○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
一昨日の委員会で我が党の仁比議員が明らかにいたしました河野統幕長の訪米記録の問題について質問をいたします。
この資料の存否を明らかにし、そして提出をするようにということで、中谷大臣には資料そのものを手渡しをいたしました。この中身は、政府も決めていないような、そして国会にも語られていないような中身を自衛隊のトップが米軍に行って語っている。首相や防衛省が知っていたとするならば政府ぐるみで国会を欺いたことになるし、知らなかったとすれば自衛隊の暴走で、シビリアンコントロールが利かずに指揮監督責任も果たしていないということになるわけで、いずれも大問題であります。この問題の真実と責任究明は、この法案審議に不可欠だと言わなくてはなりません。
そこで、先ほどの質疑の中で、この問題については調査中だと、そして統幕長にもお会いになったということを認められました。この資料は、あれこれのいろんな資料ではありません。統幕長自身の会談のメモなんですね。ですから、統幕長に確認をするというのが最も必要で、かつ簡単な方法なわけであります。
昨日、河野統幕長が記者会見をされておりますけれども、この内容は、大臣、御存じでしょうか。
○国務大臣(防衛大臣 中谷元君) 会見録を拝読をさせていただいております。
○井上哲士君 では、会見録に沿ってお聞きをいたしますが、当然マスコミは、今私が申し上げたように、本人がどう考えているのかということを聞くわけですね。マスコミの質問に、御自身で共産党からの資料を御覧になりましたかと聞かれて、見ましたと、こう言った上で、明らかに間違いという御認識でしょうかと聞かれますと、それも含めて確認しておりますと、こうおっしゃるんですね。御自身の発言ですので、明らかに間違いだったら完全に虚偽のものだとすぐ分かると思うんですが、その点いかがでしょうかと畳みかけられますと、防衛省として正式に発表いたしますので、それ以前にコメントは適切でないと考えておりますので控えさせていただきますと、こう言われました。ですから、間違いということは言われませんでした。
そこで、大臣に聞きますけれども、当然お会いになったらこのマスコミと同じことを聞くのが当たり前だと思うんですけれども、大臣はお聞きになったんでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) この資料の取扱い等についてでございますが、今、防衛省におきまして、この資料が防衛省が作成したものか否かも含めまして調査をいたしているわけでございますので、そういった点につきまして調査を進めておるということでございます。
会いまして、その事実なども、もう既に私が就任したときが十二月の二十四日でございまして、そのとき統幕長から、訪米をしましたと、二十六日ですけれども、そのときに訪米をしたということを聞きまして、どういった方に会ったとか、そういう概要は報告をいただきましたが、それ以降はそのままになっているということでございます。
○井上哲士君 ちゃんと質問に答えていただきたいんです。
マスコミは、この文書を見て統幕長に、御自身の発言なので間違いだったらすぐに分かるでしょうと、そういう認識なのか、間違いだったのかと、こう聞いているんです。これ、当然聞くことだと思うんですね。これを大臣は聞かれたのか、どういう返事があったのかと、それをお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) まず、現在、この資料の真偽、これ調査中でございます。したがいまして、御本人の発言につきましても、私は直接どうであったかということは尋ねておりませんが、記者会見において、議事録、会議録、これは読まさせていただきました。
○井上哲士君 つまり、聞いていないということですか。河野さん自身の訪米報告なのに、これは見た瞬間あなたは間違いと思ったんですかと聞いているんですか、聞いていないんですか、その事実をお答えください。
○国務大臣(中谷元君) 当然、幕僚長ともお話をいたしましたが、会話の内容についてではなくて、この資料の存在等について、委員会から受け取ったわけでございますので、どういう内容であるのかというようなことでございます。この点につきましては、現在、防衛省内でこの真偽も含めて調査中ということでございます。
○井上哲士君 いや、先ほどの質疑の中で、中身も含めて確認をしたというような答弁があったと思いますが、ちょっと違うんじゃないですか。
○国務大臣(中谷元君) 確認をしたというのは、そういう経緯があったということを確認したわけでありまして、会話の中身とかそういうところまでは聞く時間もございませんでした。先ほどお答えしたのは、一般論としてE2Dがどうなのかということでお答えをしたまででございます。
○井上哲士君 これは本人の報告なのに、訪米録なのに、これについて間違いと思うのかどうか、その一番基本的なことさえ聞いていないとすれば、まともに調査している姿勢でないということを言わざるを得ません。
そして、週明けにもう明らかにするということが先ほどございました。一方で、先ほど来の答弁を聞いておりますと大変気になるのは、外交上の問題があると、先ほどの答弁で、この中身等につきましても非常に他国との関係等もありますので、その点につきましてもしっかり調査をした上でお答えさせていただきますと、こうおっしゃっているんですね。しかし、これは防衛省の文書なんですよ。他国の文書じゃないんですね。なぜ他国との関係で調査をする必要があるんですか。どういう意味ですか、これは。
○国務大臣(中谷元君) これは他国とやり取りをした内容が含まれておりまして、やはり調査においても慎重に行う必要もございますし、また一連の会談ということでございますので、その内容等は相手方の関係もございますので、調査においては非常に間違いがないように慎重に行われなければならないということでございます。
○井上哲士君 いや、この報告録の中身が正しいかどうかとか、それはそういうこともあるかもしれません。しかし、今問題になっているのはこの存否なんです。これは日本の自衛隊の中の文書なんですね。これがあるかどうかというのは外国との相談は関係ないでしょう。存否のためになぜそういうことが必要なんですか。外国と了解がなければ認めることができないと、そういうことですか。
○国務大臣(中谷元君) 存否について、それが本物であるのか、防衛省で作られたものであるのか、これを調査をしているわけでございます。なお、その中身も米国とのやり取りに関するものでありまして、一般に、外国とのやり取りに関する資料につきましては、相手方との信頼関係にも関わるものであるという意味で、大変慎重な取扱いを要するものであるということでございます。
○井上哲士君 外交文書がそういうものだと、そうおっしゃいました。しかし、これはアメリカとの関係ではなくて、日本の自衛隊が作った文書なんです。報告文書なんですね。その存否について聞いているんですよ。中身がいろんな間違いがあったかもしれないということを皆さんがチェックするのはあるでしょう。しかし、存否についてはこれは日本の判断でやるべきものなんじゃないですか。もう一回どうですか。
○国務大臣(中谷元君) まず存否について、それが本当に防衛省で作られたものであるのかどうか、これを調査をいたしております。しかも、内容がやはり外国とのやり取りに関するものでありまして、一般に、外国とのやり取りに関する資料につきましては、相手方との信頼関係にも関わるものである意味で大変慎重な取扱いを要するということでございます。
○井上哲士君 いや、公表については慎重な取扱いが要るかもしれません。しかし、これは既に私ども入手をし、これは本当に重大な中身ですよ。国会と国民をないがしろにしている。これを明らかにすべきだと私たち出しました。ですから、この存否については、日本の判断、日本の文書なんですからそれは明らかにできるはずだと思うんですね。
昨日の統幕長の記者会見ではこう言っているんですよ。この文書が我々から流出したことが確認できないとアメリカとの交渉もできませんので、それを踏まえて確認をしております。存否を明らかにするのに何でアメリカと交渉することが必要なんですか。
○国務大臣(中谷元君) これは、今、本当に防衛省で作られたものであるのかどうか、これを調査をいたしております。また、内容がアメリカの要人との会談でございまして、その内容を公表することを前提に行われたものではないことから、相手方との関係もありまして、御指摘のような発言の有無を含めて、具体的なやり取りの内容等もございますので、そういった点につきましても含めて慎重に捜査を、調査をしているということでございます。
○井上哲士君 つまり、交渉の結果、アメリカが公表したら困ると、こう言ったら、現実にあっても存在を認めないと、こういうことですか。
○国務大臣(中谷元君) そうではございません。
まず、この書類が本物であるかどうかということを確認をいたしておりますし、また、そういった一連のことでこういった会談の内容等も含まれておりますので、非常に相手方との信頼関係にも関わるものであるという意味で、慎重に調査をしているということでございます。
○井上哲士君 これまで政府は、例えば核密約などアメリカの公文書館で出されたそのものを突き付けても認めようとしませんでした。先日のあの特殊部隊の沖縄のヘリ訓練、ヘリ墜落事故でも、既にマスコミで報道されている部隊名もアメリカが公表していないからということで答弁をしないと。本当にこういう事実を明らかにすることすら一つ一つアメリカの許可なしにできないと。どこの国の政府なんだと、こういう話ですよ。私は、そういう改めて姿、そして今度の法案自身がそういう下で作られているという姿を浮き彫りにしていると思います。
更にお聞きしますけれども、この訪米報告の中で、この安保関連法案について、与党の勝利により、来年夏までには終了するものと考えていると、こういう発言がありました。これは、まさに国会をないがしろにする重大な発言でありまして、この点については本当にしっかり確かめる必要があると思うんですね。
大臣、こういう、与党の勝利によって来年夏までには終了すると考えている、こういう発言があったのかどうか、これは確かめたんでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) これは、現在、この文書の存在の調査をいたしておりますが、この会談というのは内容を公表することを前提にまず行われたものではないということ、そして相手方との関係もありまして、御指摘のような発言の有無も含めて、具体的なやり取りの内容についてはお答えすることは差し控えたいと思っております。
○井上哲士君 重大問題だとして、国会をないがしろにする、今現にこういう質疑やっているわけですよ。この法案の審議の最中に出てきた、そして国会をないがしろにするとして問題になったと。これ真っ先に確認しなくちゃいけないんじゃないんですか。それ確認していないんですか。
○国務大臣(中谷元君) 防衛省といたしましては、この調査を全力でやっておりまして、内容等につきましては、まだ私はそういう時点におきまして確認はいたしておりません。今回の調査についても非常に慎重に行うということでございまして、先ほど委員会の方からの御指示もございましたけれども、来週に作業を終えるように進めてまいりたいと思っております。
○井上哲士君 これも昨日の会見で河野統幕長は、そういう認識があったのかとマスコミに聞かれまして、私が行きましたときは安全保障法制の成立を公約としておりました自民党が圧勝されましたので、その認識でいえば、次の通常国会で与党は成立を目指していかれるだろうなという認識はあったと思いますと、こういうふうに言われました。そして、成立するという確信に基づいた認識はあったのでしょうかと聞かれまして、成立可能性が高いなと認識を持ったのは確かだと思いますと、事実上あの発言を認めているんですよ。そして、これ、まだ組閣する前なんですね。
ですから、安倍総理は、日米ガイドラインで、首脳会談で向こうに約束したのはけしからぬと言われたら、いやいや、施政方針演説で言いましたと言いますよ。しかし、施政方針演説どころか組閣もする前なんですよ。与党協議だってやっていないんですよ。その前にこんな発言をして、夏までにできると、一体どういうことですか、これ。これ問題だと思わないんですか。
○国務大臣(中谷元君) 先ほどお答えさせていただきましたが、まず、その資料について、現在、防衛省が作成したものかも含めまして調査中でございまして、来週報告できるように全力を挙げてまいっております。
○井上哲士君 本当に私は、危機意識というんでしょうか、それが足りないと思うんですね。
私たちは、この前にも自衛隊の統幕が作っていた文書を明らかにいたしました。あの中で、八月に法案が成立をし、来年二月は施行ということが書かれていた。これは、五月二十六日に法案が本会議にかかった日に会議で行われていた。しかし、はるかその前に、まだ組閣もされない前から自衛隊の幹部はこういう発言をし、そこで夏までと言って、それがまさに統幕文書の中でそうなっているわけですよ。こういうことをやっていること自身が問題だということを大臣は思わないんですか。はっきり答えてくださいよ。
○国務大臣(中谷元君) 防衛省・自衛隊といたしましては、この法案が成立をもししましたならば、これ実施する側でございまして、そういう立場において、私の方から、法案が閣議決定をされましたので、この法案の分析と研究、これは各幹部にやってもらいたいということで、この時期等につきましては、説明をいたしましたように、イメージアップをするために、当てはめるために仮に置いていたわけでありまして、現時点におきましても、この法案がいつ成立するか、これは国会がお決めになることでございますので、分からないということは、政府の立場の人間としてはみんなそう思っているわけでございます。今後の作業等をする上において、一応、時程的な計画、段取り、こういったことで、そういった課題を頭出しをするという意味の分析、研究の一環であったということでございます。
○井上哲士君 それは前に出した統幕文書の話で、あなたたちはそうやって言い訳をしました。しかし、そのうんと前、まだ総選挙後に組閣をする前から、そして所信表明演説もする前からもう夏までに終了すると考えていると、こういうことを制服のトップが米軍に行って言うと、これは大問題だと考えないんですかということを聞いているんですよ。
○国務大臣(中谷元君) 統幕長の訪米時の一連の会談というのは、その内容を公表をすることを前提に行われたものではないことから、相手方の関係もありまして、御指摘のような発言も含めまして、具体的なやり取りの内容につきましてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 公表しなかったら何を言ってもいいということですか。そういうことになるじゃないですか。もう一回答えてください。
〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
○国務大臣(中谷元君) 前提は、この資料が本当に防衛省が作成したものであるのかどうか、これを調査をしている段階でございますので、この時点におきましての私のコメントや発言、これは控えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 本当にひどいものですよ。
もう一個、昨日の会見に関わって聞きますが、この訪米記録では、ジブチは海賊対処の拠点ではあるが、今後の幅広い活動のためジブチの利用を拡大させたいと考えていると統幕長は発言をしております。
この文書の存否は別として、このジブチの海賊拠点の拡大というのは政府の方針ですか。
○国務大臣(中谷元君) 事実関係として、この資料とまた別の観点でお答えさせていただきますが、ジブチの拠点の在り方につきましては、二五防衛大綱、近年の自衛隊のジブチの利用状況を踏まえまして検討しているものでございまして、これにつきましては、もう既に、国連の平和維持活動、これの活用等も含めて検討を行うと、もう記述をいたしておりまして、それの調査費なども盛り込んでいるわけでございますので、そういう時点でもう既に検討を行っていることでございます。
○井上哲士君 つまり、あれですか、ジブチを活動拠点として更に拡大をするというのは政府の方針であると、こういうことで改めて確認してよろしいですね。今年の予算でそのための研究費が付いております。それについての結論も含めて答弁してください。
○国務大臣(中谷元君) もう一度お答えさせていただきますが、平成二十五年十二月に策定をされました二五防衛大綱において、国際平和協力活動等を効果的に実施する観点から、海賊対処のために自衛隊がジブチに有する拠点を一層活用するための方策を検討することとされております。
また、防衛省・自衛隊は、海賊対策以外でも、南スーダンPKO、UNMISS派遣部隊への物資の輸送、政府専用機の運航、国際緊急援助活動に際しての中継地としてジブチを利用いたしておりまして、ジブチの拠点の活用の在り方につきましては、二五大綱、また近年のジブチの自衛隊の活動状況を踏まえて検討をいたしているということでございます。
二十八年度にジブチ軍の災害対処能力強化のために自衛官を派遣をいたしまして、こういったジブチとの関係強化も進めておりますし、また、ジブチ側からの協力関係も実施をしているということでございます。
○井上哲士君 今、重大な答弁だったと思うんですが、南スーダンPKOについても活用しているということでありました。南スーダンPKOの輸送にもこのジブチの基地を使っているんですか。その具体的な実績を明らかにしてください。
○政府参考人(防衛省 運用企画局長 深山延暁君) お答え申し上げます。
南スーダンPKOの輸送についてジブチ空港を使用したのかというお尋ねでございますが、現在までのところ四回の使用実績がございます。ちなみに、ほかの目的ではありますが、あと二回、自衛隊機が利用をしたことがございます。
○井上哲士君 具体的に年月日を明らかにしてください。
○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。
輸送に使いましたのが、二十五年十一月、二十六年五月、二十六年十二月、二十七年五月。これは月で申し上げましたが、この場合におきましては、往路、復路、それぞれにおいてC130輸送機を用いました、二機でございますけれども、これが一日から二日、当地にそれぞれ滞在をしております。
以上でございます。
○井上哲士君 つまり、海賊対処の拠点だと言いながら、実際にはもう使われているんです。そして、先ほど大綱でと言われましたけれども、大綱の後に予算に研究費が計上されました。
私、今年の四月に外交防衛委員会で中谷大臣に聞いたんですよ。そうしたら、大臣、こう答えられましたよ。「ジブチの自衛隊拠点の強化や活用を特に念頭に置いて検討しているというわけではございません。」と。全然違うじゃないですか。大臣がこの答弁をする四か月前に、河野さんはアメリカに行って、拡大させたいと考えていると言っているんですよ。全然違うじゃない。どうなっているんですか。
○国務大臣(中谷元君) まず、ジブチを国際平和協力活動などの観点で活用するということは大綱に書かれておりますし、予算の面につきましては、海外を拠点と活用している事例等について調査を委託研究するために、平成二十七年度予算に二千五百万を計上しまして、実際に契約に向けた手続を今進めているところでございます。
このように、ジブチの活用等につきましては、平成二十五年十二月に策定をされました二五防衛大綱において、ジブチに有する拠点を一層活用するための方策を検討するということはもう既に決定をされていたということでございます。
○井上哲士君 活用の検討と強化は違うんです。
そして、四月には明確に、ジブチの強化、活用を特に念頭に置いて検討しているわけでないと大臣が答弁している。その四か月前に拡大ということをアメリカに行って言い、そして、先ほどありましたように、実際にはもう輸送に活用されているんですね。
私は、こういう形で自衛隊の海外活動の強化が先取りのように進んでいる、極めて重大な問題だと思いますし、この問題も含めてしっかり事実関係を明らかにするために、河野統幕長を国会に招致するということを求めてまいりましたけれども、改めて求めたいと思います。委員長、いかがでしょうか。
○委員長(鴻池祥肇君) 引き続き理事会において協議をいたします。
○井上哲士君 終わります。