国会質問議事録

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外交防衛委員会(米軍の弾薬ミサイル運搬)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 中央北極海における漁業協定については、必要な措置であり、賛成であります。
 今日は、在日米軍の弾薬等の火薬類の運搬についてお聞きをいたします。
 一九八〇年に日米合同委員会が米軍の火薬類運搬上の処置について合意をしておりますが、周辺住民には不安がございます。例えば、大臣御地元の神奈川県の基地関係県市連絡協議会の昨年度の要望書では、弾薬などの火薬類の輸送について、合意事項を遵守し、周辺住民について不安や危険を与えることのないような適切な措置を講じることとしております。
 そこでお聞きしますが、この日米合意では、米軍が自ら運搬を行う場合と委託業者を使って行う場合とで、国内法令の適用についてはどのように定められているでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) 米軍の火薬類運搬上の処置に関する日米合同委員会合意には様々な措置が定められておりますが、国内法の適用に係る部分といたしましては、米軍のために契約により火薬類を運搬する業者は日本の法令で要求される全ての手続を行うこと、米軍自らが運搬する場合において、米軍所有の軍用車についてはこれらの手続を必要としない、その上で、車両の標識、積載、運搬の方法、都道府県県警への通知、弾薬又は火薬類の廃棄の基準などについて合意で具体的なルールが定められており、このルールに従って米軍の火薬類の運搬は行われているわけでございます。
 加えて、日米地位協定第十六条においても在日米軍による我が国法令の尊重義務が規定されておりますので、在日米軍はこのような義務に従って行ってきているものと認識をしております。

○井上哲士君 委託業者の場合は火薬類取締法及び内閣府令が適用されるわけですが、これに基づき委託業者が米軍の弾薬を国内の道路上で運搬する場合に、出発から到着までどのような手続が必要になるのか、警察庁、来ていただいていますが、どうでしょうか。

○警察庁長官官房審議官(小田部耕治君) お答えいたします。
 日本の国内の運送事業者が米軍の委託を受けて火薬類の運搬を行う場合には、火薬類取締法により、その旨を出発地を管轄する都道府県公安委員会に届け出て運搬証明書の交付を受けなければならないとされているところでございます。また、運搬を終了したときには、運搬証明書を速やかに都道府県公安委員会に返納しなければならないとされております。
 なお、このほか、運搬の通路を変更する場合における運搬証明書の書換え義務、火薬類を運搬しようとする場合における運搬証明書の携帯義務、火薬類を運搬しようとする場合において従わなければならない技術上の基準として、火薬類の運搬に関する内閣府令の関係規定により、運搬中において転落することのないようにするといった積載方法の基準、必要な数の運転要員を確保する、見張り人を付けるといった運搬方法の基準、繁華街又は人混みを避けるといった通路の基準が定められているところでございます。

○井上哲士君 今もありましたように、長距離を運搬する際には複数のドライバーが必要でありますし、見張り人を付けること、それから火薬類の表示板を付けることも必要かと思います。
 それも確認をしておきたいんですが、私は、在日米軍の委託を受けて弾薬輸送をする会社の下請である関西のA社で弾薬輸送の責任者として従事をしてきた人物、Kさんとしますが、から、このA社において、明らかに法令に違反すると思われる危険な運搬が行われているという事実について告発を受けました。四件の違反の事実について証言をされております。
 一つ目は、二〇一七年十二月十一日から十三日にかけて、佐世保の米軍前畑弾薬庫で弾薬ミサイル等を積み込んでキャンプ富士へ運搬した事案であります。このA社社長と社員Aさんの二名が乗務をしまして、運搬中に私用のために全線高速道路を使用して十二月十一日深夜に大阪羽曳野市の自社倉庫に帰り、火薬類積載の表示板を外して駐車し、翌日午後まで無人で放置をした上で、十三日午前にキャンプ富士へ納品をしたということであります。
 看板を外して無人放置をしたのを目撃した社外の人物がいて、そこからさるところを通じてA社に通報があってKさんの知るところになりました。Kさんは、乗務員のAさんの証言を得て事実を確認し、社長に対して事実を認めてきちんと対応を取るよう求めたけれども、会社が応じずに、このことが原因でA社を退職させられたと証言をされております。
 一般論として確認をいたしますけれども、先ほどありました火薬類運搬中の表示板の掲示であるとか見張り人というのは、道路を運行中だけではなくて、倉庫等への駐車場も含めて義務付けをされていると、そういうことでよろしいでしょうか。

○政府参考人(小田部耕治君) お答えいたします。
 一般論として申し上げますと、御指摘の事案が法令に違反するかどうかにつきましては、個別の事案に応じて、具体的な事実関係に即して判断されるべきものでございまして、一概にお答えすることは困難でございますけれども、いずれにいたしましても、警察といたしましては、火薬類の運搬方法等の基準を定めている各種規定は、火薬類による災害防止、公共の安全を確保するためのものであり、これらの規定が遵守されるということが必要であると考えておりまして、法令が遵守されていないという事案が認められましたら、事案に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。

○井上哲士君 いや、お聞きしたのは、途中、道路を通っているときだけじゃなくて、倉庫に駐車しておるときなども含めて見張り人であるとか表示が必要ですねということを確認しているんです。

○政府参考人(小田部耕治君) 規定におきましては、自動車によって運搬する場合には、運送人は当該自動車に見張り人を付けるというふうにされているところでございます。
 また、運搬中、積替え等のため火薬類を一時保管する必要がある場合におきましては、火薬庫又はこれに準ずる安全な場所において保管するというふうにされているところでございます。

○井上哲士君 ちゃんと丁寧に、通告してあるんだから、ちゃんと答えをお願いします。
 要するに、出発から到着までこれは義務付けはあるんだということでいいですね。

○政府参考人(小田部耕治君) お尋ねのとおり、出発から運搬終了するまでの間、これ運搬中でございますので、その間においては運送人は当該自動車に見張り人を付けるというふうにされておるところでございます。

○井上哲士君 そうしますと違反の疑いが濃いわけでありますが、もう一つの例は、二〇一八年一月二十四日から二十六日にかけて、米軍の三沢基地で弾薬ミサイルを積み込んで前畑弾薬庫へ運搬した事案でありまして、車両三台に社員、Kさんら社員三名を含む六名で乗務をして、出発の翌日に新東名岡崎パーキングに立ち寄って、その先の伊勢湾岸道路が積雪により通行止めだったということで、本来はこの時点で通行止め解除を待つか米軍に連絡をしてルートを変更する手続をしなければならないわけでありますが、社長の指示によってルートを変更し、火薬類積載表示板を外して名古屋市内の高速道路を走行した後で、再度表示板を装着して前畑弾薬庫に納品したと、こういう例であります。
 ほかにも、二〇一八年三月二十七日から、三沢基地から岩国弾薬庫への運搬中に、西名阪道路で同じく火薬類積載表示板を外して、計画のルートを外して一般道を走行した上で一定時間無人放置したという事案、同年五月の広島呉から三沢基地への運搬中の常時二名の乗務の違反事案があったと、こういう告発でありました。
 以上の四件の証言については、運搬車両の車番及び三件の運搬に関して車内で作成された車番連絡票の控えについて提出を受けております。
 この弾薬輸送の責任者で自らが乗務したケースについての当事者からの証言であるから私は大変重いと思っておりまして、こういう法令事犯が度々あったとすれば、一歩間違えば大変危険な事故につながりかねないと思っております。
 米軍の弾薬などの火薬類の輸送は危険性の高いものもありますし、冒頭に紹介しましたように、関係自治体からも周辺住民に不安や危険を与えることのないような適切な措置を講じることが求められております。
 より厳格に、やはりこういう弾薬などの輸送については法令が守らせるための措置が必要と考えますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(小田部耕治君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、私ども警察といたしましては、火薬類の運搬方法等の基準を定めている各種規定は火薬類による災害を防止し公共の安全を確保するためのものであり、これらの規定が遵守されることが必要であると考えておりまして、法令に遵守されていない事案が認められますれば、一般論ではございますけれども、事案に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。

○井上哲士君 運行計画書はまだ保存されていると思いますので、是非調査もして、法令遵守のための適切な措置をとっていただくように強く求めまして、質問を終わります。

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