国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2016年・192臨時国会 の中の 外交防衛委員会(②南スーダンPKO)

外交防衛委員会(②南スーダンPKO)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 防衛省職員の給与法の改定は、本年八月の人事院勧告に沿って一般職と同様の引上げを行うものであります。国家公務員全体の給与引上げの一環であり、賛成であります。
 その上で、前回に続いて南スーダンPKOについてお聞きします。
 先ほどの防衛大臣の答弁でも、また政府の基本的考え方でも、活動継続の判断として、PKO参加五原則と、そして要員の安全を確保した上で意義のある活動が行えるかどうかだと言われております。
 そこで、この安全確保に関して今日はお聞きしますが、政府はジュバは平穏だと強調して、安倍総理は予算委員会で、治安情勢について国連と認識は同じだと答弁をされました。しかし、南スーダン情勢に関する十一月十日の国連事務総長報告を読む限り、私にはジュバは平穏などという記述は見当たらないんですね。どこに書いてあるのか。
 時間ありませんから、ないならないで結構ですので、はっきり答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(稲田朋美君) 政府のジュバに対する認識は、比較的落ち着いている、しかしながら緊張感を持って注視をしていかなければならないということでございます。
 御指摘の報告書の治安情勢の部分については、本年七月の衝突事案以降、ジュバ地域の治安状況は引き続き流動性がある、変動しやすいという記述でございます。これは、現地の治安情勢についての政府の認識と基本的に異なることはないというふうに認識をいたしております。
 さらに、先ほど私からも外務大臣からも御答弁いただきましたように、国連側に問合せ、照会をした結果、治安情勢の悪化が起きているのはジュバ以外、特に西部及び北部であり、ジュバは比較的安定している、ただし引き続き情勢を注視する必要がある旨の回答を得ております。
 そういったことから、基本的に異なるものではないというふうに認識をいたしております。
○井上哲士君 ジュバは平穏だと書いてあるところは挙げることはできませんでした。書いていないんですね。
 先ほども紹介されましたけれども、今も言われました、ジュバ及びその周辺の治安状況は引き続き不安定であると。これは将来の話じゃないんですよ、ずっと不安定だと言っているわけですから、これは平穏とは全く逆の話であります。
 そして、この所見にあるカオスという表現について国連に照会をしたら、安保理が行動を取らなければ状況が深刻になるという趣旨であって、現在の南スーダンがカオスであるという趣旨ではない旨の答弁、回答があったという答弁もありました。
 これ、都合よく解釈されているんではないかと思われるんですが、国連事務総長の所見は、カオスと述べた後で、敵対行為の即時停止及び無条件の停戦実施への回帰が惨劇を回避する唯一の方法だとしております。確かにこれができればカオスにはならないでしょう。しかし、その見通しがないというのが今の現実だと思うんですね。
 その下で、この報告の所見では、治安状況は日を追うごとに悪化していると、民族間の緊張と十一月の雨季の終了のために暴力は更に悪化するだろう、南スーダンは崖っ縁に立たされているのが厳しい現実である、現実であると、こう言っているんですよ。こういう崖っ縁という現実こそ政府は直視すべきじゃありませんか。
○国務大臣(稲田朋美君) 今のカオス、それから崖っ縁の点は国連の事務総長の所見の部分で書かれている部分、いるところでありまして、繰り返しになりますけれども、その点について照会をいたしましたところ、国連側からは、治安情勢の悪化が起きているのはジュバ以外、特に西部及び北部であり、ジュバは比較的安定している、ただ、引き続き情勢を注視する必要がある旨の回答を得ております。
 また、国連のPKO局のラドスース局長も、治安が悪化しているのは主に地方都市で、首都ジュバは比較的安定しているという認識を示しているというふうに承知をいたしております。
 これに加えまして、他の安保理理事国や要員派遣国にも直接確認をしたところ、いずれも我が国とおおむね同様の認識をしていると承知をしております。しかしながら、我が国としても緊張感を持って注視をしていく必要がある、これは同様の認識でございます。
○井上哲士君 先ほど言いましたけど、ジュバ及びその周辺の治安状況は引き続き不安定ですと言っているんですね。今のお話とは私全然違うと思うんですが。
 国連からの回答があったと言われますが、じゃ、その回答を当委員会に提出していただきたいと思います。理事会でお計らいください。
○委員長(宇都隆史君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。
○井上哲士君 こういう崖っ縁の情勢の下で要員の安全確保ができるのかという問題であります。
 改めて、前回と同じように、第十次要員と第十一次要員の家族説明資料を配付をいたしました。これ、各地で大統領派と副大統領派が交戦した地域、黄色いこの星のようなマークで付けてありますが、十次要員用資料では戦闘箇所となっています。それが、十一次要員資料では衝突箇所に書き換えられているんですね。何で戦闘を衝突に書き換えたんですか。
○政府参考人(辰己昌良君) 現在の南スーダンにおいては、法的に定義されている戦闘行為、国際......(発言する者あり)戦闘行為が行われていないことから、それと混同されかねない戦闘という文言を使うのは適当ではないと考え、衝突という文言を使っております。
 十次隊のこのページでございますが、三月に作成しておりまして、当時、現地の報道等各種情報を引用して戦闘発生箇所という表現を用いたものでございますが、これはやはり誤解を生じかねない不正確な記述であったと認識しておりまして、そのため第十一次隊の要員の家族説明会のときからは修正させていただいているところでございます。
○井上哲士君 この問題は、予算委員会でも大野委員が問題にされました。当時、総理は、戦闘行為には法律の定義があるけれども、戦闘には定義があるかどうか分からないと、そして、武器を使って人を殺傷したりあるいは物を壊す行為を一般的な意味で衝突という表現を使っていると、こういう答弁でした。つまり、通常、衝突という言葉を使っているような話だったんですね。これ、実際は戦闘と言っているんですよ。
 これだけじゃないんですね。先日も指摘しましたけれども、大臣がジュバで視察をして、難民施設を見下ろしながら現地の自衛隊員から説明受けている、その映像がニュースで全国に流れました。そのときに自衛隊員は、反政府軍の兵士もPKOサイトの方に逃げ込んでSPLAが反撃をする、その中で若干この辺で戦闘が起きたとはっきり言っていたじゃないですか。大臣、それをうなずいて聞いていたじゃないですか。
 つまり、現地の部隊も大臣も、政府軍との間で戦闘だったと、これこそが実態を表す言葉だからずっと使ってきたんじゃないんですか。いかがですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 何度も繰り返しになりますが、法的な意味として戦闘行為ということが定義付けられております。そして、その戦闘行為とは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為でございます。
 その戦闘行為と混同しかねない戦闘という表現を使うのは適当ではないということで、戦闘という言葉ではなく、衝突ないしは武力衝突という言葉を使っているということでございます。
○井上哲士君 じゃ、なぜジュバで、大臣、訂正もせずに聞いていたんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) それは、説明される方が法的な意味ではなく一般的な用語として使われていることを私は認識をしていたからでございます。
○井上哲士君 つまり、一般的に使っているんですよ、自衛隊の中では。家族の説明でも、現地にいる自衛隊員もこれは戦闘だと言っているんですよ。それをわざわざ平穏だと印象付けるために衝突に言い換えたということじゃないですか。
 ですから、言葉だけ使って、崖っ縁に立たされる情勢も、五原則が崩壊しているようなそういう事態も、そして実際に戦闘が起きている、これを覆い隠して安全かのように強調する説明をして、この新任務付与をして派遣を継続すると、これ絶対やめるべきであります。
 直ちに撤退することを求めまして、質問を終わります。

ページ最上部へ戻る