○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
本法案によって、選挙権を有しているにもかかわらず、選挙人名簿に記載されないために選挙権を行使できなかった有権者が新たに行使できるようになると。憲法上の権利である選挙権を行使できるよう投票権を保障するものであり、賛成であります。
そこで、なぜこのような、選挙権がありながら投票をできないという事態が生まれているのかと。衆議院の質疑で我が党の議員が指摘していましたように、公職選挙法では、地方の場合は三か月の居住要件がありますが、一方、国政選挙ではこの要件は規定をされていない。にもかかわらず、選挙人名簿を住民登録に連動させて国政選挙と地方選挙を同一の名簿にしているために、国政選挙でも三か月の居住要件が満たされるまで選挙権がありながら投票ができないと、こういう事態が起きております。
その上で、衆議院で我が党は、国政選挙においては、住民票がある市町村に長期不在であっても、国内、海外を問わず投票機会を保障することが必要ではないかという提起をいたしまして、そのための全党の協議も呼びかけました。提案者からは、不断の努力でより良い制度環境を整えてまいりたい、様々な工夫を重ねてまいりたいという答弁があったわけでありますが、この立場を改めて確認をしたいと思います。
○衆議院議員(逢沢一郎君) 今回の公選法改正、お願いをいたしておるわけでありますが、成立をさせていただきますと、一歩、今委員御指摘の環境が整うということは御理解がいただけようかというふうに思います。
いよいよ今年の夏、参議院選挙から十八歳選挙権、スタートをいたします。選挙権を有する我が国の国民の方が、日本国内のどこにおられても、また、こういう時代でございますから、日本人は世界中で活躍、仕事をしておられる、あるいは留学等もあるでしょう、世界のどこにおられても選挙権を行使をすることができる、衆議院選挙、参議院選挙、国政選挙に一票を投ずることができる、ぎりぎりの努力でその環境の整備に更に努めていくということ、本当に大切なことというふうに思います。
もちろん、現行でもいわゆる選挙人名簿に登録をされております市町村以外の市町村における不在者投票制度がございますけれども、更に利便性を高める工夫の余地がないかどうか、そういうことについても真摯に向き合わなくてはならぬというふうに思います。
また、在外におきましては在外選挙制度というものがございます。ただ、これを調べてみますと、ちょっと大ざっぱな数字で恐縮でございますが、平成二十六年、海外におられます日本人の数、約百二十万人の方でありますが、国政選挙に参画をしていただくためには登録をしていただかなくてはならない。じゃ、どのくらいの方が登録をしておられるかということを調べてみますと、約十一万人程度。在外には百二十万おられる、登録をしておられるのは十一万程度。この百二十万の中には恐らく未成年の方も含まれているんだろうと思いますが、それにしても登録者数そのものが大変少のうございます。登録をしておられても、実際に選挙に一票を投ぜられる方、大使館に出向かれる、あるいは郵便投票、手段がございますけれども、直近を調べてみますと、大体二〇%程度の投票率でございます。
せっかくの投票権が在外においてはこういった実態にあるということをしっかりと我々踏まえて、もっと利便性を高めることができないかどうか、選挙でございますから、やはり大切なことは厳正であること、公正であること、間違いがあってはならぬわけでありますが、いわゆるITの時代、例えば導入が今されつつございますマイナンバー、マイナンバー制度等も上手に活用する余地はないかどうか、本人確認あるいは名簿の整理、そういうところにこういった新しい仕組みを生かす、例えばのことでございますが、そういうことにもしっかりと向き合い、選挙制度をより良いものに導いていく努力を重ねてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○井上哲士君 例えば選挙公報もネット掲載によってどこにいても見れるようにする工夫とか、これまでも様々やってきたわけでありまして、より本当に多くの皆さんがきちっと選挙権を行使できるような条件整備をこれは本当に党派を超えてやる必要があると思っております。
同様の問題が都道府県知事、道府県議の場合もありまして、道府県の選挙の選挙権を有する者で同一の都道府県内で転居をした場合に、転居先で三か月以上の住所を有しなくても例外的に当該都道府県の選挙の選挙権を引き続き有すると、こういうことがありますが、二回以上の転居をした場合には投票できなく、選挙権を失うという事態も残ります。
この点について、総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会でも検討されておりまして、中間報告では、市町村を単位として二回以上住所を移した場合にも都道府県選挙の選挙権を認めることとすることが適当であると、こういう中間報告になっておりますが、総務省としてはこれを受けてどのような検討をされたんでしょうか。
○政府参考人(総務省 自治行政局 選挙部長 大泉淳一君) 御指摘のとおり、私どもの設置しております投票環境の向上方策等に関する研究会におきまして昨年三月に中間報告を取りまとめまして、同一都道府県内の住所移転について二回以上移した場合においても選挙権を失わないこととすることが適当であるというふうな中間報告となっております。
この内容につきましては、この項目につきましては、住基ネットの調整あるいは今発行しております引き続き住所を有する旨の証明書などがございます。こういうようなものとの調整をどうするかということを検討しておりまして、御指摘のこの項目も含めまして実現可能なものから順次実行していきたいというふうには考えております。
○井上哲士君 この中間報告では、住基台帳のネットワーク化によって、住所を移しても都道府県の区域内に住所を有し続けていることの確認が可能だということで改善を求めているわけですね。
こういうことを考えますと、先ほども指摘がありましたけど、国政選挙でも、特に衆議院比例選挙でのブロック内での転居であるとか参議院比例区での転居について、支持者を転居させるという不正防止の点からも特段問題はないわけですから、様々な工夫が私は考えられるんじゃないかと、改めて検討を呼びかけたいと思います。
提案者に、この法案によって救済される具体的なケースに関連してお聞きしますが、三月に十八歳になる者が、四月に転居して七月の参議院選挙の選挙時登録に間に合わないケースにおいて、本法案で、旧住所地の選挙人名簿に登録されて旧住所地で投票が可能になるということでありますが、これ、転居先が外国の場合はどうなるのか、その際に、外国に転居した者の投票の手続というのは一体どうなるんでしょうか。
○衆議院議員(中野洋昌君) 委員から御質問のありました、十八歳になって外国に転居をされるケース、恐らく典型的には留学をされるケースとか、そういった場合どうなるか、手続もどうなるか、二つ御質問をいただいたと思っております。
本法律案では、旧住所地の市町村に三か月以上居住していた年齢満十八歳以上の日本国民であって、登録基準日の直前に転出をして四か月を経過しない者、この方について旧住所地において選挙人名簿の登録を行うと、これがこの法律の仕組みでございます。これにつきましては、転居先が国内に転居した場合であっても、あるいは外国に転居した場合であっても、これは変わるところはないという仕組みになっております。
したがいまして、お尋ねのように、旧住所地に三か月以上居住をしていた、十八歳になった、そして外国に転出をした、こういうケースであっても転出先が国内である方と同様でございまして、旧住所地において選挙人名簿に登録をされるということになります。その投票の手続は、選挙人名簿に登録をされた後に国外へ転出をした方も同じ手続でございます。
じゃ、具体的にどういう手続になるかというふうに申しますと、先ほど答弁の中でもありましたように、海外では在外の選挙というものもございます。この在外選挙人名簿に登録をされれば、こちらで投票ということになろうかと思いますけれども、これに登録をされるまで、すなわち転出から四か月の間はどうするかといいますと、実際は一時帰国をした際に旧住所地において投票日当日の投票若しくは期日前投票をする、あるいは旧住所地以外の市町村において不在者投票の制度を利用して投票をする、具体的にはこのような手続になってこようかと思います。
○井上哲士君 いずれにしても一旦帰国するということが必要になってくるということになるんだと思うんですね。できるだけやっぱり投票権が行使できるような方策が更に必要かなと思っております。
周知徹底の問題についても更にお聞きいたします。
先ほど、旧住所地の選管から転出をした有権者に対して投票所の入場券の送付などが九割以上で行われていると、こういう答弁がありました。この業務というのは、地方の選管としてはどういう位置付けになっているんでしょうか。
○政府参考人(大泉淳一君) お答え申し上げます。
公職選挙法で申しますと、その第六条第一項におきまして、各選挙管理委員会は、選挙に際しては投票方法、選挙違反その他選挙に関し必要と認める事項を選挙人に周知させなければならないという条文がございまして、これに基づいていると考えられます。
また、同法、公職選挙法の施行令の第三十一条第一項におきましては、市町村の選挙管理委員会は、特別の事情がない限り、選挙期日の公示又は告示の日以後できるだけ速やかに投票所入場券を交付するように努めなければならないというふうにされているところでございます。投票所入場券等につきましては、努めなければならないということですので、義務付けではないんでございますが、転出した選挙人の投票機会の確保をすることは非常に重要だと思っておりますので、そういうふうに私どもは考えております。
○井上哲士君 まさに周知徹底は非常に重要なことでありますし、特に今回、新たに選挙権を持つ今年の高校卒業生については、初めてのことでありまして、非常に大事だと思うんです。
総務省と文科省が協力して、「私たちが拓く日本の未来」という、言わば選挙のいろんな問題についての有権者教育のための冊子が作られて、既に全ての高校生に配付をされております。これは、基本はやっぱり有権者教育ということが中心なので、投票と選挙運動についてのQアンドAというのが参考ということになってはおるんですね。ただ、この中では、速やかな住民票の移動が強調され、転入後三か月たたないと新しい住所地で選挙人名簿に登録されないということが書かれております。それから、不在者投票のやり方も書かれているんですけれども、旧住所地で登録されていればそこで投票は可能だということは書いていないわけですし、今回の法改正の場合も反映をしていないということになっております。
ですから、そういう転入、転出をする高校生に対して、旧住所地でできるんだよということは、きちっと独自の徹底が必要だと思うんですね。この冊子には書いていないわけでありますが、やはり高校において、卒業する三年生にそのことをきちっと徹底をするということが必要だと思います。口頭ではなかなか難しい話ですから、例えば協力して何らかの冊子、冊子とまではいかなくても、ものを作るとかを含めて、必要かと思います。高校での徹底ということを先ほど言われましたけど、具体的にはどういうようなことを考えているのか。
あわせて、大学において新入生に徹底することも必要と思いますが、併せてどのようなことをお考えか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(大泉淳一君) 御指摘のとおり、これまで、住所を移動したとき、住民基本台帳法に従いまして転出届、転入届を出していただくということを周知してまいったところでございます。今回この法案が成立するということになりますと、その部分が新しい制度としてできてまいりますので、国政選挙等について市町村の区域外へ転出しても投票が可能となるというものにつきまして、改正の趣旨を踏まえましてこの内容を文科省を通じまして各学校に周知啓発を行うとともに、各選挙管理委員会や明推協などの関係機関等を通じまして、私どももあらゆる機会を通じて周知を図ってまいりたいと考えております。
また、大学生につきましては、同様に、入学に際してのオリエンテーションあるいは構内掲示などが考えられるのではないかと考えられますので、周知してもらうなど、文科省と協力をしまして各大学の協力をお願いしてまいりたいと考えております。
いずれにしましても、総務省として、このような新たな有権者につきまして、あらゆる機会を通じて制度の周知を図ってまいりたいと考えております。
○井上哲士君 時間ですので、終わります。
ありがとうございました。