体と連携しながら迅速な取組を求めたいと思います。
被災者の皆さんは、思いも寄らないこの震災に茫然としながら、とにかく雪が降り始める前に必要なものを運び出すとか、大変必死になっておられました。とにかく、今何が一番困っていますかと言ったら、もう全部だとか考えられないというお答えが返ってくるような状況なんですね。
先ほどお話もありましたように、非常に住民同士の助け合いが日常からあって、私も、潰れた家から助け出された方、助け出した人からもお話伺いましたけれども、そういうきずなの強い地域ですから、やはり住み慣れた場所できちっと生活ができるようにしたいという思いを皆さん持っておられました。そういう点でいいますと、しっかり将来のことを落ち着いて考えられるような住まいの確保をしつつ、住宅再建への展望を示すことが大変大事だと思います。
まず、当面の住まいの確保でありますが、高齢者も多いわけですから、避難所の長期、かつてないほど困難だと思うんですね。村でお聞きしますと、なかなか、雪の季節が目前であり、倒壊した住宅を撤去して仮設を建設するという点での時間的な制約もあるという下で、先ほど来ありましたように、ホテルやペンションなどの借り上げの努力もされておりますが、一方、これからは稼ぎどきでもあるわけですね。そういうこともありますので、近隣も含めた公的な施設、住宅の確保であるとか、それから民間の賃貸住宅、それから企業の保養所、それからあの地域は個人の別荘などもあるわけですから、こういうものを総動員をして確保することが必要だと思いますが、この点での国の支援をどうお考えでしょうか。
○政府参考人(内閣府政策統括官 日原洋文君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、現在、できるだけ良好な環境の下に生活できるようにということで、近隣のホテルとか旅館、民宿等の活用を検討されているところでございますけれども、あわせまして、特に、スキーリゾートで、なかなかいつまでも長期に借りられないということもあるものですから、その先の対応といたしましては、建設型の仮設住宅を造るとか、あるいは委員御指摘のような借り上げ型の仮設住宅、あるいは近隣市町村の雇用促進住宅の提供など、幅広くちょっと検討を進められているというふうに伺っておりまして、私どもとしても、それにきちんと相談に応じていきたいというふうに考えているところでございます。
いずれにいたしましても、自治体のお話をよく伺いながら、自治体が被災者のニーズを踏まえた避難所あるいは住まいの提供ができるように、国としても支援してまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 公的な施設はもちろんですが、民間の賃貸とか、それから申し上げましたような個人の別荘などを自治体が契約して借り上げるという場合にも、これは当然支援の対象になるということでよろしいですね。
○政府参考人(日原洋文君) 災害救助法の適用になる仮設住宅の中には、その借り上げ型というものも対象になります。
○井上哲士君 さらに、住宅の再建の支援の問題でありますが、豪雪地帯ですので非常に丈夫なおうちが多いわけでありますが、その豪雪に対応した構造になっている部分が損傷しておりますと、これからの雪に耐えられないということもあろうかと思います。外から見ただけでは分からないようなそういうことの損傷もあるわけで、やはり被災住宅の全壊、半壊等の認定についてはそういう点を考慮した認定が必要かと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府参考人(日原洋文君) 災害に係る住家の被害認定につきましては、基本的には個々の災害ごとということになってまいりますので、例えば地震による被害、それから雪害による被害というものは分けて考える形にはなるんですけれども、実際には、地震による被害を受けた後、修繕する時間的余裕がないうちに次の災害が起きてしまうというケースも可能性としてはございますので、そういったようなケースがもしあれば複数の災害を一連として捉えるという可能性もございますので、個別の事例に即してよく相談に乗ってまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 つまり、地震災害に続いて豪雪災害というものが連続して認定されるというケースもあると、こういうことでしょうかね、今のは。
○政府参考人(日原洋文君) 基本的には別々なんですけれども、修繕のいとまがないような場合については、やはり一定の考慮というものは必要であろうかと思います。それはちょっと、具体の事例に即していないと判断できないものですから、具体の事例に即して判断してまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 村でお聞きしますと、半壊などの住宅については、取りあえず冬を越せるような応急処置をして、春になってから本格的な修理をしようと、こういうお話も考えられているようでありました。
その場合、やはり雪が多いわけですから、例年にも増して小まめな除雪が必要ですし、その際、なかなかボランティアなどでは危険性もあるんではないか、高齢者の方も多いと、そういう点で専門家などの派遣も要るかと思うんですが、その点での自治体への特別な財政支援などはいかがでしょうか。
○政府参考人(日原洋文君) 委員御指摘のとおり、今回の震災で住家に被害を受けた方が、本格的なシーズン前に応急的な住宅の修理を行って、春になってから本格的な修理を行うということは想定されますので、地震で被害を受けた住家が倒壊しないように雪下ろしというものは大変重要であるというふうに考えております。
住家の雪下ろしにつきましては、基本的には、住民の自助、あるいは高齢者等要配慮者の場合で自力で行うことが困難な場合には、必要に応じて消防機関、自主防災組織、近隣居住者等の連携協力による共助によって実施されているのが実態であろうかと思っております。
災害救助法に関して言えば、今回の適用は地震の被害ということでございますので、雪下ろしそのものを救助法の対象とすることは困難ではございますが、大量の積雪によって、短期間集中的な降雪があって、今回の地震により住家がダメージを受けたことを前提として、住家の倒壊等により更にまた新たに多数の方の生命、身体に被害を受けるおそれがあるというような場合があれば、今度はそれを前提とした大雪による災害救助法の適用ということも可能性としてはございますので、そういったものにつきましても、具体の事例に即しましてよく相談に応じてまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 是非、実態に即した手厚い支援をお願いしたいと思います。
朝配られた資料で、堀之内の公民館が倒壊している写真もございました。ここへ行きますと、避難所になっているんですね。そういう看板が出ておりました。来年度に建て替えの予定で予算も組んでいたそうでありますが、これが倒壊をしてしまいました。集落の皆さんは、結果非常に遠いところに今避難をされているわけですね。小中学校の耐震補強というのは、特に三・一一も受けまして進んできているわけでありますが、こういう地域の避難所の耐震化というのは非常に大事だと思うんですね。そこの認識、また現状はどうなっているのか、こういうものを進める上での国の支援はどのようになっているんでしょうか。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、避難所としては学校だけじゃなくて公民館等の施設というものを指定される場合が多いわけでございまして、こうした施設の耐震化というものは大変重要であるというふうに思っております。
内閣府におきましては、昨年八月に避難所に関する取組指針を策定しておりまして、その中で、各市町村に対しまして、国の補助事業等も活用しながら避難所として指定する施設の耐震化というものを促してきたところでございます。
例えば、具体的な補助制度としては、コミュニティセンター助成事業というようなものがあって、例えばですが、それは自治総合センターからの助成で、総事業費の五分の三以内に相当する額で限度額一千五百万円というような仕組みでありますとか、それから施設の耐震化につきましては、これは国土交通省の事業、あるいは消防庁の事業等もございまして、いろんなそれぞれ要件がありますので、要件をにらみつつでございますけれども、そういうものを活用しながら耐震化を進めていただくように働きかけているところでございます。
○井上哲士君 現状は、対象とその耐震化の達成というのは把握されているんでしょうか。
○政府参考人(日原洋文君) 済みません、現状におきまして、公民館等の耐震化率がどの程度になっているかということは把握しておりませんので、よく調査してまいりたいというふうに思っております。
○井上哲士君 最初に言いましたように、小中学校などはこれで前進をしてきたわけでありますが、特にこういう地域においては公民館というのは大事な避難場所になっておりますので、是非現状もつかんで支援をしていただきたいと思います。
それから、水田に非常に深い亀裂が生じている地域もありました。表には出なくても内部でそういうところもあるんだろうと思うんですね。
二〇一一年に、あの三・一一の直後に、やはり長野県北部で栄村などで地震がありました。あのときは雪が積もっていたので水田の状況は分からなかったわけでありますけれども、雪解け後に被害の把握をしました。国や県の支援でほぼ被災者は大きな負担なく再建ができたということで大変喜ばれていると聞いておるんですけれども、今回、そういう現状の把握及びこういうところの復旧の支援についてはどのようになっているでしょうか。
○政府参考人(農林水産省農村振興局整備部長 室本隆司君) 今回の地震におきましては、長野県から農地や農業用施設についても被害を受けているという報告がございまして、現在、関東農政局や、これは独立行政法人でございますが、農村工学研究所の職員を現地に派遣しまして、長野県とともに被害状況の調査を行っている段階でございます。今後、被害の状況が順次明らかとなった段階で復旧工法等について検討を行うということになろうかと思いますが、その際には、被災者の負担が極力軽減されるよう、私どもとして地方自治体等に対してしっかり指導、助言を行ってまいりたいと考えております。
農水省としましては、今後とも、早期の復旧を目指しまして関係機関と十分調整を図りながら被害の把握等、復旧の推進に努めてまいりたいと、このように考えております。
○井上哲士君 観光の風評被害とか道路や水道の早期復旧についても要望をお聞きしてまいりましたけれども、同僚議員からも要望がございました。是非しっかり進めていただきたいということを求めまして、時間ですので終わりたいと思います。
ありがとうございました。
災害対策特別委員会
2014年11月28日(金)