国会質問議事録

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外交防衛委員会(河野統幕長の改憲に関する発言、オスプレイ佐賀空港配備計画)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 私からも、通告した質問の前に、河野統幕長の発言について質問をいたします。
 総理の改憲発言について、自衛隊員として申し上げるならば非常に有り難いと発言をしたわけであります。憲法九十九条は一人一人の公務員に憲法尊重擁護義務を課しておりますし、自衛隊員の服務の宣誓でも憲法遵守が明記をされております。統幕長発言なら駄目だが一自衛隊員ならいいという話ではないわけですね。
 しかも、ましてや、今回の発言は制服のトップとしてその会見をやっていたその場で、時の政権、そして政権党のトップが言っていることを支持をする会見発言をしたと、これは文民統制にも私は反すると思います。これは罷免をすべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 自衛隊法六十一条一項、また自衛隊施行令八十六条に関しては、先ほど藤田委員の質問にお答えをしたところであって、政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反することかどうかということでございますが、今回の統幕長の発言については、記者の質問を受けて、憲法という非常に高度な政治問題でありますので統幕長という立場から申し上げるのは適当ではないと思いますと明確にしつつ、個人の感想を述べられたものであります。この発言が今申し上げました政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対することには該当はしないというふうに考えているところでございます。
○井上哲士君 一個人だと断ったら、統幕長として会見やっていても何でも言ってもいいと、そんなだったら大変なことになりますよ。
 そして、現にこれ五月以降、今、この総理の発言というのは最大の政治問題になっているんです。特定の政党の総裁として、そして総理として言っているわけですよ。それを受けて発言をしているわけでありますから、この発言が政治的意図がなかったなどとかいうことは現実の報道の状況を見てもあり得ない話でありまして、私はそういう擁護をする防衛大臣自身の責任が問われるということを強く指摘をしておきたいと思います。
 その上で法案でありますが、今回の法案は陸上総隊を新編をし、その下に佐世保に水陸機動団が新設をされます。その輸送手段としてオスプレイを佐賀空港に配備をするという計画になっておりますが、佐賀空港は県営の民間空港であり、日本一の生産額を誇るノリの産地に接しております。ですから、空港建設に当たって一九九〇年に佐賀県と関係漁協との間で公害防止協定を結んで、県は佐賀空港を自衛隊と共用するような考えは持っていないと明記をしたわけであります。
 漁協は地権者でもありますけれども、およそオスプレイの配備など到底了解をする状況にありませんし、県民世論は十六日付けの地元紙でもまさに二分をしております。そういう中で、地域住民の会は四月の二日に配備反対の決起集会を開いて、仮に県が計画を受け入れた場合には訴訟を起こすと、こういう決議すら行っております。
 まず事務方にお聞きしますけれども、こういう下で、佐賀空港へのオスプレイ配備計画に伴う年度ごとの予算額とその執行状況はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(高橋憲一君) お答えいたします。
 陸上自衛隊オスプレイ等を佐賀空港へ配備するための予算でございますが、平成二十七年度におきましては百六億円、用地取得、移転補償、基本検討、調査、設計及び造成工事に係る経費を計上させていただいてございますが、これにつきましては執行はされてございません。平成二十八年度においては当初予算は計上していない状況でございます。平成二十九年度におきましては、用地取得、移転補償、基本検討、調査、設計及び造成、失礼いたしました、用地取得、移転補償、基本検討、調査及び設計に係る経費として約三十億円を計上してございますが、現時点においてはまだ執行されていないと、そういう状況でございます。
○井上哲士君 県民世論の中で全く執行できない、それでも何とか来年の概算要求にしたいということだったんでしょうか。
 若宮副大臣が十九日に佐賀県を訪問をして県知事と懇談をされております。沖縄での米軍オスプレイの墜落事故について説明し、安全性を強調したということでありますが、副大臣は最終的な回答と表現をされております。米軍の事故の報告書はまだ出ていないにもかかわらず、なぜ最終的ということになるんでしょうか。
○副大臣(若宮健嗣君) 今委員が御指摘になりましたように、昨年の十二月の十三日に生じましたアメリカの海兵隊のMV22のオスプレイの不時着水につきまして、昨年十二月の十四日に佐賀県の方から、今般の事故につきまして徹底した原因の究明と情報の開示を行うということと、それから、県民の皆様に対して今回の事故に係る調査結果についての説明責任をしっかりと果たしてほしいと、こういった二点を強く御要請をいただいたところでございました。
 アメリカ側からは現時点では先般のアメリカ海兵隊のMV22オスプレイの不時着水に関します事故調査報告書というのは提供されていないという段階ではございますが、こうした佐賀県からの要請を私どもといたしましては重く受け止めまして、私どもの、防衛省としての説明責任を果たしていくこと、こういった観点から、今般の事故の原因となりました空中給油について陸自のV22オスプレイの安全対策も取りまとめまして、五月の十九日に私から山口佐賀県知事ほか皆様方に御説明にお伺いをしたところでございます。
 この不時着水につきましてはアメリカ側からは事故調査報告書はまだ提供されていない状況ではあるんですが、これまでのアメリカ側との協議も踏まえまして、私ども防衛省・自衛隊の専門的な知見とそれからまた経験に照らし合わせまして、私どもとして、この不時着水の要因については搭乗員の練度が十分ではなかった可能性があるということ、それからまた、航空機の搭乗員同士又は海兵隊と空輸する側の空軍同士の連携が不十分ではなかった可能性など八つの可能性のいずれかに該当するものであろうというふうに分析をいたしているところでございます。
 したがいまして、私ども防衛省といたしましては、陸自でのV22オスプレイの運用に関しましては、この八つの可能性に対してきちっとした安全対策を講じるということで、昨年の不時着水のような事故に関して想定される原因につきまして網羅的に対策を講じたものでございます。同種の事故が発生することを防止できるものというふうに判断をしたところでもございます。こうした認識の下で、陸自V22オスプレイの安全対策の方向性につきましても、私どもとしての最終的な御回答ということで御理解をいただければというふうに私から発言をしたところでございます。
 また、アメリカ側からこの不時着水に関します事故調査報告書が提出された際には、県を含めまして各自治体の皆様、また漁協組合等の皆様方に御説明申し上げるとともに、仮に陸自の安全対策になお追加的に必要だと思われるような措置があれば反映させていきたいと、かように考えているところでございます。
○井上哲士君 三月の予算委員会で我が党議員が、墜落したオスプレイに搭載するときに必ず持ち込むチェックリストを入手して質問いたしましたけれども、それについて政府は承知していないし照会も掛けていないという話でありました。こういう重大なものを見ずに最終回答というような、そういう姿勢に市民は不信を高めているということを指摘をしていきたいと思うんですね。
 こういう地元の不信を高めている国の言葉がもう一つ、昨年十月の参議院予算委員会での総理の答弁であります。沖縄のオスプレイについて米軍の訓練の一部を佐賀で行うことで進めていると、こういう答弁でありますが、この答弁について菅官房長官は、米軍オスプレイの沖縄県外への訓練移転は全国で分かち合うという観点でお願いしている、その上で佐賀空港を一つの例示として述べたと言われましたけど、これ到底納得いかないんですね。全国の一例と言いながら、なぜ佐賀だけ名前を挙げたんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 昨年の十月十三日の参議院予算委員会で総理は、訓練の一部は佐賀で行われるということでこれは進めているわけでありますというふうに答弁をいたしました。米軍オスプレイの沖縄県外への訓練移転については、これまでも申し上げてきたとおり、沖縄の負担を全国で分かち合うとの観点から、全国の他の空港と同様、佐賀の空港の利用も考慮させていただきたいというふうに考えており、総理は、こうした認識を前提とした上で佐賀空港を一つの例示として述べたものでございます。
 長官も、昨年十月二十八日の衆議院の内閣委員会において菅官房長官が、訓練移転についても佐賀空港を一つの例示として述べた、このように私は総理と話をしております、一つの事例として、従来の説明の中の、全国の受入先の、是非オスプレイを、訓練期間を期間限定でもしてほしいといろいろなところで今お願いいたしておりますので、それと同じ意味合いで総理が答弁をされたと答弁したとおりであって、私も、佐賀県、あくまでも四十六都道府県の一つとしての例示であるというふうに認識をしているところでございます。
○井上哲士君 ですから、なぜ佐賀だけ名前を一つ挙げたんですか。全然答えになっていないんですね。
 盛んに今沖縄の負担軽減のためと、県外訓練と言っておりますけれども、実際に県外、これが沖縄の負担軽減になっていると、こういう認識ですか。
○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。
 御指摘の米軍オスプレイの沖縄県外の訓練についてでございますけれども、実績といたしましては、昨年九月、グアムで訓練を行いました。また、本年三月上旬から中旬に新潟及び群馬県の演習場において陸上自衛隊と米海兵隊との実動訓練を実施いたしました。この訓練につきましては、実際にオスプレイのこの期間の飛行状況は減ったと、普天間基地における離発着は減っていると承知しておりますし、我々としては負担軽減に資するものであると考えております。
○井上哲士君 沖縄県が調査をしておりますけれども、今年二月から三月、全機種を対象とした離着陸回数調査を行っているんですね。一日平均四十三・八回ですけれども、オスプレイが県外に訓練移転している三月六日から十七日は四十六・七回、逆に増えているんですよ。結局、オスプレイが訓練移転すれば、それを埋める形で他の機種が訓練を拡大をしていて、もう負担軽減なんてうそっぱちなんですね。これが実態なんですよ。ですから、基地負担を言うならばオスプレイの撤去以外にありません。
 他の空港と同じと言いますけれども、これまで米軍オスプレイの沖縄の県外訓練移転で民間空港を使用した例及び今後民間空港を使う具体的計画があるでしょうか。
○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。
 これまでのオスプレイの訓練実績については、ただいま答弁を申し上げたとおりでございます。この昨年九月から実施しております移転訓練につきましては、民間空港を利用した実績はございません。
 今後の予定というお尋ねもございました。現在具体的に計画しておりますのは、今年度は三回程度の実施を予定しております。これにつきましては、まだ具体的に、いつからいつまで、さらにどの施設を使うかについては、細部、日米間で調整中でございますけれども、今の時点におきましては民間空港をこの訓練に使うという具体的な計画はございません。
○井上哲士君 ですから、全国と同じように佐賀空港を使いたいと言いますけど、これまでもこれからも民間空港を使う例はないんですよ。その中で佐賀だけ挙げたわけでしょう。だから、佐賀県民はそうなるんじゃないかと、集中するんじゃないかと思っているんですよ。その懸念にどう答えるんですか、防衛大臣。
○国務大臣(稲田朋美君) 防衛省としては、米軍オスプレイの沖縄県外への訓練移転等については、これまでも申し上げたとおり、沖縄の負担を全国で分かち合うとの観点から、全国の他の空港と同様、佐賀空港の利用も考慮をさせていただきたいということを考えているということでございます。
○井上哲士君 ですから、他の空港と同様と言うけれども、これまで使ったこともなければ、これまでの計画ないんですよ。唯一挙げているのが佐賀なんですね。だから、県民の皆さん、地元の皆さんは怒っているわけですよ。もう公害防止協定にも反して、世論の了解もないようなこういう配備計画そのものの撤回を強く求めて、質問を終わります。

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