国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2018年・196通常国会 の中の 外交防衛委員会(防衛省自衛隊イラク「日報」隠ぺい問題②)

外交防衛委員会(防衛省自衛隊イラク「日報」隠ぺい問題②)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 イラクの日報問題についてお聞きをいたします。
 先週木曜日も質問いたしましたけれども、シビリアンコントロールの根底が問われているという質問をいたしますと、大臣は、シビリアンコントロールが機能しているからこそ新たに日報が発見されたんだという旨の答弁がありました。しかし、その翌日、空自でも新たに日報が発見をされました。
 昨日報道されたNHKの世論調査では、文民統制が機能していたかと思うかということに対して、機能していたは五%ですよ。機能していなかったは五一%、どちらとも言えないが三三%。本当に深刻な数字だと思いますけれども、事態の重大さへの大臣の認識が私はこの間の答弁は不十分だったと思いますけれども、今どんなお考えでしょうか。


○国務大臣(小野寺五典君) まず、今お話がありましたが、今回、様々な新たな文書が見付かるということが表に出ておりますが、実際、このイラクの文書が防衛省内にあったということが確認できたのは昨年七月二十八日だと思いますが、文書の一元化、これは、やはりこのような様々な自衛隊の活動について、国会やあるいは国民の皆様からその内容についての問合せがあった場合、あるいは防衛省としての文書管理の意味合いから、統幕で一元化して保管をする、そして様々な御要望に、要請に対して応えていくということが大切だ、その過程をする中で見付かったというのが状況であります。
 ただ、それを更に深く見ていくと、実際は昨年三月二十七日に陸幕の研究本部の方でその文書があることを分かっていたにもかかわらず、当時の大臣に報告をしなかった、これは大変大きな問題だ、今これを大野政務官中心に調べていただいております。
 いずれにしても、私どもとしては、今出てきていない文書、とにかくしっかりうみを出し切ることが大切だということ、これはむしろ私ども政治のリーダーシップで、特別訓示を行い、そして大臣指示を出し、しっかりと出し切るということ、これが大切だと思っております。
 私ども防衛省・自衛隊は実力組織であります。殊更、特に政治がしっかり管轄をするということが大切だと思っております。これからも、私ども政治、ひいては私どもの支え、後ろにおります国民の皆様の様々な要請に対して、しっかりその意図を末端の部隊の隊員一人一人に伝えていく、そして、その指示がしっかり報告も含めて今度はその部隊から私ども政治のレベルまで上がってき、そして国民の皆様の負託に応えていく。この過程が、風通しよく、しかも速やかにつながるような形にしておかないと、これはやはり戦前の軍事の独走ということ、このことにつながる、そういう私どもは危険性もあると思っておりますので、このしっかりとした体制をしっかりつくり上げていくということが今私どもに課せられた役目だと思っております。


○井上哲士君 先人、戦前の教訓も踏まえて、国民の要請が末端までしっかり届くことが必要だと、そういう答弁がありました。
 そこで具体的に聞いていきますが、今回問題になっています陸自や空自の派遣部隊の日報というのは、どういう目的で、どういう法令、規則に基づいて作成され、どの部署宛てに報告をされるというものなんでしょうか。


○政府参考人(高橋憲一君) いわゆる委員御指摘の日報でございますが、行動命令に基づき活動する部隊が上級部隊へ報告するため作成した定時報告でございまして、防衛大臣又は上級部隊の判断に資するものという形で作られているものでございまして、これはあくまでも内部規則の中で決められているものでございます。


○井上哲士君 内部規則、具体的にはどういう規則でしょうか。


○政府参考人(高橋憲一君) いわゆる防衛省内の文書管理規則、文書管理細則に基づいて作られているものでございます。


○井上哲士君 実力組織である自衛隊が憲法や法律に反することなく活動しているのか、主権者国民そして国会が監視、検証をするというためには、しっかり開示をされなくてはならないものであります。ところが、それに反する扱いがされてきたわけですね。
 この間、陸自の研究本部で次々と多数の日報の存在が確認されておりますが、どういう日報か、それからその形態、紙かデータか、それをまずお答えいただけますか。


○政府参考人(鈴木敦夫君) 今回確認されましたイラクの日報につきましては、陸幕衛生部において確認されましたものは紙媒体で、そして陸上自衛隊研究本部で確認されましたものについてはいわゆる外付けハードディスクに保存されていたというものでございます。
 なお、この外付けハードディスクというものは、ふだんは鍵付きの書庫、別の部屋に保存されておりまして、必要な都度そこから取り出し、接続をして使用していたというものと承知しております。


○井上哲士君 ちゃんと、ちゃんと通告してあるんですからね。四月の五日のヒアリングに出された、研究本部から出された、に保有が報告をされた日報について具体的に述べてくださいという、この資料ですよ。
 ちゃんと通告しているんだから、具体的に。ちゃんと答弁してよ。


○委員長(三宅伸吾君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(三宅伸吾君) 速記を起こしてください。


○政府参考人(鈴木敦夫君) 四月、四月の五日、航空自衛隊の日報につきましては、陸の件につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。航空自衛隊につきましての日報につきましては、航空幕僚監部において国会議員の資料要求に対応するために、保存されている電子データを整理を行っていたところ、平成十五年から二十一年にかけてイラク人道復興支援活動を実施していた航空自衛隊の定時報告、いわゆる日報の一部がほかの資料に紛れて保存されていることが確認されていたというものでございます。(発言する者あり)


○委員長(三宅伸吾君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(三宅伸吾君) 速記を起こしてください。


○政府参考人(鈴木敦夫君) お答え申し上げます。
 研究本部よりこれまで保有している旨の報告があったいわゆる日報ということで、PKOで申し上げますればカンボジアですとかゴラン高原、東ティモール、ハイチ等々、これら、今回のイラク人道復興支援活動に係るものとはまた別に確認されているわけでございますが、こうした保有する日報の分量等につきましては精査が必要で、これらがまたそれぞれ研究本部として全体としてこういうものが出てきたというものについては資料を提出させていただきましたが、それぞれどういう状態で保管されていたについては今後更に精査が必要だというふうに考えております。
○井上哲士君 昨日、この防衛省の資料を見せて、このとおり答弁してくださいと言っているんですから、通告で。ちょっとひどいよ、これは。
 それ以外に、国際緊急援助隊でホンジュラス、インドネシア、パキスタン、インドネシア、ハイチ、ネパール、これの日報も出ているわけですよね。何でこういういろんな種類、たくさんの日報を研究本部が保有していたんですか。


○政府参考人(鈴木敦夫君) 現時点におきましては、こうした日報が研究本部において保管されておったということは確認しておりますが、それぞれどういう用途、目的を持ってここに保管されていたかについてはまだ確認をされておらないところでございます。


○井上哲士君 部隊の教訓に使うからでしょう。
 あの二〇一〇年の三月三十一日付けの通達、教育業務実施要領についてというのがありますが、研究本部というのは教訓要報や教訓詳報、部隊教訓などを作成すると、そのために教訓資料の収集を行うとしているわけですよ。この教訓資料の中には、教訓の作成に必要とする部隊等からの聞き取りから得られた成果、示された様式に基づく報告資料、部隊等の作成した各種計画及び公開資料等をいうと、こう書いてあるわけですよ。こういう任務を持っている研究本部だから、派遣部隊の様々な教訓、これからに資するためにそういう資料を収集していると、だからあったんじゃないんですか。


○委員長(三宅伸吾君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(三宅伸吾君) 速記を起こしてください。


○政府参考人(高橋憲一君) 委員御指摘のとおり、陸上自衛隊に設置されております研究本部でございますが、これはいわゆる国際活動、様々なものの教訓、反省事項をまとめるためにつくられた組織でございまして、そのような観点で、去年の三月二十七日でございますが、イラクの日報についてそういうものがあったということでございまして、また今後とも、また他の機関からも、先ほどちょっと委員が御指摘がありました情報本部からもまたいろんな情報、資料が出てございますが、その入手経路あるいは入手の手段については現在調査中で現在つまびらかにしていないところでございます。


○井上哲士君 つまり、研究本部にはこういうデータがあると、与党席からもそのとおりだという声が出ましたよ。
 報道でも、例えば陸自幹部のコメントとして、初めから日報の保管が十分に考えられた場所だと、何でここを最初に探さないんだという、いろんな報道がありますよね。ここにあったわけですよ。
 そこで、お聞きしますけれども、イラクの日報について昨年の三月二十七日に情報開示請求が行われております。具体的に、イラク復興支援活動で現地に派遣された部隊が作成した日報等の報告文書で陸上自衛隊で保管している文書全て、ただし教訓レポートは除くと、こういう明確にイラク日報を求めた情報開示請求ですが、これについて開示されたのか、現在どのような対応になっているのか、昨日の決算委員会でも聞きましたけど、確認をいたします。


○政府参考人(鈴木敦夫君) 今御指摘がございましたイラク日報等に関する情報公開請求につきましては、昨年の三月二十七日に内部部局の情報公開・個人情報保護室が受け付け、同室より防衛政策局防衛政策課、統合幕僚監部総務課及び陸上幕僚監部総務課に対象文書の探索を依頼し、この依頼を受けて、それぞれの組織においてイラクの日報等を探索し、その結果、イラクの日報そのものは不存在として特定できなかったものの、陸幕がそのほか関連する相当量の行政文書を開示対象文書として特定し、開示、不開示の確認作業に時間を要することから、防衛省として、情報公開法に基づきまして、昨年四月二十六日に開示決定期限を本年六月二十九日まで延長しております。その途中で、昨年五月二十六日にはその一部の開示決定を行ったものでございます。


○井上哲士君 確認しますけれども、陸幕の総務課はイラクの日報については不存在という回答を、これはあれですね、内局の情報公開・個人情報保護室だと思うんですけど、そこに回答したということでいいんですか。


○政府参考人(高橋憲一君) 委員御指摘のとおりでございまして、その時点におきましては、イラクの日報については不存在という判断を内局の個人情報保護室はしておりました。


○井上哲士君 じゃ、判断をしたのは陸自の総務課からそういう回答があったということなんですね。


○政府参考人(高橋憲一君) はい、おっしゃるとおりでございます。


○井上哲士君 これ、三月二十七日といったら、もう情報本部は見付けているんですよ。陸自の総務課は、あっ、研究本部の総務課は、研究本部は見付けているんですよ。
 去年の特別監察を見ますと、この個人情報保護室が開示請求書類を陸幕や統幕などに送って、そこから陸幕は更にCRFの司令部など部隊に送っているんですね。
 じゃ、このときの情報公開請求に基づくそういう探索依頼はどこにあったんですか、陸幕の総務課は。明らかにしてください。


○政府参考人(高橋憲一君) 昨年三月二十七日に受けましたイラクの日報等に関する情報公開請求でございますが、内局の情報公開・個人情報保護室が受け取りまして、防衛政策局、統合幕僚監部、陸上幕僚監部にそれぞれ対象文書の探索を依頼したところでございます。


○井上哲士君 だから、陸上幕僚監部はそこから先にまた送るわけでしょう、探索依頼するわけでしょう。南スーダンのときには陸上幕僚監部からCRF司令部とか送っているわけですよ。陸上幕僚監部が一体どこの部署に探索依頼をしたのかを明らかにしろと言っているんです。


○政府参考人(高橋憲一君) 済みません、今手元に資料がございませんので、また調べさせていただきます。


○井上哲士君 昨日、明確に通告していますよ。研究本部にはいつ探索依頼をしたんですかと、三月二十七日に情報公開請求を受けて研究本部にはいつ探索依頼出したんですかと。ちゃんと答えてください。


○委員長(三宅伸吾君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(三宅伸吾君) 速記を起こしてください。


○政府参考人(高橋憲一君) 先ほどの情報公開請求でございますが、陸自の研究本部にも陸幕総務課の方から照会をいたしましたが、その時点では研究本部はないという回答を得たところでございます。


○井上哲士君 それは何月何日ですか。


○政府参考人(高橋憲一君) ちょっと日にちについてはちょっとまた確認をさせていただきます。済みません。


○井上哲士君 いいですか、情報公開請求があったのは三月二十七日なんです。その後に研究本部に探索依頼しているわけですよ。ところが、三月二十七日にはもう発見しているわけですよ、あることを。そうでしょう。
 だったら、うそついていることになるじゃないですか。あるのに、ないと言ったことになるじゃないですか。どういうことですか。


○政府参考人(高橋憲一君) 先ほど、研究本部からの回答、三月三十日でございまして、研究本部からは、イラクの日報は存在していないという回答を三月三十日に陸幕にしたところでございます。
 委員が今御質問のところでございますが、いわゆる研究本部の中でイラクの日報があったかということにつきまして、どの範囲までで本当に共有されているのか、どのレベルまで上がっていったのか、現在調査中でございますので、その点についてはまだ明確にお答えできないところでございます。


○井上哲士君 そんなひどい話ありますか。
 陸幕が知らない知らないと言っていましたけど、研究本部の中にあって、それを情報公開請求があったからといって探索依頼があって、聞くでしょう、みんなに、担当のところに。それが、三月三十日にないという回答をしていると。こんなの、組織的隠蔽以外の何物でもないじゃないですか。
 大臣、これ、きちっとこれは、なぜこういうことになったのか明らかにしていただきたいと思いますが、いかがですか。


○国務大臣(小野寺五典君) 委員の御趣旨は、昨年の三月二十七日に、これは私が指示をして今年の四月四日に陸幕から、陸幕を通じて報告があった陸幕の研究本部で、実は三月二十七日にあったということが分かっていたにもかかわらず稲田防衛大臣始め上に上げていなかったということ、これが今大きな私どもの問題になっています。
 そして、委員が御指摘になったのは、同時期にこの問題に関しての情報公開請求があって、情報公開請求の中でも、陸幕の方からこの研究本部の方にそのような文書がないかという照会があって、そしてその照会は三月三十日に行われたということでありますから、当然知っていた二十七日と公開があったのが三十日ということですから、じゃ一体どの範囲でこの情報公開が来たなということで確認をした人がいて、そして、実はあったと思っている人がどの範囲でいてと、これが本当に今回の、逆に言えばしっかり調べて明らかにしなきゃいけないことなんだと思います。
 その認識も含め、今調査チームでなるべく速やかにこの状況については確認をし、報告をさせていただきたいと思います。


○井上哲士君 二十七日にあったにもかかわらず大臣に報告していなかったという理由に、あの特別監察は南スーダンの問題だったからイラクのことは報告する必要がなかったと思っていたというのが全部出ていますよ、報道でも、教訓課長ですかね、その発言として。しかし、これは明らかにイラクの日報について照会をしているんですね。それに対して不存在という回答をしているんですよ。
 教訓課長にはこの照会は届いていないんですか。


○政府参考人(高橋憲一君) 済みません、その情報の共有の範囲につきましては、現在調査中のところでございますので、現在お答えすることは差し控えさせていただきます。


○井上哲士君 いや、情報の共有範囲じゃなくて、情報公開請求に基づく探索の照会、これが誰宛てにされたのかということです。通常はどういうことになる、どこになるんですか。


○政府参考人(高橋憲一君) 通常は、情報公開でございますので、各組織の総務課に相当するところに参ります。その総務課からどういう形で研究本部の中に情報公開のあったことが共有されたかについては現在把握してございませんので、お答えをここでは、詳細にはお答えできないところでございます。


○井上哲士君 どう考えても、こういうものはありますかと、だって資料のことなんですから、こういう資料はありますかということを教訓課長に聞くのが当然ですよ。それをやらなかったら全く情報公開にまともに答えなかったということですよ。
 これまで言ってきた、南スーダンのものかと思ったので報告しなかったということは、私はこれもう崩れたと思います。明らかに知った上で上げなかった、それが一定の部分の共有はされていたと。本当に私、深刻な組織的隠蔽だと思いますよ。大臣、これは本当に具体的な解明をして、ここに御報告をいただきたい。
 同時に、一連の問題を見ますと、やっぱりこれはきちっと国会としての解明が必要だと思っております。組織ぐるみ隠蔽の疑惑は深まるばかりでありますから、当時の稲田防衛大臣、黒江次官、岡部陸幕長、現職の山崎陸幕長、是非、証人として委員会に招致をしていただきたいと、そのことを御確認いただきたいと思います。


○委員長(三宅伸吾君) ただいまの提案につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきます。


○井上哲士君 まさに、本当にシビリアンコントロールの根本が問われている。つまり、南スーダンで隠蔽が問題になっている、そのことで新しいことが発覚をしたら、同じ、並行でまた新しい隠蔽が行われていたということでありますから本当に深刻ですよ。徹底した解明が必要だということを繰り返し申し上げまして、質問を終わります。

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