○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
熊本、大分の地震の被災地におきまして、今も警察や消防、自衛隊、自治体や国の職員、医療、介護、そしてボランティアの皆さんなど、人命救助と被災者の支援のために奮闘されております。心から敬意を表したいと思うんですね。
そこで、この自衛隊の震災救援活動での物資の輸送についてお聞きをいたします。
かなり回復したものの、交通の寸断や道路の大渋滞等の下で被災地では食料や水などが不足し孤立する集落も生まれました。その中で空輸というのは非常に大事な役割を果たしているわけですが、この間の自衛隊の震災救援物資の輸送の取組状況について空輸を中心にまず答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(防衛大臣 中谷元君) 熊本、大分での震災につきまして、地震でお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますと同時に、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
防衛省・自衛隊といたしましては、十四日の夜の地震発生後、直ちにヘリ等の航空機を離陸させまして、情報収集、被害の状況の把握に当たるとともに、熊本県知事、大分県知事から災害派遣要請を受けまして、関係省庁、被災自治体と緊密に連携しながら総力を挙げて災害対応に当たっております。
二十三日には今般の震災で総合的な災害対応を行うため計画していた二万六千人体制に移行、二十六日時点では航空機約百十機の体制で、地震発生以来、これまで捜索救助活動や物資輸送、給水、給食、入浴支援など、被災者の生活支援活動を全力で行ってきたところでございます。
物資輸送の件につきましては、二十六日までに累計で、毛布約三万八千枚、日用品約四万二千箱、食料品約百十三万六千食、飲料水約七十七万四千本の輸送を実施しました。このうち航空輸送の一例といたしまして、内閣府の計画した救援物資の輸送、これはプッシュ型の輸送の支援、これは自衛隊のC1三機、C130四機、CH47六機、KC767六機、UH1一機などを用いて実施をし、飲料水約六万本、食料品十七万一千食、トイレットペーパー一・三トン、仮設トイレ二百四十棟などを空輸をいたしました。
主な集積地は、福岡市中央卸市場青果市場跡地、そして鳥栖における日本通運の鳥栖流通センター、航空自衛隊入間基地、小牧基地、陸上自衛隊高遊原分屯地、グランメッセ熊本等のほか、「ひゅうが」護衛艦の洋上物資集積地としての役割も果たしております。
なお、避難所等で不自由な生活を強いられている被災者の皆様に一刻も早く救援物資をお届けする必要があったために、米軍による航空輸送支援を活用することといたしました。そのうち、UC35延べ一機により自衛隊員四名、C130延べ四機により自衛隊員計十八名、車両八両の輸送支援を受けたところです。また、食料、水、生活支援物資については、MV22オスプレイ延べ十二機により南阿蘇村への輸送が実施されまして、その合計は約三十六トンでございました。
これまで、自衛隊・防衛省は、政府の非常災害対策本部と連携しまして、プッシュ型、いわゆる自ら送り込む、緊急に送り込む形の物資の救援品を集積所、また各避難所へ航空機、車両により輸送してまいりましたが、これまでのプッシュ型からプル型、これは地元のニーズに応じてそれを引き上げるというプル型に移行しておりまして、被災者の細かなニーズに対応していく必要があると。少しずつではございますが、生活インフラも復旧に向けて進んでいることなどから、今後、関係機関と調整していく中で活動の方向性も検討していくということになると考えております。
いずれにしましても、被災地にはまだまだニーズがあるという報告を受けておりまして、防衛省・自衛隊といたしましては、状況の変化に柔軟に対応しつつ、今般の地震への対応のためにやれることは全てやるという決意の下、被災者の生活支援に引き続き取り組んでまいる所存でございます。
○井上哲士君 空輸については自衛隊が大きな役割を果たしていると思います。それに加え、今ありましたように、十八日から米軍のオスプレイが派遣をされております。
大臣は十八日の決算委員会で、米側からの支援の申出があって調整した結果、オスプレイの輸送協力になったと答弁をされました。アメリカの海兵隊は十八日付けの報道発表で、オスプレイの派遣は日本政府の要請に基づくものだったということを明らかにしております。実際は日本が要請したということではないんですか。
○国務大臣(中谷元君) これは、十四日の夜、地震が発生しました。この発生直後、十五日の未明に、カービー米国国務省の報道官によって記者会見が開かれまして、米側からの支援の申出がありました。
また、米軍からの支援につきましても、同じ日、十五日、在日米軍司令部から統合幕僚監部に対する支援の申出がありまして、私の方から事務方に対して米軍による支援のニーズがあるか検討するように指示をいたしました。
自衛隊といたしましては、より効率的かつ迅速な救援活動を行うためには自衛隊の輸送力に加えて米軍の輸送支援が必要だと判断いたしまして、輸送協力を得るべく米側との調整を実施をしたところ、十七日になりまして、米側から航空機による輸送支援が実施可能であるという連絡がございました。
これを受けまして、私は安倍総理に直ちに本件を報告をしたところ、総理から大変有り難い申出であり、速やかに具体的な輸送ニーズを調整するよう指示がありまして、事務方に更に調整を指示をいたしました。
御指摘の米軍サイド等におきまして日本側の要請に基づき米軍が支援との記述はありますが、これは日米間の事務的調整の一部を捉えたものであると考えられます。このような日米間での事務的な調整は、先ほども申し上げましたとおり、米軍の申出、またアメリカ政府からの申出を受けて行われたものでございます。
○井上哲士君 十七日付けのアメリカ太平洋軍の準機関紙「星条旗」でも日本政府から要請があったと、こういうふうに報じておるわけであります。
オスプレイによる物資の輸送について具体的に聞きますけれども、先ほど三十六トンということが言われました。どこからどこへ輸送したのか、日にちごとの機数と回数、輸送量をお答えください。
○政府参考人(防衛省統合幕僚部総括官 高橋憲一君) お答えいたします。
米軍輸送機オスプレイによる輸送の実績でございますが、四月十八日、岩国基地を離陸した二機でございますが、熊本空港で救援物資を搭載し、南阿蘇村白水運動公園に輸送いたしました。その後、再度熊本空港で救援物資を搭載し、南阿蘇村白水運動公園に輸送を行いました。これは、二機合わせて救援物資を計約十トン運んだところでございます。
四月十九日でございますが、岩国基地を離陸した四機が護衛艦「ひゅうが」で救援物資を搭載し、白水運動公園に輸送いたしました。これら四機合わせて救援物資を計約九トン運んだところでございます。
四月二十日ですが、岩国基地で救援物資を搭載した二機が白水運動公園に輸送しました。その後、そのうち一機でございますが、護衛艦「ひゅうが」で再度救援物資を搭載し、白水運動公園に輸送いたしました。もう一機が熊本空港で再度救援物資を搭載し、白水運動公園に輸送いたしました。これら二機合わせて救援物資を計約九トン運んだところでございます。
四月二十一日は天候不良のため輸送は中止でございました。
四月二十二日でございますが、二機のうち一機が岩国基地で救援物資を搭載し、白水運動公園に輸送いたしました。その後、護衛艦「ひゅうが」で再度救援物資を搭載し、白水運動公園に輸送いたしました。岩国基地を離陸したもう一機が熊本空港で救援物資を搭載し、白水運動公園に輸送いたしました。その後、再度熊本空港で救援物資を搭載し、白水運動公園に輸送いたしました。これら二機合わせて救援物資を計約五トン運んだところでございます。
四月二十三日、岩国基地を離陸した二機のうち一機が護衛艦「ひゅうが」で救援物資を搭載し、白水運動公園に輸送いたしました。岩国基地を離陸したもう一機が熊本空港で救援物資を搭載し、白水運動公園に輸送いたしました。これら二機合わせて救援物資を計約二トン運んだところでございます。
以上でございます。
○井上哲士君 オスプレイの場合、垂直離陸のときの積載量は約九トンと言われていますから、五日間十二機、約百トンが可能かと思いますが、その三分の一程度の三十六トンしか輸送していないわけですね。なぜオスプレイの投入だったのかと。この程度の輸送が果たして自衛隊できなかったのか。
中谷大臣は十八日の決算委員会で、自衛隊のヘリの能力だけでは十分にまだ現地に物資が届けられていないというふうに言われましたが、自衛隊のヘリの能力の何が十分でないんですか。
○国務大臣(中谷元君) 災害派遣等につきましては、こういった救援の体制、また部隊、これはできるだけ速く、そして大量に準備をして現場の救援に当たるというのが私の考えでございます。
今回の地震の対応につきましても、対応可能な航空機を順次現場に投入をし、人命救助のために上空から情報収集、また捜索、孤立をした集落からの住民の救援、増援部隊の隊員そして装備品の輸送、被災地への救援物資の輸送に当たりました。
特に、十六日の未明に本震が発生をいたしまして、この状況、もう一時、十九万人を超える方が避難所に身を寄せていたと。また、現在でも数万人の方がまだいまだに避難所におられますけれども、こういった被災地における現場の状況、特に道路が寸断をされておりまして陸上からの物資の搬入が難しく、また避難所での不自由な生活を強いられている被災者の皆様、水も食料もない、一刻も早くこういった生活物資を届ける必要があるという状況が続きまして、時間の経過とともにより多くの航空機輸送能力が求められるということが予想されたわけでございます。
つきまして、今般の地震でこういった対応可能な航空機を投入しても、被災者の状況からして時間の経過とともにより多くの航空輸送能力が求められるということが、その時点ではまだまだ地震が続いておりました、そういうことも予想された状況であったという認識を持ったということでお答えした次第でございます。
○井上哲士君 自衛隊は、オスプレイ以上の十一トンの積載能力を持つ輸送ヘリCH47、これ七十機保有しているはずなんですね。私、CH47がどのぐらい動いたのかということを資料をいただきますと、十六日は二機、十七から二十五日にかけては多い日でも十八機でありました。
ですから、出動したCH47のうち一機が、先ほどのオスプレイの平均が大体一回三トンぐらいでありますから、十二機、延べでですね。ですから、十分にこれは輸送量を賄えるんですね。しかも、七十機のうち一番多い日でも十八機ですから、四分の一しか出動していないんですよ。さらに、CH47以外にも九州にはいろんなヘリ部隊あるわけですから、こういう自衛隊の能力を十分に活用しないでおいて、自衛隊のヘリ能力だけでは十分でないと、こういうことを言うのは、私は、全国的規模でないこういう震災にも対応する能力ないのかということになるんですよ。それは現場で頑張っている自衛隊の方にも大変失礼だと思いますが、実際には十分に自衛隊で対応できる能力はあったんじゃないですか。
○国務大臣(中谷元君) 自衛隊はフルに活動しておりました。
自衛隊が保有するヘリの輸送機の総数は現時点で三百機であります。しかしながら、自衛隊が保有する輸送機の中には、点検、修理中、また整備期間中のものも含まれており、また他の任務もございます。全てが常時運用できるわけではございません。また、輸送可能な輸送機についても、国内の災害を含む各種の不測の事態、これが発生した場合に備えて所要の待機、これをしておかなければなりません。様々な任務、制約等があるわけでございまして、この輸送機の能力等におきまして、確かにCH47J、これはたくさんの荷物が積めます。
しかし、当時の状況といたしましては、被災地、避難地に水もない、食料もない、毛布もない、非常にそういった状況の中で物資を届けるということが求められておりまして、一度に大量に運ぶのではありません。その都度、緊急に物資を運ぶということは、満タンにならなくても頻繁に送り届けるという必要もございまして、もちろん自衛隊も全力で対応していただきましたけれども、米側からこういった輸送能力も支援可能であるということを調整をいたしましたので、そういった支援をお願いしたところでございます。
○井上哲士君 時間ですので終わりますが、琉球新報で例えばアメリカの海兵隊のこういうコメントが出ています。我々の参加で更に迅速な物資提供ができたとしつつ、日本は救援活動を自力で行う十分な能力があったと、こういうふうにも言われているわけですね。
私は、オスプレイの活動実績つくりたいけれどもいろんな不安や反対が強いという中で、自衛隊のヘリ能力では十分でないということにしてこの派遣を合理化をしたのではないかと。こういう震災の政治利用のようなことは、やはり被災者にも現場で奮闘する自衛官にも私は大変失礼な話だと思います。
そういうことをやるべきでないということを再度申し上げまして、終わります。