○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
イージス・アショアの代替案についてお聞きいたします。
防衛省が国内の民間業者との間で契約した検討、調査の中間報告が出ました。概要について通告しておりましたけど、先ほど答弁がありましたので、これは割愛をいたします。
あのイージス・アショアの構成品を移動式の洋上プラットフォームに搭載をする方向で、それらの構成品が洋上でも問題なく作動するか、BMDの性能は洋上でも発揮できるか、そして国内の民間業者に設計、建造が可能かという視点で、お手元の資料にありますように、四つのプランに基づいて検討をされました。【配付資料201201.pdf】
中間報告を受けて、船体、機能共にイージス艦「まや」型をベースにするこのプランAが最有力とされております。これ見ますと、導入コストは二千四百から二千五百億円以上というふうになっております。
ところが、朝方の質疑で白委員が配られた資料を見ますと、昨年五月のアショア導入の地元説明会の際に、アショアの方がイージス艦よりも費用対効果が優れているという説明がされて、イージス艦の導入経費はおよそ二千億円とされております。
何で同じイージス艦でこの二千億が五百億円も膨れ上がってしまうのか、まずお答えください。
○防衛省 整備計画局長(土本英樹君) お答え申し上げます。
今回、検討でお示しいたしました「まや」型をベースとしたプランAを含めた導入コストにつきましては、まず現時点で、米側、米国政府及びロッキード・マーチン社でございますが、こちらや国内事業者から入手可能な情報を基に試算したものでございまして、あくまでも、先ほどもちょっと御答弁申し上げたところでございますが、経費の規模感を示すものとして御理解いただければと思います。
その上で、今御指摘の導入コストに関しましては、主としてイージスシステムなどのFMS調達分、SPY7の直接調達、いわゆるダイレクト・コマーシャル・セルと言われている分でございますが、この分、それと、プラットフォームの建造、VLSの取得や自己防護兵装の取得などに要する経費で構成されておりまして、イージスシステムなどのハードウエアやソフトウエアを洋上仕様に変更するための経費はこれらに含まれておるところでございます。
委員御指摘の関係でございますが、御指摘の地元説明会でお示ししましたイージス艦を導入する場合の約二千億円という金額につきましては、米海軍が予算要求いたしました建造中の次期イージス艦アーレイバーク級フライト3艦の一隻の調達経費を交換情報に基づいて例示したものでございます。そのため、お示ししました「まや」型ベースのプランAの導入コストは、今般の中間報告等を踏まえて試算したものである一方、御地元へ御説明する際に示しましたイージス艦の経費につきましては、交換情報に基づいてアメリカの次期イージス艦の経費を例示したものであるため、過去の説明と比較して経費が増額したというものではないと理解しているところでございます。
お示ししている導入コストにつきましては、洋上プラットフォームの搭載機能、任務、残存性、形態などの検討や民間事業者におけるプラットフォームの最適化の検討によって更に精緻化していく必要があるため、今後、変更が当然のことながらあり得るところでございますが、いずれにいたしましても、厳しい財政事情等も踏まえつつ、導入コストを踏まえたイージス・アショアの代替案に係る経費を精査してまいる所存でございます。
○井上哲士君 元々「まや」型は二千億よりもっと、千八百億とかで説明されていたと思うんですね。それより金額上がるというのは、結局SPY7を載せるために大型化をすると、この費用が掛かっているんじゃないですか。
○政府参考人(土本英樹君) 繰り返しになって恐縮でございますが、まず、今回検討でお示ししましたプランAとして記載されている「まや」型ベースを含めた導入コストにつきましては、先ほど御説明したとおり、あくまで経費の規模感を示すものということでございます。そのため、今回検討でお示ししております導入コストにつきましては、今後精緻化する必要があるものでありまして、実際の艦艇の調達経費と単純に比較することは適切でないと考えているところでございます。
その上で、委員御指摘の関係でございますが、あえて申し上げれば、「まや」型護衛艦につきましては、その調達経費は約一千七百億円でございましたが、今回の検討でお示ししました「まや」型ベースの案と比べると、まず一つは、SPY7より性能劣っているSPY1D(V)を「まや」型イージス艦は搭載していると、この点の違いがございますし、船体規模が小さいなど、その諸元は同一でないというところがございますので、経費の違いというのは当然そういう形で出てくるということでございます。
○井上哲士君 いろいろ言われましたけど、船体規模が同一でない、約十メーター程度伸ばすとかということも言われているわけですね。
結局、アショアで使うSPY7を、断念しても解約せずにこれに載せるということに伴って大型化であるとか、そして陸上から海上で使うことによる強度を上げるとか、これで金額が膨れ上がっていると。二隻で五千億でありますから、アショアの二基の四千億より一千億円高くなるんですね。しかも、この表を見ていただきますとこれにとどまらないと。実射試験に要する経費や人材育成関連経費は含んでいないということですから、どこまで膨れ上がるか分からないということであります。【配付資料201201.pdf】
さらに、維持整備費の問題ですけれども、これもお手元の表を見ていただきますと、イージス艦「まや」型ベースにした場合の維持整備費について、下の米印2を見ていただきますと、搭載装備品が確定していないこともあり、精緻な金額を試算することは困難だとして数字は示されておりません。しかし、これも先ほどの地元説明会の資料を見ますと、イージス艦の三十年間のライフサイクルコストは七千億円ともう明記してあるんですね。
なぜこの七千億円をおおよその数としても使わなかったのか。この七千億円よりもうんと減るようなそういうめどがあるということなんでしょうか。お答えください。
○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。
配備プロセスを提出する以前におきまして、海上自衛隊の最新の「まや」型のイージス艦二隻の取得及び三十年間にわたる維持運用などに要する経費、いわゆるライフサイクルコストでございますが、約七千億円を要するものと、今委員御指摘の点でございますが、と見積もっていると説明してきたところでございます。
他方、今回の中間報告等においてお示ししました洋上プラットフォームを形態、機能の観点から場合分けした各プランの一基当たりの総経費につきましては、まず、導入コストにつきましてはあくまで仮の要求性能を設定して試算することで経費の規模感、先ほど御説明しましたとおり経費の規模感をお示ししたものであり、必ずしも今回お示しした四つのプランの中から選んで事業化するわけではないという点がまず第一点ございますし、あと、二点目の三十年間の維持整備費等につきましては、搭載する装備品の細部仕様や運用形態等、様々な要素を検討する必要があるため、現時点で精緻な総経費をお示しすることは困難だということでございます。
そのため、「まや」型イージス艦二隻のライフサイクルコストと、今回お示ししました各プランを参考に検討を進めるイージス・アショアの代替案の総経費を比較し、具体的にどの程度の金額差が生じるかをお答えすることは困難でございます。
いずれにいたしましても、厳しい財政事情等も踏まえつつ、運用構想や要求性能の細部の検討を通じまして、イージス・アショアの代替案の総経費を精査してまいる所存でございます。
○井上哲士君 いろいろ言われましたけど、プランBからDの民間船舶ベースとかセミサブリグベースというのはこれまで検討されていなかった話なんですよ。しかし、イージス艦使うというのは、この間、皆さんが比較のために出してきたからなんですね。
今いろいろおっしゃいましたけど、中間報告では、この「まや」型を大型化することによって、推進性能や船体構造など見直しが必要としているんですよ。そうなれば特別な船体になりますから、むしろイージス整備費が増えるということはあっても、私減るとは考えにくいと思うんですけれども、防衛省としてはこの金額が減るというようなめどを持っているのかどうか、お答えください。
○政府参考人(土本英樹君) 繰り返しになって大変恐縮でございますが、維持整備費等につきましては、海上自衛隊のイージス艦の維持整備実績や米側情報を基にした主要な構成要素について一定の情報を有していることは事実でございますが、先ほど申しましたとおり、搭載する装備品の細部仕様や運用の形態等、様々な要因によって今後変動があることに鑑みまして、現時点で具体的な数字で御報告し、比較することは適切でないと考えているところでございます。
○井上哲士君 アショアが安上がりだという説明のときにはこの数字出して、今度はイージス艦に替えようというときにはこういう数字を示さないと。御都合主義ですよ、本当に。こういういいかげんなやり方がやっぱり厳しく批判されてきたわけですね。
しかも、アメリカが実際に運用しているSPY6と違って、SPY7は日本独自仕様でありますし、実際使われた実績がないわけですよね。そうしますと、今後、継続的な技術更新などの費用負担が更にかさむと、こう指摘されていますけれども、その可能性はどうお考えでしょうか。
○政府参考人(土本英樹君) まず冒頭、米海軍は、SPY6、導入は決定をしておりますが、まだ運用実績はないと承知しているところでございます。
その上で、二〇一八年七月に実施いたしましたイージス・アショアのレーダー等の構成品の選定におきまして、今委員御指摘のSPY6とSPY7、二〇一八年七月の選定時はLMSSRとの名称でございましたが、これの比較を行った際、基本性能に加え、後方支援、経費についてもSPY7の方が優れていると評価されたため、防衛省としてはSPY7をまず選定したという経緯があるところでございます。
また、SPY7は、より広いエリア、高い高度において目標を探知可能で、また同時により多くの目標を追尾できるため、ロフテッド軌道のミサイルや同時発射された複数のミサイルへの対処能力の向上を図ることができるため、我が国のニーズに適したものであると考えられるところでございます。
その上で、今委員御指摘の観点でございますが、使用するレーダーがSPY7であってもSPY6であっても、将来的に必要なアップデートは当然逐次行っていくということになるところでございます。それに伴って、いずれのレーダーにありましても所要の経費が必要になると考えているところでございます。
○井上哲士君 私言いたいのは、米軍が使う、使って多くのところで使われるものと、日本の独自、事実上の独自仕様のものであれば、当然、いろんな費用の問題でかさむんじゃないかと、こういう指摘がいろんなところでされているけれども、それについてお聞きしているんです。いかがでしょうか。
○政府参考人(土本英樹君) 今委員御指摘の、システムのアップグレードといいますが、技術更新の関係でございますが、まず、先ほどちょっと申しましたが、SPY7、我々が今導入しようとしているものは、SPY7というレーダーに、イージスウエポンシステムはベースライン9というものでございます。このイージスウエポンシステムというのがまさに弾道軌道を計算し、迎撃点を計算するという、ある意味コンピューター部分でございますが、まず、このベースライン9につきましては、日米で多くの使用実績があるのみならず、今後もアップデートが続けられていくというものであると承知しているところでございます。
あと、今、委員御指摘の新たな脅威への対処能力の向上とか、あと、更に言えば、バグや不具合の修正等、そのソフトウエアを作成しているロッキード・マーチン社でございますが、これが、ロッキード・マーチン社が全てのソフトウエアコードを一元的に管理、共有するシステム、これコモン・ソース・ライブラリー、CSLと申しますが、これを導入しているため、プラットフォームの種類やそのベースラインの、先ほど申しました、9とか10とか、そういう違いにかかわらず、我が国のアセットも米海軍や他国軍のアセットに適用されたアップデートや能力向上プログラムを必要に応じて随時適用できると、このようになると承知しておりまして、必ずしも委員御指摘のように、ベースライン9であるとその不利益が被るということはないというふうに承知しているところでございます。
○井上哲士君 ベースライン9のことだけを言っているんじゃないんですね。
要するに、日本の独自仕様になることによって、やはり様々な費用の負担が大きくなるんじゃないかということを言っておりますし、これ多くの専門家の方が指摘をされている問題であります。
元々、イージス・アショアは、最初、二基千六百億円という話から始まって、トータルで四千五百億円とかいう話になり、更に膨れ上がりました。今回の断念のときも、ソフトだけでなくてハードの改良も必要で、それに二千億円掛かると。だから、費用対効果で問題だということで断念したはずなのに、実際にはこの代替案では維持整備費を加えますと一兆円を超える、さらに迎撃ミサイルの費用も掛かるわけでありまして、青天井ですよね。私、コロナ禍の下で、本当に国民の命、暮らしを守る予算必要なときに、こういうこのずさんなやり方でいいのかということが本当に問われていると思います。
更に聞きますけれども、アショア導入の際には、防衛省は、ミサイル防衛任務に就くイージス艦の乗務員が長期の洋上勤務を繰り返し強いられるという問題を解消して、二十四時間三百六十五日体制での監視を可能にすると強調してきましたけれども、この新たなイージス艦の代替案というのは、こういう説明とは逆行するんじゃないでしょうか。
○防衛省 防衛政策局長(岡真臣君) 現時点におきまして、この移動式のプラットフォームを具体的に何にするかということは決まっておりませんで、その運用主体ということについても確定はしておりません。
先ほど来お話がございますが、今般の中間報告等を踏まえて、イージス・アショアの構成品を移動式の洋上プラットフォームに搭載する方向で引き続き検討を進めているところでございます。
その上で、イージス艦につきましては八隻体制にするということでやってきているわけでございますけれども、この八隻のみで対応する場合と比較をすれば、イージス艦八隻にイージス・アショアを代替するアセットを組み合わせて対応を行う場合には、イージス艦のBMDの任務所要を相当程度減少させられるものと考えているところでございます。
いずれにいたしましても、イージス艦のBMD任務負担や隊員の負担の軽減には留意しつつ、検討を進めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 元々、八隻体制にするというときに、皆さんは、それによって、それと最新型の迎撃ミサイル導入をして、日本全国を継続的に防護することが可能になると説明していたんですよ。そこにトランプ大統領からアメリカ兵器の追加購入を迫られて、突如このイージス・アショアというものが上から決まったという形でありまして、費用が少ないという点でも、海上自衛隊の負担問題という解消という点でも、これまでの説明は何だったのかということになるわけですね。
私、こういうずさんなやり方を本当にやれば、国民の信頼は一層失われると思いますし、結局配備断念もそこが大きな問題だったわけですね。何の反省もないんじゃないかと考えますが、大臣、これやっぱり根本的に見直すべきじゃないでしょうか。
○防衛大臣(岸信夫君) 防衛省として、イージス・アショアの代替案に関連するまず経費につきましては、今回の中間報告を踏まえて初めてお示しをしたところでございます。その上で、今回の中間報告においてお示しした、洋上プラットフォームを値、形態、機能の観点から場合分けした各プランの一基当たりの総経費について、導入コストについてはあくまで仮の要求性能を設定して試算するということで経費の規模感をお示ししたものであります。必ずしも今回お示しした四つのプランの中から選んで事業化するということではなく、三十年間の維持整備費等については、搭載する装備品の細部の仕様、運用の形態、様々な要素を検討する必要があります。現時点で精緻な総経費をお示しすることが困難であるということを是非御理解をいただきたいと思います。
いずれにいたしましても、厳しい財政事情も踏まえつつ、運用構想や要求性能の細部を検討を通じましてイージス・アショア代替案の総経費を精査してまいりたいと考えております。
○井上哲士君 時間ですので終わりますが、イージス・アショアはとにかく配備ありきで、もうずさんな調査、説明が行われて破綻をしたわけですよ。私は、結局その繰り返しでありまして、破綻は明白であるし、代替案も含めて断念をするべきだということを申し上げまして、質問を終わります。