○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
通告した質問に入る前に、今朝の産経新聞一面の、防衛省、「F35Aの調達継続へ」との見出しの記事について、防衛大臣にお聞きいたします。
この中で、「防衛省は重大な機体の欠陥が見つからない限り調達は継続する構えだ。」というふうにされておりますが、逆だと思うんですね。現に墜落事故が起きているわけでありますから、原因究明と再発防止策によって機体の安全性が確認されるということが前提だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) 今般の事故につきましては、現在、航空幕僚監部の事故調査委員会において調査を進めております。
現時点におきまして、これまでの方針を変更するに足る具体的な情報はございませんので、この段階で配備計画を変更する考えはないということを申し上げた次第でございます。
あくまでも一般論として申し上げれば、航空機の機体に不具合が生じた場合には、その原因に応じて適切な対処策を講じることによって、飛行の安全確保をした上で運用を継続するということが一般的でございます。
私どもとしては、F35の導入は非常に我が国の防空体制の確立に重要だという認識の下にこの事業を進めているわけでございますが、まずはこの事故原因調査をしっかり進めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 まさに現に墜落事故が起きているわけでありますから、パイロットやそして住民の安全ということを考えるときに、原因究明と再発防止策の策定が前提だということは繰り返し申し上げておきたいと思います。
次に、米軍機による訓練と日米地位協定についてお聞きいたします。
米軍の六本の低空飛行訓練ルートの一つのオレンジルートに含まれる高知県の本山町の上空で、四月の十一日に突然の米軍機の低空飛行訓練が目撃をされました。その四十分後に同じ空域でドクターヘリにより患者搬送が行われておって、大きな事故につながるおそれもあったということであります。
翌日、尾崎高知県知事が、防衛、外務両大臣に対して要望書を出しております。その中で、同県ではこれまで早明浦ダム事件を含む四件の米軍墜落事故が起きており、住宅地上空で繰り返される超低空飛行は強い恐怖を与えているとして、米軍機の低空飛行訓練等について、訓練ルートや時期についての速やかな事前情報の提供と危険性の高い訓練の中止を求めております。
防衛大臣、この要請を受けてどのような対応をされて、米側からどのような返答があったんでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) お尋ねの件につきましては、高知県から四月十二日に要望書をいただいております。中国四国防衛局に対して航空機の飛行に係る苦情等を受けておりまして、現在、その事実関係を確認をしているところでございます。
防衛省としては、これまでも、米軍機の飛行によって苦情が発生をしたという場合には、それを確認した上で当該苦情等の内容を米側に伝えるとともに飛行運用への配慮を求めてきたところでございまして、今回も、事実関係を確認した上でそういう措置をとらせていただきたいというふうに考えております。
いずれにしても、防衛省としては、米軍機の飛行に際しましては安全の確保が申し上げるまでもなく大前提だというふうに認識しておりまして、引き続き米側に対して、日米合同委員会合意等を遵守するとともに、安全面に最大限配慮し、周辺地域に与える影響を最小限にとどめるように申し上げてまいりたいと思います。
○井上哲士君 これまでも、安全面への配慮を求めるということが繰り返されてまいりました。しかし、またこういうことが起きているわけですね。
山間部の多い高知県では、消防防災ヘリやドクターヘリが日常的に運航しております。このオレンジルートを含む同県の市町村の管内に五十か所のヘリコプターの離着陸場があって、昨年度は延べ百四回離発着やホバリングが行われているというふうに聞いております。私も調査行ったことありますけれども、この山間部の谷合いにずっと住宅地がつながっておりまして、その上空を低空飛行訓練が行われると。いろんな不安の声も聞いてまいりました。当時も国会で質問したわけでありますけれども、結局改善されていないわけですね。
日本の空でありますから、米軍に配慮を求めるんではなくて規制をするということが必要になっていると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) あくまでも一般論として申し上げますと、米軍が訓練を通じてパイロットの技量の向上あるいは維持を図るということは、即応態勢という機能を維持する上で不可欠なものであって、これは日米安保条約の目的達成に資するものだと考えておりますが、だからといって米軍は全く自由に訓練を行っていいわけではないというふうにも思っております。
公共の安全に必要な配慮をすることは当然だというふうに思いますので、今般のことも、事実関係を確認した上で、しっかりと米側に対して安全面での配慮を求めてまいりたいと思います。
○井上哲士君 同様のことが全国で起きておりますし、岩国基地の強化に伴って広島県でも様々な問題が起きております。
今、安保条約に基づく米軍の必要な訓練と言われましたけど、大体米軍は国内では指定区域でしか訓練を行っておりませんし、住宅密集地では行っておりません。一方、米軍の準機関紙のスターズ・アンド・ストライプス、二〇一七年十二月十三日付けでは、このオスプレイの飛行隊が、この普天間基地所属のオスプレイの飛行隊が岩国基地での訓練を開始しておりますけど、こう言っているんですね。岩国基地が提供することとなる異なった学びと訓練機会を巧みに利用していると述べて、米軍の乗員チーフの言葉を紹介しております。現在、低空戦術飛行訓練を実施しているところだと、敵の探知や気候条件を回避するために通常よりもずうっと地上に接近して飛行すると、こういうふうに言っているんですね。
ですから、米国内で規制されているような訓練を日本では自由勝手にやっているということが実態なんじゃないですか。
○防衛省地方協力局長(中村吉利君) お答え申し上げます。
委員が引用されました個別のパイロットなどの発言について一々コメントをすることは差し控えさせていただきますが、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、米軍は全く自由に訓練を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な配慮を払って活動すべきであるということは言うまでもないことでございます。
また、低空飛行訓練に関して申し上げますと、平成十一年の日米合同委員会合意におきまして、在日米軍は、国際民間航空機関ですとか、日本の航空法により規定される最低安全高度を用いており、低空飛行訓練を実施する際、同一の米軍飛行高度規則を現在適用しているとしております。米軍も、低空飛行訓練を行う際にこれを遵守し、適切に運用しているというように認識をしているところでございます。
○井上哲士君 適切に運用されていないから全国でいろんな問題起きているんですね。
今、米軍が国内ではやっていないことをやっているんじゃないかと申し上げました。例えば、アメリカの海兵隊のウエブサイトを見ますと、南米でオスプレイの低空飛行訓練をやった米軍司令官がこう言っているんですよ。国外での展開訓練はアメリカ本土では遭遇することのないチャレンジがある、我々の快適なゾーンを飛び出して、なじみの薄い場所で過酷な訓練を行う良い機会ですと、こういうふうに言っているんですよ。ですから、米国内でできないようなことを、そういう訓練を日本でやっていると、これが実態なわけですね。ですから、全国、様々な問題が起きているわけであります。
そして、情報提供を求めておりますけれども、むしろこれに逆行することが起きております。東富士演習場のオスプレイの訓練では、南関東防衛局のホームページに訓練計画が掲載されておりましたけど、昨年十一月からなくなっております。
防衛省の申入れの際にはアメリカからの要請によるものという説明でありましたけれども、どういう要請がアメリカからあったんでしょうか。
○政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。
東富士演習場へのオスプレイの飛来につきましては、平成二十六年七月以降、米側から提供される訓練計画を関係自治体などへ情報提供を行うとともに、南関東防衛局のホームページにも掲載をしてきたところでございます。また、訓練計画を受けた南関東防衛局職員による目視調査、その結果によって把握した日々の離着陸の状況について関係自治体に提供も行ってきたところでございます。
一方で、昨年の七月以降、訓練計画における飛来予定に対しまして、実際には飛来しない場合が多くなっておりました。このため、南関東防衛局職員による目視調査が非常に非効率となっていたところでございます。
このような状況を踏まえまして、関係自治体等とも調整をした上で、昨年の十一月、オスプレイの飛来に関する情報の提供について見直しを行ったところでございます。
具体的に申し上げますと、南関東防衛局職員による目視調査は終了する一方で、オスプレイの訓練計画の情報提供は継続し、さらに米側から提供される月ごと及び年ごとの訓練実績を情報提供するということとしたところでございます。
また、南関東防衛局のホームページにつきましても、これに合わせて、昨年十一月以降、米側から提供される訓練計画の掲載を取りやめることとしたものでございますが、御指摘のような米側からの要請によって掲載を終了したというものではございません。
○井上哲士君 私も立ち会っておりましたけれども、担当職員からそういう発言がございました。
なぜこういう今事態が広がっているのか、外務大臣にお聞きしますけど、そのいわゆる安保条約に基づいて米軍に提供された施設・区域、訓練空域以外で様々な今訓練が行われております。これができるということは日米地位協定のどこに書いてあるんでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 日米安全保障条約が、我が国の安全並びに極東の平和及び安全の維持に寄与するため、米軍の我が国への駐留を認めていることは、軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを前提としております。
飛行訓練について言えば、一般に、米軍が訓練を通じて各種技能の維持向上を図ることは、即応態勢という軍隊の機能を維持する上で不可欠の要素であり、日米安保体制の目標達成のために極めて重要です。
その上で申し上げれば、在日米軍が施設・区域でない場所の上空で飛行訓練を行うことが認められるのは、日米地位協定の特定の条項に明記されているからではなく、まさに日米安保条約及び日米地位協定により、米軍が飛行訓練を含む軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提とした上で、日米安保条約の目的達成のため我が国に駐留することを米軍に認めていることから導き出されるものであります。
その上で、我が国における米軍機の運用に際しては、米軍機は全く自由に飛行を行ってよいわけでなく、日米地位協定第十六条に基づき、航空法等の我が国の国内法を尊重する義務を負っております。また、訓練に当たり、公共の安全に妥当な考慮を払い、安全性が最大限確保されるべきことは言うまでもありません。
○井上哲士君 地位協定には明記されていないけれども、駐留を認めていることから導き出されると。こうなりますと、結局何でもありということになるんですよ。
かつては、政府は提供施設・区域の上空しか訓練できないという見解述べていたんじゃないですか。例えば、一九六〇年五月十一日の赤城当時の防衛庁長官の答弁、米軍は上空に対してもその区域内で演習をする、こういう取決めになっていると、こういうふうに答弁をしております。
なぜこれが、そこ以外でも訓練が可能ということに変わってしまったんでしょうか。
○外務省北米局参事官(船越健裕君) お答え申し上げます。
大臣から御答弁申し上げましたとおり、一般に、米軍が訓練を通じて各種技能の維持向上を図ることは即応態勢という軍隊の機能を維持する上で不可欠の要素であり、日米安保体制の目的達成のために極めて重要でございます。
また、日米地位協定は、実弾射撃を伴わない飛行訓練について、在日米軍使用に供している施設・区域の上空に限って行うことを想定しているわけではなく、在日米軍施設・区域でない場所の上空においても飛行訓練を行うことも認められておるところでございます。
一方、米軍は全く自由に訓練を行っていいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な配慮を払って活動すべきものであることは言うまでもございません。
以上でございます。
○井上哲士君 今言われたようなことはどこに書いてあるんですか、日米地位協定の。
○政府参考人(船越健裕君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、日米安保条約目的の達成のための米軍並び日米安保条約及び日米地位協定六条に基づきまして、米軍の施設・区域を提供していることから導かれるものと理解しております。
○井上哲士君 それはあなた方が勝手に導いているだけであって、書いてないんですよ。そして、さっきも紹介しましたけれども、過去はそういう答弁じゃなかったんです。例えば、皆さんが使っている「日米地位協定の考え方」、初版の七三年四月のやつは、米軍は協定第五条で規定されるごとき国内での移動の場合を別とすれば、通常の軍としての活動を施設・区域外で行うことは協定の予想しないところであるとずっと言っていたんですね。
それが、八〇年代になって、レーダーや対空ミサイルを組み合わせた防空システムで低空飛行訓練、かいくぐる、こういうのが必要になってきたということに合わせてそれまでの見解を変えて、施設・区域の上空以外も訓練ができるということにしてしまったというのが実態だと思います。あの沖縄県の海外の地位協定の調査でも、ドイツ、イタリア、ベルギー、イギリス、いずれもこのような自由勝手な訓練を認めておりません。
改めて、こういう立場で、地位協定の抜本的な改定を求めて、野放しとなっているこの米軍訓練を規制するべきだということを申し上げまして、質問を終わります。