○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
安倍、菅政権と、これでもかというぐらい不祥事が続いておりますが、今日は、河井克行、案里夫妻の選挙買収問題についてお聞きいたします。
河井案里氏による買収への東京地裁の有罪判決、控訴がされませんでした。確定し、参議院選挙の当選は無効となりました。票を金で買うという買収行為は民主主義破壊の重大犯罪と考えますけれども、まず総理の認識をお聞きします。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 買収罪は選挙犯罪のうちで最も代表的かつ悪質なものであると言われています。私も、買収行為は、本来、有権者の自由な意思により行われるべき選挙を利益の授受によってゆがめられる悪質な行為であるということを認識をしております。
○井上哲士君 その悪質な行為を行っていた人物を自民党は公認し、そして総理は直接応援に入って支持を訴えられました。その責任はどうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) お尋ねの件については、裁判が係属しており、行政府の長として何か申し上げるべきではないと思いますが、あえて申し上げれば、自民党総裁として、御指摘の選挙に際し、当時の私は選挙情勢に応じて党の役割に従って候補者の応援に行ったものであり、当然、河井氏が起訴された内容については知る由もありませんでした。
いずれにしろ、今回の件について国民の政治不信を招いたという批判については重く受け止めております。
○井上哲士君 指示されて行ったから知る由もないと、そんな無責任な発言ないですよ。
選挙に出る資格のない人物を応援をして投票を呼びかけたんですよ。その責任感じていないんですか。少なくとも私は広島の有権者に謝罪すべきだと思いますよ。いかがですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 私が選挙応援に行く場所というのは、党の選挙対策委員会の中で要請があるところに、当時は私、官房長官ですけれども、そういう中で行っております。また、候補の応援に行ったものであり、そうした選挙買収、そうしたことが行われているのは全く知る由もなかったということであります。
○井上哲士君 全く責任を感じない驚くべき答弁であります。
これ、自民党には更に大きな責任があります。河井陣営には一億五千万円もの資金が自民党本部から送られました。他の自民党候補の十倍。うち一億二千万円は国民の税金である政党助成金でした。
二月九日の河井克行氏の公判で読み上げられた元会計責任者の供述調書では、この自民党本部からの資金の一部が買収の原資となったとしております。重大だと思います。
総務大臣、買収目的交付罪、これはどういう罪でしょうか。
○国務大臣(武田良太君) 公職選挙法第二百二十一条第一項第五号においては、投票買収や選挙運動者買収をさせる目的を持って選挙運動者に対し金銭若しくは物品の交付などを行った者に関する買収目的交付罪について規定をされております。
この規定の趣旨につきましては、いわゆる買収をさせる目的を持って資金等を交付し又はその交付を受ける行為がそれ自体選挙の腐敗を招く根源をなすものであるから、このような腐敗の根源を速やかに除去するため、買収に至る前段階の交付及び受交付の行為を独立して処罰の対象とし、もって公職の選挙における不正の防止を一層実効あるものとしようとするものと承知をいたしております。
○井上哲士君 自民党から交付された特別の多額の資金が買収の原資となっていた。極めて重大だと思うんですね。
お配りした資料にありますように、河井陣営には二〇一九年に五回にわたって資金が自民党本部から交付をされておりますが、その前後に河井克行氏が官邸で安倍前総理と単独で面会をしております。【配付資料210305.pdf】
誰がこの特別な多額の交付を決めて、安倍前総理がどう関与したのか、資金はどう使われたのか、徹底して明らかにする責任があると思いますが、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) お尋ねでありますので、自民党総裁として、あえて申し上げさせていただきます。
御指摘の資金は、支部の立ち上げに伴い、党勢拡大のための広報紙を全県に複数回配布した費用等に充てられたとの説明があったという報告を受けております。
また、使途の詳細については、現在検察当局に押収されている関係書類が返還され次第、党の公認会計士が内規に照らして監査を行い、しっかりチェックをすることになっています。
○井上哲士君 これまでの答弁の繰り返しですけど、その総理が受けたという報告と、二月九日の公判での自民党本部からの資金が買収の原資になったという供述、会計責任者の供述が食い違っているんですよ。これ、ほっておくんですか。
これも含めて買収資金について何ら解明もせずに、まるで知らぬ顔して四月に行われる再選挙に臨むと、有権者愚弄していると思いますよ。総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 現在行われている裁判内のやり取りに関する事柄について行政の長として何か申し上げることは控えるべきだと思いますが、先ほどお尋ねでありますので、自民党総裁として申し上げさせていただきました。
先ほど申し上げましたように、複数回配布した党勢拡大のための広報紙の費用に使われたと。そして、使途の明細については、検察当局に現在押収されている関係書類が返還され次第、党の公認会計士が内規に照らして監査を行い、しっかりチェックをする、こういうことになっています。
○井上哲士君 一か月には再選挙が始まるんですよ。知らぬ顔して、何も解明しないままに選挙臨むんですか。本当、私は有権者を愚弄していると思います。河井案里氏も何一つ説明をしておりません。河井案里氏の国会招致、そして関係者への聞き取りなど、解明に責任を果たすべきだと思います。
委員長、河井案里氏の証人喚問を求めたいと思います。
○委員長(山本順三君) 後刻理事会で協議をいたします。
○井上哲士君 河井案里氏が逮捕後も辞職せずに歳費をもらい続けたことに国民的批判が上がっております。これは自民党も問われているんですね。
河井案里氏の分として参議院から自民党に交付をされた立法事務費は幾らになっているでしょうか。
○参議院庶務部長(加賀谷ちひろ君) お答えいたします。
立法事務費については、所属議員一人につき月六十五万円の割合をもって算定した金額を会派に対して交付するものとなっておりますところ、令和元年七月初当選の参議院議員が令和二年六月まで会派に所属した場合、当該会派への交付総額は議員一人につき十一か月分の七百十五万円でございます。
○井上哲士君 離党するまで七百十五万円の交付金が自民党に交付をされ、あっ、立法事務費が交付をされました。
それだけではありません。参議院選挙後の二〇一九年八月から昨年末までに自民党に交付された政党助成金の総額と議員一人当たりの額は幾らになるのか、年ごとの額と合計額を明らかにしてください。
○総務省 自治行政局選挙部長(森源二君) 数値に関わることでございますので、事務方からお答えをさせていただきます。
第二十五回参議院議員通常選挙後の二〇一九年八月から二〇二〇年末までに、自由民主党には政党交付金を二百五十九億六千百六十二万六千五百円交付をしております。
その内訳として、二〇一九年八月から十二月末までに八十七億二十六万二千五百円を交付しており、お尋ねの、これを基準日の所属国会議員数三百九十八人で割った額は二千百八十五万九千九百五十六円となります。また、二〇二〇年は、一年分として百七十二億六千百三十六万四千円を交付しており、これを基準日の所属国会議員数三百九十七人で割った額は四千三百四十七万九千五百六円となりまして、よって、この期間における所属国会議員数で割った額の合計は六千五百三十三万九千四百六十二円となるものでございます。
○井上哲士君 この中には河井案里氏の分が含まれるわけですが、河井氏は、二〇年六月に自民党を離党し、直後に逮捕をされました。離党後に自民党への政党助成金は減額されたんでしょうか。
○政府参考人(森源二君) 事実に関することですので、事務方からお答えいたします。
政党助成法におきましては、原則として、一月一日を基準日とし、当該政党に所属する国会議員数と当該政党が国政選挙で得た得票数に応じて算定することとされておりまして、基準日後に所属国会議員数の異動があっても、その年の政党交付金の交付額は変わらないものでございます。
このため、令和二年分の自由民主党の政党交付金においては、河井案里氏の離党は影響せず減額は行わないものでございますが、なお、令和三年分の自由民主党の政党交付金においては、河井案里氏は所属国会議員数として算定されないこととなります。
○井上哲士君 ですから、河井案里さんが離党をして逮捕された後も、自民党は知らぬ顔してちゃっかりその分の政党助成金もらい続けてきたんですよ。
そもそも河井氏の当選は無効ですからね、これ、交付されるべきでないものですよ。合計実に六千五百万円ですね、これ、自民党の皆さん、国民の理解得られると思いますか。
総理、これ返還すべきじゃないですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 政党交付金については、国会議員が当選無効となった場合に、制度上返還する仕組みはないものと承知しています。
また、立法事務費については、お答えする立場にはありません。
○井上哲士君 仕組みはないかもしれません。しかし、だからこそ私は自主的に返還すべきだと思いますよ。
総務大臣、この政党助成金制度の目的はどういうことになっているでしょうか。法律にどう明記されていますか。
○国務大臣(武田良太君) 助成制度の目的、政党助成制度は、政治改革について議論を積み重ねた結果、政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただくものとして設けられた制度であり、民主主義の発展に重要な意義を持つ制度であると考えております。
○井上哲士君 我々は、これは憲法に違反するということで反対をして、もらっておりませんけど、民主主義の発展に重要な意義を持つ。民主主義破壊の買収行為によって当選が無効になった河井案里さんの分まで交付を受けることが民主主義の発展に重要なことになるんですか、総理。おかしいんじゃないですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 私、先ほど申し上げたとおりです。交付金、政党交付金については、国会議員が当選無効になった場合に、制度上返還する場合に、返還する仕組みはないものということに承知しています。
そして、立法事務費については、私の立場でお答えすべきじゃないと思います。
○井上哲士君 全く責任を感じていらっしゃいません。だからこそ、私は自主的に立法事務費や政党助成金の返還をするべきだと、そうしなければ到底国民の理解は得られないと思います。
自民党として、改めて買収問題、資金の徹底的な調査、そして河井案里氏の証人喚問、重ねて求めまして、私の質問を終わります。