国会質問議事録

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外交防衛委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 日米首脳会談では、海外で戦争する国づくり推進する日米同盟の強化、辺野古の新基地の建設の強行、食と農業を破壊して経済主権を損なうTPPの早期妥結など、安倍内閣が進める暴走の一層の推進を米大統領に約束をいたしました。いずれも国民の多数が反対をしているものであって、民意に聞く耳を持たずに対米公約をするということは許されないということを最初に申し上げたいと思います。
 その上で、新ガイドラインについてお聞きしますが、政府は、これまで憲法上海外で武力行使はできず、集団的自衛権の行使はできないとしてきました。前のガイドラインでは兵たん支援を盛り込みましたけれども、武力行使と一体化はしないために戦闘地域には行けないとし、そしてガイドラインの中に基本的な前提と考え方として、日本の全ての行為は憲法上の制約の範囲内において行われるとしておりました。
 ところが、今回の新しいガイドラインにはこの憲法上の制約という記述がなくなりました。一体なぜでしょうか。

○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) この度の新ガイドラインの中においては、第二章のCの部分において、「各々の憲法及びその時々において適用のある国内法令並びに国家安全保障政策の基本的な方針に従って行われる。」、このように明記をされています。御指摘の一九九七年のガイドラインの中においては、日本の全ての行為は日本の憲法上の制約の範囲内において行われる、このような記載がされています。ですから、一九九七年においては「日本のすべての行為は、」という表現になっており、新ガイドラインにおいては「日本及び米国により行われる全ての行動及び活動は、」という表現になっております。
 こうした表現の違いはあるものの、今回の新ガイドラインにおける日米両国の行動及び活動は、各々の憲法及びその時々において適用のある法令に従って行われるものであり、この点は一九九七年のガイドラインと何ら変更はないと認識をしております。

○井上哲士君 日本であれアメリカであれ、民主主義国家では憲法に従って行われることは当たり前なんですね。
 ところが、前回のガイドラインでは、日米の全ての行為は国際法と国連憲章に従うとした上で、日本についてのみ憲法上の制約の範囲内としていたわけですよ。まさに日米の軍事的共同の拡大のために憲法が制約になっていたという認識だったんじゃないですか。そして今回の、昨年の閣議決定によってこの制約がなくなったと、こういう認識が示されたということじゃないんですか。

○政府参考人(外務省北米局 局長 冨田浩司君) 文書の調整をいたしました立場から補足してお答えを申し上げますけれども、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおり、この部分につきましては文書の構成が前回のガイドラインから変わっているということで、書きぶりが若干変わっているということでございまして、ここで意味するところ、すなわち憲法に従って行動するという点においては、九七年のガイドラインと今回のガイドラインの間には何ら相違はございません。

○井上哲士君 ですから、憲法に従うというのは当たり前なんですよ。それは相違がないのは当然。しかし、前は制約という認識だったのに、今回はそれがなくなったということに大きなことがあるんですね。大体、憲法の制約というのは国家権力を縛る制約なんですよ。それを縛られる側の権力が一内閣の閣議決定で勝手に取り払って、改憲に等しいような解釈変更を行うこと自体が立憲主義から到底認められません。
 しかも、この間、我々がそういう問題を様々国会で批判をしたことに対して、閣議決定の内容を実際に行使するには法改正が必要なんだと、それは国会で議論をするんだということを繰り返し繰り返し政府は答弁をしてまいりました。ところが、この閣議決定の具体化の法案を国会に提出すらされないうちに、夏までに成立を実現をするということを米議会で総理は約束をされたわけですね。
 午前中の質疑で、これはもう決意だと述べられましたけど、どこかの集会でしゃべったんじゃないんですよ。アメリカの議会の、両院の議会のその場でしゃべったということは、事実上の対米公約になるんじゃないですか。そんなことを、夏までといいますと、国会の会期をどうするのか、どういう審議をするのか、そういうことを飛び越えて事実上の対米公約をした。全く国会を無視した、民主主義を私は潰すものだと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、米国議会における総理の発言につきましては、先ほど来申し上げておりますように、総理の安保法制の審議に向けての決意を述べたものであると認識をしております。そして、この新ガイドラインにつきましても、先ほど指摘をさせていただいた部分にもありますように、自国の憲法及びその時々において適用のある法令に従うということ、これは当然のことであると認識をしております。
 国会において行われる法案審議に際しましても、しっかりと説明をし、理解を得るよう、丁寧に取り組んでいきたいと考えております。

○井上哲士君 外国議会での総理の発言というものが単なる決意にすぎない、そんな軽いものだということは私は到底思えません。まさに国会を飛び越えたこういう発言は絶対に許すことができないということは改めて申し上げたいと思うんですね。
 しかも、この新ガイドラインの中身は、憲法のみならず安保条約の枠も飛び越えた中身になっております。前のガイドラインでは、日本有事に加えて周辺事態での米軍支援を盛り込みましたけれども、日本防衛を建前としておりました。今回のガイドラインでは、地理的制約をなくして、アジア太平洋地域及びこれを超えた地域の平和、安全に主導的役割を果たすと、こうしたわけですね。極東の平和と安全としている安保条約の目的すらこれは逸脱をするんではないでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) ガイドラインにつきましては、従来のガイドラインにおいても、種々の日米間の協力関係は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合の協力のように、日米安全保障条約及びその関連取決めの具体的な規定に直接根拠を置くものがある一方で、このグローバルな協力のように、これらの具体的な規定に直接根拠を置かない協力も含んでおりました。そして、その後者のグローバルな協力の実例として、例えば二〇一〇年のハイチ地震、ソマリア沖やアデン湾での海賊対策における協力、こうした協力の実績が存在するわけです。こういったガイドラインの構造につきましては、新ガイドラインにおいてもこれは全く変わっておりません。そして、このグローバルな協力についても自国の憲法及び法令に従って行われるということ、これはもう当然のことであると考えております。

○井上哲士君 ハイチ地震のことなどを午前中からも挙げられるわけでありますが、この新ガイドラインでは、地球規模で主導的役割を日米が果たすと書いているんですね。およそこれまでとは、飛び越えた、踏み込んだ書き方をしております。これはやはり安保条約の枠をはるかに超えた事実上の安保の改定でありまして、それを政府間のガイドラインの改定で行うこと自体が極めて重大だと思います。
 そして、この国際的な軍事活動の協力分野として、平和維持活動など八項目を列挙した上で、この指針に必ずしも明示的には含まれない広範の事項について協力というふうに明記をされております。この必ずしも明示的に含まれない広範な事項というのは、具体的にどういう活動を想定をしているんでしょうか。

○国務大臣(防衛大臣 中谷元君) これは文字どおり、日米の協力はガイドラインに例示された協力分野に限られない旨を確定的に記述をいたしたものでありまして、特定の活動や特定の国、地域における事態を想定したものではありません。
 では、どこにどこまでということでありますが、この新ガイドラインの下での協力を含めて、自衛隊の派遣につきましては、我が国として自らの国益に照らして主体的に判断するものでありまして、我が国の平和及び安全の確保や国際社会の平和と安定への貢献とおよそ関係なく自衛隊を派遣することはあり得ません。また、その際、自衛隊が特定の活動を行うためには根拠となる法律が必要であることは当然でありまして、我が国による対米協力が無制限に広がるという心配はないということでございます。

○井上哲士君 結局、時の政権の判断、そして時の多数派によって執行されることになりますと、事実上のやはり私は無限定になるということを指摘したいと思うんですね。
 このように、今回の新しいガイドラインには、日本は従来の憲法解釈や法律ではできないことが多数含まれております。ですから政府は今週にも関連する法案を提出をしようとしているわけですが、一方、アメリカが日本の防衛のために従来の政策であるとか法律を超えて新たに行うということは盛り込まれているんでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 先ほど憲法のお話がございましたが、この従来の政策という意味、必ずしも明らかではありませんけれども、その下で行われる取組が従うべき基本的前提及び考え方の一つといたしまして、日米両国の全ての行為は、各々の憲法及びその時々において適用のある国内法令並びに国家安全保障政策の基本的な方針に従って行われるとされておりまして、米国がこれらと矛盾するような活動を行うということは想定はされておりません。
 その上で、この新ガイドラインにおきましては、日本に対する武力攻撃への対処に当たって米軍が実施する活動として新たに明記されたものも含まれております。例えば、米軍が弾道ミサイル攻撃に対処するための作戦において自衛隊の作戦を支援し補完するための作戦を実施すること、米軍が自衛隊が行う島嶼に対する陸上攻撃の阻止、排除のための作戦や島嶼を奪回するための作戦を支援し補完するための作戦を実施をすること、米国が日本の防護を確実にするためCBRN事案及び攻撃の予防並びに対処関連活動において適切に日本を支援することなどといった点は以前のガイドラインには明記されていなかったものでございます。

○井上哲士君 従来のガイドラインには明記されていませんでしたという答弁でありましたが、要するに、従来の日米安保条約におけるアメリカの役割のその範囲内について、今の情勢の下で書き加えたということでありまして、従来の政策の枠を超えたものではありませんし、日本が法律を変えようとしているのにアメリカはそういうことはないということなわけですね。
 ですから、旧ガイドラインのときの防衛省の運用局長だった方が朝日でコメントを出しておりますが、日本がやるべきことは大幅に増えるけれども、米国がやろうとすることは今までの政策から一歩も出ていない、非常にアンバランスだと、こういう指摘をされております。アメリカのカーター国防長官も三月十八日の下院の軍事委員会の公聴会で、ガイドラインの改定は、日本の非常に有能な自衛隊と、我々と戦略目標と基本価値を共有する日本に対して、地域と世界中で我々を支援する新たな方法を与えるものになると、こう述べました。
 要するに、自衛隊が地球規模でいつでもどこでも、どんな戦争であってもアメリカを支援をする新たな方法を持つと、こういうことが今回のガイドラインだということではないんでしょうか。どちらでも。

○国務大臣(中谷元君) この新ガイドラインでの協力を含めて、まず自衛隊の派遣は我が国として国益に照らして主体的に判断するもので、我が国の平和と安全、また国際社会への平和と安定への貢献とおよそ関係なく自衛隊を派遣することはありません。また、その際、自衛隊が特定の活動を行うための根拠となる法律が必要でありますので、対米協力が無制限に広がるという御指摘は当たらないと思います。
 一方で、米側におきましても、我が国の防衛、また地域の平和と安全のためになし得る活動といたしまして、先ほどお話をしたような内容におきましてこういった寄与をしていただけるということでございます。

○井上哲士君 先ほども申し上げましたけれども、アメリカは従来の政策の枠の中で、日本は新しい法律、そして憲法解釈を変えてまで地球規模での米軍支援をしていくと、こういうことになっているということを改めて指摘をしたいと思うんですが、それにおいて、これ今日も議論になっていますが、調整メカニズムというものが盛り込まれました。これは九七年のガイドラインにも盛り込まれたわけですが、今回のものはどう違っているんでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 今回は、同盟調整メカニズムといいまして、日本の平和と安全に影響を与える状況、その他の同盟としての対応を必要とする可能性があるあらゆる状況に対して、切れ目なく実効的に対処するために日米両政府によって設置されるものでございます。自衛隊及び米軍の活動に係る政策面及び運用面の調整を強化をするものでございます。
 一九九七年のガイドラインで構築された二国間の調整メカニズムは、我が国に対する武力攻撃に際して、対処行動や周辺事態に際して日米両国が行う各種活動の調整を図るということを目的といたしました。また、九七年のガイドラインにおいて同メカニズムは、我が国に武力攻撃が差し迫っている場合や周辺事態が予測される場合に、早期に運用を開始するものとされておりました。
 これに対して、同盟調整メカニズムというのは、現下の安全保障環境においては安全保障上の脅威が日米両国の平和と安全に深刻かつ即時の影響を与えることを踏まえて、上記のような事態のみならず、大規模災害時を含めて、平時から緊急事態までのあらゆる段階において日米間の調整を図ることを目的とするとともに、平素から構築をしておくだけではなくて、平時から利用可能なものとして調整、所要に適切に即応できる体制を維持するというものでございます。

○井上哲士君 具体的に進める上で、日米の要員の交換が明記をされておりますが、これ朝日の四月十九日付けによりますと、防衛省の中央指揮所に米軍から、米軍横田基地に自衛隊から、それぞれ連絡員を派遣して日米共同調整所を置くと、こういうふうに報道されていますが、こういう形態になるということでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 米軍幹部を中央指揮所に常駐させるとの方針であるとの事実はございません。

○井上哲士君 じゃ、具体的にどのように行うんですか。

○国務大臣(中谷元君) 先ほど申しましたように、同盟調整メカニズムというのは、平時から緊急事態に至るいかなる段階においても、自衛隊と米軍との情報共有の強化、調整の円滑化を図るために双方の要員を相互の機関に派遣することを考えていますが、その具体的な形態につきましては個別具体的な状況によるために一概に申し上げられないということでございます。

○井上哲士君 協力計画にも踏み込んでおりますが、これも前回の指針では協力計画の検討の作業を行うとしておりました。当時の答弁では、計画検討作業の成果は日米各々の所要の検討や準備等に反映されることになりますと、こう答えておりますが、今回は検討ではなくて策定すると明記をいたしました。前回指針とはどういう違いが出てくるんでしょうか。

○政府参考人(防衛省企画運営局 局長 深山延暁君) お答え申し上げます。
 今回のガイドラインの見直し作業の中におきまして、日米のこれまでの計画検討作業の進捗、成果を踏まえれば、既に相当程度精緻化された成果を得るに至っておるという認識に至りまして、かかる精緻な検討成果について、共同計画として策定、更新していく、すなわち保持をするということが両国の対応を一層迅速、的確なものとするため有益であるとの認識で一致いたしました。この認識に基づき、新ガイドラインの下では、日米両国は共同計画を保持するという記述にいたしました。
 効果についてということでございますが、ガイドラインにおきます他の記述同様、従来のガイドライン同様、新ガイドラインは日米いずれの政府にも立法上、予算上、行政上、その他の措置をとることを義務付けるものではございません。また、法的権利又は義務を生じさせるものではありません。また、今回策定いたしましたガイドライン本文におきましても、「共同計画は、日米両政府双方の計画に適切に反映される。」ということが書いてございまして、そうした意味では、これまで同様、それぞれの国の計画等に反映されることが望まれるという位置付けにおいては変わりがないと考えております。

○井上哲士君 策定をするということになりますと、前回指針よりも大きく踏み込むことになるわけですね。ですから、このガイドラインを基に日米の制服同士が共同作戦をつくると、国民が知らないうちに現場の協力が進む、米軍の期待を果たして日本が現場で断れるのかと、こういうような指摘もされておりました。調整の名の下に平時からもう自衛隊と米軍の一体化が進んで、自衛隊が事実上米軍の指揮下に組み込まれていく、こういう危険もあるということを指摘をしたいと思うんですね。
 最後、もう一点、TPPについてお聞きいたしますが、日米共同ビジョン声明でTPP交渉の大きな進展ということを強調いたしましたけれども、一方、首脳会談直前に行われた甘利大臣とフロマン代表の会合の具体的内容は一切明らかにされておりません。報道では、政府は既に牛肉、豚肉の関税の大幅引下げを認めて、残った論点はアメリカ産米の特別輸入枠の大幅拡大だけだと言われておりますが、この大きな進展とは一体どういうことなんでしょうか。外務大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 四月の二十八日行われました日米首脳会談におきまして、日米の首脳は、まず一つは、TPPがアジア太平洋の経済成長及び繁栄を牽引するとともに、地域の平和や安定を促進するという認識を共有するということ、そしてもう一つは、日米二国間の交渉において大きな進展があったということ、これらを確認いたしました。二国間の交渉において大きな進展があったと確認した上で、両首脳は、引き続き、このTPPを早期かつ成功裏の妥結に導くべく共に取り組んでいくことを再確認した次第であります。
 この二国間の協議については、先月十九日から二十一日まで、甘利大臣と米国フロマン通商代表との間で米を含む農産品と自動車について協議が行われて、依然として課題は残っているものの、二国間の距離は大幅に狭まったと承知をしており、全体として大きな前進をした、このように評価をしているところであります。
 引き続き、TPP全体を日米間でリードして、我が国としましては、国益を最大限実現するべく、早期妥結に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。

○井上哲士君 内容を明らかにしていただきたいんですが、農業五品目、聖域を守ると繰り返し言ってきた日本国民への公約というのはちゃんとこの大きな進展の中で守られるということでよろしいんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げましたように、甘利大臣と米国フロマン通商代表との間で米を含む農産品、そして自動車について協議を行い、大きな前進があったと評価をしているところですが、一方、日米首脳会談においては、日米協議の具体的な中身について交渉は行ってはおりません。
 いずれにしましても、TPP交渉においては、この衆参の農林水産委員会の決議をしっかりと受け止め、いずれ国会で承認をいただけるような内容の協定を早期に妥結するよう交渉に当たっているところであります。
 TPP交渉、最終局面を迎えていると認識をされています。いずれにせよ、守るべきことは守り、攻めるべきことは攻め、国益にかなう最善の道、追求していきたいと考えております。

○井上哲士君 日本の国会でも安倍総理は今答弁あったようなことを言われました。国益を守るんだと、TPPにおいてもと、こういうことを言われたわけですね。
 しかし、総理の両院議会での演説を聞いておりますと、本当に公約守る気なんかあるのかと思わざるを得ないわけですね。TPPについて、単なる経済的利益を超えた、長期的な安全保障上の大きな意義があると、こういうふうに述べましたけれども、農産物の五つの重要品目の関税撤廃の聖域確保などについては全く触れませんでした。
 一方、オバマ大統領は総理との共同会見でTPPについて触れて、米国では多くの日本車が走っている、日本でももっと多くの米国車が走るのを見たいものだと強調して、アメリカの多国籍企業のための日本市場の一層開放を求めましたし、アメリカの市場が開かれ、アメリカが輸出を増やすことができ、アメリカの雇用が拡大するのですと、つまりアメリカのそういう輸出や雇用の拡大に役立つものだということを繰り返し強調しているわけですね。
 ところが、安倍総理は、いわゆる守るべきものは守るといいながら、これまでも全く会見でも述べませんでした。安全保障上の意義を強調しただけでありますが、国民への公約や農業を守るということよりも、こういうアメリカの要求を優先しようという姿勢にしか私にはあの会見、演説、見えないんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、TPPにつきましては、経済的な意義のみならず、様々な大きな意義を含む経済連携であると認識をしています。
 そして、その中にあって、米国も当然のことながら自らの国益を追求するべく最善の努力をするものだと思いますが、我が国としましても、先ほど申し上げましたように、国益にかなう最善の道を追求していかなければなりませんし、追求しております。
 そして、最終的に、重要五品目の扱いも含めて国会において承認をいただかなければなりません。国会に御承認いただけるよう、しっかりとした交渉を最後まで続けていきたいと考えております。

○井上哲士君 是非共同会見を御覧いただきたいんですが、まさにオバマ大統領がアメリカの利益を盛んに主張するのに対して、安倍総理は全く五品目のことについても述べませんでした。
 かつて、ブッシュ前の大統領が米国の農業関係者に行った演説に有名なものがありまして、食料自給は安全保障の問題だ、皆さんのおかげでそれが常に保たれている米国は何と有り難いことかと。それに引き換え、食料自給できない国を想像できるか、それは国際的圧力と危険にさらされている国だと、こういうふうに述べたわけですね。
 私は、TPPを進めて国内農業を破壊するということは、まさに食料安全保障そのものを脅かすものであるということを改めて言いたいし、そういうような今回の首脳会談、そして共同会見、本当に重大だと思います。全体として、平時から日本と米軍を一体化にして戦争する国づくりを進めるようなこのガイドラインを撤回をするとともに、これを具体化をする一体の戦争立法の閣議決定も中止をするべきだということを最後申し上げまして、質問を終わります。

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