○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
まずは、九州地方の地震で亡くなられた方、また被災をされた皆さんに心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
日本共産党としても、現在、救援とそして支援に全力を挙げておりますが、土曜日の日には官邸へ行きまして政府に申入れを行いました。救援、救命、そして被災者支援、さらには被害の拡大防止には万全を期していただきたいということであります。
同時に、この申入れでは、唯一今稼働している川内原発への不安の声があるという中で、この地震の拡大の予測が付かない、さらには新幹線や高速道路が止まっている中で万一の際の避難に支障がある、さらには電力需要から見ても動かし続ける必要はないと、こういう点から、不測の事態に備えて川内原発は停止をすることを求めました。同時に、少なくとも、稼働継続ありきではなくて、その是非について政府として英知を結集して真剣な検討を行って国民生活の不安に応えるべきと、こういうふうに申し入れたわけであります。
規制委員会は、十八日にこの問題で臨時会を開かれております。震源周辺の原子力施設への影響や情報提供の在り方について議論をされておりますが、田中委員長は、原子力規制委員会あるいは規制庁の情報提供が必ずしも十分ではないとお叱りを受けた、こういうことを踏まえ、私どもとしては率直に反省しなければならないと述べられておりますが、具体的に何が十分でなかったとお考えでしょうか。
○政府特別補佐人(原子力規制委員会委員長 田中俊一君) 今回の熊本地震の発生以後、九州で震度五弱以上の地震が発生した際には、原子力発電所の立地市町村において大きな地震が確認されなくても、異常事象が入っていないことや計測された地震計の指示値について、速やかにホームページへの掲載やツイッターでの発言を行ってきました。しかし、今回の地震のように震度六クラスの余震が何度もあるということで、国民の気持ちは非常にやはり原子力発電所に対する不安があるということを、そういうことをしんしゃくすれば、我々の発信の基準を超えて、何もなくても、問題がなくてもそのたびごとに情報を発信すべきであったし、もう少し丁寧に、なぜ大丈夫かという意味も含めて発信すべきであったというふうに考えまして、十分でなかったということを申し上げました。
その後、今週月曜日になりまして、臨時の、そういったことを踏まえて規制委員会を開きまして、今後の情報発信の在り方等について改善を図ってきているところでございます。
○井上哲士君 一方、報道では、丸川大臣は、十六日の地震非常災害対策本部会議で、この川内原発について、情報提供の在り方には触れることなく、原子力規制委員会において停止させる必要はないと判断されているという発言をされております。
私は、国民の不安にきちんと応えた情報提供を促していくということは原子力防災担当大臣の重要な使命と考えるわけでありますが、この川内原発の稼働の問題、そしてこの情報提供について特段触れなかったことについて、まず見解をお願いしたいと思います。
○国務大臣(内閣府特命担当大臣(原子力防災担当)丸川珠代君) 災害対策本部では、規制委員会の判断について御報告をさせていただきました。
それから、情報発信についてでございますけれども、この点、規制委員長から御指摘がございましたことを受けて、規制庁がその後、震度五弱以上の地震では実際緊急参集をするわけでございますが、その震度の大きさにかかわらず、皆様の御不安にしっかりとお応えするべく正確な情報を発信するようにしたところでございます。
今後とも、正確で迅速な情報発信を規制庁並びに規制委員会には期待をしたいと思っております。
○井上哲士君 やはり、防災ということを考えたときに、しっかり国民の不安に応えていくということが大事なわけでありまして、私は、十六日の時点でそういうような発言もあってしかるべきではなかったかと、こう思うんですね。
規制委員長は、この臨時の会合後の会見で、これまでの一連の地震での川内原発の地震動から見れば問題ないというふうに述べられました。そして、地震が頻発する中、予備的に原発を停止するべきではないかという意見についても、特段の根拠がないのに止めなさいと簡単に判断できないと述べられました。
しかし、私は、これまでにない様相を見せている今回の地震においては、もっと英知を結集した議論と判断が必要だと思うんですね。ですから、情報提供だけではなくて、この点でも不十分だと指摘をしたいわけです。
地震調査研究推進本部を所管されている文科省に来ていただいておりますが、今回最大震度を記録した益城町では何ガルを記録し、そして地殻変動による地表の横ずれは最大どれだけになったと今分かっているでしょうか。
○政府参考人(文部科学省大臣官房審議官(研究開発局担当)白間竜一郎君) お答え申し上げます。
四月十四日に熊本県熊本地方でマグニチュード六・五の地震が発生した際には、益城町の地震計において千五百八十ガルを観測をしたところでございます。また、これまで地震調査委員会に報告されました現地調査の結果のうち、確認された横ずれの最大値は二メートル程度であったということでございます。
○井上哲士君 規制委員会は、この川内原発の適合性審査では、六百二十ガルが安全上重要な機能が確保されると、こういうふうに言われてきたわけでありますが、益城町ではそれをはるかに上回る震動があったわけでありまして、中越大震災並みの震動でありました。
広大の現地調査では、この益城町に布田川断層から分岐をする新たな断層が見付かったという報告もされております。そしてまた、布田川断層自体が従来の政府の想定よりも長かったと、阿蘇の下の方まで行っていたということも言われておりますが、なぜこういう断層の未発見や長さの違いが出てくるんでしょうか。
○政府参考人(白間竜一郎君) お答え申し上げます。
ただいまの御指摘についてでございますけれども、まず、地震調査委員会、四月十七日に臨時会を開きました。この際に、これまで調査委員会において長期評価という形で評価をしておりました布田川断層帯の布田川区間、この活動によるものという評価をするとともに、あわせて、今回の活動範囲の北東側に断層が延びている可能性があるということが調査会の中では示されております。
また、今委員御指摘のように、広島大学の公表内容で、布田川断層帯の北側に、これまで知られていた断層線とは異なる位置で新たに断層が発見されたという公表がなされたというのも承知をしているところでございます。
調査委員会では、これまで科学的知見によって、その調査等で把握をした断層帯、地殻の状況等に基づいて長期評価を行ってきているところでございますけれども、こういった新たな評価なども踏まえて逐次その評価を更新していくという必要があるという状況でございます。
○井上哲士君 過去の断層があっても、その上にいろんなものが堆積をしますとなかなか地表から発見するのが困難になるわけでありますが、特にこの九州の場合、いろんな火山灰とかそういうこともあって非常に困難が多いんだろうと、こう思うわけですね。例えば、東北大の調査では、二つの断層帯ではなくて、一続きの断層が向きを変えてつながっている可能性があると、こういうことも言われております。
これまでにも、二〇〇〇年には鳥取西部地震、それから二〇〇八年には岩手・宮城内陸地震、これいずれも未知の活断層が動いたということになっているわけで、日本には二千を超える活断層があると言われておりますが、まだまだ未知の活断層がありますし、その長さも正確につかみ切れていないという状況があるわけで、益城町のように大きな被害をもたらした、いつどこで大型の地震が起きても不思議ではないというのがこの日本だということを改めて私たちは思い知らされたわけですね。そういう点では、地震に関する調査研究というのは前進をしてきましたけれども、こういう到達点にあるということをしっかり見る必要があると思うんです。
その中でも、今回の地震は非常に異例のものでありました。気象庁は、今回の地震について過去に例がないというふうに会見で述べられておりますが、どういう点で過去に例がない地震になっているんでしょうか。
○政府参考人(上垣内修君) お答えいたします。
御案内のとおり、平成二十八年四月十四日二十一時二十六分に熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード六・五の地震が発生しました。その後、十六日〇一時二十五分には同地方を震源とするマグニチュード七・三の地震が発生しております。その後、地震活動は、熊本県熊本地方に加えて阿蘇地方や大分県においても活動が見られているところであります。
このように、今回の地震活動は、まず十四日に発生した六・五の地震の後に、その二日後に更に大きなマグニチュード七・三の地震が発生するという特徴、並びに内陸で発生している地震としてはその活動域が広域であるというこの二点が特徴と言えると思いますけれども、これらの点でまれな事例であるというふうに考えております。
以上です。
○井上哲士君 二つの点が挙げられました。非常にまれな地震の状況になっているわけですね。
お手元に資料を配付をしておりますが、地震調査委員会の長期評価によりますと、今回動いた布田川断層の三十年以内の地震発生確率はほぼゼロから〇・九%であります。また、日奈久断層帯の場合、今回動いた高野―白旗区間、この地震発生確率は過去の周期のデータがないということで不明になっています。一方、この日奈久断層の中で南西側、八代海区間では、三十年以内の地震発生率はほぼゼロから一六%となっていると。この部分が動いた場合には、今回のよりも大きいマグニチュード七・三規模の地震が予想をされているわけですね。
この日奈久断層の南西部が動く可能性について、専門家から今次々と指摘がされております。鈴木康弘名古屋大学名誉教授は、今は日奈久断層帯の北東側で活発だが南西側も警戒が必要だと、読売十七日付けで述べられております。それから、日本地震学会の加藤照之会長は、十八日の記者会見で、布田川断層帯西側の宇土地区と日奈久断層帯西側に未破壊部分が残っている、僅かな活動が見られており、注意が必要だと、こういうふうに言われていますように、様々、この地域、今回の日奈久断層が動いたことによる西、南の地域での動きについての警告が様々出されておりますが、この地域における十四日以降の地震の発生状況は、気象庁、どうなっているでしょうか。
○政府参考人(気象庁地震火山部長 上垣内修君) お答えいたします。
日奈久断層帯では、十四日以降に活発な地震活動がありました。この地域から更に南西側の地域において、十六日以降は小規模な地震が発生しております。この地域では、昨日でございますけれども、十七時五十二分には八代市で震度五強の揺れ、同じく昨晩二十時四十七分には八代市や宇城市、氷川町で震度五弱の揺れを観測するなどの地震が発生しました。一時的にこの地域で地震活動は活発になったんですけれども、最新の状況を申し上げます。
先ほど見てまいりましたけれども、いずれもあの十六日以降の活動域の中にとどまっており、地震活動、昨日、一時期活発化しましたけれども、低下傾向にあります。また、領域の拡大傾向は今のところ見られておりません。気象庁としては、今後の地震活動について引き続き厳重に監視してまいります。
以上でございます。
○井上哲士君 先ほどもありましたように、今回の地震が従来にない動きを見せているわけでありますから、引き続きこの地域での警戒が大変私は重要だということだと思うんですね。
規制委員長にお聞きいたしますが、規制委員会は、川内原発の再稼働を認めた審査の中で、今回の地震を起こした布田川・日奈久断層による地震の影響について、距離が遠いので限定的だと、こういう判断でありました。
しかし、今もるる答弁で明らかになりましたように、断層の長さは従来の想定よりも長かった、そしてさらに、今まで知られていなかった断層もあったし、海底にはさらに未知の断層がある可能性も従来から指摘をされてきました。しかも、今回の地震が震源域の拡大など過去に例のない特異なものであるということも明らかにされたわけですね。
正体不明の地震だという指摘もあるわけでありますが、こういう下で、私は、この地域での活断層の影響など、広範囲にわたる全体像の再検討が求められていると思うんですね。つまり、規制委員会が再稼働を認めた前提が崩れているのではないかと、こう考えますが、いかがでしょうか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 今地震を起こしている断層帯、布田川・日奈久断層ですね、それについては、実際に審査の中では、最大限九十二キロメートルの長さ、かなり長いものですが、それが一気に動いた場合にどれぐらいの地震動になるかということで、マグニチュード当時八・一という評価をしています。それで、その場合に川内原発にどういった影響があるかということで、大体ガル数にすると百五十ガルぐらいの水平方向の振動が伝わるというふうな評価をしています。そういうことでありますので、その断層を過小評価していたということではないと思います。
それから、原子力発電所については、もっと基本的なことで、敷地内の活断層、いわゆる今回のような活断層の近傍でありますと大きな被害を受けますので、そういったところについては、そもそもがそういった原発の稼働を認めないという基準になっておりまして、それについては十分調査をした上で、いわゆる活断層の存在は認められないと。その上でなおかつ先ほど先生御指摘がありました未知の断層というのは、やはり必ずしも全てが一〇〇%捉え切れていないというところがあって、それについては、今まで我が国においてマグニチュード五以上のような、そういった地震を起こしたものがあります。最近でいうと、そういう中で一番大きいもの、留萌の地震について、それを参考にして、それが川内のSS基準地震動の六百二十ガルということになっております。
ですから、近傍の活断層からの影響というよりは、今、川内原発の地震動の基本になっているのは、ないかもしれないけれども、それが起こるかもしれないという、そういうアビリゲーティーを踏まえた基準になっておりますので、特に今それについて見直す必要があるというふうな状況ではないというふうに判断しております。
○井上哲士君 しかし、そういう議論の後に今回の地震が起きて、先ほどもありましたように、これまで経験のない事態が起きているわけでありますから、やはりきちっと見直しをすることが必要だと思うんですね。
原発は、一旦事故が起きますと、人命や大規模な環境汚染など取り返しの付かない被害をもたらすわけでありますから、想定外ということはあってはならないと思うんですね。今、九州での地震の想定そのものの見直しが問われるような事態なわけですから、そうであるならば、一番の危険性を考えた、予防原則に立った対応が必要かと思います。
不測の事態に備えて、避難という点からいっても、防災という点から見てもそういう考えが必要かと思いますが、丸川大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(丸川珠代君) 現在稼働中の川内原発について、新規制基準に基づいて、一定以上の揺れを感知すると自動的に原子炉の運転を停止する機能が備わっております。この自動停止の機能の設定値が鉛直方向八十ガル以上、水平方向二百六十ガル以上ということになっております。
現在、これまでのところの地震による最大の地震加速度がおよそ十二・六ガルということで、構造上の基準ではなく運用上の基準と申しますか、実際に運転を停止させる機能が自動的に働く基準が八十というところで、実際に観測されているのが十二・六ガルでございますので、現状においては停止する必要がないということを原子力規制委員会が確認をしております。
私どもとしましては、専門家の議論をまず尊重をするということが一点と、原子力防災の立場から申し上げますと、これは複合災害を前提として避難計画及び緊急時対応を組み立てておりまして、なおかつ、その複数の経路いずれにおいても今のところこの地震による影響はない、問題はないということを確認しております。
引き続き、地震がどのように今後展開をするのかということについてはしっかり見守りつつ、備えを確認をするという作業を続けてまいります。
○井上哲士君 今回の地震でどれだけ動いたという話がありましたが、今後広がっていく、そういうことを予測をして考える必要があるんじゃないかということを私は申し上げているんですね。
政府の地震調査委員会の委員長の平田先生が毎日新聞で述べられておりますが、今後更に大きい本震があるのか問われても今の地震学では答えようがない、市民にとって重要なのは、今回体験したような強い揺れが日本中どこでも生きている間に起こり得ると認識し、備えることだろうと、こう言われているんですよ。この立場で政府が備えなかったらどうするのかということを私は強く言いたいと思います。
さらに、今回の地震で日本が本当に地震大国だということを実感をいたしました。ところが、今、稼働後四十年たった老朽原発の稼働を二十年延ばす動きが進んでおります。
今日、申請をしている高浜第一号機、第二号機について規制委員会の会合で決定が行われたと聞いておりますが、その内容及び今後の審査はどうなるんでしょうか。
○政府参考人(原子力規制庁原子力規制部長 櫻田道夫君) お答え申し上げます。
今委員から御指摘ございましたとおり、本日午前中の原子力規制委員会の定例会合におきまして、平成二十七年三月に関西電力から申請された高浜一号、二号、三号及び四号の設置変更許可申請について、パブリックコメント、それから原子力委員会と経済産業大臣の意見聴取の結果を踏まえて設置変更許可をするという決定がなされて、先ほど許可が施行されたと、こういう状況でございます。
今後、この高浜発電所につきましては、既に工事計画認可、それから運転期間の延長認可、この申請がなされておりますので、これらに対する審査を進めていくということになるということでございます。
○井上哲士君 二〇一二年の原子炉等規制法改正で、運転期間を原則四十年とするとともに、一回に限り二十年延長ができるということになりました。我々は延長を認めるべきでないと主張したわけでありますが、当時の野田総理は、四十年を超えて延長することは極めて例外的なケースと言われました。田中規制委員長も、発足時の記者会見で、これはもう相当困難なことだと、こういうふうに述べられたわけですね。
一方、政府が昨年決定した長期エネルギー需給見通しで、二〇三〇年度の電力需要の二〇から二三%を原発で賄うといたしました。実際、今の再稼働、福島第二原発など再稼働はあり得ない、それから新増設計画の見通しが不明ということになりますと、三十基半ば必要だと言われているこの目標に対する原発の確保のためには、既設の原発の運転延長が極めて例外的どころか、常態化することが必要になってくるわけですね。
そのための審査が規制委員会に求められるということになるわけでありますが、規制委員会としてはどういう立場で対応されるのでしょうか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 先生御指摘のように、原子炉等規制法では、運転開始後四十年、運転期間を四十年と定めておりまして、これを超えて運転する場合には、四十年、満期を迎えるまでに許認可を受ける必要があると、私どもの許認可を受ける必要があるということになっております。
実際にそれじゃ四十年を超えて運転するということはどういうことかといいますと、新しい規制基準のバックフィットをきちっと満たすということに加えて、今後二十年仮に延長するとすると、その二十年の間のいわゆる健全性を担保するということを見ていくということになります。そういう点について、今後、私どもとしては、四十年超えの、高浜一、二についてもそういう視点で審査を進めてまいりました。
実際にはもう既に、御存じのように、六つの原子炉については四十年を超えての運転延長はしないで廃炉にするという事業者の決定もありますように、四十年を超えて運転延長に申請するというのは、事業者にとっても非常に大きなハードルだというふうに私どもも考えています。
○井上哲士君 老朽化原発に対して様々な設備を取り替えるなどの対策が行われても、取り替えられないのは原子炉本体なんですね。この原子炉は、常温から三百度前後という広い温度域で使われるために、強くて粘りのある割れにくい鋼で造られているわけでありますが、万一にも割れることのないよう慎重な手順も定められております。
この原子炉にとって一番懸念されるのが、中性子照射脆化でありますが、お手元にグラフを付けておりますけれども、原発の稼働によって中性子を受けることによって、鋼の粘りがある程度以下の低温になると急速に失われてもろくなりますが、その目安を関連温度といいますが、中性子にさらされるともろくなる温度が次第に高くなっていくと。最悪の場合は、非常用炉心冷却など急速に冷やされたときに割れてしまいかねないわけですね。
ですから、原子炉の起動時の温度上昇や停止時の温度低下については操作手順が定められておりますが、例えば福島第一原発のようなBWRの場合はその手順はどういうふうになっているでしょうか。
○政府参考人(櫻田道夫君) お答え申し上げます。
福島第一原子力発電所のようなタイプ、沸騰水型BWRの原子炉の停止の手順ということでよろしゅうございましょうか。
停止に当たりましては、これは、原子炉の起動や停止の際にどういう条件でやらなければいけないかという、そういう制限がございます。その制限を満足していることを確認しながら再循環ポンプを停止する、あるいは制御棒を挿入するといったことによって出力を降下させていきます。そして全ての制御棒を挿入するということによって原子炉を停止する。さらに、核燃料の冷却を行う必要がございますので、その後も原子炉の冷却を継続する。そういう手順になっているものと承知をしてございます。
○井上哲士君 肝腎なことを言われていないんですが、毎時五十五度以下変化をさせては駄目だと、それは過大な熱応力を発生させないためだということになっているわけですね。
表を見ていただきましたように、高浜一号機は、既に初動期はマイナス四だったのが、今、九十五度まで関連温度が上がっております。
例えば、福島原発事故の際に、一号機の運転手がこの冷却速度が早過ぎることを懸念して非常用復水器、ICを、弁を閉じたり開けたりしたというのが政府や国会事故調の報告でも触れられているんですね。だから、運転員にしてみれば、老朽化してもろくなった原子炉の健全性に不安を持ってこのICを開けたり閉めたりしたと、こういうことがあったわけであります。
ですから、老朽化した、高浜のように九十五度まで関連温度が上がっているようなものを運転するということは、こういう非常に不安要因を増大させる危険があると思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(原子力規制庁長官官房審議官 山田知穂君) 先生今御指摘になられました東京電力福島第一原子力発電所で五十五度の温度変化の制限、これ確かに先生がおっしゃるとおり、原子力の脆性破壊を起こさせないという観点もございますけれども、大きくは、むしろ、過大な応力が発生することによって材質に疲労というものが発生をいたしますので、それがなるべく発生しないようにということで、なるべくゆっくりとした温度の下げ方をしているというふうに理解をしておりますので、必ずしも、福島の第一原子力発電所で温度を下げるスピードについて運転員が気にしたというのは、この脆性破壊ということに限るということではないというふうに理解をしてございます。
○井上哲士君 老朽化していることによって、脆性破壊も含めて様々な問題があるわけですね。そういうものを運転するということが非常にやはり危険だと。
田中委員長も昨年の会見で、今後更に二十年ということになると経験のない世界だと、こういうふうに言われております。国際的に最も長期運転している原子炉は、昨年八月の資料でも四十六年ですよ。六十年に延ばすということは本当に大きな危険がある。しかも、今こういう、日本のどこでも大きな地震が起きるということが明らかになっている中で、これはやめるべきだということを強く申し上げまして、質問を終わります。