○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
今日は、くしくも米軍の低空飛行訓練について先ほど白議員が質問をされ、この後伊波議員も質問されます。今、大塚議員も関連して地位協定質問されました。
私も、米軍の岩国基地の大増強と中四国での被害についてお聞きをいたします。
まず防衛省、お聞きしますが、米軍の岩国基地が沖合移転をされて以降、米軍機が次々と追加配備をされました。沖合移転後に新たに配備をされた米軍機の種類と数、それぞれの配備の理由についてお示しいただきたい。
○防衛省地方協力局長(鈴木敦夫君) 御指摘の岩国飛行場におきます滑走路沖合移設事業による新滑走路の運用は二〇一〇年に開始されましたが、その後の米軍機の配備につきましては、米軍再編事業のため、まず二〇一四年、普天間飛行場から岩国飛行場へのKC130十五機の移駐、二〇一七年から一八年にかけまして、厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機部隊FA18、EA18G、E2D及びC2計約六十機の移駐が行われました。また、現在までに、CH53D及びEA6B約十数機が今度岩国基地から他の施設に移駐しております。なお、全体の機数に変動はありませんが、岩国飛行場のFA18及びAV8BからF35B約三十二機への機種更新につきましては、一つ目の部隊更新が二〇一七年に行われ、二つ目の部隊更新が昨年二〇二〇年十月から開始されているところでございます。
こうした配備の結果、現在、岩国飛行場には米海兵隊機約六十機、米海軍機約六十機の計百二十機が配備されているというところでございます。
○井上哲士君 配備数は倍加をいたしまして、極東最大級の基地ということに増強をされました。
滑走路の沖合移転は騒音の軽減だったはずなんですね。ところが、今、住民の苦情に対して、移転前の水準を超えなければ問題ないと、こういうような姿勢がありまして、目的は増強だったのかということになるわけです。実際には、防衛省が設置をした測定器でも、騒音回数は超えている地域もありますし、艦載機が戻ってくる十一月は一気に倍に騒音回数が増えるわけで、本当に多くの苦情が寄せられております。
私、二月に調査に行ってまいりました。午後に基地に行きますと、米軍機が次々と戻ってきます。朝から監視をされた人の話聞きますと、午前九時過ぎから約二十五分で約二十五機の戦闘機などが離陸をして、タッチ・アンド・ゴーも行われていると。岩国市によりますと、その日は基地の北側で一日で九十四回騒音をカウントし、最大は約九十二デシベルだったということであります。
一方、この滑走路の時間外の運用についての情報公開が、一八年の秋以降、共用している米軍と海上自衛隊の飛行を区別できない形に変更されました。ちょうど艦載機の部隊の移転で騒音が増大したという中に、この米軍機を特定することが非常に困難になったと。基地問題を追及している関係者からは、これもう騒音公害隠しだと批判の声も上がっておりますけれども、以前のような情報公開に戻すべきだと思いますけれども、防衛省、対応はいかがでしょうか。
○政府参考人(鈴木敦夫君) 岩国飛行場におきましては、滑走路の運用時間である六時半から二十三時以外に米軍、自衛隊が運用するに当たって、米軍が岩国市に通報しているものと承知しております。その上で、二〇一八年頃から米軍の通報内容について変化があったことは事実ですが、滑走路の時間外運用の予定については、引き続き適切に通報がなされているものと認識してございます。
また、防衛省といたしまして、夜間を含めた騒音状況の把握のため、岩国飛行場周辺に騒音測定装置を設置しておりまして、その結果につきましては地元の皆様にも定期的にお知らせしているところでございます。このため、今、騒音公害隠しという御指摘いただきましたが、これは当たらないというふうに考えてございます。
防衛省といたしましては、米軍に対しまして、騒音や安全面に最大限配慮しつつ、地域住民に対する影響を最小限にとどめるよう働きかけてまいりたいと存じております。
○井上哲士君 いや、適切に行うと言われましたけど、区別ができなくなっているんです。だから、皆さんは騒音公害隠しだと言われているんですね。
この騒音被害の増大は岩国市内にとどまりません。【配付資料210323②.pdf】お手元の資料の二枚目に、岩国基地は、岸大臣よく御存じのように、山口県の一番東側であります。発進した、離陸した米軍機は広島県に向かって離陸いたしますから、広島県内の騒音が非常に深刻なわけですね。岩国基地の東側には宮島があります。世界遺産である大聖院も私訪問してまいりました。
我が党の大平前衆議院議員が副住職にお会いした際には、この大聖院には日本三大道場の一つの求聞持道場があって、全国から青年僧が修行に訪れて、百日間にわたって道場にこもって修行すると。お経を唱え続けるのに、騒音に邪魔をされ集中が途切れてしまうと。特にこの宮島の弥山の山頂の騒音がひどくて、山頂近くにある本堂でのお参りの際の大きな弊害があるというお話でありました。あの山頂まで高齢者の方が登るの大変ですけれども、なかなか来られないからといって登っていらっしゃると。そんなときに、お参りの最中に騒音があると、自分たちのせいじゃないのにごめんなさいと言ってしまうと、こういうことも言われていたそうであります。
大臣、宮島という島がどういう場所かというのはよく御存じかと思うんですね。世界遺産の一つであって、日本三景の一つであって、有数の観光地であって、そして島自身が聖地だとも言われてきたわけですね。そういうところがこういう騒音の被害を受ける、私はこれ許されないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○防衛大臣(岸信夫君) 岩国飛行場におきまして、航空機の離陸後、宮島の方向である北側に向かう場合、宮島に至る前に海側に旋回するルートが標準であって、米側も、米軍もこれを尊重しているものとまず承知をしております。
また、防衛省としても、世界遺産である宮島の騒音状況の把握、これは大変重要であると考えております。地元からの御要請も受けまして、騒音測定装置を設置し、その状況把握に努めているところでございます。当該の装置による測定結果によれば、艦載機移駐後においても人の健康への影響に関する環境基準値七十Wを下回っていると承知をしております。さらに、米側は、岩国飛行場に係る運用上の所要を勘案した上、航空機騒音の軽減についてできる限りの措置を講じているものと認識をしております。
その上で、防衛省としては、米側に対し、岩国飛行場周辺の住民への騒音面また安全面での影響に最大限の配慮を行うよう申入れをしてきております。今後とも、あらゆる機会に米側に対して申入れを行ってまいりたいと考えています。
○井上哲士君 お手元のその二枚目の資料ですね、確かに宮島の手前で右に旋回することになっているんですね。それを尊重していると、米側が、今おっしゃいました。私、驚きました。ちょうど私が行ったときも、大聖院に向かって歩いていると、私のちょうど真上を騒音を上げて三機編隊の米軍機が飛行いたしました。観光客の皆さんも驚いていらっしゃいました。【配付資料210323①.pdf】
資料一にその測定器の数が出ておりますけれども、宮島ですね、移駐前と比べますと年間で二・二倍になっているんです。尊重していたらこんなことになるはずがないんですよ。なぜ、尊重しているのに宮島の真上を飛行して騒音があると、なぜこんなことになっているんですか。
○政府参考人(鈴木敦夫君) 今大臣からお話ございましたように、こちらにつきましては、米軍が岩国飛行場から離陸して、そして上昇するに当たりまして、宮島の方角、北に向かう場合、至る前に海側に旋回するルートが標準であるということでございます。これを米側からも尊重しているというふうに我々聞いておりまして、そういうものだと承知しております。
その上で、騒音測定を実際に宮島の方でしております。その結果といたしまして、今の状況におきましても、つまり艦載機の移駐後におきましても、人の健康の影響に関する環境基準値、これを下回っているというのが実態であるというふうに承知してございます。
ただ、そうはいいましても、この航空機の騒音の軽減というのは、これ非常に重要なことでございますので、できる限りの措置を講じていかなければいけないということで、米側にあらゆる機会に地元住民の皆様方への生活面の影響に最大限の配慮を行うよう申し入れてきているということを今大臣から申し上げさせていただいた次第でございます。
○井上哲士君 いや、また尊重と繰り返されましたけど、じゃ、私が見たもの何なんですか。短時間の間に二回往復しましたよ、二回通りましたよ、三機編隊がね。そして、健康被害には至らないような数字だと言われましたけど、健康被害なんかあったら大変なんですよ。それがこの宮島の上を通っていると。それだけじゃありません。広島のは原爆ドームの上も通ることがあるんですね。
広島県の県北の北広島町などもすさまじい騒音の低空飛行訓練が行われております。広島県は国に対して、米軍機の低空飛行や騒音被害などにより、県民の日常生活に影響が生じておる現状は容認できないとして、米軍機による低空飛行訓練の中止を要望しておりますけれども、政府はどのように対応してこられたんでしょうか。
○国務大臣(岸信夫君) 御指摘の要望につきましては、広島県からの御意見としてしっかりと受け止めております。
その上で、米軍機の飛行訓練はパイロットの技能の維持向上を図る上で必要不可欠な要素でございます。在日米軍が日米安保条約上の義務である我が国の防衛を全うするという観点から重要なものですが、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動するというのが当然の前提でございます。
このため、防衛省としては、これまでも地元の自治体等から米軍機の飛行に関する苦情を受けた場合には、米側にその情報を伝えるとともに、地元の皆様の生活に与える影響を最小限にとどめるような配慮を求めてまいっております。
広島県から要望のございました地域行事への配慮については、これまでも累次の機会に米側に対し、土日あるいは祝日を始め、年末年始、入試といった地元の重要な行事等に配慮するよう申入れを行い、米側としてもこうした申入れを理解し、配慮を努めているものと認識をしております。さらに、二〇一三年以降、広島県内に三台の騒音測定装置、一台の観測カメラを設置し、防衛省自身の取組として米軍機の飛行実態の把握に努めているところでございます。
防衛省としては、広島県を始めとする関係自治体と緊密に連携をしつつ、引き続き米側に対して安全面に最大限配慮をし、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう強く求めていくとともに、飛行に当たっての安全確保については最優先の課題として日米で協力して取り組んでまいります。
○井上哲士君 アメリカに申入れをして、アメリカ側は理解をしているという答弁がありました。全然実態と違うんですね。
今、どんどん中国地方の被害の範囲も広がっております。鳥取県では過去最高レベルの目撃情報です。特に激化しているのが島根県の西部で、中四国防衛局が公開するデータでも、浜田市旭町では七十デシベルを超えた騒音は昨年十月に百八十五回を超えました。そのうち九十六回が二十七日の一日に集中したと。地元紙には、「空がうなる感覚。家の中でも身をすくめる時がある」という住民の声が載っておりました。この町の旭小学校では、学習発表会の最中に暴音が響いて、二度中断をした。測定値は電車が通るときのガード下に当たる百四デシベルだった。それから、江津市のさくらえ保育園。外遊びや昼寝の最中に上空を米軍機が通り過ぎると、子供たちは怖がったり、起きてきて泣き出すような状況だと、これも報道されております。
大臣、これでも日本がしっかり申入れをして、アメリカがちゃんと理解をしていると、これがこんな実態だと、そういう認識なんですか。
○国務大臣(岸信夫君) 米軍機の飛行につきまして、地域住民の方々から不安の声が上がっているということは我々も承知をしているところでございます。
防衛省として、御指摘の島根県あるいは鳥取県などの関係自治体から情報を集めて、含めて、米軍機の飛行等に関する苦情を受け付けた場合は、自衛隊機の飛行ではないことを確認した上で、米側に伝えるとともに、地元の皆様の影響に与える影響を最小限にとどめるように配慮を求めているところでございます。また、防衛省自身の取組としても、各関係自治体とともに緊密に連携をし、飛行実態の把握に努めてきておるところでございます。
先ほど広島県の騒音測定装置のお話をさせていただきましたけれども、島根県には、二〇一三年以降、順次五台の騒音測定装置を設置するとともに、得られたデータは住民の皆様に幅広く情報提供をさせていただいています。現地防衛局のホームページにおいても公表しているところです。
いずれにしても、大切なことは、米軍の運用が地域の皆様の生活環境に与える影響を最小限にとどめなければいけない、このために、関係機関が緊密に連携をして全力を尽くすことでございます。
○井上哲士君 この問題でずっと同じような答弁が繰り返されてきたんですけど、どんどん被害が広がっているんですね。【配付資料210323④.pdf】【配付資料210323⑤.pdf】
例えば四国も、高知県や徳島県でも様々な目撃情報寄せられておりますが、お手元の資料の最後の二枚、四と五ですけど、昨日、おとついの報道であります。愛媛県で大変激化をしております。
県によると、米軍機と見られる低空飛行訓練の目撃情報は、一八年には三件だったのが、一九年度は九十件、二〇年度は二月三日まででも二百五十七件で、年度別に過去最高なんですね。そして、これを、情報を地図に落としたというのが最後のページなんです。一九、二〇年度の全目撃情報三百四十七件を地図に落としたら、これまでいわゆる米軍が公表していたオレンジルートではなくて、大洲市とか久万高原町などに偏っている。そして、大洲市の拡大がありますけれども、川に沿って十文字の航空ルートが浮かび上がってくると。まさに、この谷筋や山の上を傍若無人に飛び回る姿が浮かび上がると、愛媛新聞、書いています。
このオレンジルート以外に新しい訓練ルートを米軍側が設定したのではないかと愛媛新聞は指摘していますけれども、これ、是非米側にただして、そんな勝手な訓練ルートの設定はやめろと求めるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸信夫君) 米軍機によります飛行訓練については、米側が、訓練の目的達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たすという観点から、一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがございます。また、最大限の安全を確保するため、飛行訓練を実施する区域を継続的に見直していると承知をしております。また、一般に、米軍が日米安保条約の目的達成のため、実弾射撃を伴わない通常の飛行訓練を米軍の施設・区域でない場所の上空で行うことは認められているものと承知をしております。
防衛省としては、四国地方の関係自治体からの情報を含めて、米軍機の飛行等に関する苦情を受け付けた場合に、自衛隊機の飛行でないことを確認して、米軍に伝えるとともに、地元の皆様の生活に与える影響を最小限にとどめるよう配慮を求めています。さらに、愛媛、高知、徳島の苦情が多く寄せられている地域には、職員を派遣し、現地調査を実施するなど、関係自治体とも緊密に連携をし、防衛省自身の取組として米軍、米軍機の飛行の実態の把握に努めてきております。
防衛省として、引き続き米側に対し、最大限の配慮をし、住民に与える影響を最小限にとどめるよう強く求めていくとともに、飛行に当たっての安全確保について、最優先の課題として日米で協力して取り組んでまいります。
○井上哲士君 米軍が訓練ルートを適宜設置していて、それを見直す、それが当たり前のように言われました。私、運用だからといって容認するんじゃなくて、アメリカの運用であっても日本の上空なんだから勝手なことはさせないというのが主権国家として当たり前のことだと思いますよ。
こういうようなことはやめさせるし、ヨーロッパなどのようにちゃんと基地に規制ができるような地位協定の抜本改定も必要だということを外務大臣にも防衛大臣にも求めまして、時間ですので終わります。