国会質問議事録

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外交防衛委員会(辺野古軟弱地盤)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 法案は、人事院勧告に沿った国家公務員給与引上げの一環であり、賛成であります。
 前回に続いて、辺野古の新基地建設の問題についてお聞きをいたします。
 沖縄県が辺野古の埋立承認撤回の理由の第一に挙げたのが、承認に当たっての留意事項に反する違反行為があることであります。留意事項では、事前に工事の実施計画と環境保全対策について協議することや、環境保全図書等を変更するには承認を得ることなどを事業者に義務付けております。ところが、防衛局は、環境保全対策を示すことなく埋立工事に着工いたしました。
 そして、県は、協議の前提として護岸全体工事の実施計画の一括提出を求めておりますけれども、沖縄防衛局は一部を未提出のまま工事を続けております。この実施計画が未提出なのは、この大浦湾側の護岸のC1からC3のものなどですが、安倍政権がもう一五年の十月に埋立ての本体工事を着工を宣言してもう三年たつわけですね。何で三年たってもこの部分の実施計画が未提出なのか、そもそも実施計画自身ができているのかどうか、まず大臣、お答えください。

○国務大臣(岩屋毅君) 沖縄防衛局におきまして、C1護岸からC3護岸の施工予定箇所付近を含めて適切にボーリング調査を実施しており、現在実施中のものも含めたボーリング調査の結果を踏まえて、地盤の強度等を総合的に判断した上で実施設計の検討を行い、その上で沖縄県と協議することとしております。
 いずれにいたしましても、沖縄防衛局としては、現在実施中のボーリング調査の結果等を踏まえて、地盤強度の評価を確実かつ適切に行った上で実施設計の検討を行うこととしておりまして、その上で沖縄県への説明と協議を十分行っていきたいと考えております。

○井上哲士君 沖縄県は、安全性とか環境への影響は工事の総体を検討しなければ確認できないと、だから全体を出せと、当然だと思うんですね。ところが、一部未提出。今もありましたように、三年たってもいまだに調査をしているということなんですね。
 なぜいまだに護岸のC1からC3の実施計画ができないのか。その理由が、沖縄防衛局が一六年の三月にまとめたシュワブ地質調査報告書が今年三月に公表されたことで明らかになりました。これ、名護の市長選挙が終わるまで二年間隠蔽されていたものでありますが、辺野古の建設予定地のボーリング調査の結果をまとめた報告書であります。
 お手元に資料を配っておりますが(※配付資料181122.pdf)、二枚目を見ていただきますと大浦湾の工事の計画の図がありますけれども、ケーソン式護岸、C1、C2、C3の付近において、上にありますように、当初想定されていないような特徴的な地形、地質が確認をされた。このグリーンの部分は隆起をした山でありますけれども、黄色い部分は谷地形になっているんですね。ここに非常に軟弱な地盤が存在をしていると。上の文章、下から三行目にありますように、谷地形の地層は、非常に緩い、軟らかい谷堆積物が層厚四十メートルと非常に厚く堆積しと書いております。
 具体的に、このC1護岸の予定地に掛かるB28というボーリング地域、それからこのマスキングの下にB26というボーリングの地点がありますが、それについて一枚目のところに結果を書いております。これを見ますと、地盤の強度を示すN値、これがゼロという地点が何と深さ四十メートルにわたってずっと続いていることが分かるんですね。
 お聞きしますけれども、このN値とは一体何でしょうか、それがゼロというのはどういう状態なんでしょうか。

○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 お尋ねのございましたN値、いわゆるN値でございますけれども、N値とはボーリング孔を利用した試験法である標準貫入試験により求められる数値でございます。標準貫入試験と申しますのは、ハンマーを落下させ、サンプラーと呼ばれる器具を三十センチメートル打ち込むのに必要な打撃回数を測定するもので、その打撃回数をN値とし、土の硬さや締まり具合を判定する一般的な試験でございます。また、N値ゼロというのは、サンプラーと呼ばれる器具にハンマーを置いた時点で土の中に三十センチ貫入したということを意味してございます。

○井上哲士君 そういうことなんですね。上からハンマーを落とさなくても、そのサンプラーというこの試験杭を置いたら自分の重さでずぶずぶと沈んでしまうと。専門家はマヨネーズ並みの軟らかさだと、こういうふうに指摘をしております。
 これ護岸を造ろうと思いますと、ケーソンと呼ばれる、最大、長さ五十二メーター、幅二十二メーター、高さ二十四メーター、重さ七千二百トンという巨大なコンクリートの箱をここに投入をすることが必要でありますが、N値ゼロであります。それが四十メーターも続いている。自分でずぶずぶっと沈んでしまうわけですから、到底これ護岸工事など、設置などできないわけですね。
 この報告書が、先ほども言いましたように、当初想定していなかった特徴的な地形といって書いていますように、こういう軟弱地盤というのは沖縄防衛局が埋立承認に当たって出した願書でも全く触れておりません。
 じゃ、この埋立承認の願書の提出に当たって一体どれだけのボーリング調査を行ったのか、そしてこの一六年の報告書のときには何か所のボーリング調査を行ったのでしょうか。

○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 公有水面埋立承認願書につきましては、四地点のボーリング調査を行っているところでございます。また、お尋ねのありました二〇一六年三月に契約業者から提出されましておりますシュワブのH二十五地質調査(その二)及びシュワブH二十六地質調査におきましては、合計二十四地点におきましてボーリング調査を実施しているところでございます。

○井上哲士君 ですから、埋立願書の時点ではこの広い海域をたった四か所のボーリング調査しかしていないんですね。全くお粗末なんですよ。
 その調査に基づく当時の防衛局の認識はどうだったのかと。埋立承認の際にこの地盤の圧密沈下についての沖縄県からの質問に対して防衛局が回答していると思いますが、どういうふうに回答したんでしょうか。

○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 地盤の液状化及び沈下対策の評価結果に関します沖縄県からの質問に対し、沖縄防衛局からは、地盤の液状化については、①粒度による判定、②地震応答解析による判定、③液状化事例による検討を行いその可能性は低いと判断した、地盤の圧密沈下に関しては、圧密沈下を生じるような粘性土層は確認されていないため生じないものと想定している、なお、今後の施工においては、計画地において土質調査等を実施し、地盤の物理特性、力学特性を把握し、液状化及び圧密沈下の有無を確認する予定であるといった旨を回答しているところでございます。

○井上哲士君 だから、承認の時点では圧密沈下は生じないものと想定していますと、たった四か所のボーリング調査でこういうことを言っているわけですね。実に無責任で、この回答をうのみにして、当時の仲井眞県知事が公約も県民世論も裏切ってこれを承認をいたしました。
 しかし、その後の調査によって想定されなかった超軟弱の地盤の存在が明らかになったわけでありますから、これによって地盤の液状化とか、そして圧密等による沈下等が生じる可能性が生まれてきました。ですから、沖縄県は、公有水面埋立法四条の国土利用上適切かつ合理的なることという要件を充足していないということで、埋立承認を撤回をした、当然のことだと思います。
 報告書の三枚目見ていただきますと、結論として、構造物の安定、地盤の圧密沈下、地盤の液状化の詳細検討を行うことが必要だとしておりますが、結局、願書の時点では圧密沈下は生じないと想定していますと答えているにもかかわらず、自分たちでもう一回調査をすれば、こういう詳細検討が必要だと、その結果、いまだに実施計画が作られていないと、そういうことなんじゃないんですか。

○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 まず、お尋ねございましたシュワブのH二十五地質調査(その二)の報告書でございますけれども、この報告書におきましては、今後も調査、試験等が多く実施されることが考えられ、今回の結果及び今後の調査結果を含めて総合的に剪断強度等を設定することが非常に重要であると判断すると記載されているところでございます。
 また、先ほどもお答えしましたとおり、公有水面埋立承認の審査時においての沖縄県からの質問に対しましては、沖縄防衛局から、今後の施行においては計画地において土質調査等を実施し、地盤の物理特性、力学特性を把握し、液状化及び圧密沈下の有無を確認する予定であるという回答をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、この地盤の強度等につきましては、現在実施中のものも含めましたボーリング調査の結果等を踏まえて地盤の評価を総合的に判断して対応していきたいと考えてございます。

○井上哲士君 当時は、圧密沈下は生じないものと想定していますと。しかし、更に調査をすると言っていますけれども、いまだに、つまり当時の想定は根底から崩れているということですよ。
 そして、いまだに調査を行っていると言いますけれども、一六年三月の報告書から既に二年半たっているんですね。今やっている調査というのはいつまでなんですか。いつ新たな報告書が出るんですか。

○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 現在実施中のボーリング調査につきまして、この契約の履行期間等については、平成三十一年三月三十一日までとなっているところでございます。

○井上哲士君 来年の三月三十一日の時点で新たな報告書が出てくるということでよろしいですか。

○政府参考人(西田安範君) 先ほど申し上げましたとおり、契約の履行期間については三十一年三月三十一日までとなっているところでございます。

○井上哲士君 それは分かるんですよ。契約は延長したりしませんね。来年の三月までに報告書が出てくるということでよろしいですか。

○政府参考人(西田安範君) 現在まだ作業中であるということで聞いております。
 あくまで契約の履行期間については三十一年三月三十一日までとなっているということであります。

○井上哲士君 ですから、前回報告書が出されて二年半たってもなお、今も調査中だと。そして、来年三月までに報告書が必ず出るということも言えないわけですね。めどが立たないわけですよ。
 専門家は、これはもう地盤改良工事を行わないと現状計画は無理だとしております。水深三十メーターの底に四十メーターのN値ゼロがあると、しかもそこだけじゃなくて広く分布しているわけですね。
 地盤改良工事になりますと膨大な予算も掛かりますし、環境破壊も広がります。大体、砂地、砂質の場合は、大型工事を、大型構造物の基礎としてはN値五〇以上が必要だというふうにも言われております。専門家は、砂ぐいで地盤管理を行うとしても数千か所以上が必要だと、こういう指摘もしているわけですね。
 そうなりますと、これもうどう考えても私は計画変更が避けられないと思いますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君) 局長からお答えをさせていただいたように、現在追加の調査も行っているところでございまして、現時点では地盤についての確定的な評価をするには至っておりませんので、ボーリング調査の結果を踏まえて総合的に判断をしたいというふうに考えております。

○井上哲士君 現時点で確定的な評価ができないということは、現時点で地盤改良工事が必要ないとか、設計変更が必要ないとか、そういうことは断言できないということでよろしいですね。

○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 先ほど来申し上げておりますように、この地盤の強度等につきましては、適切にボーリング調査を実施、現在実施中のものも含めたボーリング調査の結果等を踏まえて地盤の評価については総合的に判断したいということでございます。

○井上哲士君 それは分かるんですよ。だから、だから現時点では、専門家は地盤改良工事が必要だと、こう言っていますけれども、その必要はないということは断言できないということですね。

○政府参考人(西田安範君) お答え申し上げます。
 現在実施中のものも含めた調査の結果等を踏まえて評価を総合的に判断をするということでございますので、確定的な評価をするに至っていないということであります。

○井上哲士君 ですから、予定されていない超軟弱地盤が出て驚いて追加調査をしているけど、二年半たったって、この計画予定地にその地盤改良工事をやる、つまり計画変更なしに進めることができるということを断言できないということですよ。
 これ、計画変更は知事の許可が必ず必要です。そもそもこの再調査って、時間稼ぎに過ぎなかったんじゃないかと。もう二年半前に分かっていたのに、この報告書を求めたのに、名護の市長選挙が終わるまで出しませんでした。その後、結局、計画変更なしにできる工事は強引に進めておいて、沖縄の知事選挙で知事が替わったらやっぱり計画変更が必要ですとしれっとした顔を出して、それでやろうと思っていたんじゃないですか。それを、見事に沖縄県がこのもくろみを玉城さんの勝利という審判で打ち破りました。ですから、これ、やがて、幾ら進めても計画変更が必要なところで工事は止まっちゃうんですよ。できなくなるんですよ。そうしたら、もう環境破壊だけが進むことになるんですね。これ、本当に最悪な事態だと思いますよ。
 この間の政府と沖縄県の新基地建設問題の集中協議の場でも、県は、十四日の協議で謝花副知事は、国が公有水面埋立法に基づく埋立承認の設計概要変更を申請しても県の承認は困難だと表明されました。ですから、やがてこれできなくなるんですよ、設計変更は必要ですから。だったら、環境破壊だけが進むような工事じゃなくて、まず工事を止めて、そして県と真摯な話合いを行うべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君) 何度もお答えしておりますように、現在、追加の調査を行っている最中でございますので、地盤についての確定的な評価をするには至っておりません。
 したがいまして、変更が必要かどうかということについてもこの段階では判断をするには至っておらないわけでございますので、その点を是非御理解をいただきたいと思います。

○井上哲士君 それは分かっているんですよ。だから、計画変更が必要ないという結論を持っていないと、必要かもしれないと思っているわけですね。だったら、必要になったら工事止まるんですよ、沖縄県は承認しないと言っているんですから。そうすれば、もう環境破壊だけが進むことになると。だったら、少なくともですよ、少なくとも新しい調査報告で結論を得るまではそういう工事は止めると、工事を止めた上で沖縄県と話合いをすると、私、当然と思いますけれども、もう一度、大臣、お願いします。

○国務大臣(岩屋毅君) 地盤についての評価が確定できない、調査が終わってみないと総合的な判断ができないということでございますので、先生は必ず変更が必要だというふうにおっしゃいますが、それもまだ確定的に申し上げられることではないというふうに思っております。
 私どもは、やはりこの問題の原点である普天間基地の危険性の除去、最終的な全面返還、これを何としても成し遂げたいと、沖縄の負担を軽減したいという思いで、一歩一歩前に進ませていただきたいというふうに考えております。

○井上哲士君 そういう皆さんの訴えがこの間の知事選挙で、まずは辺野古の基地は止めると、そして普天間は即時無条件の閉鎖、撤去を求めるという声が出たわけですね。
 いずれにしても、とにかく、できるかどうか分からないという状態のまま一部の工事だけを進めるというやり方は、まさに県民の声も愚弄しているし、そして環境破壊だけが進むということになりますから、改めて、工事を中止をして沖縄県との真摯な話合いをしようと強く求めまして、質問を終わります。

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