○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
在外公館の名称や給与法案については、妥当な改正であり賛成であります。
京都府の京丹後市経ケ岬の米軍Xバンドレーダー基地についてお聞きいたします。
二〇一六年二月に当委員会の委員派遣で視察をいたしました。市長や市議会とも懇談をして、発電機の騒音とか軍人軍属による交通事故の問題など、住民の不安の声もお聞きをいたしました。この間、私は、この騒音問題、ドクターヘリ運航の際の停波問題、休日工事の問題など、当初防衛省が地元に約束をしたことと反する事態について繰り返し質問をしてまいりました。
今問題になっているのが、軍人軍属による交通事故の報告の問題です。
二〇一四年に基地建設工事に着手した頃から米軍関係者の事故が多発をいたしまして、住民から強い不安の声が上がりました。その中で、防衛省は、米軍の加害被害を問わずに速やかに府と京丹後市に報告すると約束をしておりました。二〇一四年十月に、地域住民代表や自治体、警察、米軍、防衛省なども参加する安全・安心連絡会が創設をされ、三か月ごとに会議をやっておりますけれども、そこにも報告をされております。
お手元に資料を配っておりますけれども、一枚目は二〇一八年の二月二十八日に配られた第十五回会議での報告であります。ここでは、実際に個人情報は明らかにしない形で、日時、場所、概要、加害被害、こういうことが書かれております。ところが、昨年二月以降、この報告が行われておりませんでした。府や市は、繰り返し、報告するように防衛省に申し入れてきたわけでありますが、なかった。
その中で、先週、三月十九日に第十九回の安心・安全連絡会が行われて、それまで防衛省は何で一年間報告をしなかったのかという、こういう理由には全く説明をしないまま、今後は重大事故を除いて具体的内容は控えて事故件数のみを報告すると一方的に発表をいたしました。資料二が配付されたものでありますけれども、前回までと違いまして、物損事故、電柱を破損した事故以外はその他の交通事故十三件と、これしか報告がされなかったわけで、地元住民からは約束と全く違うという声が上がっております。
まずお聞きしますけれども、昨年二月以降、一年以上も事故の報告がなかった理由はどういうことでしょうか。
○防衛省地方協力局長(中村吉利君) お答え申し上げます。
委員御指摘の安全・安心対策連絡会は、米軍の経ケ岬通信所の開設に伴いまして、地元自治体、地域の代表者、さらに近畿中部防衛局、これらに加えまして米軍通信所の司令官をメンバーとして、事件、事故の防止ですとか、日米交流事業、地域振興等の取組について協議をするために設置をしたものでございます。
この連絡会におきましては、委員御指摘のとおり、これまで米軍人等が関わる交通事故について、例えば脱輪ですとかガードレールへの接触など、軽微な自損事故も含めて全ての事故について内容を報告をしてきたところでございます。一方、アメリカ、米側からは、軽微な事故まで全て報告することは適当ではないという申出があり、この申出を踏まえまして、ほかの地域における事例ですとか、事件、事故発生時の通報手続に関する日米合同委員会合意との関係なども整理をした上で、米側と改めて協議を行っていたところでございます。このため、この協議が継続している間、連絡会における事故の報告に時間を要していたものでございます。
その後、米側の協議が整いましたことから、本年三月の連絡会においてこのような形で御報告をさせていただいているところでございます。
○井上哲士君 米側から申出があったと、これ初めて明らかにされたと思うんですけれども、いつ、どこからそういう申出があったんですか。
○政府参考人(中村吉利君) いつ、どこからということは、日米間のやり取りに関することでございますので、具体的に申し上げることは控えさせていただきますが、昨年二月のこの第十五回の連絡会の以降ということでございます。
○井上哲士君 これ、本当に従来の経緯をも反するものだと思うんですが。
もう一点だけ聞いておきます。この重大な事故というのは、どういう基準で、誰が判断をするんでしょうか。報告をする重大事故という、この重大というのはどこの判断でしょうか。
○政府参考人(中村吉利君) 事故の通報につきましては、先ほど申し上げました日米合同委員会合意に基づいて、一義的には米側が判断をして日本側に通報をされるということになります。一方で、事案の態様などに応じまして、日本側の判断で米軍に情報要求をした上で地元などにお知らせをする場合もあると考えております。このように、日米間で緊密に連携をして対応していくこととなります。
いずれにいたしましても、個別具体的な事故の内容に応じて、適切に連絡会などに御報告をしてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 先ほど説明ありましたけど、これはここの基地の経緯を全く踏まえないことだと思うんですね。視察行った方は御存じだと思いますけど、丹後半島の突端にある非常に静かな海辺の町、集落に突然米軍の基地ができると。多くの米国人、軍人関係者が来ることで様々な不安があるという中で、こういう安全・安心連絡会というのものをつくられたわけですよ。
私、最初の規約持っていますけど、こう書いてありますよ。「これまでから、地域からは政府に対して同通信所が所在する京丹後市地域をはじめとする地域住民の各般にわたる安全と安心を確実に実現することが大前提に求められており、我々はあらゆる努力を行うと誓う。」と、こう書いているんですよ。この地域は非常に狭いです、道も。そして、雪も降ります。そこに、全くその交通ルールも違う、雪道での運転もしたことないような人たちが来ると。こういうことの不安から、こういうことも決められたわけですよ。
そして、二〇一四年十二月八日の連絡会の場で京丹後市からも、自損事故でもあっても速やかな報告、軽微な事故も報告するを求めたと、こういう経緯があったわけですね。それを一方的に、米軍から言われたからといって、防衛省は結局、従来の約束をほごにしてしまうと。こんなことはあってはならないと思うんですね。
大臣ね、これはちゃんと約束をしたんです。あらゆる努力をすると誓ってサインもしているんですから、防衛省が。ちゃんとやらせてくださいよ。
○防衛大臣(岩屋毅君) 本件については、私も報告を受けたところですけれども、軽微なものも含めて一切の事故について連絡会に報告をするという明確な合意があったということではなかったと承知をしております。
いずれにしても、米軍の事件、事故につきましては適切に通報がなされることが必要だというふうに考えておりますので、引き続いて、本連絡会での協議も含めて、自治体側の御意向も踏まえた上で米軍に対しても働きかけるなど、安心、安全の確保にこれからも全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 いや、明確な合意がなかったと言われると、本当に地元住民の皆さんは怒りますよ。ずっと行われてきたんですから、そういう報告が。
そして、先ほど言いました、いろんなルールも違う、雪の道で運転したことのない人もたくさん来ているんですよ。そのためのスリップの、いろんな実際またやったり、いろいろやっているんです。そして、地域住民の皆さんは、例えばその中で、事故の場所、事故を目撃をして、非常にこのカーブがきついと、それを見てカーブミラーを設置するとか、そういう対応もしてきたわけですよ。そうしないと自分たちの安全も守れないし米軍関係者の安全も守れないと、だからこそ一つ一つのことについて詳細も要るということでやってきたわけですよ。それを全く地元住民の皆さんの声も聞かずに、米軍がそう言っていると。
そうやって一方的に変えるということは、結局、防衛省は、設置するときにはいろんな約束をするけれども、それが守れなくなっても何の責任も取らないと、こういうところかと地域住民思いますよ。これはやっぱりちゃんと従来どおりにやっていただきたいと思いますが、改めて、大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) 今般、米側からの申出も受けて協議をしておりましたので、少し報告に時間が掛かったという経緯がございました。
開設当初は本当に地域の皆様の御心配が非常に強かったということで逐一御報告をさせていただいてきたと思うんですけれども、今でも連絡会については事故件数等は報告をさせていただいておりますので、改善の余地があるかどうか、更に検討をさせていただきたいと思っております。
○井上哲士君 開設当初は心配があったなんて言ってもらったら困るんですよ。今も心配されているんです。今も事故が起きているんです。
そして、特にこの二枚目の紙にありますように、去年七月には物損事故で電柱が折れているんですね。にもかかわらず、この報告もずっとなかったんですよ。そういうことを見ているから地元の皆さんはどうなっているんだということを言っておりますし、先日のあの安心・安全連絡会の後も、先ほど言いましたように、事故の実態を見ていろんな対策をしてきたのに、だからこそきちっとした報告が必要だと声を上げていらっしゃるんです。心配は何の解消もしていないんです。それを、一方的に米国がそう言ってきたからということで、防衛省が住民への約束をほごにするというようなことは絶対許されないと思います。
改めて、きちっともう一回米国に言って、当初の約束どおりきちっとした概要も含めて報告をすると、そのことを強く求めまして、時間ですので終わりたいと思います。