○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
今日は参考人の皆さん、ありがとうございます。
まず、若者の政治参加の教育の問題について、特に模擬投票に関わってお聞きしたいと思います。
杉浦参考人も全国的なネットに参加をしているけれども、地域によっては教育委員会等がやめろと言う場合があるというお話がございました。どういう理由でそういうことになっているのか、そこに見られる今の高校における在り方の問題について、まず御意見をいただきたいと思います。
○参考人(立命館宇治中学校・高等学校教諭 杉浦真理君) ちょっと具体的には申し上げませんが、公立高校はやっぱり厳しいです、模擬投票推進ネットワークが入ってくるのは。私立の学校、まあ本校もそうなんですけれども、多いです。それは、やはりこういった生の政治を取り扱うということに、教育基本法の、政治的教養を高めなきゃいけないという第一項はあるんですけれども、第二項の政治的中立性を担保するためにどうするかというと、やめておこうという学校がやはり公立さんの中ではある。その判断をやはり教育委員会なり校長がする場合があるということで、それはちょっと残念なんですけれども。
こういった動きについても、神奈川県のような取組もありますし、今後、十八歳、有権者が目の前にいるという学校現場になってきますから、だんだん変わっていくのではないかなというふうに期待しております。
○井上哲士君 神奈川の場合はそういう議論もあったんだろうと思うんですが、今は全体で取り組んでいらっしゃる、大変すばらしいと思うんですが、先ほど出たような懸念をどういうふうに克服をされて今やるに至ったのか。
それと併せて、模擬投票に係るアンケート結果を見ますと、政治的関心、高まったが五六・八、そうでもないというのが四三・二、意外と拮抗しているなという印象なんですね。否定的な感想も若干先ほど御紹介ありましたけれども、全体でどういうことがあって、これから見れば、どういうことを今この投票ということで改善が必要なのか、併せていただきたいと思います。
○参考人(神奈川県教育委員会教育長 桐谷次郎君) まず一つは、模擬投票を単独で本県の場合はやっているわけではございません。あくまでも年間の教育課程の中に位置付けて、事前学習から始まり、事後学習の振替まで、つまり一連の教育課程の中の一つとして模擬投票をやっております。
そういった意味でいけば、まさしくカリキュラムに位置付けられ、そして、先ほど申し上げましたように、公職選挙法等の規定に抵触をしないように専門家の方から様々な意見をいただき、検討をし、そして留意事項を定め、それで全校で実施をしてきているというのが実情でございます。
それから、アンケート結果で確かに否定的な意見もございます。ただし、これは教育現場から見たとき、否定的な意見だったとしても、まずはそういった意見を言えるように子供たちがなったというのも事実でございます。これまでいわゆる選挙あるいは政治に関心を持っていなかった子供たちが、否定的な側面はあったとしても、それをどう思うかというふうに子供たちは感じたと。やはりそこにこの一連の主権者教育をやった結果として子供の変容があったというのが学校現場の先生たちからは聞かせていただいております。
以上でございます。
○井上哲士君 参考人のお話にもありましたけれども、やはり新たに十八歳以上の若者を主権者として、パートナーとして迎えるわけですね。ですから、私たちは、与えたんだから後は何とかしろ、選管頑張れとかということではなくて、やはり政党・政治家としての責任といいますか役割が問われると思います。
そういう点で、新しい主権者になる若者の皆さんが選挙、政治に参加をしていく上で政党・政治家に何を求められるか。活動のスタイルとか、政策の中身とか、訴えのやり方とか、いろいろあろうかと思うんですけれども、それぞれ御注文、また御提言、御意見などいただければと。四人の方にお願いします。
○参考人(桐谷次郎君) アンケート結果でもございましたけれども、なかなか難しくて分かりにくいということがございました。これは、基礎的な知識がないという、あるいは少し足りなかったという側面も決してなくはないと思いますが、やはり分かりやすさ、誰もが理解をし得る、そういったものがお訴えの中にあれば、また子供たちのこのアンケート結果というのも変わってきたのかなと、そんなふうに思っております。
以上でございます。
○参考人(杉浦真理君) 度々出ますけれども、本当に子供たちはスマートフォンに支配されているという現状があります。その点でいいますと、共産党さんの「カクサン部」はとても頑張られておられて、生徒のヒットもありますので、そういう情報の発信の仕方というのは若者にやっぱりちょっと大事なのかなと。
二年前の衆議院選挙で「あべぴょん」というのがはやりまして、自民党の方は御存じかもしれませんが、それをクリックすると、安倍さんがこうどんどん上がっていくんですよね。単純なんですけれども、そういうふうに政治に参加するみたいなゲーム感覚のものというのは子供たちにフィットしたりします。
さらに、お願いもあるんですけれども、是非、ホームページにうちの生徒なんかはマニフェストの分析の中で分からないことを質問させていただくんですけれども、共産党さんはすごく丁寧に答えていただけるんですね。でも、ある政党は、そこに質問をすると、貴重な御意見ありがとうございましたと返信が来て終わり。まあ、どこの政党かちょっと調べてくださいね。そういう状況ですと、生徒は、やっぱり自分が本当に知りたいと思っていても答えてもらえない、つまり、自分たちの意見がその政党に聞き届けられるのかな、あるいは自分たちの質問に答えてくれるのかなというのは結構高校生は思っているので、そういうSNS媒体も含めた返答をしていただけると、子供たちがいい政治的な興味も湧きますし、何というか、より成熟していくのではないかと思います。是非お願いします。
○参考人(竹松山市選挙管理委員会事務局長 村奉文君) 今社会の構造の中で、先ほど来ずっと出ておりますように、政治家、政党の皆様方が選挙人に対して発信するツールが非常に便利なものがたくさん出てきたということでございます。それもコストを掛けずに出すことができると。そういう意味では、先ほど来申し上げておりますように、常時の皆様の活動をしっかりと伝えれば、私はある程度選挙人の方はそこで理解をしておるんじゃないのかなと。そのことが実は、選挙に始まったと同時にそれを確認するというぐらいの形になれば、非常に理想な形になるのかなというふうに思っています。
○参考人(特定非営利活動法人YouthCreate代表理事 原田謙介君) ありがとうございます。
各政党、恐らく青年委員会みたいな部署がそれぞれあるとは認識をしているんですが、なかなかそこの活動が実際に青年に対して行われていない側面もあるのかなと思います。この機会に各党の青年の組織をもっと力を入れて、例えば大学でもいい、各都道府県でもいい、そういうところの有権者を巻き込んでいくんだというような姿勢を一ついただければなと思っています。
あと、杉浦参考人の意見にも少し重なるんですが、急に十八歳とかあるいはそれぐらいの年齢の人に政治的な意見を求めるのは少し酷かなと思っています。もちろん、投票に行ってもらうのでそこまでやらなければいけないんですが、そうではなくて、政治的な意見がなくても疑問はすごく持っていますので、それは投票に行く人も行かない人も、有権者の疑問をどんどんどんどん引き出すような情報発信をして、その疑問に答えていただくことによって双方向性が生まれて、ああ政治が僕たち若い人のことを見てくれたんだと思うと思います。
あと最後、もう一点、少しずれるかもしれませんが、例えば参議院として何かやれることがないかとか、そういうような考え方もしてみてはいかがでしょうか。地方自治体であれば、自治体によって議会報告会みたいなものを超党派で行っているような自治体もあったりしますので、何か参議院全体として、せっかく超党派で出されている法案なので、超党派でできることがないのかということも少し検討をされてみてはどうかなと思います。
以上です。
○井上哲士君 最後に、竹村参考人に。
選挙公報が非常に大事だというお話がありました。読まれる中身にするのは候補者が工夫しなくちゃいけないと思うんですが、私なんか住まいのところはいわゆる自治会を通じて配るということになっていますと、なかなかやっぱりアパートなんかに住んでいる若者に届かないということがあるわけですね。そういう配布の在り方の工夫など、法律改正が必要ならば、それも含めてどのようにお考えでしょうか。
○参考人(竹村奉文君) うちの方は以前、新聞折り込みにしておきました。ただ、新聞の購読量が落ちておりますので、現在はフリーペーパーで全戸配布、無料のフリーペーパーを配布しておる事業者を使って、同様に選挙公報を配布していただいております。
ですから、できる限り、まず全世帯には網羅するということを前提にしながら、ただ、その部分は重なってもいいので、様々な機会に公共施設だとかそういうところで配布するようなことには努めております。
○井上哲士君 ありがとうございました。