○井上哲士君 日本共産党を代表して、二〇一三年度の一般会計決算、国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、国有財産無償貸付状況総計算書の是認に賛成、同予備費に関し、特別会計予備費の承諾に賛成、一般会計予備費、特別会計の経費増額の承諾に反対の討論を行います。
二〇一三年度決算は、第二次安倍内閣が編成した初めての当初予算と、消費税増税実施のために緊急経済対策として提案された五兆五千億円規模の補正予算についてのものです。
安倍首相は、施政方針演説で、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指すと表明して、大企業中心の成長戦略を進めてきました。補正予算では、大企業の復興特別法人税の一年前倒しの廃止や、三大都市圏環状道路や港湾、空港建設などの大型開発へ三千億円以上の大盤振る舞いが行われ、公共事業関係費は決算ベースで前年度比プラス三八%、二・一兆円もの増額となりました。
一方、大企業の内部留保を活用した内需主導の経済政策への転換は行われず、さらに、税と社会保障の一体改革が実行に移され、生活保護費、年金保険給付費など、社会保障の根幹部分が軒並み削減をされました。こうしたことで、大企業の内部留保は、一二年末から一年間で十三兆円も増え、一三年末には過去最高の二百八十五兆円に達しました。
一方、労働者の実質賃金は、二〇一三年度予算が成立したその五月から二十四か月連続でマイナスになり、家計消費は落ち込みました。格差の拡大と景気悪化をもたらしたのが一三年度予算でした。
軍事費は、F35の導入やミサイル防衛等が盛り込まれて増加し、更に補正予算で経済対策として千二百億円が積み増しをされました。周辺諸国との軍事的緊張を高め、東アジアの平和的環境づくりに逆行するものであります。沖縄辺野古への新基地建設のための予算も盛り込まれましたが、その後の選挙で、沖縄県民は繰り返し新基地建設反対の厳しい審判を下しました。基地建設の強行は直ちに中止すべきです。
東日本大震災の被災者の生活再建の予算措置は不十分な上、復興特別会計の予算執行が六三・五%にとどまったことは重大です。また、福島では避難生活を余儀なくされている県民はいまだに十万人を超えており、原発被害の補償の打切りや原発の再稼働などは到底認められません。
以上のような問題を持った予算の執行については、是認をできません。
なお、国有財産無償貸付状況総計算書は、緑地、公園、墓地など国民の福祉を支えるものであり、賛成です。
次に、二〇一三年度予備費の承諾について述べます。
特別会計予備費の農業共済再保険は、自然災害等に由来する対応であり、賛成です。
一般会計予備費の国家安全保障局設置経費は、秘密保護法と一体を成し、集団的自衛権行使の戦争司令塔づくりの支出です。また、福島原発の汚染水対策経費二百五億円は、東京電力を支えてきた大株主や原子力産業が負担するべきものです。これらを予備費で支出し、国会審議を回避したことは容認できず、反対です。
特別会計予算の経費増額は、緊急性の高い災害対応の工事の必要な支出は認めますが、国会審議を必要とする当初予算等で対応するべき事業もあることから、反対であります。
以上申し述べまして、討論を終わります。
決算委員会
2015年6月29日(月)