○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
米国の衛星コンステレーション構想への参加についてお聞きいたします。
防衛省は、新型ミサイルの探知、追尾を目指して多数の小型人工衛星を打ち上げる衛星コンステレーションによる極超音速滑空体、HGVの探知、追尾システムの概念検討として今年度予算に一・七億円を計上したほか、次世代の赤外線センサーの研究に十二億円計上しております。お手元の資料にあるとおりであります。【配付資料210420.pdf】
現行の中期防には、情報収集、通信、測位等の各種能力を向上させるため、様々なセンサーを有する各種の人工衛星を活用した情報収集能力を引き続き充実とあります。ただ、この衛星コンステレーションは明示的には記載をされておりません。
そこでお聞きしますけれども、これはいかなる計画であるのか、また、防衛省は、国防上のどのような必要があり、いかなる目的のために概念検討を行うこととしたのか、まず御説明ください。
○防衛大臣(岸信夫君) 米国で進展しておりますこの衛星メガコンステレーション計画が実現すれば、地上レーダーでは探知が困難で、低空を高速かつ変則的な軌道で飛翔するHGVなどを宇宙空間から遅滞なく探知、追尾できる可能性があります。
このような認識の下で、米国との連携も念頭に衛星コンステレーションを活用したHGVの探知、追尾システムの概念検討を実施するために令和三年度予算に約一・七億円を計上しております。現時点では衛星コンステレーションの導入や米国の計画への協力を決定しているわけではありません。
以上です。
○井上哲士君 これ米国から参加を打診されたと報道されておりますけれども、打診されてこういう予算を組んだということでよろしいですね。
○防衛省 防衛政策局長(岡真臣君) 米国とは宇宙面での協力ということについて様々なやり取り従来行っておりますけれども、その詳細については先方との関係がございますので控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、今回のこの予算の要求ということについては防衛省としての判断で行ったものでございます。
○井上哲士君 アメリカは、二〇一九年のミサイル防衛見直しでHGVや極超音速ミサイル等の先進的ミサイルに対処するための宇宙配備衛星の重要性を打ち出して、その年の三月に宇宙開発庁を設置をいたしました。この宇宙開発庁がその年の夏に発表して現在設計を進めているのが国家防衛宇宙アーキテクチャー、NDSAであります。小型の人工衛星百機、一千機以上を高度三百から一千キロの低軌道に投入し、二〇二二会計年度中に三十機の実証機を配置し、その後、二四会計年度に初期戦闘能力を獲得し、二〇二五年までに五百五十機程度を軌道上に配置することを想定しているとされております。
お聞きしますが、この米国宇宙開発庁長官の今年二月の発表によれば、この構想の特徴の一つは、小型の衛星を高密度で配置することによって衛星群は七つの層から構成されるということになっていますが、この七つの層とは具体的にどういうものと承知をされているのか、説明をしてください。
○政府参考人(岡真臣君) アメリカ側で公表されている資料によりますと、今委員から御指摘の七つのレイヤー、階層というんでしょうか、これから構成されるコンステレーションということを説明をしておりまして、具体的に申し上げますと、通信を担うトランスポートレイヤー、弾道ミサイル等の探知、追尾を担うトラッキングレイヤー、地上、海上の移動目標の偵察、監視等を担うカスタディーレイヤー、戦闘管理や指揮統制機能等を担うバトルマネジメントレイヤー、測位を担うナビゲーションレイヤー、宇宙の脅威の監視等を担うディターランスレイヤー、地上施設などで構成されるサポートレイヤーといった形で、七つのレイヤーから構成されると記載されているものと承知しております。
○井上哲士君 今、七つの層の一つとしてHGVを含む先進的なミサイルを探知、追跡を目的とするトラッキングレイヤーというのがありましたけれども、防衛省がこの米国と連携をして行うこの一・七億円の概念検討は、このトラッキングレイヤーに対応したものだということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(岡真臣君) 御指摘のトラッキングレイヤーにつきましては、弾道ミサイル等の探知、追尾を担う層であると、そういう説明になっているものと承知をしております。
一方、防衛省として令和三年度予算に先ほどお話がございました約一・七億円を計上している事業につきましては、衛星コンステレーションを活用したHGVの探知・追尾システムの概念検討ということで行う事業でございますので、弾道ミサイル等の探知、追尾といった点でこの両者が共通していることは事実でございますけれども、いずれにいたしましても、現時点では米国の計画への協力を決定しているわけではございませんので、それ以上仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 これはしかし、日本で単独でできるわけじゃありませんで、明らかにアメリカからの打診に基づいて検討がされているわけですね。
昨年八月に米宇宙軍のレイモンド作戦部長が安倍前総理と面会をしております。そこで、日本は最も重要なパートナーだと考えており、今後、更に具体的な協力を進めていきたいと表明をいたしました。その後にこれ予算計上をされたわけで、まさにアメリカの計画に沿ったものと言えると思います。
ロシアは二〇一八年にアバンガルドというHGVの試射、開発を完了して、一九年十二月に実戦配備したことをプーチン大統領に国防相が報告をしています。ハドソン研究所の研究員の指摘によれば、アメリカの国防関係者は、このロシアの極超音速兵器が実戦配備される時期を二〇二五年頃と見積もっていたと。そこからしますと、このロシアの配備の時期がアメリカの想定よりも早まったということになるわけですね。
アメリカが対処を必要とするようなこうしたHGVなどの極超音速の新兵器の開発がロシアや中国で急いで進められたのはなぜなのか、大臣はどういう御認識でしょうか。
○国務大臣(岸信夫君) 御指摘の極超音速兵器は、マッハ五を超える極超音速で飛翔し、弾道ミサイルと比べ低い軌道を長時間飛翔し、高い機動性を有することなどから探知や迎撃がより困難になるとの指摘があり、ロシアや中国が開発を行っているものと承知をしております。
こうした兵器について、米国はミサイル防衛の見直しの中で、既存のミサイル防衛システムへの、へ挑むものと認識を示していると承知をしております。
また、プーチン大統領は二〇一八年三月に行いました年次教書演説の中で、アバンガルドを米国を始めとするミサイル防衛システム配備への対抗手段の一つとして紹介したと承知をしております。
極超音速兵器は従来の、あっ、将来の戦闘様相を一変させるいわゆるゲームチェンジャー技術の一つであります。防衛省としては、こうした最新兵器の動向を注視しているところであります。
○井上哲士君 ロシアは八〇年代に極超音速兵器の研究を始めたとされますが、アメリカ議会の調査局の報告書は、ロシアの取組を加速させたのは、アメリカによる二〇〇一年のABM条約の脱退と弾道ミサイル防衛計画、BMDだと分析をしています。
今、二〇一八年三月のプーチン大統領の演説に触れられましたが、その中で、米国は弾道弾迎撃ミサイルの継続的な制限なしの数の拡大、質の改良、新たな発射領域の創出を許している、我々が何もしなかったら最終的にロシアの核ポテンシャルは完全に無価値に終わると、つまり我々の全てのミサイルは造作なく迎撃される可能性があるということだと、こう述べていますね。
つまり、結局、アメリカのBMDはこの相手の弾道ミサイルを無力化することで米軍の核を含む先制攻撃を可能にするものであるかもしれませんが、結局、それを打ち破る対抗策として新たな兵器の開発を相手側が進めるということになっているわけですね。中国の兵器開発の加速についても同様の指摘がされておりまして、結局、大国間の新たな軍拡を招いて危機を増大させることになっていると思うんですね。
これは日本でも同じことでありまして、日本はこのBMDに協力、参加して現在までに二兆五千億円を超える巨額の軍事費が注ぎ込まれました。これだけの巨額をつぎ込んだ国はないわけでありますが、結局、BMDが他国の対抗策を招いて軍拡の悪循環をもたらして危険を増大させているということについて、大臣の認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(岸信夫君) 弾道ミサイル防衛システムは、弾道ミサイル等が発射されない限り実際に活用されることはなく、弾道ミサイル等による攻撃に対し国民の命そして財産を守るために必要な、純粋に防御的な手段であります。我が国の安全を確保する上で不可欠なものです。
このような純粋に防御的な手段であるBMDシステムに対する他国の対応の意図等について、我が国としてはコメントすることを差し控えますが、防衛省としては、我が国の防衛に万全を期してまいります。
○井上哲士君 純粋に防衛的手段ということは本当に繰り返し答弁をされてきたわけでありますが、結局相手の対抗策を招いて軍拡の悪循環をもたらしているという、この事実を直視をすることが重要だと思います。
岸大臣は、昨年十二月二十一日の記者会見で、この衛星コンステレーションについて、日本側の協力の余地について更に検討を進めていきたいというふうに述べられておりますが、この協力の余地とは具体的にどういうことでしょうか。アメリカとの共同の研究開発などもその対象となっているんでしょうか。
○国務大臣(岸信夫君) 御指摘の協力の余地との表現については、一般論として、令和三年度予算に計上した研究、調査研究についての衛星メガコンステレーション計画を進める米国との連携も念頭に置いている旨を表したものでございます。
いずれにしても、現時点では防衛省として今後どのような対応を行っていくかについて決定しているわけではなく、本調査研究の成果も踏まえつつ検討を進めてまいります。
○井上哲士君 これ、予算に計上した上でこの協力の余地と言っているんですね。
じゃ、ちょっと追加して聞きますけど、例えば衛星でカバーする地域を日本が分担をするということも検討されているんでしょうか。
○政府参考人(岡真臣君) 先ほど大臣からも答弁がございましたとおり、今回、まさに今回のその調査研究によりまして概念検討を行うということになります。これは、今回の予算を執行する過程でいろんなやり取りを、この委託をしてくれるところとの間でやり取りをすることになりますので、現時点で何らかのことが決まっているということは全くございません。
○井上哲士君 今回の法案で新設をされる宇宙作戦群は、この構想には今後どのように関わっていくことになるんでしょうか。
○政府参考人(岡真臣君) 先ほど来申し上げておりますように、これはまだ概念検討の段階でございますので、具体的にどのような取組になるかということについて決まったものがあるわけではございません。そういう意味で、今の御質問についても現時点で何か具体的にお答えできることがあるわけではないというところでございます。
○井上哲士君 これからの検討だということで、それじゃ可能性として聞きますけれども、例えば、先ほど挙げた宇宙開発庁長官の発表では、国家防衛宇宙アーキテクチャーのもう一つの特徴として、段階的な開発を行うこととしておりますけれども、このHGVの探知、追尾以外の層への協力ということも可能性としてはあるということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(岡真臣君) 先ほど来申し上げているような概念検討をまだこれから始めようという段階でございますので、その先のことについて仮定のお話についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 しかし、現実にこの検討に入っているわけですね。アメリカのこの構想のコストは、報道では一兆円以上と言われております。この構想に協力すれば防衛費の一層の増大を招くことになるのではないか。大臣の認識、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸信夫君) 現時点では米国の計画への協力を決定しているわけではございません。その意味で、仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきます。
いずれにいたしましても、一般論として、事業に関する検討を行う際にはコストも含めた検討が必要であると考えております。効率的な防衛予算の執行に努めてまいります。
○井上哲士君 検討して実際始まれば、これは国民にかぶさってくるわけですね。やっぱり際限のない軍事費の増額を招きかねません。
今までアメリカに協力して弾道ミサイル防衛に二兆五千億円以上の巨費を、巨額の国費を費やしたけれども、先ほど来教示していますように、結果としてはむしろそれを打ち破る新たな脅威の出現を呼び込んだということを重く受け止めるべきだと重ねて申し上げたいと思います。
この衛星コンステレーションには別の重大な問題があります。衛星の役割が新型ミサイルを探知、追尾するだけにとどまらないと言われている点です。そうなれば、先ほど政府はミサイル防衛について、純粋に防御的なものと説明されましたけれども、これまでも説明してきましたけれども、それが通らなくなる話なんですね。
読売新聞の報道によりますと、アメリカ国防総省は昨年六月四日に開かれたアメリカ議会関係者向けのセミナーで、我々が二番目に追求しているのは移動する地上・海上目標に照準を合わせることだと強調したと報道をされております。
つまり、アメリカの目指すところは、この衛星群センサーを防御にとどまらず攻撃の目にもしようというものなわけですね。すると、日本がこの計画に参加をすることで、この攻撃の目を得るということになるんではありませんか。いかがでしょうか。
○政府参考人(岡真臣君) アメリカ側が公表している資料の中に、今の報道と関連しますが、陸上及び海上目標の捕捉に関する記述があることは承知しておりますけれども、その詳細についてまで我々として承知しているわけではございません。
その上で、先ほど来申し上げてございますように、今回の調査研究、これはHGVなどの探知、追尾といったことについての検討を目的とするものでございまして、アメリカの計画へ参加すればという御質問ではございますが、そういったアメリカの計画への協力も決定しているわけではございませんので、御指摘の点も含めて仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 決まっていないからこそ今ただしているんですよ。こんなことにどんどんどんどん突っ込んでいっていいのかと。決まってからいろんな問題が起きる前に今ただしているわけですから、きちっとお答えいただきたいと思うんですね。
報道でも、この小型衛星網は、偵察のための光学望遠鏡や測位システムを積む衛星も含む、ミサイルの追尾だけでなく艦船や航空機、陸上部隊の動きも把握できると、こういうふうに様々指摘をされております。
そこで、お聞きしますが、政府はこの間、「いずも」にF35Bを搭載を可能とする空母化であるとか、スタンドオフミサイルなど北朝鮮や中国にも届く射程の長いミサイル等の保有を進めてきました。
こうした装備はいわゆる敵基地攻撃能力の保有につながるではないかと指摘をいたしますと、政府は、この敵基地攻撃能力は一連のオペレーションであって、相手国の領域において移動式ミサイル発射機の位置をリアルタイムに把握をする、それとともに、地下に隠蔽されたミサイル基地の正確な位置を把握することなど、こういうことが必要なんだと繰り返し答弁をされてきました。だから、こういう装備を持つだけで敵基地攻撃能力にはならないんだというのが皆さんの答弁だったんですね。
しかし、この衛星コンステレーションによってこういう攻撃の目を持てば、この間の長射程の装備と一体で敵基地攻撃能力を保有につながっていくんではありませんか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(岸信夫君) 令和三年度予算に計上しました調査研究費はあくまでもHGV等の探知、追尾についての検討を目的とするものでございます。
いずれにしましても、米国の計画への協力を決定しているわけではないことから、御指摘の点も含めて仮定の御質問にお答えすることは差し控えたいと思います。
○井上哲士君 安倍前総理が昨年六月にこのイージス・アショアの配備手続の停止を決めた後に発言したことが、昨年の七月二十日付けの読売に出ております。
それによりますと、安倍総理は、衛星で、前総理はですね、衛星で何もかも丸裸にする、ミサイルを正確に撃ち込むことができるとなればそれが抑止力になると関係者に発言をしたと、こういうふうに報道されているんですね。
その後の月末に宇宙基本計画が改訂をされて、衛星コンステレーションの検討が盛り込まれたという経過なんですよ。
安倍前総理が衛星で何もかも丸裸にする、ミサイルを正確に撃ち込むことができることにつながる計画だということをこの発言が示しているんじゃないですか。まさにそれが衛星コンステレーションへの参加ということにつながってきているんじゃないですか、いかがですか。
○政府参考人(岡真臣君) このコンステレーションというお話でございますけれども、私どもとしては、まさにHGVといった新たな空から来る脅威に対してこれにどう対応するのか、それに当たって、これを探知、捕捉するのにどういう方法があるのかということを検討する必要があるだろうというふうに考えたわけでございます。
その上で、まだこれはなかなか具体化をしている段階ではございませんけれども、先ほど来申し上げましたように、概念検討という形で、どういった形のものが考えられるかといったところからまず考えてみようということで調査研究を行うということをしたものでございまして、そういう意味で、先ほど来申し上げておりますように、アメリカの計画に参加するといったことを決めているわけでもございません。
その上で、まさにこういった新たな空からの脅威に対してどう対応するかを考えていく上での知恵を得るためにこういった検討をしようというふうに考えているものでございます。
○井上哲士君 だからそれを、その過程の中で、安倍前総理が衛星で何もかも丸裸にする、ミサイルを正確に撃ち込むことができるとなればそれが抑止力になると、こういう発言をされた、こういう流れを問題にしているわけです。
安倍前総理は、イージス・アショアの配備中止にかこつけて、迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守ることができるのかということで、いわゆる敵基地の攻撃能力の保有について、次の政権への検討を求めたわけですね。替わる政権が次の政権に注文を付けるというのも異例なわけでありますけれども、こういう流れを見れば、まさに敵基地攻撃能力の保有という思いの中でこういう構想への参加が検討されていると、そういうことになるんじゃありませんか。岸大臣、いかがですか。
○国務大臣(岸信夫君) 昨年九月の安倍総理の談話につきましては、抑止力の検討についてしっかり政府内で進めるという形であります。
今回の調査研究については、あくまで令和三年度の予算に計上したものはHGV等の探知、追尾について検討を目的とするものでございます。米国の計画への協力を決定しているものではないことから、御指摘の点も含めて、仮定の質問にお答えすることは控えさせていただきます。
○井上哲士君 従来の迎撃だけでいいのかと、敵基地攻撃能力持たなければ抑止力にならないという発言を受けて流れが進んでいるわけで、実際には、菅政権は何ら決定をしないままに攻撃の目にもなり得るこういう小型衛星群の計画に参加しようと、なし崩し的に敵基地攻撃の保有に進むなと思います。
中止を求めて、時間ですので質問終わります。
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○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
会派を代表して、反対の討論を行います。
本法案は、防衛大綱、中期防に基づいて、宇宙、サイバー及び電磁波領域の新たな領域における自衛隊の体制の強化を図ろうとするものです。昨年発足した宇宙作戦隊と今年度新編予算の宇宙領域における指揮系統を担う部隊を束ねる宇宙作戦群を新編するため約五十名を、また自衛隊サイバー防衛隊の新編に約百三十名をそれぞれ増員するとしています。これらは、領域横断的な作戦を打ち出した日米ガイドラインの具体化にほかなりません。
今、米国と中国、ロシアの間では、質疑でも指摘したように、相手国の軍備に対抗するための軍備の拡張を図る動きが激しさを増し、新たな兵器による危険が生まれています。ガイドラインに基づく自衛隊の体制強化は、圧倒的な軍事優位性を維持強化しようとするアメリカの軍事戦略に日本を一層深く組み込むものであり、容認できません。米国の戦略の下で軍事的役割を拡大させることに力を注ぐのではなく、関係国間で軍縮努力がなされるよう日本として努力することこそが求められます。
日印ACSAの関連規定は、インド軍への平時の物品役務の提供権限を整備するものです。これにより、憲法違反の安保法制と一体で、平時から有事に至るあらゆる段階でACSAを通じた日印間の軍事協力が可能となります。自由で開かれたインド太平洋の名の下、同盟国やパートナー国を巻き込みながら軍事体制の強化を進める米国の対中軍事戦略に沿って、二国間、多国間の共同訓練を拡大し、中国に対する軍事的ケンサクと圧力を強めるものとするものです。軍事に軍事で対抗することは、地域の緊張を高め、際限のない軍拡競争を引き起こすものであり、断じて容認できません。
東アジアに平和的環境をつくるための外交努力を強めることを求め、討論を終わります。