国会質問議事録

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外交防衛委員会(被爆建物『旧陸軍被服支廠』の全棟保存/ミャンマーの住民への緊急援助)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 昨年四月に質問した広島の被爆建物、旧陸軍被服支廠の保存について質問いたします。
 この建物は、被爆直後に臨時救護所になって、たくさんの被爆者をみとりました。全長四百メートルもある最大の被爆建物であります。広島県が四棟のうち三棟を保有をしているわけですが、一棟のみ保存して二棟を解体するという方針を出しまして、これに県民からも、そしてこの国会の与野党からも全棟保存するべきだという声が上がりました。県は、先日、この三棟全てを耐震化をして全棟保存の利活用を検討するということに踏み出しました。大変私も喜んでおりますけれども、これに応えて、是非国としても踏み込んだ対応をしてほしいと思うんですね。
 まず、文化庁にお聞きしますが、広島県は、この建物が被爆建物としての価値とともに国指定の重要文化財級の価値があるという有識者の意見を踏まえて、国からの支援を受けるためにも、重要文化財の指定に向けた調査を実施することについて文化庁に説明して了解を得たと説明をしております。この建物の建築史的な価値や歴史的意義について文化庁としてどういう認識をされているのか、それから、これまで県にどのような助言をして、今後広島県がどう取り組むのか、お答えください。

○文化庁 審議官(榎本剛君) 旧広島陸軍被服支廠の建物は、記録によれば大正二年の建築であり、現存最古級のコンクリート造りの建物として一定の建築史的な価値があると考えられます。また、爆風により鉄の扉がねじ曲がるなど被爆の実相を伝えるとともに、原爆により被爆した際に被災者の救済拠点となった施設でもあり、これらを踏まえた歴史的な意義もあるのではないかと考えられます。
 また、これまで文化庁は、広島県から被服支廠の文化財としての保存方法や安全対策について相談を承っており、専門的な助言や現地保存の協力を行ってまいりました。今後は、広島県は被服支廠の重要文化財指定を目指して調査を行う予定と伺っております。文化庁としては、保存、活用についてどのような議論になるのか、全体を見守りながら、必要に応じて専門的な助言を行ってまいりたいと考えております。

○井上哲士君 是非、積極的な助言、支援をお願いしたいと思うんですが、残っている四棟のうち一棟は財務省の所有です。広島県から全棟保存の利活用の検討に当たって財務省にはどういう連絡があったのか、そして、当然、財務省所有の一棟も保存、利活用をすることになると思いますが、耐震強度等の調査など保存にどう取り組んでいくのか、財務省、いかがでしょうか。

○財務省 理財局次長(井口裕之君) お答えいたします。
 今御質問ございました旧広島陸軍被服支廠につきましては、今ありましたように、今後県において重要文化財の指定に向けた調査とともに利活用の検討を行うものと承知しております。
 こうした中、広島県からは、国、県、広島市で構成しております旧陸軍被服支廠の保存・継承にかかる研究会、この場におきまして四棟全体での保存、利活用の検討を行っていきたい旨の意見が示されたところでございます。
 国所有の一棟の保存、利活用の取扱いにつきましても、この研究会での議論等を踏まえまして、また、県と同様に、建物の現状を把握しつつ関係省庁とも連絡を取りながら対応してまいりたいと考えております。

○井上哲士君 是非前向きな対応をしていただきたいんですが、唯一の被爆国政府としてこの全棟保存に取り組むことは国際的責務だと昨年私質問いたしました。茂木外務大臣からは、この被服支廠が世代や国境を超えて被爆の実相を伝えていける建物の一つと述べて、広島県が残したいということであれば、国としてもできることはすべきだという前向きな答弁がございました。
 広島県の新たな意向を踏まえて、国として、被爆国の責務を果たすために全棟保存にできることはやると、改めて所見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○外務大臣(茂木敏充君) 歴史をおろそかにする文明は滅びると、私はそのように思っております。
 広島県の意向も踏まえて、国としてできる限りのことをすべきだと、そのように考えております。

○井上哲士君 本当にできる限りのことをやっていただいて、本当に、県民世論と国会の与野党の要望の中でこういう動きになったわけでありますから、改めて強く求めたいと思います。被爆の実相を残して世界に伝えるという責務が被爆国日本にあるわけでありますから、強く求めておきます。
 最後、ミャンマー問題についてお聞きします。
 先日、超党派のミャンマーの民主化を支援する議員連盟として、民主派が設立したミャンマー国民統一政府とのオンライン会議を実施をいたしました。国民統一政府からは、デュワラシラー副大統領やマーンウィンカインタン首相が参加をされました。
 共同声明も確認をして、国軍の暴力の即時停止や拘束されている民主体制幹部らの解放、民主体制の復帰や国軍を利する日本の経済援助の中止などを求めたわけでありますが、その中で、一点だけお聞きしておきたいんですが、会議の中で出されたのが、クーデターによって多くの人々、特に少数民族が周辺国へも含めて避難をしていて、緊急の支援が必要だという要望です。
 ウオッチャーによりますと、十二万人の避難民があるということでありますが、先日、政府は四百万ドルの緊急無償協力実施することも決めておりますけど、さらに周辺部など支援が必要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君) 先日、WFPを通じましてヤンゴン地区の貧困層を対象に四百万ドルの食糧支援実施を決定いたしましたのは、二月のあのクーデター後、ミャンマーにおける食料事情の悪化、これが進む中で、とりわけヤンゴンの貧困層に対する支援、人口も多いわけでありまして、人道上のニーズ及び緊急性が高いとのWFP側の要請を踏まえたものであります。
 もちろん、ミャンマーにおける食料事情の悪化、これはヤンゴンに限った話でありませんで、それ以外の地域においても現地事情と人道上の必要性、緊急性を踏まえてどのような支援ができるか、実際に物を持っていったりとか、国際機関とも連携をしながら、現地のニーズにできるだけきめ細かに応えていきたいと思っております。

○井上哲士君 国民統一政府は五月三十一日に声明を出しておりまして、紛争や貧困で元々脆弱だった住民の状況が暴力の激化で更に悪化しているということで、水、食料、避難所、医療、新型コロナ対策などの援助を緊急に必要としているとこの緊急声明で訴えております。是非こういう訴えに応えて、日本としての人道支援を強化していただきたいと。
 以上で終わります。

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