○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
ただいま、北朝鮮の弾道ミサイルの発射について報告がありました。この発射は、北朝鮮に対して、弾道ミサイル技術を使った発射、弾道ミサイル開発関連のあらゆる活動を禁じた国連安保理決議違反であります。地域の平和、安定を脅かすものでありまして、日本共産党として、強く非難し、抗議をいたします。
その上で、ウクライナ問題でまずお聞きいたします。
ウクライナの侵略を進めるロシアの無差別攻撃がますます激化をしております。昨夜のゼレンスキー大統領の演説でも、生々しい本当に深刻な被害が訴えられました。国際社会の世論の包囲を強めることがますます重要になっております。
先週金曜日の本会議で、それについて、ロシア非難の国連決議に棄権、退場した国に対しての働きかけを求めました。そして、総理がインドに訪問する際にもそのことを求めました。
総理は首脳会談してこられたわけでありますけれども、その内容についてまず外務大臣お願いします。
○外務大臣(林芳正君) モディ首相との会談では、岸田総理から、ロシアによる侵略は明白な国際法違反の暴挙であり、改めて厳しく非難する、また、核による威嚇も、ましてや使用も断じて受け入れられるものではない旨述べたところでございます。その上で、国際社会が一致して毅然と対応する必要があるとの日本の立場を強調いたしました。
また、両首脳は、戦闘の停止と対話による事態の打開に向けた働きかけを行うことの重要性で一致をいたしまして、岸田総理から、プーチン大統領に対する更なる働きかけを含め、協力を要請したところでございます。
両首脳は、インド太平洋のみならず、いかなる地域においても力による一方的な現状変更を許してはならないこと、国際法に基づき紛争の平和的解決を求める必要があるということを新たに確認をしたところでございます。そして、こうした状況だからこそ、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を二国間や日米豪印を通じて一層推進していくことが重要であることを確認をいたしました。
また、両首脳は、人道支援に関しても連携して取り組んでいくことで一致したところでございます。
○井上哲士君 国連総会の緊急特別会合が開かれて、フランスとメキシコが作成をしたロシアのウクライナ侵略が悲惨な人道的結果をもたらしたとする人道に関する決議が議論をされております。一日目が終わって、今晩、日本時間で夜十一時から再開をされるようでありますが、この採択に向けて、日本としてはどのような対応をしているんでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 日本時間の三月二十三日から国連総会におきましてウクライナ情勢に関する緊急特別会合が開催されておりまして、ロシアとウクライナを含む多くの国が各々の立場を表明しております。日本からは国連代表部の石兼大使が出席し、ゼレンスキー大統領の国会演説にも触れつつ、ウクライナの文民保護を呼びかけております。また、前回の緊急特別会合において採択されました、ロシアによるウクライナへの侵略を最も強い言葉で遺憾としロシア軍の即時完全無条件の撤退を求めること等を内容とする決議の履行を促すとともに、人道危機はその原因と結果の両方に対処する必要があると強調いたしました。
また、今次緊急特別会合では、ウクライナ及びEU等が主導するウクライナの人道状況に関する国連総会決議の採択が想定をされております。我が国といたしましても、深刻な人道状況に対処するとともに、問題を生み出した根本的な原因であるロシアによる侵略の停止と軍の撤退、これが重要であり、ロシアによるウクライナへの侵略を厳しく非難すると、そうした基本的な立場に基づきまして、この総会決議案の共同提案国になったところでございます。一か国でも多くの国が賛成し、この総会決議案が採択されて、ウクライナの人道状況に対処するという幅広い国連加盟国の強い意思が表明されるよう、積極的に働きかけを行ってきているところであります。
政府としては、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携していく考えであり、国連総会においても、我が国の基本的立場を踏まえ、積極的に貢献していくとともに、国連安保理及び総会の動向を強い関心を持って注視をしてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 ロシアの侵略をやめさせ、そして人道法違反、国際人道法違反をやめさせる上で、一層の外交的努力を求めたいと思います。
次に、在日米軍駐留経費負担特別協定についてお聞きいたします。
本会議でも述べましたけれども、在日米軍の経費は、協定上、日本の負担義務はありません。にもかかわらず、一九七八年に思いやりと称して基地従業員の福利費などの負担を始め、一九八七年の特別協定以来、暫定的、特例的、限定的な措置としながら負担を継続し、その対象を拡大いたしました。本協定では、政府はこの通称を同盟強靱化予算としましたけれども、地位協定上、アメリカが負担すべき経費を日本が肩代わりするという思いやり予算の本質には変わりはありません。そればかりか、本協定は現行協定の枠を踏み越えての肩代わりとなっております。
まず、訓練資機材調達費の新たな負担であります。
外務大臣にお聞きしますが、この駐留している米軍の訓練のための資機材の調達費用を負担している国が日本以外にあるでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 我が国として、この米国と第三国との間で締結されている協定の中身について網羅的に把握をしておらないところでございまして、また、それらの協定について有権的に説明する立場にもないと考えております。
○井上哲士君 訓練移転費の負担を日本はこの思いやり予算でやったわけですが、二〇〇八年には、この訓練移転費について言えば、他国で同様の負担をしている例は見当たらないとちゃんと答弁されていますから、私はこの問題でもちゃんと答弁をしていただきたいと思うんですね。
政府は、この自衛隊の即応性及び米軍との相互運用性の強化にも資するということを新たな負担の理由としておりますが、日本がどれだけ米側が調達した資機材を活用できるかはこれからの日米間の協議次第と、こうなっております。結局、政府も、もうこの資機材調達費の目的の最初に在日米軍の即応性の向上を挙げております。まさに在日米軍強靱化の費用を日本が負担をすると、これが実態ではないでしょうか。いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) この今交渉では、全体として、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるということに加えまして、自衛隊を含む日米同盟の抑止力、対処力を一層効果的に強化していくことに資すると、さらには厳しい財政状況を踏まえてめり張りを付けた経費負担の合意を得る、こういうことができたというふうに考えております。
安全保障環境、一層厳しさを増す中で、やはりこの日米同盟の抑止力、対処力を高めるためには、自衛隊と在日米軍の双方が日米共同訓練を含む各種の高度な訓練の実施等を通じまして即応性を向上させ、相互運用性を強化させていく必要があると、こうした観点から新たに在日米軍による訓練資機材の調達のための経費を負担することとしたところでございます。
これまでは、在日米軍の駐留を支援することに重きを置いた経費負担だったわけでございますが、今回の合意により、この経費を用いて日米同盟を一層強化する基盤を構築することで一致したところでございます。こうした経費負担の内容の変化を踏まえまして、今回の合意に基づく在日米軍駐留経費負担の性質を端的に示すものとして、その通称を同盟強靱化予算とすることとしたものでございまして、在日米軍のみの強靱化に資するものではないというふうに考えております。
○井上哲士君 駐留している米軍の資機材を、調達費を負担をしている国を挙げることができなかったように、やはり米軍そのものの強靱化、それを進めるための費用を出すというのは極めて異例でありますし、本来日本が支払う義務のないものだということは、様々理由付けられますけど、私は明らかだと思うんですね。
もう一つが、訓練移転費の対象にアラスカを加えたことです。二〇一一年の協定では、在日米軍再編の一部として米軍機の訓練移転先に米国の施政の下にある領域を追加しました。その結果、米領グアムや北マリアナ諸島での訓練経費を負担するようになりました。この一一年のグアムを訓練経費負担の対象として以来、何回負担して、その経費の総額は幾らになっているでしょうか。
○防衛省 地方協力局長(岡真臣君) お答え申し上げます。
米軍再編に係るグアム等国外への訓練移転につきましては、平成二十三年一月及び十月の合同委員会合意に基づきまして、嘉手納飛行場等における更なる負担軽減を図るため、令和四年三月時点で五十九回実施をしているところでございます。また、このグアム等国外への訓練移転に係る日本側の負担額についてでございますけれども、負担額が確定している令和元年度時点の数字でございますが、総額で二百七十二億円となっているところでございます。
○井上哲士君 二百七十二億円という答弁でありました。
今回、「又は同国の領域」という文言が加わってアラスカが明記をされました。元々訓練移転費の負担がですよね、すること自身が異例、先ほども申し上げましたように異例なわけですが、さらに米軍の訓練の都合でアメリカ領内で行う訓練の費用を負担すると。これまた異例極まりないと思うんですね。
このアラスカを訓練移転費の対象に加えることによって、年間新たにどれだけの訓練移転が行われて、負担する経費はどれだけになるんでしょうか。
○防衛省 防衛政策局長(増田和夫君) お答え申し上げます。
日米同盟の抑止力、対処力の強化と沖縄を始めとする地元の負担軽減の双方が必要であることを踏まえまして、日米間で協議した結果、本特別協定においては、航空機の訓練移転について、米軍による訓練の日本国外への移転を拡充し、広大な空域など恵まれた訓練環境を有するアラスカを訓練移転の対象とすることについて日米間で合意したところです。その上で、次期特別協定期間中における訓練移転費は、令和三年度予算、約百十四億円の水準を維持することとしております。
また、個々の訓練移転の時期や実施場所につきましては現時点で確定しておらず、今後、個別の訓練移転の都度、日米間において議論して決定していくこととなります。
○井上哲士君 これからの協議だということでありますが、逆に言えば、どれだけの負担軽減になるのかと。分からないわけですね。
このグアムを加えたときにも沖縄の負担軽減が理由だったわけでありますが、この訓練経費の負担によって、沖縄での騒音被害などは具体的にどれだけ軽減されたのかと。一定程度軽減という答弁続いていますけど、現実に国民のお金、税金つぎ込んでいるわけでありますから、一定程度ではなくて具体的にどれだけ軽減をされたと把握されているでしょうか。
○政府参考人(岡真臣君) お答え申し上げます。
グアム等への航空機訓練移転については、本来であれば嘉手納飛行場等で実施予定でありました航空機による訓練の一部をグアム等に移転することで、嘉手納飛行場を始め各飛行場周辺の住民の皆様に対する騒音の影響が一定程度軽減されているものと認識をしているわけでございます。
委員からは一定程度ということではなくというお話でございましたけれども、米軍機の全体の運用、これは訓練のみならず様々な運用の総和として決まるところがございます。一方で、防衛省として、その米軍の運用についてその全てを把握しているものではございません。そのため、グアム等への航空機訓練移転による騒音軽減の効果というものを具体的にお示しすることは困難なところがございます。
ただ、嘉手納飛行場におきます訓練移転期間中の騒音について、訓練移転により同飛行場に所在する航空機が長期間沖縄を離れることとなりますので、その間、訓練移転がなければ沖縄で実施されることとなる訓練の時間を含めた米軍機の運用全体が削減される効果があると考えているところでございます。
○井上哲士君 実態はどうかという問題なんですね。お手元に資料を配っております。嘉手納基地の航空機離着陸の回数について、沖縄防衛局による目視調査を沖縄県がまとめたものです。これは今年度一月までのデータですけれども、離着陸回数合計三万五千百五十五回のうち、この嘉手納基地に所属しない外来機が九千四百七十八回で二七%を占めます。その前の年は二三・一%を外来機が占めているんですね。【220324配付資料.pdf】
ですから、訓練移転だといって嘉手納所属の米軍機が別の場所で訓練をしても、所属でない外来機が飛来をしているんですね。負担軽減と言うんなら、こういう外来機の飛来の規制こそ、外務大臣、必要じゃないでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 私も本年一月の日米2プラス2において、岸防衛大臣とともに、在日米軍による地元への影響に最大限配慮した安全な運用について求めたところでございます。今後とも、米側に対して、航空機の運用に当たって周辺地域住民の皆様に与える影響、これを最小限にとどめるように申し入れてまいりたいと考えております。
また、米側に対しては、航空機の運用に当たっては安全な飛行の確保に努めるとともに、航空機騒音規制措置に係る日米合同委員会合意の遵守、これを徹底するよう要請してきておりまして、引き続き、防衛省とも連携しつつ、米側に対して地元の方々に与える影響を最小限にとどめるように配慮を求めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 配慮を求めるという答弁が繰り返されてきました。
追加して防衛大臣、お聞きしますけれども、むしろ被害拡大しているんですね。この一覧表は一月まででありますけれども、嘉手納では一月中旬から米軍機の被害が激化をしております。
嘉手納町議会は、二月と三月の二度にわたって、米軍機の騒音激化と相次ぐ外来機飛来に抗議する意見書と決議を全会一致で上げているんですね。そして、この三月の決議見ますと、二月十九日にF35A十二機が飛来をして、二十四日には百二デシベルという騒音を起こしているんですね。これは意見書でも指摘をされています。
このF35A十二機はどこから来たかといったら、アラスカなんですよ。アラスカの空軍部隊から来ているんです。ですから、アラスカに訓練移転して騒音被害が減る減ると言っていますけど、実際に来ているんですよ、ほかから。だから、こういう外来機の飛来を止めなければ騒音被害は減りません。
具体的にこういう規制が、配慮ではなくて規制はするということが求められておりますが、大臣、いかがでしょうか。
○防衛大臣(岸信夫君) あの、失礼しました。
防衛省として、今後とも、米側に対して嘉手納飛行場周辺における騒音の軽減が図られるように一層の協力を求めるとともに、訓練移転を積み重ねるなど、可能な限り地元の負担軽減に努めてまいります。
○井上哲士君 そう言ってきたけれども、結局外来機が来て全く騒音被害は変わっていないです、むしろ激化しているんです。そのことを直視せずに、結局沖縄負担軽減というのが口実であって、一層の肩代わりを強めるものにしかならないということを指摘をしていきたいと思います。
今、日米のこの一体化というのはこれだけではありません。日米両政府が一月七日に2プラス2を開催して、地域の平和と安定を更に損なう東シナ海における中国の活動懸念、日米両国による共同の情報収集、警戒監視及び偵察活動での協力深化が重要だとする共同文書を発出いたしました。
これについて、防衛省は、海上自衛隊鹿屋航空基地への米空軍の無人機MQ9の一時展開を検討すると発表して、二月二十一日に九州防衛局を通じて日米合同の現地調査を実施する旨を地元である鹿児島県鹿屋市に伝えております。多くの市民が、突然の話に、このままでは米軍基地の町になると不安の声を上げております。
これは、一月二十五日に南日本新聞がスクープをしたわけでありますが、市のある職員は、幹部も全然知らされておらずびっくりしたと、非常に驚いたと話しております。
この日米2プラス2の発表に続けざまに全く一方的な表明をしたわけでありまして、非常に地元では不安と憤りが広がっています。こういう極めて乱暴なやり方であったと、こういうことに対する認識は、防衛省は持っていますか。
○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
防衛省としましては、我が国周辺、安保環境が大変厳しくなっておりますので、情報収集体制の強化というのが喫緊の課題であると、こう考えておりまして、アメリカ政府と米軍の無人機MQ9の一時展開について検討を行ってまいりました。
地元の自治体の皆様方に対しましては、検討が進捗した適切な段階で説明をさせていただきたいと考えておりましたが、その御説明の前に本件についての報道がなされたことにつきましては、防衛省の意図したものではないとはいえ、大変残念であり、申し訳ないと考えております。その旨、地元の自治体の皆様方には御説明をさせていただきたいところでございます。
防衛省といたしましては、自衛隊や米軍の活動につきましては地元自治体の御理解が重要であると考えておりまして、MQ9の一時展開に関する検討につきましても、現地調査の結果やそれを踏まえた今後の対応について、地元自治体の御意見を伺いながら丁寧に説明をしていく考えでございます。
○井上哲士君 京都のXバンドレーダーでもイージス・アショアでも、全部報道が先行したんですよ。そのたびに反省を言われますけど、全く改善をされておりません。そして、先に説明したからいいという問題でもないですね。一方的な問題であります。
更に聞きますが、このMQ9が在日米軍に配備されたことがあるのか、これはどういう機種でどういう目的、機能があるのか、お答えください。
○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
MQ9は、米空軍等が保有する情報収集などの多目的で運用される無人機でございまして、これまで在日米軍の施設・区域に配備された例はございません。
我が国周辺地域における情報収集体制の強化が我が国の防衛上ますます深刻かつ喫緊の課題となる中、情報収集体制の強化策の一環として日米両政府間で米軍無人機MQ9の一時展開の検討を行っているものでありまして、仮に我が国に一時展開することとなった場合、MQ9は東シナ海を中心とする我が国周辺海域における情報収集活動を行うことになります。
○井上哲士君 そもそも米軍無人機を自衛隊基地に配備するのが初めてなわけでありますが、このMQ9はそもそも在日米軍にも配備をされたことがない、そういう機種なわけですね。
偵察、警戒監視ということが盛んに言われますが、同機の役割はそれにとどまるものではありません。アメリカ空軍の説明によれば、このMQ9は、情報収集のみならず、動的な標的への攻撃の用途のために開発をされたと。このMQ9が備える滞空時間の長さ、広範囲検知が可能なセンサー、マルチモードの通信装置、精密誘導兵器によって、高価値で瞬間的な時間的猶予が限られた目標に対して、攻撃、調整、偵察を実行することが可能なユニークな能力を持っているというふうに説明をされております。
実際、この米軍は、アフガニスタンで、同機にヘルファイアミサイルや五百ポンド爆弾を搭載をして攻撃作戦を行っております。一昨年のイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官の殺害の際にも同機が使用をされております。二〇一八年のアメリカの説明では、米軍の説明では、MQ9は、一つのミッションにおいて計画的な攻撃、近接航空支援、情報収集、警戒監視、偵察という複数の任務を実行することに用いられているとしております。
政府はこれは偵察任務だけと言いますけれども、実際上、中国を意識をした配備なわけですね。こうした多用途の作戦実績と能力を持つ新しい無人機の展開となれば、周辺国も当然兵器の性格を認識をして軍事的な緊張を高めることになるのではないかと、防衛大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸信夫君) 繰り返しになりますけれども、現時点において、鹿屋航空基地にMQ9の一時展開自体について決定されているものではありません。
その上で、MQ9が鹿屋航空基地に一時展開することになれば、海上自衛隊による活動と併せて日米同盟の情報収集能力の向上につながり、周辺国による我が国に対する挑発的な行動や現状変更を試みる行動の抑止にもつながると考えています。
いずれにいたしましても、今般、日本への一時展開を検討しているMQ9は、あくまで我が国周辺海域等における情報収集を任務とするものであります。
○井上哲士君 先ほど来言っていますように、実際には様々なこういう作戦実績と能力を持っていると。こういうものを配備をすることによって、むしろ軍事的緊張を高めることになるんではないかということをお聞きしています。改めていかがでしょう。
○政府参考人(増田和夫君) 今般、日本への一時展開を検討しております米軍無人機MQ9は、あくまで我が国周辺海域等における情報収集を任務としており、そのための形態に変更されております。攻撃任務を実施することはできないということでございます。このような形態の変更には相当の時間を要するものでありまして、日本への展開期間中に形態を変更することはできないことを米側にも確認しております。
そしてまた、我が国周辺の安全保障環境が大変厳しくなっている中、様々な軍隊の活動が活発しておりますので、そういう中で様々な情報収集、警戒監視をするという、その目的に沿うものだと我々は考えております。
○井上哲士君 一時展開中にはあり得ないという今お話がありましたけど、これ一時というのはどういう意味なんでしょうか。アメリカからはどういう要請があるのか、具体的に説明をお願いします。
○政府参考人(増田和夫君) 米側から今般の米軍無人機MQ9の日本への一時展開につきましては、これを日本に恒久的に配備するものではなく、日本における運用が一時的なものであることを日米間で確認していることを踏まえ、一時展開との表現を用いているところでございます。
その上で、展開期間を含め、具体的な展開の概要は、調査の結果も踏まえて検討の上決定されるものであり、現時点で決まっておりません。
○井上哲士君 時期も期間も決まっていないということでありますが、一方で、一時としながら様々な一定の施設整備をするということも報道されています。
そうしますと、一旦は一時展開が終了しても、再度必要に応じて展開をするということはあり得るんじゃないですか。これは絶対ないと言えますか。
○政府参考人(増田和夫君) 繰り返しになりまして大変恐縮でございますけれども、米側からは、日本に恒久的に配備するものではなく、日本における運用が一時的なものであるということを日米間で確認しているところでございまして、今後、展開した場合の期間を含めて、具体的な展開の概要というのは、調査の結果も踏まえて検討の上決定されるものでありまして、今後のことについて現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 再度展開はないのかということにはお答えはありませんでした。
ちょっと具体的に聞きますけれども、報道では七機前後、人員は百人と言われていますけれども、実際どうなのか。軍人軍属の別も含めて内訳をお願いしたい。
それから、この操縦は鹿屋基地の中で行うことを想定しているのか。どういう施設整備の必要性が検討されているのか。そして、日米地位協定に基づく共同使用の手続を行うことが想定されているのか、それぞれ具体的にお答えください。
○政府参考人(増田和夫君) まず、機数でございますけれども、先ほどもお答え申し上げましたとおり、一時展開自体まだ決定されておりませんので、機数を含めまして、一時展開の具体的態様について決定しておりませんので、現時点ではお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
そして、一時展開について、日米間、日米の両政府間で検討しているところでございますけれども、人員数や操縦の方法、施設整備や施設使用の態様といった具体的な展開の概要は、調査の結果も踏まえて検討の上決定されるものであり、今この時点、現時点で決まっておりません。
その上で申し上げますと、国内に展開した実績のあるほかの米軍無人機につきましては、離着陸時は展開した場所、展開先から、また離陸後の上昇により十分な高度に至った後は、日本国外にある施設から、それぞれ米軍のパイロットが操縦していたところでございます。
また、本件はあくまでも期間の限定された一時展開として検討しているものでありまして、現時点におきまして、操縦に必要な恒久的な施設整備、施設の建設というものは想定していないところでございます。
○井上哲士君 恒久的でなくても一定の施設が必要になってくるんですね。
この無人機が抱える重大な問題の一つが事故でありますが、大臣は、この無人機が起こす事故について、どのように認識をされているでしょうか。
○国務大臣(岸信夫君) MQ9の過去の事故、事案については、米軍の調査プロセスを通じて飛行時運用を改善している旨、米側から説明を受けております。
また、MQ9は安全を確保するため、例えば航空制御を行うシステムについては三つの同様のシステムから構成されており、仮に一つのシステムが不調になっても残りのシステムによって航空機の制御を維持することが可能となります。
さらに、今般日本へ一時展開を検討しているMQ9の派生型であるMQ9Bについては、令和二年には海上保安庁が飛行実証を行っており、事故を発生させることなく全十三回、合計約百四十七時間の飛行を実施をしております。
いずれにしても、防衛省としては、米側の米軍の運用に際しては、安全面の確保が大前提と考えており、これまでも累次の機会を捉えて、米側に対して地元に、地元への配慮と安全確保について申入れを行っております。引き続き、安全面に最大限配慮するよう求めてまいります。
○井上哲士君 アメリカの事故分類による説明がありましたけど、それにとどまらないんですね。
イギリスで軍用無人機の利用の拡大に反対する運動団体ドローン・ウオーズというのがありますが、無人機の墜落事故の調査情報を取りまとめて公表しています。それによりますと、このMQ9は、同機の運用が開始された二〇〇七年から現在までに少なくとも七十二件の墜落事故を起こしていると。イギリス、フランス、イタリアなども僅かに含まれますが、ほとんどは米空軍を始めて、始め、アメリカが運用する機体によるものだと。機種別の事故件数では、MQ1に次いで二番目に突出して多いということになっているんですね。
このドローン・ウオーズは二〇〇九年から一八年までの十年間の軍用無人機の事故を分析して報告書にまとめておりますけれども、重量が百五十キロを超える無人機の墜落が二百五十四件発生したうち、七割の百七十八件は米国によって運用された機体と、平均すると月二回事故が起きているというんですね。そして、その半数強については原因の所在が分かっていると。機械的故障、通信の問題、エンジンの不具合、落雷等の気象の問題、操縦士の過失などを挙げております。
防衛省としては、今挙げたような事故の原因についてMQ9の過去の事故がどうだったかという、そういう知見をお持ちなんでしょうか。
○政府参考人(増田和夫君) 防衛省の方で把握しておりますMQ9の過去の事故の例といたしましては、例えば、二〇二〇年六月二十四日にソマリアにおきまして、機体が燃料漏れを起こしたため意図的に破壊をしたと。それから、二〇二〇年九月二十四日にクウェートの空軍基地におきまして、着陸時に衛星通信を失い、滑走路を外れて停止したといったものがあると承知しております。その上で、MQ9の過去の事故、事案につきましては、米軍の調査プロセスを通して飛行運用を改善しているという旨、米側から説明を受けております。
また、MQ9は、安全を確保するため、例えば航空制御を行うシステムについては三つの同様のシステムから構成されており、仮に一つのシステムが不調になりましても、残りのシステムによって航空機の制御を維持することが可能となります。
さらに、先ほど大臣も......
○委員長(馬場成志君) 答弁は簡潔にお願いします。
○政府参考人(増田和夫君) はい。御説明したように、海上保安庁の方でも飛行実証を行っておりまして、事故を発生させることなく飛行を実施していると聞いております。
以上でございます。
○委員長(馬場成志君) おまとめください。
○井上哲士君 時間なので終わりますが、ドローン・ウオーズの報告書は、無人機が軍の中で普通のことになってしまっているように見える中で、技術は成熟までには遠く及ばず、月二回程度と頻繁に事故が発生しているのが現実だと警鐘を鳴らしております。
これを受け止めていただいて、こういうものについては配備の中止を求めます。
以上、終わります。
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○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、在日米軍駐留経費負担特別協定の承認に反対の立場から討論を行います。
在日米軍駐留経費は、日米地位協定二十四条の定めにあるとおり、日本に負担する義務は一切ありません。
それにもかかわらず、政府は、一九八七年に特別協定を締結し、暫定的、特例的、限定的な措置としながら、負担の対象を施設整備、給与本体、光熱水費、訓練移転費へと拡大をさせてきました。
日本の負担総額は、二二年度予算計上額を含めて、八兆七百二十五億円に上ります。さらに、今回の協定で、今後五年間の日本側負担の総額を一兆五百五十一億円と、現行の負担水準から一一%も増額させたことは、負担原則からの逸脱を一層拡大させ、コロナ禍の中で更に厳しくなった財政を全く顧みないものと言わなければなりません。
結局、米国の要求に応えて道理のない負担を一層拡大させて、そのツケを国民に負わせるものであり、断じて容認できません。
本協定には、新たに訓練資機材調達費として、米軍が訓練に用いる最新鋭の資機材への調達への支援が盛り込まれ、米国の本土での大規模訓練に、在日米軍だけでなく、日本から自衛隊の参加も可能にするLVCシステムなどを整備するとしています。
これらの資機材は、米軍がその訓練環境の向上と費用の抑制を図ることを目的として導入し、所有と、しようとするものです。日本が経費を負担する理由がないばかりでなく、日米の軍事一体化を一層推進するものにほかなりません。
さらに、米軍機の訓練移転先に新たにアラスカを加えたことは、在日米軍が訓練の必要上、自国の優れた訓練環境を選ぶという言わば米国の都合による移転に財政支援をするものであり、認められません。
政府は騒音の影響が一定程度軽減されると言いますが、質疑で示したように、嘉手納基地では、所属する米軍機のみならず、一年中多数の外来機が飛来して自由勝手に訓練し、騒音等の甚大な被害をもたらしています。傍若無人な訓練を長年にわたって許している政府の責任は極めて重いと言わなければなりません。
行うべきは、費用の、経費の肩代わりなどでは断じてなく、実効ある訓練規制の実現に向けて取り組むことです。
最後に、予算の通称を同盟強靱化予算に変えるとしていますが、日本に何ら負担義務がない経費の肩代わりを更に広げ、自衛隊と米軍との一体化を一層進めながら軍事力を強化しようとするものにほかなりません。
廃止を強く求めて、討論とします。