国会質問議事録

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外交防衛委員会(イージス・アショア配備/長野県での米軍機低空飛行)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 秋田市の新屋演習場へのイージス・アショアの配備計画をめぐって防衛省が地元に示した説明資料が間違っていたと、大きな怒りが上がっていることについて質問をいたします。
 防衛省が説明会で配付をした一覧表をお手元に配付をしておりますが、これ新屋以外の国有地について全て不適としております。【配付資料190618.pdf】そのうち九か所はレーダーを遮る山があるという理由で最初に除外をされておりますが、九か所全てで山頂を見上げる角度を実際より大きく記載していたと。その結果、四か所については遮蔽の角度については不適と判断できなくなったということであります。
 グーグルアースで断面図を出して、縦横の縮尺の違いを認識せずに定規で測って角度を出したと。まあ高速で来るミサイルを迎撃しようという施設が物差しでやっていたと、大きな驚きの声が上がっておるわけでありますが、これは担当者だけの問題では私はないと思うんですね。説明会で配られた資料を見ますと、その同じ断面図が資料に記載をされております。見にくいですけど、ちゃんと縮尺のこの距離の目盛りも入っているんですね。
 今朝の読売新聞でいかに現実とこの表が違うかということも出しておりましたけど、こういうものがいろんな人の目を通して印刷をされて配られたと。なぜこんなことがチェックをできなかったのかと、まずそれをお聞きしたいと思います。

○国務大臣(岩屋毅君) まず、今般のデータの誤りについて重ねておわびを申し上げたいというふうに思います。
 今回は、今先生御指摘のように、縦軸、横軸の縮尺の違いを認識していなかったという人為的なミスでございますけれども、これはチェック体制が非常に甘かったと、地図情報の取扱いにたけた専門部署との連携も不十分だったと。組織的なチェック機能が働かなかったことが要因だと考えておりまして、防衛省としては、体制を一新をいたしまして、かかる事案が二度と発生しないように二重、三重のチェック機能をしっかりと確保してまいりたいと思っております。

○井上哲士君 専門知識が要るような問題じゃないんですね、これ。見た瞬間に分かるようなものですよ。
 私、体制の問題じゃないと思うんですね。例えば、沖縄辺野古だって、随分体制組んでいますよ。だけど、やっているのは、住民の声を無視をして、とにかく予定どおり進めるということがやられているわけですね。
 やはり問題は、住民の声を聞くのは形だけで、とにかくもう新屋に決めたんだから新屋ありきだと、こういう姿勢がこれを私、つくり出していると思いますね。ですから、一番謝るべき場所で、担当者、職員が居眠りをしていたと、そのことにも私はそういう姿勢が表れたと思っております。知事はマイナスからの出発だということも厳しく言われていたわけですが、そういう姿勢はこの一覧表全体に私は示されていると思います。
 この表では、午前中も議論になりましたけれども、新屋については津波の影響はないということになっておりますけれども、金曜の野党合同ヒアリングでも、先ほどの答弁でも、かさ上げの造成が必要だということを言われました。他のところよりは造成が簡便だというお話でありますけれども、影響があると、造成が必要だということなんですよ。なぜこれをここに書かなかったんですか。

○国務大臣(岩屋毅君) これも既にお答えをしておりますけれども、重ねて御説明申し上げたいと思います。
 新屋演習場は周辺地域よりも標高が高いところに位置しておりますが、演習場の敷地はかなり凹凸がございまして、高いところで三十メートル、低いところで標高は約九メートルでございます。イージス・アショアの施設を設置するためには平らな土地が必要でございますし、敷地造成を行うことが前提でございました。それを行えば、標高が約平均二十メートルという平たんな台地を形成することになります。したがって、秋田県が公表しているハザードマップによりますその演習場西側の境界付近が二メートルから五メートル程度浸水するという、この影響はないものとして、説明が不十分になったものでございました。
 この津波に関する検討の経緯も含めて丁寧に御説明させていただくべきだったというふうに思っておりまして、しっかりと説明をし直したいというふうに思っております。

○井上哲士君 いろんなかさ上げが必要なのに、それをないものとしてやったと言われましたよね。だから、それ、ないものとして記載したと、不十分だったと言われましたけれども、私は不十分という話じゃないと思いますよ。あるのに、ないことにしちゃっているんですよ。これ本当に、要するに初めから新屋ありきだと、こういうやり方に現地から厳しい声が上がっております。
 そしてもう一つ、隣の四番のところでありますけれども、住宅地からの距離も、これも問題なしということになっているわけですね。金曜日に野党で合同で現地視察もしております。報告聞きますと、住民懇談会で地元住民から、十六の町内会が反対で一致をした、このままでは住む人がいなくなる、有事に攻撃対象になる、周辺に多くの学校がある、兵器が子供たちのすぐそばに置かれると、様々な声が上がっております。ところが、これだけ声上がっているのに、距離は問題ないと、こうなっているわけですね。
 先ほど、電波の影響の話も午前中ありました。もうその説明自身が納得いくものじゃありませんけれども、電波の影響大きいです。それ以外にもいろんな不安の声、住民上げているんですよ。それを全く問題なしとしている。ここに、どんな不安の声上げても聞く耳を持たないと、こういう姿勢、防衛省の姿勢がこの表に表れているんじゃないですか。

○国務大臣(岩屋毅君) 今先生御指摘のような住民の皆様の御不安、また御心配というものにしっかり対応できる説明をしなければならないというふうに思っております。
 住宅地からの距離につきましては、安全性の観点から、レーダー施設については半径二百三十メートル、VLS、発射装置につきましては約半径二百五十メートルの保安距離を確保できれば、安全に配備、運用することが可能でございます。したがって、演習場の敷地内に収める形で安全に配備することはできるわけでございますけれども、住民の皆様の不安や御懸念が強いことから、これを解消し、少しでも御安心いただくために、レーダー施設とVLSをできるだけ住宅地や学校等から離して配置するように考えておりまして、七百メートルの緩衝地帯を設けるべきと判断しているところでございます。
 こういった点につきましても、重ねて丁寧な説明を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

○井上哲士君 そもそも、この新屋と山口のむつみに配備をすると。これ、北朝鮮の発射基地と、ハワイとグアムの米軍の基地のその直線上にあると。つまり、米国防衛のためじゃないかということは最初から指摘をされておりました。だから場所を変えないんじゃないかと、こういう指摘もされてきたわけですね。
 更に説明をするということでありますが、私たちは、そもそも配備の中止を求めたい。そして、少なくとも、この住民合意がないままに来年度予算の概算要求に関連経費、造成など、これは計上はしないということを明言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君) その点につきましては再三にわたって申し上げておりますけれども、お地元の御理解がない状況で、配備先を前提とした予算計上はいたしません。

○井上哲士君 重ねて、そもそも配備の中止を求めたいと思います。
 続いて、本会議でもただしましたけれども、米軍の低空飛行訓練についてお聞きいたします。
 五月三十日に、長野県の佐久市の市街地上空を米軍横田基地のC130が超低空飛行訓練をいたしました。直ちに現地に行きまして住民の声聞きましたけれども、地元マスコミも大きく報道しております。住宅や学校、病院、それから保育所などの公共施設が密集するその上空を米軍機二機が異常な低空で飛行したと。住民からは、轟音に驚いて、墜落するんではないかと怖くなって外に飛び出たと、こういう声もお聞きをいたしました。さらに、その後の六日にも、上田市などでの同じC130の飛行が目撃をされております。
 まず確認いたしますけれども、この米軍による訓練は、自衛隊の訓練空域であるエリアHとエリア3を使用したものだと確認をしますが、その上で、米軍がこれを使用するに当たって、使用統制機関である自衛隊基地と調整していると思いますが、その基地はどこなのか、調整はいつ行われたのか、いかがでしょうか。

○防衛省防衛政策局長(槌道明宏君) 自衛隊機以外の航空機が自衛隊訓練空域を使用、飛行する場合には、国土交通省が発行しております航空路誌に記載されている使用統制機関に事前調整を行うこととなっております。
 五月三十日の佐久市上空における米軍機の飛行につきましては、その同地域の自衛隊高高度訓練・試験空域、ホテルの使用統制機関である入間基地所属航空自衛隊第二輸送航空隊が、前日、五月二十九日に、当該空域を通過する可能性がある旨、事前調整を受けていると確認してございます。
 また、六月六日の上田市上空における米軍機の飛行につきましては、同様に、同空域の使用統制機関である、先ほどと同じ第二輸送航空隊が、前日、六月六日に同様の事前調整を受けているというふうに確認をしております。

○井上哲士君 防衛省は事前に可能性を把握をしていたということであります。
 これ、飛行訓練の様子は住民が動画を撮っておりまして、ネットでも今見ることができます。ちょうど佐久市長も市役所の近くの屋外でこれを目撃をしておりますし、多くのマスコミもその場で見ております。地元紙には、市長が、もう事故だと思った、尋常ではないとして、国側にきちんと説明してほしいと求めたという報道もされております。
 米軍は米軍機であることを認めましたけれども、訓練内容も高度も明らかにせずに、日米の合意や規則に則して行われたと、こういう回答があったということでありますが、防衛省としても、この飛行訓練は日米合意を遵守をしていたと、こういう認識なんでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君) 五月三十日の佐久市周辺における飛行状況について米側に確認したところ、米側からは、横田基地所属のC130が日米両政府間で合意された協定に従って飛行していたと回答がございました。
 また、米軍機の低空飛行訓練に関する平成十一年の日米合同委員会合意におきましては、在日米軍は、国際民間航空機関、ICAOや日本の航空法により規定される最低安全高度を用いており、低空飛行訓練を実施する際、同一の米軍飛行高度規則を現在適用しているとされておりまして、米軍も低空飛行訓練を行う際にはこれを遵守し、適切に運用しているものと思います。
 いずれにしても、防衛省としては、引き続き米軍機の飛行の安全確保をしっかりと米側に求めてまいりたいと思いますし、引き続き、米側に対して日米合同委員会合意等を遵守するよう求めてまいります。

○井上哲士君 米軍が遵守していると思いますと言われましたけど、それじゃ困るんですよ。現実にこういうことが起きているわけですよ。数々の住民の証言は、明らかに最低安全高度を下回っております。アメリカの言い分を繰り返すだけではなくて、合意違反があるならば、それを突き付けて是正をするのが防衛省の仕事のはずなんですね。
 住民の皆さんは、今回は画像があるんだからそれを解析をしろと、解析をして、最低高度以下じゃないかと、安全高度以下じゃないかということを突き付けて是正を求めろと、こう強く言われておりますけれども、是非解析をしていただきたいと思いますが、画像の、いかがでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君) いずれにしても、防衛省としては、合同委員会合意をしっかり遵守をするように米側に引き続き申し入れてまいりたいというふうに考えております。

○井上哲士君 いや、アメリカ側はしていると言っていると。しかし、現にしていないと多くの住民が言っていて、市長も落ちてくるかと思ったと、そういうことが起きているわけですね。それのための画像の証拠もあるわけですから、それを解析をして、アメリカの言っていること違うじゃないかと突き付けるのが、それ、合意守らせる防衛省の仕事じゃないんですか。なぜ解析ができないんですか、できるんですか。是非やってください。答弁いかがですか。

○国務大臣(岩屋毅君) その民間の方によって記録されている画像をもって解析することが果たして本当に正しい解析につながるかどうかということも含めて、検討させていただきたいと思います。

○井上哲士君 現に証拠としてあるわけであります。昨年、岩手で米軍機が超低空飛行訓練して、それをわざわざ自分たちでユーチューブか何かに発表した。これはもう動かぬ証拠で、米軍も認めました。これ、はっきりいろんなことありますし、写真も撮られているわけでありますから、検討の上、必ずそれをやって、突き付けていただきたいと思います。
 先ほどありました日米合意は、アメリカの配慮義務など書かれていますけど、結局のところ、米軍機の日本全土での低空飛行訓練を認める内容になっております。しかし同時に、米国政府は、低空飛行訓練によるものとされる被害に関する苦情を処理するための、現在の連絡メカニズムを更に改善するよう、日本政府と引き続き協力すると、こうなっておりますけれども、どういう改善がこの合意後行われたんでしょうか。

○防衛省地方協力局長(中村吉利君) お答え申し上げます。
 防衛省側の対応について申し上げますと、防衛省といたしましては、地域の住民の皆様から寄せられた苦情等の内容につきましてできるだけ具体的かつ正確に米側に伝わるよう、これまで様々な工夫を行ってきたところでございます。
 具体的に申し上げますと、できるだけ具体的な日付、時間、場所、飛行状況については、例えば機種名、機体の特徴、マーク、機数、飛行方向、飛行高度、さらに苦情内容については、例えば騒音の程度、振動の程度、損害状況、こういったことをできるだけ詳しく伺って、これを米側に伝達をしているところでございます。また、米側に苦情を伝達する際には、場所につきまして市町村といった行政の区画のみならず、当該地域の緯度、経度も付記をしているところでございます。
 防衛省といたしましては、引き続き、こうした住民の皆様から寄せられる苦情の内容につきましてできるだけ米側に正確に伝えるよう、様々な工夫をしてまいりたいと思います。これをもって、米側に対しまして、周辺地域に与える影響を最小限にとどめるよう努めてまいりたいと考えております。

○井上哲士君 日本はそうやっていると。ところが、これまでは、住民から米軍機飛行に関する苦情を受けた際に、アメリカに対して米軍機かどうかの確認を求めて、アメリカ側から回答を得てきた。ところが、二〇一七年の八月以降、アメリカ軍機かどうかの確認やめているんですよ、防衛省は。
 なぜかと。これは国会答弁ですよ。米軍が二〇一七年八月以降、個別の米軍機の飛行の有無については、運用上の理由等から原則として逐一明らかにしないとしたと、だから日本も聞かなくなったと。全然逆行しているじゃないですか。どこが改善なんですか。これは抗議したんですか。日米合意に反すると抗議をして、元どおりちゃんと米軍機ということがあれば確認をして発表するようにアメリカに求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君) 御指摘のように、米軍は、平成二十九年、二〇一七年八月以降、運用上の理由等から、苦情等のあった航空機について原則として米軍機であるかを明らかにしない方針に変更したと承知をしておりますが、一方で、今回の長野県佐久市における事案のように、飛行状況を明らかにしている場合もございます。
 先ほど局長から答弁いたさせましたように、住民の皆様から寄せられた苦情について我々としては米側にしっかりその確認をするとともに、地域住民の皆様の生活に与える影響を最小限にとどめるよう引き続き努めてまいります。

○委員長(渡邉美樹君) 質疑をおまとめください。

○井上哲士君 はい。
 明らかに日米合意から逆行しているんですよ。動かぬ証拠を突き付けられたら認めるという対応でしかないんですね。
 私は、こういう状況は直ちに是正をするとともに、地位協定そのものを抜本的改定を行うべきだと改めて求めまして、終わります。

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