○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
私もF35Aの墜落事故について質問をいたします。
いまだ見付かっておらないパイロットの捜索にまずは万全を尽くしていただきたいと思います。その状況であるとか機体の引揚げ、捜索の状況についても通告をしておりましたが、先ほど来御答弁がありましたので、それは省略をいたしまして、飛行再開の問題についてまずお聞きをいたします。
今もありましたように、世界で初めてのF35Aの墜落事故でありまして、先日委員派遣で視察をした三菱重工の小牧南工場で組み立てられた初号機ということであります。三沢基地の周辺の住民からも、そしてこの工場に隣接をした県営名古屋空港周辺や組立て後に試験飛行が行われる岐阜の皆さんも含めて様々不安の声が上がっておりますし、名古屋空港周辺の住民からは、事故原因の究明と再発防止が策定されるまで再開するなと、こういう申入れも行われております。
十一日の衆議院の総務委員会で原田副大臣は、航空自衛隊のF35A十二機については当面の間運航を見合わせることとしておりますと、またFACOにおいて実施している試験飛行についても当面の間見合わせることとしている、飛行再開の時期は安全な飛行が確保できることが前提という答弁がありました。
まず、この試験飛行の問題ですけど、F35Aは試験飛行が終わるまではアメリカ側の所有になっていると思うんですが、この試験飛行の見合せについては日本だけの判断で行っているのか、アメリカ側とは何らかの協議をしているんでしょうか。
○防衛省防衛装備庁長官(深山延暁君) お答え申し上げます。
今般の事故を受けまして、防衛省から米国防省に調整を行いまして、国内の最終組立て検査、FACOと申しております、において実施している試験飛行についても当面の間見合わせることといたしたところでございます。
○井上哲士君 米側とも連絡取ったということでありますが、再開の判断は日本ができる、するということでいいんでしょうか。
○政府参考人(深山延暁君) 現在既に我が国が領収しているF35につきましても、今後の事故原因の究明等併せて判断されると思いますけれども、少なくともそうした判断と軌を一にする形で判断をなすべきだと考えておりますので、まずは日本側が判断するということになると考えております。
○井上哲士君 組立て自身はもう中止をされているということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(深山延暁君) 今回見合わせましたのは最終段階の試験飛行でございまして、工場における作業等については特段中止の措置はとっておりません。
○井上哲士君 飛行についても、試験飛行についても当面見合わせるという言い方で、大変私曖昧だと思うんですね。
統幕長は、十一日の記者会見でこの飛行再開について問われて、事故原因の解明をしながら判断すべき事項と述べられまして、当面とは、この解明前にも再開があり得ると取れるような発言でありました。今朝の東京新聞の報道では、これ防衛省幹部の声として、余り長く飛ばないと練度が下がってしまう、点検と教育を徹底して飛行再開せざるを得ないだろうと、こういう発言も報道されております。
先ほど事故原因の究明と再発防止策の策定までは再開しないということで確認の答弁がありましたけど、改めて大臣の口からそのことを明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) あくまでも、飛行再開するには、飛行の安全が確保できるという判断がなければそれはできないというふうに考えております。
今も調査をスタートさせておりますが、これから更に米側の支援や関係企業の支援も得て、できれば機体を引き揚げるということもしっかりやった上でその原因を究明していくわけでございますけれども、そういう状況の中で飛行ができるという判断に至るということもあり得るというふうに思いますので、それで安全な飛行が確保できるということを前提に飛行再開については考えていきたいというふうに申し上げているところでございます。
○井上哲士君 やはりちょっと曖昧だと思うんですね。
昨年二月にも佐賀県でAH64D戦闘ヘリコプターの墜落事故がありました。二人の乗組員が亡くなったわけでありますが、以来、事故四か月以内とされる防衛大臣への事故報告書は昨年五月に中間報告が出されたにとどまって、事故から一年以上たっておりますけれども、飛行はまだ再開をされていないわけですね。
この事故について、一月の三十一日に、陸上幕僚長が会見でこう述べております。アウトボードボルトが破断したことが原因だということは判明しておりますが、なぜアウトボードボルトが破断したのかという点については様々な角度から分析している段階でありまして、いまだ結論に至っていない状態です、事故の原因が明らかにならない限り飛行は再開できないものと思っておりますと、こういうふうに言われているわけですね。
ですから、アウトボードボルトの破断が直接の原因だと分かっているけれども、なぜ破断したかという、ここまで解明しなければ再開できないとはっきり述べているわけですね。ですから、私は、これを下回るような対応はあり得ないと思っておりますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) これからの調査でございますから内容について予断を持って申し上げることは控えたいというふうに思いますが、原因の種類といいますか、内容によっては飛行の安全が確保できるというふうに判断し得る場合もあり得るだろうというふうに思っておりますので、この段階でちょっとまだ予断を持って、いつ頃飛行を再開することが可能か、あるいはそういう判断がいつできそうかということについて申し上げることは控えたいというふうに思います。
○井上哲士君 原因の中身によってというのがもう一つよく分からないんですが、例えば一つの考え方としては、操縦の問題ということもそれはあり得るわけですよ。しかし、現段でいえば機体の問題ということも含めて全てあり得ると。
ですから、そういう点でも、何が事故原因だったのかということを明らかにならない限り、これは当然再開はあり得ないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) 先生と同じことを私、申し上げていると思います。
この段階では、パイロットの例えば身体状況によるものだったのか、機体の不具合によるものだったのか、まだ予断を持って申し上げられる段階にはないわけでございまして、いずれにしても、これが原因だったということが判定できるような時期が来れば、飛行再開についても判断ができていくものというふうに思っております。
○井上哲士君 つまり、機体の問題ではないということが明らかにならない限り、逆に言えばですね、その機体の防止策が確定できるまで再開できないということだと思うんですが、このAH64Dの場合は現物がまさに陸上にあったわけですよ。今回の場合は、今海上に、多分海底にあるだろうと。
先ほど来、できれば引き揚げたいという言い方をされておりますが、大臣の会見のときには、引揚げを踏まえて更に徹底した調査を行っていきたい、その上での判断になろうと。つまり引揚げ前提という発言もされておりますが、これ当然、私は引揚げをして機体の問題がなかったのか調べるのはこれ当然の前提だと思いますが、それでよろしいでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) まだ位置が特定できておりませんし、どういう状況にあるのかが分からない状況でありますけれども、できればというふうに申し上げているのは、当然、引き揚げるということを前提に最大限の努力をしていくという意味で、ただ、どういう状況にあるかがまだ分からないので、そういうふうに申し上げたところでございます。
○井上哲士君 引揚げは前提だということは確認しておきたいと思いますが、問題は、その上で、日本で事故が解明できるのかと、原因がという問題でありますが、先日の視察でも明らかにされましたけど、組立て後にステルス性の検査として日本人関係者を閉め出した形で米側だけで検査が行われておりますし、さらに、米国の管理下の下での試験飛行が行った上で日本に納品されていると。そして、この一号機に関しては、納品後にアメリカの管理の下でアメリカまで行って飛行訓練をして、そしてアメリカでの製造と同等の品質を確保できているかということをアメリカ側で確認をしたと、こうなっているわけですね。
この三菱重工が最終組立てを行ったものの、部品の大半は機密性がありブラックボックス化されていると。機密性の高い部分は日本はほとんど製造に関わらせてもらっていないという空自関係者のコメントも報道されておりますけれども、試験飛行も米国管理下で行われているという下で、今後、フライトレコーダーの回収が行われても、こういう状況で日本の事故原因ができる、そういう能力がしっかりあるのかどうかということですが、どうでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) 先ほどから申し上げておりますように、我が国が主体となって調査を行いますけれども、極めて機密性の高い装備品でございますし、先生御指摘のように製造元の知見というものも活用しなければいけないと思いますし、その国内での組立てに参画をした企業の知見も活用しなければいけないというふうに思っておりますので、我が方のその知見だけで全てを解明できるというわけではないとは思いますけれども、あくまでも調査は私どもが主体となって、様々な米側あるいは企業側の支援ももらいながらしっかりやっていきたいというふうに思っております。
○井上哲士君 そうであるならば、この間やっぱりアメリカ側で指摘されてきた様々な問題のリストの取得は私は不可欠だと思うんですね。先日、予算委員会でも指摘をしましたけども、アメリカの政府監査院が五回にわたってこのF35の欠陥を指摘して、昨年の六月に発表した報告書では、一月時点で九百六十六件の技術的な問題がある、そのうち百十一件は安全性や重要な性能を危険にさらす問題というふうにされているわけですね。
大臣、この間答弁で、この九百六十六件のリストは保有していないとする一方で、現在保有しておるF35Aについても問合せを行って、安全性に影響する問題はないというふうに確認をしていると、こういうふうに述べられました。しかし、今回、アメリカまで運んでアメリカが最終検査をしたものがこういう墜落をしているということでありますから、アメリカ側に問合せをして問題がないということでもう済まないと思うんですね。
このリストもきちっと日本として入手をして問題点の解明を図るべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) 先生御指摘のとおり、米国の会計検査院の報告書あるいは米国防総省の運用試験・評価局の報告等においてF35Aの課題について指摘をされていることは事実ですし、承知をいたしております。
その上で、防衛省としては、内容について米国政府に確認をしっかり行っております。その結果として、我が国が導入するF35Aの機体については運用能力や飛行の安全性等に影響を及ぼすような課題はないということ、そして、それ以外の比較的軽微な不具合については既に改善のための取組が開始されていて、主にソフトウエアのアップデートによって追加的な費用負担もなく逐次改善されていくということを確認をいたしております。
今般の事故につきましては、先ほどから申し上げております事故調査委員会におきまして、このリストの保有の有無にかかわらず、必要に応じ米側に問い合わせることも含めて様々な角度から調査を実施してまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 それも言わば従来の答弁でありまして、そういうことを言っていたけれども、アメリカが最終チェックしたにもかかわらずこういう事故が起きたわけですから、万全を尽くすという点からいっても、そういうものをしっかり日本として入手をして、それがどうだったか等も含めて私はしっかりやらないと責任ある原因解明はできないんじゃないかと思います。
こういう問題を抱えたものを、決めたからといって、取得する計画については見直しをするべきでありますし、少なくとも新たな契約はしないということをすべきと考えますが、その点、最後いかがでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) 事故原因等についてはこれからしっかり調査を進めてまいります。現時点においてはこれまでの方針を変更するに足る具体的な情報を得ているわけではございませんので、この配備計画を変更する考えは現時点ではございません。
○井上哲士君 ありがとうございました。終わります。時間です。