○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
まず、大規模接種についてお聞きしますが、四月末に突然発表になりましたが、これ、一月から自衛隊投入は検討されていて、首相の特命チームで極秘に検討し、河野大臣とは別系統で準備をしていたと、こういう報道もありました。
河野大臣は、接種券の発送をめぐっては、混乱を防ぐために対象を限定しながら段階的に行うよう求めていたという中で、例えば練馬区などはまずは七十五歳から以上に接種券を送っていったわけですけれども、この大規模接種が六十五歳から、で、予約開始が重なって様々な問合せがあったということも言われております。練馬区長は、国の要請も踏まえて対象者を細分化したにもかかわらず、唐突に接種会場を設置すると言われても対応できないというコメントも出されております。
十分な相談なしに、報道では秘密裏に進められてきたということが無用な混乱も生んでいると思うんですけれども、その点、いかがお考えでしょうか。
○防衛大臣(岸信夫君) 新型コロナウイルス感染症対策に当たっては、国民への速やかなワクチン接種を含めて、平素からあらゆる方策について関係省庁において検討を進めてきておるところでございます。
こうした中で、先月十二日から各市区町村において高齢者の方々の新型コロナウイルスワクチンの接種が開始されました。同ワクチンの接種を政府として強力に後押しし、確保したワクチンの可及的速やかな接種を進めるため、先月二十七日に総理から私に対して医官や看護官等によります組織的な活動が可能な自衛隊によって大規模接種センターを設置し運営するように指示があったところでございます。
当該ワクチンの接種は市区町村が実施主体であるものでありますが、住民の皆様の間で混乱を招くことがないように、市区町村におけるワクチン接種の取組と連携してまいりたいと考えます。
○井上哲士君 いや、自治体がやっぱり主役だからこそ、もっと丁寧なやり方が必要だったと思うんですね。
今日も議論になっていますけど、架空の番号で予約が可能であったり、様々な問題が出ております。さらに、正しい番号を入力してもエラーになると。今朝の東京では予約が勝手に消えたと、こういうことも報道されております。やっぱりそういう施策があるということを検証し報道するというのは報道機関の責務だと思うんですね。それに対して、架空番号で予約可能と報道した報道機関に抗議をしたというのは私は筋違いではないかということを申し上げておきたいと思います。
七月中に六十五歳の方の二回接種を終えるとしておりますけれども、大規模接種会場は八月二十四日までということなんですが、これはなぜこういうことなんでしょうか。
○国務大臣(岸信夫君) まず、その前に、今、架空の予約と実際に予約が消えてしまうお話がございました。予約がしたはずなのに消えてしまうということについては今検証中であります。どういう状況だったのか、そういったことを確かめているところでございますが、架空の予約をするというのと、実際の予約をしたけど、したつもりで入らなかったということはちょっと位置付けが違うんじゃないかというふうに思います。同列で議論することはできないんだろうと、こういうふうに思っておるところでございます。
ワクチン接種事業につきましては、高齢者の方々に引き続いて、基礎疾患を有している方、また高齢者施設の従事者等の方々に対して接種券が送付されることとなっております。対象者が追加される時期にかけて、これらの対象者が順次されることとなっていることから、自治体によるこれらの者に対する接種を後押しすべく、期間については三か月というふうになっております。
防衛省としては、この三か月間の運営期間において全力を挙げてワクチン接種に取り組んでまいりたいと考えております。
○井上哲士君 やっぱり主役は地方自治体だと。政府は地方自治体の八、九〇%近くが七月中に高齢者の接種が終了可能だと回答したとしておりますけど、あくまでこれ医療従事者の確保ができた場合という前提なんですね。
私、この間、先週土曜日、京都の、京都市の自宅に帰りますと、御近所の方が九月の予約しか取れなかったとこうおっしゃるんですね、高齢の女性が。京都市は七月中に終了可能と政府に回答しているんですよ。これが実態なんですね。
〔委員長退席、理事三宅伸吾君着席〕
何か、政府の掛け声に合わせて実態と違うようなことが実際に出されるというのは違うと思うんですね。一日百万接種というふうに言っていますが、大規模接種は一万五千ですから、圧倒的部分は地方自治体なんです。ですから、この政府の掛け声に合わせるんじゃなくて、ワクチンの安全、迅速な接種のために実態に即したロードマップを示して、安定したワクチンの供給と接種を行う自治体に万全の支援という国の責任を果たすということが政府に求められているということを申し上げておきたいと思います。
その上で、イージス・アショア代替のイージスシステム搭載艦についてお聞きいたします。
先ほど白さんも資料をお配りされておりましたけど、時間がなくなってできなかったようでありますが、配付された朝日新聞、二十一日付けでありますけれども、このイージスシステム搭載艦の二隻の総コストが少なくとも九千億円近くと試算する内部文書が昨年十一月時点であったという報道であります。
それによりますと、米国や造船大手から提供されたデータを基に三十年間の維持整備コストとして維持費を試算していたと。あくまで判明しているものに限るとした上で、ミサイル発射装置やコンピューター、レーダー、船体、燃料の区分でそれぞれの金額を算出。維持整備コストは二隻で三千七百九十二億から三千八百二十億円プラスアルファとしていると、こういうふうに詳しく報道しておりますけれども、こういう文書があるというのは事実でしょうか。
○防衛省 整備計画局長(土本英樹君) お答え申し上げます。
イージスシステム搭載艦につきましては、現在、運用構想の詳細、搭載機能、艦の設計等につきまして、米国政府や日米の民間事業者を交え、鋭意検討を進めているところでありまして、そのコスト等をお示しできる段階ではございません。
同艦につきましては、このような観点から幅広く様々な検討を進めていく中でその総経費につきましては精緻化していくため、現時点で総経費をお示しすることは困難でございますが、同艦の総経費の精緻化に当たっては、厳しい財政事情等も踏まえてしっかり精査してまいる所存でございます。
イージスシステム搭載艦につきまして、まず導入コストにつきましては、昨年十一月の中間報告等を踏まえて示させていただきました洋上プラットフォームの各プランの導入コストが参考になりますが、それはあくまで経費の規模感を示したものである上、かつまた、それらをそのまま事業化するわけではないということで、今委員御指摘にもございました、三十年間の維持運用、運用維持経費等につきましては、海自イージス艦の維持整備の実績や米側から提供された情報など一定の情報を有しておりますが、搭載する装備品の細部仕様や運用の形態等、様々な要因によって経費が変動することがあり得ることに鑑みると、現時点で精緻な数値を示すことは困難であることを御理解いただきたいと考えているところでございます。
○井上哲士君 私聞いたのは、報道されたようなこの試算の文書が昨年の十一月の時点であったのかどうかと、報道の事実について聞いております。
○政府参考人(土本英樹君) イージス・アショア代替案の検討状況につきましては先ほど述べたような、述べさせていただいた内容でございますが、そのような検討を進めている中におきまして経費につきましても様々な情報を有しているところでございますが、検討途上のものを公表するということは、今後の検討議論に予断を与えるため公表することは困難であり、また運用構想の詳細、搭載機能、艦の設計等につきまして現時点で確定しているものではなく、したがって、現時点で、先ほど申しましたように、精緻な総経費をお示しすることも困難であることは御理解いただきたいところでございます。
○井上哲士君 公表できないということは、あるということですね、つまり。
大臣は、この報道のあった二十一日の衆議院安保委員会で、この維持整備コストの規模感について耳に入っていたのかと聞かれて、様々なイージス代替の課題につきましては逐次報告を受けていると答弁をされました。
この逐次報告を受けている課題の中には、当然この維持整備コストの規模感もあったということですね。
〔理事三宅伸吾君退席、委員長着席〕
○国務大臣(岸信夫君) 様々な情報については私のところに届いておりますけれども、一つ一つのことについて申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 これね、一つ一つのことじゃないんですよ。ライフサイクルコストの管理というのは、この間防衛省が装備品の取得の中で一番重きを置いてきたことの一つなんですね。
最新の防衛白書では、装備調達の最適化という項目のトップに、運用、維持までをも含めたライフサイクルを通じたプロジェクト管理について述べて、そのプロジェクト管理重点の対象装備品としてイージス・アショアも挙げられているんですね。そして、より効率的な装備品取得のために装備品の選定段階での精緻なライフサイクルコストの算出ということを白書で言っているんですよ。だから、あれこれの一つじゃないんですね。
こういう位置付けとしてこの将来の維持管理コストについてはちゃんと報告を受けていたんじゃないですか。
○政府参考人(土本英樹君) ちょっと私の方からは、先に考え方等を御説明させていただきたいと思います。
先ほど申しましたように、イージスシステム搭載艦につきましては、運用構想の詳細、搭載機能、艦の設計等について、米国政府や日米の民間事業者を交えまして、防衛省において幅広く様々検討を行っております。
その点、イージスシステム搭載艦の三十年間の維持運用経費につきましては、海事イージス艦の維持、整備の実績や米側から提供された情報など一定の情報は有しておりますが、搭載する装備の内容や運用形態等、様々な要因によって経費が変動することがあり得るということでございます。
一例を申し上げると、イージスシステム搭載艦につきましては、より長く洋上で任務に就けることなどを念頭に、稼働率向上を始めとしまして、運用性、耐用性、居住性、拡張性、整備補給性等の要素も踏まえ艦の設計の工夫の検討を行っておりますが、どの程度洋上で任務に就けるかによって、例えば燃料費等の経費が変動し、それによって維持運用整備も変動するというものでございます。
このように、様々な要因によって経費が大幅に変動することがあり得ることに鑑みますと、先ほど申しましたように、現時点で維持運用経費につきまして具体的な数値を示すことは困難であるという点については御理解いただきたいと考えているところでございます。
○井上哲士君 私は、精緻な数字は出せないと言われたので、去年の質問でも、おおよその数であっても示すべきだと、こう言ったんですよ。それでも何も示されなかったんですね。
実際にはそういうものがあったと。ライフサイクルコストが大事だと言いながら、その一番肝腎なところを国会にも示さずに、そして今挙げられたことはどんどんどんどん増えていく可能性があるんですよ。本当に問題だと思うんですね。
産経新聞の五月十日付けがこれについて、船の構造を複数の船体をつなげた多胴艦、多胴船型にする案を検討していることが分かったと報道いたしました。近く最新の多胴船の設計、製造経験がある民間事業者に調査研究を委託すると報道されましたけど、事実でしょうか。
○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。
イージスシステム搭載艦につきましては、先ほど申しましたように、運用構想の詳細等の様々な検討を行っているところでございますが、現時点におきまして、双胴船や三胴船等の多胴船を採用する方向で検討を進めているという事実はまずないということを申し上げたいと思います。
現在、イージスシステム搭載艦に係る検討のうち、専門的、技術的な知見を得る必要があるものにつきまして、民間事業者による技術支援を受けつつ、引き続き米国政府や日米の民間事業者を交え、防衛省において検討を進めているところでございます。
令和三年度予算におきましては、イージスシステム搭載艦に係る検討のうち、専門的、技術的な知見を得る必要があるものにつきまして、民間事業者から支援を得るための経費として約十七億円を計上し、五月十四日でございますが、民間事業者と技術支援役務に関する三つの契約を行ったところでございます。そのうちの一つの契約につきまして、ほかの二つの契約とは別に、より長く洋上で任務に就けることなどを念頭に幅広い検討を行う必要があるため、耐洋性の観点を重視した艦の設計の工夫について技術支援を得ることを目的として先ほど申しましたような契約を結んだところでございますが、これ自身は多胴船の検討そのものを目的として契約を行ったものではないということは申し上げたいところでございます。
○井上哲士君 つまり、多胴船も視野に入れてというんですか、否定されたものじゃないですね、今のお話でいいますと、それだけではないと言われましたけれどもね。
問題は、結局そのSPY7という陸上のイージスシステム用のレーダーを載せるために「まや」の改修にしても大きくしなくちゃいけないと、そういう様々なこの経費が掛かるわけですね。これが更に膨れ上がる可能性がありますし、実射実験の経費とか人材成長経費もあります。そもそも、イージス・アショアの追加経費、二千億円掛かることを理由に断念したわけですから、その代替装備の総費用は少なくとも追加経費を含むアショアの費用よりも少なくするというのが当然だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸信夫君) イージス・アショア、イージスシステム搭載艦につきましては、運用の構想の詳細、搭載機能、艦の設計等について検討を今進めていく中で、その総経費を精緻化していくために、現時点でイージス・アショアの総経費と比較することは困難でございます。同艦の総経費の精緻化に当たっては、厳しい財政事情も踏まえてしっかりと精査をしてまいりたいと考えます。
他方で、今後、イージスシステム搭載艦の詳細を決めていくに当たっては、経費はもちろん重要な視点でありますが、搭載機能、艦の設計、要員の確保など様々な観点から検討することが必要であります。このため、経費が高ければ直ちに選択肢にならないというものではなくて、我が国の防衛にとってしっかりと貢献するものとなるように、総合的に検討していかなければならないと考えております。
○井上哲士君 まさに青天井になることを認めるような御発言でした。こういう計画は中止すべきだということを強く求めまして、終わります。